パロットモンを撃破した後、ハジメ達のパートナーとなったアグモンとガブモンはともかく、残りの4体の成長期デジモン達をどうするかで、一先ず行動を共にするという事で落ち着いた。
テイマーにはなっていないが、ブイモンはユエと気が合い、クダモンはシアの首にマフラーの様に巻き付き、ドラコモンは同じ竜という事でティオが構い、ハックモンは優花が気に掛けている。
新たに6体のデジモンを加えた俺達は、一度王都まで戻って来たわけだが、やはりと言うべきか天之河に突っ込まれた。
「南雲………いきなり居なくなったかと思えば、また新たにデジモンを連れてくるなんて如何いうつもりだ………!?」
「どういうつもりも何も、コイツらとは神山で偶々会って、ついでに俺がアグモンのテイマーになったから一緒に行動しているだけだが?」
ハジメは天之河に対して興味無いと言わんばかりの態度だ。
「だが、デジモンは完全な悪では無いにしろ危険な生物だ! 何故それが分からない!」
「何だ!? 何か文句あんのかコラ!」
アグモンが売り言葉に買い言葉と言わんばかりに言い返すが、天之河のその言葉に俺は少し違和感を持った。
今までの天之河ならデジモンは『悪』と決めつけていた筈だ。
それを、嫌悪感を隠していないにしろ、完全な悪ではないと言った天之河の言葉は俺にとって意外な物だった。
とは言え、天之河にとってデジモンは『敵』であることには変わりは無いらしく、デジモンを責めるような言動は変わっていないが。
「テメーの物差しで俺達を量るな。少なくとも、俺はコイツを気に入った。それだけだ」
「へへっ! 流石相棒!」
ハジメは傍らにいるアグモンの頭に手を乗せてそう言った。
すると、愛子先生がパタパタと駆けて来て、
「南雲君!」
そのままハジメに駆け寄る。
愛子先生はハジメに救出された後、リリアーナ王女達に保護して貰っていた。
檜山の事についても、教師として深く傷ついていた。
「よかった。無事だったんですね」
「いや、神山の神代魔法は特に難無く手に入るって事は先生も知ってるだろ?」
「でも、丸1日戻ってこなかったので、何かあったのかと心配で………!」
「あ~、それは…………」
確かにあったと言えばあった。
デジモン達が落ちてくるわ、パロットモンに襲撃されるわ、その後どうするかで話し合ったりとかで、何だかんだで1日ほど時間を取られた。
因みに気の所為かもしれないが、愛子先生のハジメを見つめる視線が熱っぽいような気が?
昨日ティオが言ってた事は本当ったのか?
冗談半分かと思ってたんだが…………
「ところで愛子さん。あの日、愛子さんが攫われた時に話そうとしていた事を聞いても良いでしょうか? 南雲さん達が神代魔法を取得している事と関係があると思いますが…………」
リリアーナ王女がそう口に出す。
そういえば何だかんだでリリアーナ王女にも説明はしてなかったな。
愛子先生は一度ハジメに視線を向けると、ハジメは任せたと視線で訴える。
愛子先生は、コホンッと咳払いを一つするとハジメから聞いた狂神の話とハジメ達の旅の目的を話し、そして、自分が攫われた事や王都侵攻時の総本山での出来事を話し出した。
全てを聞き終わり、真っ先に声を張り上げたのはやはり天之河だった。
「なんだよ、それ。じゃあ、俺達は、神様の掌の上で踊っていただけだっていうのか? なら、なんでもっと早く教えてくれなかったんだ! オルクスで再会したときに伝えることは出来ただろう!」
非難するような眼差しと声音に、しかし、ハジメは面倒そうにチラリと天之河を見ただけで何も答えない。
その態度に天之河は乱暴に席を立ち、ハジメに敵意を漲らせる。
「何とか言ったらどうなんだ! お前が、もっと早く教えてくれていれば!」
「止めなさい、光輝」
そんな天之河を止めたのは八重樫さんだ。
「雫…………?」
「例えあの時同じことを南雲君の口から説明されたとしても、あなたはそれを信じたの?」
「えっ?」
「南雲君と黒騎君に張り合う事しか考えてなかったあの時のあなたが同じことを聞いたとしても、そんなのデタラメだって反抗する光景しか思い浮かばないわ。もし香織が説明したとしても、南雲君に騙されている、とか言って話を聞かなかったでしょうね」
八重樫さんは冷めた表情でそう言う。
「そ、そんな事は……………だ、だけど、そうだとしても、何度もきちんと説明してくれれば……」
「アホか。なんで俺が、わざわざお前等のために骨を折らなけりゃならないんだよ? まさか、俺がクラスメイトだから、自分達に力を貸すのは当然とか思ってないよな? ……あんまふざけたことばっか言ってっと……檜山の二の舞だぞ?」
ハジメがそこまでする義理は無いと言わんばかりに、天之河の言葉にそう言い返す。
その視線は絶対零度だ。
その言葉に嘘は無い。
「でも、これから一緒に神と戦うなら……」
「待て待て、勇者(笑)。俺がいつ神と戦うといったよ? 勝手に決め付けるな。向こうからやって来れば当然殺すが、自分からわざわざ探し出すつもりはないぞ? 大迷宮を攻略して、さっさと日本に帰りたいからな」
その言葉に、光輝は目を大きく見開く。
