ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

44 / 298
第43話 新たなテイマー達

 

 

 

俺達は今リリアーナ王女を送り届ける為に帝国へ向かっていた。

白い雲を切り裂き、眼下には大地が流れるように過ぎ去っていく。

今俺達は、飛空艇〝フェルニル〟に乗って帝国へ向かっているのだ。

 

「…………まさか、本当に飛空艇を作っちまうとはな~………」

 

半分呆れ声で俺は呟く。

作っていたことは知っていたが、本当に成功させるとは…………

重力魔法を付与することで航空力学完全無視の飛空艇の出来上がりだ。

まあハジメ自身の重力魔法の適性が低かったことで苦労したようだが、日々の研鑽の結果、こうして飛空艇が日の目を見る事になった訳だ。

ハジメ曰く『旅の終盤で飛行系の移動手段を手に入れるのは常識だろう?』との事。

否定はしないがそのお約束を律義に守るハジメはやはり厨二病だと思う。

今俺が居るのは後部甲板。

そこで外の光景を眺めているのだ。

重力魔法で浮いている(横方向に落下してる?)ので、エンジン音などは無く静かな物で、音がするのは精々風を切る音ぐらいだ。

 

「ハジメってホント凄いよね」

 

傍らにいるドルモンがそう答える。

 

「異世界に来てから厨二病が全開になってるっぽいしな」

 

俺がドルモンと話していると、

 

「ここにいたのね」

 

後ろから声がして振り向くと、優花がハックモンを伴って甲板に出た所だった。

 

「優花」

 

「ハックモンも来たんだね」

 

俺が優花に、ドルモンがハックモンに声を掛ける。

 

「何か用でも?」

 

俺がそう聞くと、

 

「あら? 用が無いと恋人の傍に居ちゃいけないのかしら?」

 

「ッ!?」

 

優花の言葉で思わず顔が熱くなる。

 

「そう言う不意打ちは止めろよな…………」

 

赤くなっているだろう顔を背けてそう呟く。

 

「クスクス………!」

 

そんな俺の反応に優花は笑みを零す。

その横では、ハックモンが眼下に広がる大地を見下ろしている。

 

「そう言えばハックモン、記憶の方は如何だ?」

 

俺がそう聞くと、

 

「すまないがまだ何も思い出せない………誰かに仕えていたような気はするのだが…………」

 

「……………そうか」

 

俺はそう呟くが、俺には当てずっぽうに近い予想を立てている。

ハックモンを始めとして、ブイモン、クダモン、ドラコモンは、全てがロイヤルナイツに通じる成長期だ。

もしかしたら、ハックモン達は元々究極体でロイヤルナイツだったのかもしれない。

ハックモンが言う仕えていた誰かと言うのはイグドラシル。

そして何らかの原因で成長期に退化してしまい、記憶も失ってしまったのではないか?

更にその原因とは、アグモンやガブモンが見た四聖獣である可能性が高い。

まあ、さっきも言ったがこれは俺の当てずっぽうだ。

デジモンの進化ルートは基本的に複数あるし、例え元々ロイヤルナイツだったとしても、再び同じデジモンになるとは限らない。

それに、皆割と仲良くやっているんだ。

ここで余計な事は言わない方が良いだろう。

俺はハックモンを優しく撫でる優花を見つめる。

 

「…………もう少し、かな?」

 

俺は呟く。

 

「ん? どうかした?」

 

優花は俺の呟きが聞こえたのか俺に問いかけてくるが、

 

「いや、何でも」

 

俺はそう言ってはぐらかした。

 

 

 

 

 

暫くすると、突然飛空艇が進路を変えた。

 

「ん? 進路を変えた?」

 

「何かあったのかしら?」

 

俺達は状況を把握しようとブリッジへ向かう。

 

「何かあったのか?」

 

ブリッジに入ると同時に俺が問いかけると、

 

「あっ、黒騎君、優花ちゃん」

 

「どうも追われている人がいるみたいなんだ」

 

白崎さんとガブモンの言葉にブリッジにある立方体の水晶に目を向けると、峡谷の合間を走る数人の兎人族と、その後ろから迫る帝国兵のリアル鬼ごっこが映っていた。

おそらくシアが同族という事で気にして、ハジメがその意を汲んで向かっている所なのだろう。

 

「不味いじゃないか! 直ぐに助けに行かないと!」

 

