ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第42話 想いの軌跡

 

 

 

 

翌日。

ハジメが大結界を直す序に、ギルドにミュウを無事エリセンまで送り届けたという報告をしてくるつかの間……………

俺は拉致されました。

因みに下手人は、

 

「フフフ………もう逃げられないよ………」

 

クラスメイトの谷口 鈴。

 

「ずっと気になってたのよね」

 

「うんうん」

 

愛子先生の護衛でウルの街にいた宮崎 奈々と菅原 妙子。

因みに同じ部屋には葵と優花もいる。

ドルモンは、他のデジモン達と親睦を深めている最中なので別行動だ。

 

「で? なーんでいきなり拉致られたんだ?」

 

王城の廊下を歩いていたら、力尽くで部屋に連れ込まれた。

後衛職の谷口さんにも力尽くで取り押さえられる俺自身の貧弱さが悲しい。

 

「フッフーン! そんなの決まってるよ! ズバリ! 如何して3人は付き合うことになったのか!?」

 

鈴がドドーンと効果音が鳴りそうな雰囲気で指を前に指しながら言い放った。

 

「はい?」

 

予想外の言葉に俺は思わず素っ頓狂な声を漏らす。

 

「だって、気になるじゃん! 2人が大士君なんかを選んだ理由が知りたーい!」

 

「俺『なんか』で悪かったな…………!」

 

谷口さんの言いたいことは分からんでもないが、流石に失礼だぞ。

とは言え、流石に馴れ初めを放すのは恥ずかしいので断ろうと口を開こうとした時、

 

「大士………悪いけど、鈴に付き合ってあげて………」

 

優花が小声でそう言ってくる。

 

「鈴………恵理の事でショック受けてるから、無理に明るい話題を探して心配かけないようにしてるのよ」

 

「…………あいつに話すと数日後にはクラスメイト全員に知られてると思うんだが?」

 

俺が心配事を口にすると、

 

「あら? 私は別に構わないわよ。別に隠す事でもないし、知られて困ることも無いわ」

 

優花は堂々とそう言う。

 

「マジか………?」

 

「葵も同意してるわ」

 

「逃げ道無いのかよ」

 

すると、

 

「私としては、優花っちが如何して美人になってそこまでスタイル良くなったのかが知りたいわ」

 

「おお! それは鈴も知りたい! ええ乳になりましたなぁ………!」

 

宮崎さんの言葉に同意する様に谷口さんが両手の指をワキワキとさせながら優花の後ろから近づいていく。

だが、

 

「悪いけど、同じ女でもそうそう触らせるわけないからね!」

 

優花は谷口さんの手を掴むと軽く捻る。

 

「あ痛たたたたたたたたたっ!?」

 

悲鳴を上げる谷口さん。

 

「ギブギブ~!?」

 

谷口さんが降参の意を示すと優花は手を離す。

 

「ううっ、ユウカリン、容赦が無くなってるよ~………」

 

半泣きになりながら捻られた腕を振る谷口さん。

 

「まあ、これも奈落で過ごした影響でしょうね」

 

優花は平然とそう言う。

 

「奈落じゃ生きるか死ぬかばっかりだからね、容赦が無くなるのも仕方ないよ」

 

葵がそう言う。

すると、谷口さんが気を取り直し、

 

「それじゃ、気を取り直して質問ターイム!」

 

そう取り仕切る。

 

「ズバリ! 2人が大士君を初めて意識した時は!?」

 

谷口さんがそう聞いてくる。

 

「私はこの世界に召喚される以前から友達以上の好意は持ってたし、奈落で一緒に生き抜く中でそれが膨らんだ上で、大士とドルモンの進化した姿が私の憧れの黒い騎士だってわかった時点で箍が外れた感じかなぁ………」

 

「人前で大士を押し倒した挙句にそのままキスして告白するぐらいだからね」

 

「ううっ…………自分でも今思うと恥ずかしいから言わないで………」

 

優花のツッコミに葵は顔を赤くして項垂れる。

 

「おお~~~!」

 

谷口さん達は興味津々と言った表情で声を上げる。

 

「それで優花っちの方は? 葵っちみたいに召喚前から好きだったとか?」

 

優花の友達である宮崎さんがからかい半分にそう言ってくるが、

 