「なっ、まさか、この世界の人達がどうなってもいいっていうのか!? 神をどうにかしないと、これからも人々が弄ばれるんだぞ! 放っておけるのか!」
「顔も知らない誰かのために振える力は持ち合わせちゃいないな……」
「なんで……なんでだよっ! お前は、俺より強いじゃないか! それだけの力があれば何だって出来るだろ! 力があるなら、正しいことのために使うべきじゃないか! 黒騎! 君だって仮にも世界を救った1人なんだろ!? 如何して何も言わないんだ!?」
何か天之河が俺に意見を求めてきたので、
「なんか勘違いしているみたいから言っておくが、確かに俺は6年前に世界を救った。でも、それは『結果的に』だ」
「何だって!?」
「あの時の俺達は世界を救おうなんて欠片も思っちゃいなかった…………いや、仲間達は多少なりともそんな気持ちは持っていただろうが、もっと根本的な理由は別の所にあった」
「世界を救う以上に大切な事があるって言うのか!?」
「ああ。それは『仲間を救い出す事』だ」
少なくとも、あの時のタカト達の一番の戦う理由はデ・リーパーに囚われていたジュリを助け出す事だった。
「そして俺は…………『家族を護る為』だ」
「ッ!?」
「あのままデ・リーパーを放っておけば、世界が破滅する。それは即ち、家族の命が脅かされるという事だ。俺はそれを防ぐためにデ・リーパーと戦った。後は強いて言うなら仲間達の為だな」
「…………そんな」
「俺が戦っていた理由は家族を護る為、仲間を護る為だ。そしてその結果、世界を救っただけに過ぎない。後言っておくと、葵を助けた時に行っていた自主的な見回りも、家族の安全を護るためにやっていただけだ」
「くっ……………! でも、力があるなら………!」
「『力があるから戦う』…………そんな理由で振るわれる力は何よりも『弱い』」
「何ッ!?」
「天之河、偉そうな事を言うつもりは無いが、お前の言ったその言葉は状況に流されているだけのあやふやなものだ。だから肝心なところで刃を鈍らせ、負けることになるんだ。この世界に召喚された時もそうだ。お前はイシュタルの言葉を真に受けて、力を持っているから戦う事を決めた。だから魔人族も『人』だと思わずに現実を突き付けられた時にその意志が鈍り、仲間を危機にさらした」
「それは…………」
「俺達は違う。俺達は最初に自分が為したい事を決める。そして、その為したい事の為に自分の意志で力を振るう。そして今俺達が為したい事とは、『仲間と一緒に元の世界へ帰る』事だ。もちろん、デジモン達も一緒にな。正直、俺はこの世界を命を賭けてまで護りたいと思えるほど好きじゃないんだ。この世界に来て嫌な思いばっかりしているからな……………ああ、ドルモンと再会できたことと、葵や優花と恋人になれた事だけはこっちの世界に召喚されて良かったと思えるな。まあ、ドルモンも葵も優花も連れて帰るから、この世界に未練は無いぞ」
「お前は、好き嫌いでこの世界が神様のオモチャにされているのを傍観するというのか!?」
「逆に聞くが、お前は嫌な事の為に命を賭けれるのかよ?」
「何ッ?」
「世界を救うなんて大それたことじゃなくても、嫌な事の為に一生懸命になんてなれないだろう? 誰だって一生懸命になる時は、好きな事の為、大切な事の為だけだ」
「ッ……………!」
「この世界に俺の好きなもの、大切なもの、護りたいものは無い。目の前で助けを求められて、可能な範囲であれば助けても構わないが、態々危険を冒してまでこの世界の為に戦う気は無い」
まあ、デジモン達についてはもしかしたらイグドラシルが関与しているかもしれないので、もしそうなら何とかしようとは思っている。
何かと俺達は目の敵にされているようなので、勝手に向こうからやってくるだろうが………
これはこの場で言うべきことでは無いだろう。
「………………………」
天之河は何も言えなくなってしまったのか黙り込んだ。
すると、
「……やはり、残ってはもらえないのでしょうか? せめて、王都の防衛体制が整うまで滞在して欲しいのですが……」
リリアーナ王女がそう願い出る。
「神の使徒と本格的に事を構えた以上、先を急ぎたいんだが」
ハジメがそう言うと、
「そこを何とか……せめて、あの光の柱……あれも南雲さんのアーティファクトですよね? あれを目に見える形で王都の守護に回せませんか? ……お礼はできる限りのことをしますので」
「……ああ〝ヒュベリオン〟な。無理だ。あれ、最初の一撃でぶっ壊れたし……試作品だったからなぁ。改良しねぇと」
ハジメの作った〝ヒュベリオン〟。
それは簡単に言えば太陽光収束レーザーだ。
因みに先日撃たれたそれにアルファモンやオウリュウモンもロイヤルナイツごと見事に巻き込まれたわけだが……………
強い日差しを受けた時のように皮膚の表面がピリピリするぐらいの痛みでした。
「……出発前に、大結界くらいは直してやる」
「南雲さん! 有難うございます!」
ハジメの言葉にリリアーナ王女は表情をパァッと明るくさせる。
なんかリリアーナ王女もハジメに対して態度が軟化してると言うか、自然体になってきていると言うか?