やはりと言うべきか、天之河が騒ぎ立てる。

しかし、ハジメはその言葉には答えず、訝し気に水晶ディスプレイを見つめていた。

 

「おい、南雲! まさか、彼女達を見捨てるつもりじゃないだろうな!? お前が助けないなら俺が行く! 早く降ろしてくれ!」

 

「シア、こいつらって……」

 

「へ? ……あれっ? この二人って……」

 

「どうしたんだ、ハジメ?」

 

「シア? 何か知っているのか?」

 

天之河を無視してハジメがシアに問いかける。

シアは画面に映っている人物をよく見て気が付いたように声を上げた。

ハジメの傍らにいるアグモンと、シアの首に巻き付いているクダモンも疑問の声を上げた。

 

「二人共、何をそんなにのんびりしているんだ! シアさんは同じ種族だろ! 何とも思わないのか!」

 

「すいません、ちょっとうるさいんで黙っててもらえますか? ……ハジメさん、間違いないです。ラナさんとミナさんです」

 

「やっぱりか。……豹変具合が凄かったから俺も覚えちまったんだよな。……こいつらの動き、表情……ふむ」

 

ハジメとシアの言葉で俺も思い出した。

あの2人はハウリア族だ。

ハジメのハー○マン軍曹式の訓練を受けた。

それは即ち、

 

「あっ!」

 

誰かが上げた声に視線をディスプレイに移せば、兎人族を追っていた帝国兵の首が飛んだ。

更に様子を見に来た斥候部隊の首もポンポンと飛ぶ。

そんな光景に天之河達は『うっ』と顔を青褪めさせて口元を押さえる。

リリアーナ王女やメルド団長を始めとした近衛騎士達は、兎人族が帝国兵を瞬殺するという有り得ない光景に、思わずシアを凝視する。

その目は、特別なのはお前だけじゃなかったのかと訴えている。

 

「いや、紛れもなく特殊なのは私だけですからね? 私みたいなのがそう何人もいるわけないじゃないですか。彼等のあれは訓練の賜物ですよ。……ハジメさんが施した地獄というのも生温い、魔改造ともいうべき訓練によって、あんな感じになったんです」

 

「「「「「……」」」」」

 

俺たち以外の視線が一斉にハジメに向けられる。

その目は、『またお前か!?』と言わんばかりだ。

そんな視線にハジメはそっと目を逸らす。

やがて、見える範囲の帝国兵が全て倒されると、

 

「こ、これが兎人族だというのか……」

 

「マジかよ……」

 

「うさぎコワイ……」

 

戦慄で唇を震わせるその声が響く。

 

「ふん、練度が上がっているじゃねぇの。サボってはいなかったようだな。……だが、ちと詰めが甘いな」

 

ハジメはシュラーゲンを取り出すと開閉可能な風防の一部を開けて銃口を外に出し立射の姿勢をとった。

そのまま引き金を引くと、炸裂音と共に電磁加速によって射出された弾丸が空気を切り裂き、突き進む。

そして、ちょうど馬車から飛び出てハウリア達を狙い魔法を発動しようとした帝国兵の頭蓋を寸分違わず消滅させた。

何気も無くやっているが、ハジメの射撃能力が神業の域に達しているのだが……………

水晶ディスプレイに、驚いたような表情で頭部を消失した伏兵を見ているハウリア族が映っていた。

彼等は、すぐさま射線を辿って空高くを飛ぶフェルニルに気が付く。

この世界で空を飛ぶ乗り物など存在しない為、普通なら警戒なり、恐怖なりするものだろう。

しかし、ハウリア族たちは一瞬驚いた表情を浮かべたが、次の瞬間には彼等の表情は喜色に彩られ、ビシッと惚れ惚れする様な敬礼を決めた。

まあ、紅い閃光は彼らにとってはハジメの代名詞だからな。

惚れ惚れするような敬礼を決めるハウリア族達。

水晶ディスプレイにデカデカと映ったその姿に、再びその場の全員がハジメに視線を向けた。

今度は、多分に呆れを含んだジト目で。

 

「ハジメさん、ハジメさん。早く、降りましょうよ。樹海の外で、こんな事をしているなんて……もしかしたらまた暴走しているんじゃ……」

 

ハジメはシアの言葉に従い、飛空艇を谷間に着陸させる。

ハジメ達が谷間に降りると、そこにはハウリア族以外の亜人族も数多くいた。

合計で100人程だろうか?