「あ~………うん…………その~…………」

 

優花は俺をチラリと見ながら困った様に口を濁す。

 

「別に気にしてないから言ってもいいぞ」

 

優花の困っている原因に思い当たった俺は気にしないように言う。

 

「う、うん…………私は召喚前は大士の事は特に何とも思って無かった……………寧ろ、コイツだけは無いとさえ思ってたわ……………」

 

「…………………」

 

以前にも聞いており、気にしてないとは言ったが微妙に胸がモヤッとする。

 

「あ~、その気持ちわかるわぁ~」

 

「そうだね~」

 

「別に悪い人とは思わないけど、そう言う目で見れないって言うか…………」

 

「………………………」

 

予想通りの言葉に俺はそっと目を逸らす。

泣いてなんかないやい。

 

「やっぱり皆もそう思ってるの? 私はそんな事ないけど」

 

葵の言葉で何とか復活する。

 

「それで、奈々達は知ってると思うけど、南雲と香織、それに私は魔物の肉を食べたの。特に南雲がその変化が顕著に出てるわね」

 

「そうよね………南雲と来たらもう別人だもん」

 

「っていうか、魔物の肉を食べたら身体がバラバラになって死ぬって話じゃ?」

 

それぞれがそう反応すると、

 

「ええ、勿論それは間違って無いわ。だけど、私達には神結晶から染み出した神水って言う高性能の回復薬を偶然手に入れてたの。どんなに瀕死でも、瞬く間に全快するって言う位のね…………それを魔物肉を食べて一緒に飲んだらどうなると思う?」

 

「「「……………………ゴク」」」

 

3人は思わず唾を飲み込む。

 

「身体の崩壊と再生の繰り返し。言葉通り身体が砕けるかと思うほどの激痛が延々と続いたわ………簡単に言えば、身体が再構成されたようなモノね……………正直、心が壊れるかと思った…………いえ、あのままだったら間違いなく心が先に壊れてたでしょうね………………」

 

その痛みを想像したのか、3人が顔を青くする。

 

「香織には南雲が傍に居て耐えきったけど…………私は誰にも縋ることが出来なくて私の心は壊れる寸前だった……………そんな時に私の手を握ってくれたのが大士なの…………」

 

3人はおおっ、と意外そうな眼で俺を見てくる。

 

「私はその手に全力で縋ったわ…………それで何とか痛みを乗り越えることが出来たの…………さっき言ってたスタイルが良くなった事も、身体が再構成された副産物ね……………そして、それと同時に大士に対する『無い』って気持ちが消えて、普通に異性として意識できるようになったのよ……………」

 

「ほえ~…………」

 

「う~ん……………でも、黒騎だよ?」

 

宮崎が品定めするような目で俺を見てくる。

すると、優花は溜息を吐き、

 

「じゃあ聞くけど、容姿はイケメンじゃないけど並以上、成績も平均より上で、人付き合いは苦手でも優しくて、いざという時には頼もしくて、自分のピンチを何度も救ってくれる頼りになる男の人。こういう人はどう思う?」

 

「え? それは最高とは言わなくても十分な優良株じゃん」

 

「十分に『アリ』だね」

 

優花の言葉にそう答える宮崎さんと菅原さん。

 

「………………今言った事、全部大士に当てはまるんだけど?」

 

優花が俺を指しながらそう言うと、

 

「「「………………………………やっぱ『無し』で」」」

 

「グフッ!?」

 

口を揃えられて言われた言葉に俺は胸を貫かれる。

 

「う~ん…………本当に何でなのかしらね…………? ここまで大士が否定される理由が分からないんだけど……………私が言えたことじゃないけど………」

 

「否定するわけじゃないけど…………そう言う対象には見れないな~って………」

 

「………………………いいよいいよ………どうせ俺はそう言う運命なんだよ………………葵と優花が居るから気にしねーよ……………」

 

俺は大人げなくいじける。

 

「いや、めっちゃ気にしてるし………………」

 

「……………そんな事よりさぁ」

 

話を変えるように谷口さんがそう言うが、

 

「人の運命をそんな事呼ばわりか……………」

 

「大士君の方は如何なの? 2人を意識したのは何時?」

 