「ところで、南雲さん達は次はどこへ向かうおつもりでしょうか? 神代魔法を求めているなら大迷宮を目指すのですから、西から帰って来たのなら……樹海でしょうか?」
すると、続けてリリアーナ王女がそう言う。
「ああ、そのつもりだ。フューレン経由で向かうつもりだったが、一端南下するのも面倒いからこのまま東に向かおうと思ってる」
その質問にハジメがそう答えると、
「では、帝国領を通るのですか?」
「そうなるな……」
「でしたら、私もついて行って宜しいでしょうか?」
「ん? なんでだ?」
「今回の王都侵攻で帝国とも話し合わねばならない事が山ほどあります。使者と大使の方が帝国に向かわれましたが、会談は早ければ早いほうがいい。南雲さんの移動用アーティファクトがあれば帝国まですぐでしょう? それなら、直接私が乗り込んで向こうで話し合ってしまおうと思いまして」
「フットワークの軽い王女様だな…………」
リリアーナ王女の言葉に俺は思わずそう突っ込む。
「助けを求めに王城から飛び出すぐらいだから今更じゃない?」
「それもそうか」
優花の言葉に俺は逆に納得してしまった。
「送るのはいいが、帝都には入らないぞ? 皇帝との会談なんて絶対付き添わないからな?」
「ふふ、そこまで図々しいこと言いませんよ。送って下さるだけで十分です」
ハジメの言葉にリリアーナ王女は苦笑いを浮かべてそう言う。
すると、
「だったら、俺達もついて行くぞ。この世界の事をどうでもいいなんていう奴にリリィは任せられない。道中の護衛は俺達がする。それに、南雲が何もしないなら、俺がこの世界を救う! そのためには力が必要だ! 神代魔法の力が! お前に付いていけば神代魔法が手に入るんだろ!」
「いや、場所くらい教えてやるから勝手に行けよ。ついて来るとか迷惑極まりないっつうの」
天之河の言葉にハジメが本気で嫌そうな顔をする。
しかし、
「でも、南雲君、今の私達では大迷宮に挑んでも返り討ちだって言ってませんでした?」
愛子先生がそう言う。
いつ言ったのかは知らないが、ハジメは大雑把に迷宮の難易度を愛子先生に教えていたようだ。
「……いや、それは、あれだよ。ほら、〝無能〟の俺でも何とかなったんだから、大丈夫だって。いける、いける。ようは気合だよ」
「無理なんですね?」
愛子先生は確信を持ってそう確認を取ると、一度大きく息を吐き、
「南雲君、一度でいいんです。天之河君達を大迷宮に連れて行っては貰えませんか?」
愛子先生がそんな事を言った。
「寄生したところで、魔法は手に入らないぞ? 迷宮に攻略したと認められるだけの行動と結果が必要だ」
「それは分かっています。ですが、大迷宮の難易度を知ることで、今後の指針にしていただければと……………」
愛子先生は恐らく、このままでは天之河が1人ないし少数で大迷宮攻略に挑戦し、命を落としてしまう危険性を予感したのだろう。
それなら、せめてハジメと一緒に潜って貰ってその危険性を認識してもらいたいと考えたのかもしれない。
「鈴からもお願い、南雲君。もっと強くなって、もう一度恵里と話をしたい。だからお願い! このお礼は必ずするから鈴達も連れて行って!」
今まで黙っていた谷口さんがそう口を出してきた。
彼女も魔人族側に寝返った中村さんの事を気にしていたようだ。
ハジメは暫く悩んでいたようだが、最終的に愛子先生のお願いという理由で折れ、【ハルツィナ樹海】に限って同行を了承することにした。
その大迷宮に付いて来るのは、天之河と谷口さん、後は坂上も付いて来ることになった。
レオモンにはこのまま愛子先生の護衛を続けてもらうことにして、アグモンとガブモン以外のデジモン達も一先ずは行動を共にすることにした。
明日は大結界の修理をするため、一日だけ王都に滞在して後日出発することに決まったのだった。
第41話です。
あんまりネタが無かったので、大士君に出歯って貰いました。
話の長さとしては短いですが、まあ…………
さて、ブイモンとクダモンとドラコモンとハックモンは何時パートナーにしようかな?
因みにアンケートはデジソウルがぶっちぎり。
大士君が喧嘩番長と化しそうです。
まあ、流石にロイヤルナイツを殴り倒せるほどにはならない…………と思いたい。(その時のノリと勢いで)
何時になるかはお楽しみに。
では、次も頑張ります。
大士をパワーアップさせるか?
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このまま普段は最弱で
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魔物肉を食べてしまえ
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シリーズ違うけどデジソウルを使おう