すると、クロスボウを担いだ少年が颯爽と駆け寄り、ハジメの手前でビシッ! と背筋を伸ばすと見事な敬礼をしてみせた。

 

「お久しぶりです、ボス! 再びお会いできる日を心待ちにしておりました! まさか、このようなものに乗って登場するとは改めて感服致しましたっ! それと先程のご助力、感謝致しますっ!」

 

「よぉ、久しぶりだな。まぁ、さっきのは気にするな。お前等なら、多少のダメージを食らう程度でどうにでもできただろうしな。……中々、腕を上げたじゃないか」

 

「「「「「「恐縮でありますっ、Sir!!」」」」」」

 

ホントに軍人と言うか、ハジメ色に染まったと言うか…………

そんなハウリア族に元の性格を知る俺や葵、優花も呆れた視線を向ける。

俺達は平気だが、初見のメンバーは人もデジモンもドン引きしている。

 

「えっと、みんな、久しぶりです! 元気そうでなによりですぅ。ところで、父様達はどこですか? パル君達だけですか? あと、なんでこんなところで、帝国兵なんて相手に……」

 

「落ち着いてくだせぇ、シアの姉御。一度に聞かれても答えられませんぜ? 取り敢えず、今、ここにいるのは俺達六人だけでさぁ。色々、事情があるんで、詳しい話は落ち着ける場所に行ってからにしやしょう。……それと、パル君ではなく〝必滅のバルトフェルド〟です。お間違いのないようお願いしやすぜ?」

 

「……え? 何ですかその名前……………ラナさん達も注意して下さいよぉ」

 

何か痛い二つ名を名乗りだしたパル君。

シアは知り合いであるハウリア族のラナさんにそう促す。

だが、

 

「……シア。ラナじゃないわ……〝疾影のラナインフェリナ〟よ」

 

「!? ラナさん!? 何を言って……」

 

そのラナさんすら痛い二つ名で名乗りを上げた。

 

「私は、〝空裂のミナステリア〟!」

 

「!?」

 

「俺は、〝幻武のヤオゼリアス〟!」

 

「!?」

 

「僕は、〝這斬のヨルガンダル〟!」

 

「!?」

 

「ふっ、〝霧雨のリキッドブレイク〟だ」

 

「!?」

 

連携攻撃の様にシアに反撃する隙を与えずに次々と名乗りを上げて行くハウリア族たち。

 

「……………シア…………彼らは随分と………その……個性的なのだな…………」

 

シアの首に巻き付いているクダモンが言葉に詰まりながら精一杯のフォローをしようとしている。

 

「…………………………………」

 

シアは同族の羞恥に耐えきれずに口からエクトプラズムを垂れ流していた。

そこでハジメが注意をしようとしたのか前に進み出て口を開こうとした時、

 

「ちなみに、ボスは〝紅き閃光の輪舞曲(ロンド)〟と〝白き爪牙の狂飆(きょうひょう)〟ならどちらがいいですか?」

 

「……なに?」

 

「ボスの二つ名です。一族会議で丸十日の激論の末、どうにかこの二つまで絞り込みました。しかし、結局、どちらがいいか決着がつかず、一族の間で戦争を行っても引き分ける始末でして……こうなったらボスに再会したときに判断を委ねようということに。ちなみに俺は〝紅き閃光の輪舞曲〟派です」

 

「まて、なぜ最初から二つ名を持つことが前提になってる?」

 

「ボス、私は断然〝白き爪牙の狂飆〟です」

 

「いや、話を聞けよ。俺は……」

 

「何を言っているの疾影のラナインフェリナ。ボスにはどう考えても〝紅き閃光の輪舞曲〟が似合っているじゃない!」

 

「おい、こら、いい加減に……」

 

「そうだ! 紅い魔力とスパークを迸らせて、宙を自在に跳び回りながら様々な武器を使いこなす様は、まさに〝紅き閃光の輪舞曲〟! これ一択だろJK」

 

「よせっ、それ以上小っ恥ずかしい解説はっ――」

 

「おいおい、這斬のヨルガンダル。それを言ったら、あのトレードマークの白髪をなびかせて、獣王の爪牙とも言うべき強力な武器を両手に暴風の如き怒涛の攻撃を繰り出す様は、〝白き爪牙の狂飆〟以外に表現のしようがないって、どうしてわからない? いつから、そんなに耄碌しちまったんだ?」

 

「……」

 