せめてものツッコミもスルーされた俺は溜息を吐き、

 

「葵の方は、召喚される前から一番仲の良かった女子って言うのはあるが、日本に居た頃は好きな奴が居るって話だったし、自分なりに一線を引いて一定以上踏み込まないようにしてたんだよ」

 

「ああ。確かに今思うとあの頃の大士って、何て言うか…………距離感に気を使ってたね」

 

葵も思い出しながらそう言った。

 

「だけど、こっちの世界に召喚されて、葵も同じテイマーだと知って更に親近感が湧いた所で奈落での大冒険だ。半ば強制的に傍に居る時間が多くなった事で距離感が縮んで意識することが多くなったんだよ。元々葵は俺のタイプの女子だったしな」

 

「えへへ…………」

 

俺の言葉に葵は嬉しそうにはにかむ。

 

「優花は召喚前は特に接点は無かったけど、最初は髪を染めてた事と目付きで、不良っぽい女の子と思ってたんだよな………」

 

「ああ、優花っちってそういう風に見られることが多いからね~」

 

「でも、俺が冤罪吹っ掛けられた時に、自分から一番最初に謝ってくれたのが優花だったんだよ」

 

冤罪と聞いて、少しバツの悪そうな顔をする谷口さん達。

 

「あの時は偶然鉢合わせたこともあるけどね…………」

 

優花がそう言う。

 

「それで優花も本当は真面目で優しい女の子だって気付いて、一緒に奈落を攻略して行く内に葵と同じように惹かれていったんだよ…………」

 

「「「ほ~…………」」」

 

3人は意外そうな眼を向けてくる。

 

「何だよその目は?」

 

「いや、私はてっきり2人の豊満な身体が目当てかと…………」

 

「俺は下種か…………!? 全く興味が無いと言えば嘘になるが、それだけで人を好きになるほど単純ではないつもりだぞ!」

 

俺は思わずそう言う。

 

「じゃあ、次の質問だけど、2人は大士君が2人同時に付き合っている事には何か不満は無いの?」

 

「無いね」

 

「無いわ」

 

「「「即答!?」」」

 

2人の即答振りに3人が驚く。

 

「勘違いしない様に言っておくけど、大士が『他の女』と付き合う事が平気なわけじゃないよ」

 

「「「へっ!?」」」

 

葵の言葉に3人は素っ頓狂な声を漏らす。

 

「『他の女』じゃない。他でもない優花だから…………一緒に奈落を生き抜いて、一緒に大士を好きになった『優花』だから私達は一緒に居られるの」

 

「私も同じよ。他でもない『葵』だから許せる…………もちろん『他の女』を増やすのは許せないわよ」

 

若干俺に釘を刺す感じがあるのは気のせいだろうか?

 

「「「ほえ~…………」」」

 

2人の言葉に呆気に取られている谷口さん達。

 

「まあ、自分達でもぶっ飛んだ事を言ってるって自覚はあるわ。でも、それを自覚しつつも一緒に居たいって思ってるのよ。私達は…………」

 

そう言って笑みを浮かべる優花の表情はとても綺麗だった。

 

「「「ッ!?」」」

 

何故か3人が顔を赤くして息を呑む。

まあ理由は分からなくもない。

 

「まあ、今更他人に如何いわれようと、俺達は俺達で一緒に生きて行くつもりだからな………これはもう決めたことだ」

 

「うん、そうだね。それを邪魔するならどんな障害でも踏み越えるだけだよ」

 

「ええ。文句があるなら腕ずくでも黙らせるわ」

 

俺達の決意に、

 

「うわ~~~~………考えが脳筋だ~~~~………!」

 

谷口さんが呆れ半分、感心半分でそう言うのだった。

 

 

 

 

 

 






はい、タイトル詐欺な42話でした。
次に行く前にインターバル入れようと思ったけど、王都の襲撃直後でデートは拙かろうと思ったので予定変更して女子達による尋問会となりました。
ハッキリ言えば、やらずに次に行った方が良かったかもと思わないでもない。
さて、次は帝国編だが…………どうするか…………
まあ、次も頑張ります。




大士をパワーアップさせるか?

  • このまま普段は最弱で
  • 魔物肉を食べてしまえ
  • シリーズ違うけどデジソウルを使おう
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