ハジメの口からもエクトプラズムが出始めた。

 

「うおお~い! しっかりしろハジメ!?」

 

アグモンが必死にハジメのエクトプラズムを口に戻そうとしている。

 

「それからボスの盟友殿には〝獣竜の主〟、〝鉄鋼弾の竜師〟なんてものがありますが」

 

更に俺にまで飛び火してきた。

 

「俺とドルモンは主従の関係ではなく対等なパートナーだからな。そう言った上下関係を表すような二つ名は遠慮させてもらう」

 

本音と口実の半分半分で丁寧にお断りした。

 

「これは失礼を」

 

その時、後ろの方でブフッと噴き出す声が聞こえた。

 

「し、雫…………わ、笑うのは失礼でござるよ………ククッ!」

 

「コ、コテモンだって、笑って……くふっ…厨二って感染する……のかしら、ふ、ふふっ」

 

後ろを見ると、八重樫さんとコテモンが必死に笑いを堪えている。

ハジメは、取り敢えず激論を交わし始めたパル達をゴム弾でぶっ飛ばし、未だ小刻みに震えている雫とコテモンに向かって言い放った。

 

「八重樫、クールなお前には後で強制ツインテールリボン付きをプレゼントしてやる。もちろん映像記録も残してやる」

 

「!?」

 

「コテモン、お前は後でグレイモンの口の中に放り込んでやる」

 

「!?」 

 

2人の表情に戦慄が走る。

八つ当たりかもしれないが、ハジメはやると言ったらやる。

いくらコテモンが進化しようと、成熟期までしか進化出来ないので、完全体に近い実力を持つハジメの前には抗うことは出来ない。

 

「あの……宜しいでしょうか?」

 

すると、亜人たちの中から細長い耳………森人族の特徴を持った金髪碧眼の少女が進み出てハジメに問いかけた。

手足には拘束具が付けられており痛々しい。

俺はその顔を見て、何となくフェアベルゲンの長老衆の1人であるアルフレリックを思い出した。

 

「あなたは、南雲ハジメ殿で間違いありませんか?」

 

「ん? 確かに、そうだが……」

 

彼女の問いかけに頷くハジメ。

その返事を聞いた彼女はあからさまにホッと胸を撫でおろした。

 

「では、わたくし達を捕らえて奴隷にするということはないと思って宜しいですか? 祖父から、あなたの種族に対する価値観は良くも悪くも平等だと聞いています。亜人族を弄ぶような方ではないと……」

 

「祖父? もしかして、アルフレリックか?」

 

「その通りです。申し遅れましたが、わたくしは、フェアベルゲン長老衆の一人アルフレリックの孫娘アルテナ・ハイピストと申します」

 

「長老の孫娘が捕まるって……どうやら本当に色々あったみたいだな」

 

確かにハジメの言う通りだ。

長老の孫娘と言うならお姫様の様なもの。

予め決められているだろう脱出ルートも使えなかった、もしくは見透かされていたという事ならよほど切迫した自体だろう。

ハジメは少し考えると、

 

「おい、お前等。亜人達をまとめて付いてこさせろ。ついでだ。樹海まで送ってやる」

 

「Yes,Sir! あっ、申し訳ないんですが、ボス。帝都近郊に潜んでいる仲間に連絡がしたいんで、途中で離脱させて頂いてもよろしいですか?」

 

「ああ、それならちょうどこっちも帝都に送る予定だった奴等がいるから帝都から少し離れた場所で一緒に降ろしてやるよ」

 

「有難うございますっ!」

 

ハウリアの1人が敬礼でもって答える。

その時だった。

 

「皆! 気を付けて!」

 

突然優花が叫んだ。

その時、峡谷の両側の崖の上から複数の蜘蛛の姿をした怪物が現れた。

 

「あれは………! ドクグモン!!」

 

俺はそのデジモンの名を叫ぶ。

 

「ドクグモン 成熟期 ウィルス種 昆虫型デジモン。必殺技は『スティンガー・ポレーション』」

 

白崎さんがDアークで情報を読み上げる。

進化段階は成熟期だが、数が無数にいる。

 

「気を付けろ! あいつは凶暴なデジモンだ!」

 

俺は皆に呼びかける。

その瞬間、ドクグモンは一斉に後ろを向くと、腹の先から粘着性の糸を放ってきた。

普通の人間や成長期デジモン程度なら簡単に束縛できてしまう代物だ。

 

「ここは聖域なりて、神敵を通さず!」

 

谷口さんが詠唱し、

 

「「「〝聖絶〟!」」」

 

白崎さん、ユエ、谷口さんが協力して亜人族たちを覆うように結界を展開する。

糸に攻撃力は無いのでそれは防げるが、あっと言う間に糸に覆われてしまう。

 

「くそっ! やっぱりデジモンは碌な奴らじゃない!」

 

天之河の言葉にムカッと来るが、もうコイツの言葉を否定する気にもならない。

俺はそう思っていたが、ドパンッと音がして天之河が吹っ飛ぶ。

 

「ふざけた事言ってると撃つぞ?」

 

ハジメがドンナーを片手にそう言い放った。

 

「もう撃っておるよ」

 

ティオが突っ込みを入れる。

一応ゴム弾だったようで天之河はぴくぴくと痙攣しているので生きている様だ。

 

「デジモンが全部悪いみたいな言い方は止めて欲しいかな? かな?」

 

白崎さんもかなり頭にきている様だ。

 

「ハジメ………」

 

「香織………」

 

アグモンとガブモンが感動したように声を震わせる。

 

「ま、あの勇者(笑)はほっといてあいつ等をどうにかするぞ!」

 

「おう!」

 

ハジメの言葉にアグモンが応える。

 

「なら、この場はお前達に任せるとするか。使え、ハジメ!」

 

俺は1枚のカードを投げ渡す。

 

「おうよ!」

 

ハジメはそれを受け取ると、そのままの流れでDアークを取り出してカードをスラッシュする。

 

「カードスラッシュ! 超進化プラグインS!!」

 

―――EVOLUTION

 

ハジメのDアークが光を放つ。

 

「アグモン進化!」

 

光の中で、アグモンが成熟期へと進化する。

 

「グレイモン!!」

 

成熟期へと進化したグレイモンは、崖の上のドクグモン達を見上げ、

 

「メガフレイム!!」

 

巨大な火球を吐き出す。

しかし、ドクグモンは崖の影に身を潜め、メガフレイムは崖に当たってドクグモン達には届かない。

 

「チッ! 場所が悪すぎるな………」

 

ハジメもドンナー、シュラークで狙い撃つが、その命中率は悪い。

 

「崖を駆けあがる………もしくは空が飛べねえと………」

 

「ならオイラが………!」

 

ハジメの言葉にガブモンが声を上げるが、

 

「待て待て! 落ち着いて考えろ! 崖の上には奴らが何匹いるか分からないんだぞ! そんな所に単騎で飛び込んだらあっという間に袋叩きだ!」

 

ハジメはその危険性を口にする。

 

「それに崖の両側に居るわけだしね。片側だけに集中したら、後ろから不意打ちを受けるかも…………」

 

葵がそう指摘する。

 

「ふむ、そうなると、両側を同時に叩かねばな」

 

「でだ、俺としてはこのカードを使えばいいと思うんだが?」

 

俺はそう言ってそのカードを見せた。

 

 

 

 

作戦を決めたハジメ達は、早速その作戦を開始する。

 

「香織!」

 

「うん!」

 

白崎さんがハジメから超進化プラグインSのカードを受け取り、それをスラッシュする。

 

「カードスラッシュ! 超進化プラグインS!!」

 

―――EVOLUTION

 

「ガブモン進化!」

 

ガブモンが成熟期へと進化する。

 

「ガルルモン!!」

 

更に、ハジメが1枚のカードをスラッシュする。

 

「カードスラッシュ!」

 

そのカードは、

 

「白い羽!!」

 

デジモンに飛行能力を与えるオプションカード。

グレイモンに3対6枚の白い翼が生える。

グレイモンとガルルモンは互いに背中合わせとなって反対側の崖の方を向くと、ガルルモンは一気に駆け出して崖を駆けあがり、グレイモンは白い羽によって空を飛ぶ。

それぞれが崖の上を飛び越えると、

 

「行くぞ!」

 

グレイモンの背中から、ハジメ、ユエ、ブイモン、シア、クダモンが飛び出し、ガルルモンの背からティオ、ドラコモン、優花、ハックモン、八重樫さん、コテモンが飛び出す。

 

「行くわよ! コテモン!」

 

「承知でござる!」

 

八重樫さんがカードをDアークにスラッシュする。

 

「カードスラッシュ! 超進化プラグインS!!」

 

スラッシュしたのは超進化プラグインSのカード。

先程葵から受け取っていた。

 

―――EVOLUTION

 

「コテモン進化!」

 

コテモンが進化の光に包まれる。

 

「ディノヒューモン!!」

 

竜人の姿となったディノヒューモンが大地に着地すると同時に、

 

「リザードダンス!!」

 

踊るような動きでドクグモンを次々と切り裂いていく。

 

「やるのう雫のパートナーデジモンよ。妾も負けてはいられんな!」

 

ティオは炎魔法でドクグモンを焼き尽くしていく。

 

「ベビーブレス!!」

 

ティオの横ではドラコモンがドクグモンに火の息を吹きかける。

倒すことは出来ないが、足止めには十分だ。

 

「フィフスラッシュ!!」

 

その足止めしたドクグモンにハックモンが強靭な爪で攻撃を仕掛け、切り裂く。

しかし、別のドクグモンがハックモンの背後から忍び寄っていた。

だが、

 

「油断大敵よ!」

 

空中から手裏剣と苦無が投げ付けられ、ドクグモンを貫く。

 

「優花!」

 

「大丈夫だった? ハックモン!」

 

「すまない! 感謝する!」

 

優花の言葉にハックモンはそう礼を言う。

 

「フォックスファイヤー!!」

 

ガルルモンが広範囲を青い炎で焼き尽くしていく。

また、反対側の崖の上では、

 

「メガフレイム!!」

 

グレイモンの放った火球が複数のドクグモンを吹き飛ばし、

 

「死ね! 蜘蛛やろう!」

 

ハジメの放つ弾丸が容赦なくドクグモンを蹂躙する。

 

「〝雷龍〟」

 

ユエの操る雷の龍が暴れまわり、

 

「うぉりゃぁああああああああああっ!!」

 

シアの振り下ろした鉄槌が地面ごとドクグモンを爆散させる。

 

「ブイモンヘッド!!」

 

ブイモンの強烈な頭突きがドクグモンを吹き飛ばすと、

 

「ホーリーショット!!」

 

クダモンが放った光のビームで止めを刺す。

皆の息はピッタリだ。

これならきっと…………

俺がそう思った時だった。

ほぼ同時に、優花、ユエ、シア、ティオの前に光の球が現れる。

 

「これは…………」

 

優花が呟く。

 

「皆! それを取れ!!」

 

俺はそう叫んだ。

それぞれが光の球――Dアーク――を手に取る。

優花は薄い水色の縁取りのDアークを。

ユエは青色の縁取りのDアークを。

シアは朱色の縁取りのDアークを。

ティオは紅赤の縁取りのDアークを手に取った。

それと同時に4人のDアークが光を放つ。

 

―――EVOLUTION

 

「ハックモン進化!」

 

ハックモンが光に包まれ進化する。

ハックモンの姿がそのまま巨大化。

しかし、より爪は鋭く。

肉体はより引き締まった姿へ。

ハックモンが成熟期へと進化した恐竜型デジモン。

 

「バオハックモン!!」

 

 

 

「ブイモン進化!」

 

ブイモンが光に包まれ進化する。

巨大化し、より竜に近い姿へ。

青と白の体色と、後頭部から後ろへ延びる2本の角と、鼻先から伸びる一本の角。

胸のV字マークがトレードマークの幻竜型デジモン。

 

「ブイドラモン!!」

 

 

 

「ドラコモン進化!」

 

ドラコモンが光に包まれ進化する。

体色が青くなり、背中の翼も大きく発達。

完全な竜の因子を持つ龍型デジモン。

 

「コアドラモン!!」

 

 

 

「クダモン進化!」

 

クダモンが光に包まれ進化する。

管狐の様な姿から鎌鼬の様な姿へ。

尾が巨大な刃となった聖獣型デジモン。

 

「レッパモン!!」

 

 

 

4体の成熟期デジモンがその姿を現す。

 

「これは…………ハックモンが………」

 

「ブイモンが………」

 

「クダモンが………」

 

「ドラコモンが………」

 

「「「「進化した………!?」」」」

 

それぞれが驚く。

 

「バオハックモン 成熟期 データ種 恐竜型デジモン。必殺技は『フィフクロス』、『ティーンブレイド』、『バーンフレイム』、『ドラグレスパイカー』」

 

「ブイドラモン 成熟期 ワクチン種 幻竜型デジモン。必殺技は『ブイブレスアロー』」

 

「レッパモン 成熟期 ワクチン種 聖獣型デジモン。必殺技は『駆駆裂空斬』、『獣牙乱撃』、『真空カマイタチ』」

 

「コアドラモン(青) 成熟期 ワクチン種 竜型デジモン。必殺技は『ブルーフレアブレス』、『ストライクボマー』、『ジ・シュルネン-Ⅱ』」

 

俺、葵、ハジメ、八重樫さんがデータを読み上げる。

すると、

 

「少しだけ思い出した…………」

 

「ハックモン?」

 

バオハックモンが呟く。

 

「そう………僕達は誰かを護っていた…………」

 

続いてブイドラモンが。

 

「我々はその為に存在した………」

 

レッパモンが。

 

「己達は護る為に戦っていた…………」

 

コアドラモンがそう言う。

 

「それが誰なのかはまだ思い出せない…………だが、私達の力は護る為に振るわれる! それだけは間違いない!」

 

バオハックモンがそう叫ぶとドクグモン達を見据え、

 

「ならば今は、テイマーとなった優花を護る為にこの力を振るおう!」

 

そう決意を口にする。

 

「ハックモン………ううん、バオハックモン………!」

 

優花はその思いに応えるようにバオハックモンの名を呼ぶ。

 

「なら、一緒に行こう! バオハックモン!」

 

「ああ!」

 

優花の言葉にバオハックモンは答え、息を大きく吸い込み、

 

「バーンフレイム!!」

 

口から火炎を吐き出し、ドクグモン達を焼き尽くす。

 

「ブルーフレアブレス!!」

 

コアドラモンが空中を飛び回りながら口から青い炎を吐き、広範囲を焼き尽くしていく。

 

「ブイブレスアロー!!」

 

ブイドラモンの口から放たれたV字の矢の様な熱戦が一直線にドクグモン達を貫き、屠っていく。

 

「真空カマイタチ!!」

 

レッパモンが尾を振ると真空波が発生し、ドクグモン達を真っ二つに切り裂く。

同じ成熟期とは言え、ドクグモン達との力の差は歴然だった。

それから、大した時間もかからずにドクグモン達を全滅させる。

それぞれが自分のパートナーに駆け寄ると、

 

「ん………あなたがブイモンが進化した姿?」

 

「そうだよ………今はブイドラモンだ」

 

「ブイドラモン…………ん、何となくハジメのグレイモンに似てる………ちょっと嬉しい」

 

ユエはブイドラモンの姿がグレイモンを思わせる姿に喜び、

 

「ふえぇ…………クダモンの面影が全くありませんねぇ…………」

 

ほぼ別物と言えるほどに姿の変わったレッパモンの姿に驚く。

 

「だが、我は我だ…………シア、貴殿が我のテイマーだ」

 

「あはは………ちょっとまだ実感ありませんが、これからもよろしくお願いしますね」

シアはそう言った。

 

「ほう………立派な竜の姿だ…………竜人である妾のパートナーに相応しいな」

 

「コアドラモンだ。よろしく頼むぞ、ティオ」

 

「うむ、承知した」

 

ティオとコアドラモンは静かに言葉を交わし、

 

「バオハックモン………」

 

「優花………」

 

既に先程心を通じ合った優花とバオハックモンは名を呟いて視線を交わすだけで十分なようだった。

それにしても、

 

「これだけのドクグモンは、一体どこから…………?」

 

俺は感じた疑問を口にするのだった。

 

 

 

 

 





第43話です。
無理矢理デジモン戦をぶっこんだせいで話の流れが違和感出まくりです。
でも、この辺でテイマーにして成熟期位に進化させとかないと、間に合いそうになかったので……………
後は遅れてすみません。
やりたいネタは所々決まっているのですが、そこに行くまでのネタが中々出なかったので…………
後はこの1週間何故か頭痛かったし…………今は治りましたけど。
あと、本日のデジモンアドベンチャー:にて完全体の攻撃は山を欠けさせるほどの威力がある事が判明。
昔は子供向けだったせいか公式設定に対して派手さが無かったんですよね。
そうなると、この小説のデジモンの強さも矛盾が無い。
よっしゃ。
ともかく、次も頑張ります。

大士をパワーアップさせるか?

  • このまま普段は最弱で
  • 魔物肉を食べてしまえ
  • シリーズ違うけどデジソウルを使おう
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。