ドクグモンの襲撃を退けた俺達は、再び飛空艇でフェアベルゲンへ向かっていた。
「なるほどな……やっぱ魔人族は帝国と樹海にも手を出していたか」
「肯定です。帝国の詳細は分かりませんが、樹海の方は強力な魔物の群れにやられました。あらかじめ作っておいたトラップ地帯に誘導できなければ、俺達もヤバかったです」
その道中、パル達からフェアベルゲンも魔人族の襲撃を受けたことを聞く。
例のフリードとか言う魔人族も大迷宮の神代魔法を狙っているらしいので、当然と言えば当然だ。
で、当然ながらフェアベルゲンの戦士達も応戦したのだが、魔人族の率いる昆虫の様な魔物は樹海の霧の影響を受けず、劣勢に陥ったらしい。
その為熊人族の戦士が恥を忍んでハウリアに応援を頼んだそうだ。
ハウリア族の長であるカムはそれを承諾。
しかし、それはフェアベルゲンの為ではない。
フェアベルゲンに居る同族の為という理由も多少はあったそうだが、むしろ大半を占める理由が、「われぇ、なにボスのもんに手ぇ出しとんねん、ア゛ァ゛!? いてまうぞ、ゴラァ!?」という事らしい。
ハウリアにも多少の被害は出たそうだが、魔人族を見事撃破したそうだ。
でも、ハルツィナ樹海の大迷宮は4つの攻略の証と再生魔法が必要なので、どっちにしろ大迷宮には入れなかったと思うが。
しかし、魔人族を退けたまでは良かったものの戦いの事後処理に追われ、警備に手を回せる余裕がなかった。
そこでタイミング悪く帝国の兵士が樹海に侵入して来て、多くの亜人族が奴隷として捕らえられてしまったのだ。
ハウリアが帝国兵の1人を攫って尋問した結果、帝国にも魔人族の襲撃があったらしく、復興のための労働力確保と消費した亜人族の補充の必要性から樹海に踏み込んだのだそうだ。
カムはハウリア族の少数を率いて同族を救うために帝都へと向かったのだが、帝国へ着いた辺りでカム達からの連絡が途絶えてしまった。
何かあったのではと考えた残っていたハウリア族の中で何人かを選抜し、帝都へと向かったのがパル達だった。
そこでカム達の情報を集めていたのだが、その途中大量の亜人族を乗せた輸送馬車が他の町に向けて出発したという情報を掴み、パル達の班が情報収集も兼ねて奪還を試みたということだ。
そこで俺達と合流したそうだ。
「しかし、ボス。〝も〟ということは、もしや魔人族は他の場所でも?」
「ああ、あちこちで暗躍してやがるぞ? まぁ、運悪く俺がいたせいで尽く潰えているけどな」
確かに運が悪いよな魔人族。
俺やハジメは特に魔人族の計画を邪魔しようとしているわけでは無いのだが、尽く俺達の行き先に現れて、更に邪魔しに来るものだから、ハジメが『敵』と認識して潰す結果に終わっている。
「まぁ、大体の事情はわかった。取り敢えず、お前等は引き続き帝都でカム達の情報を集めるんだな?」
「肯定です。あと、ボスには申し訳ないんですが……」
「わかってる。どうせ道中だ。捕まってた奴等は、樹海までは送り届けてやるよ」
「有難うございます!」
パル達が一斉に頭を下げる。
シアは何か言いたそうにモゴモゴしていたが、結局何も言わなかった。
再び足を踏み入れた【ハルツィナ樹海】は、以前と変わらず10m先もハッキリとしない様な濃霧に覆われていた。
はぐれない様に周りを亜人族達に囲んでもらい、森の中を進む。
暫く歩いていると、優花がピクリと反応し、
「南雲、正面から集団が近付いて来てるわ」
パーティーのリーダーであるハジメにそう言う。
「私にも聞こえました。どうやら武装してるみたいですぅ」
シアも音で判断したらしい。
すると、濃霧の先からいつだったかと同じように、虎耳の集団が現れた。
そして、そのリーダーと思われる男も見覚えがあった。
「お前達は、あの時の……」
相手もこちらを覚えていたようで驚いた表情になる。
すると、
「一体、今度は何の……って、アルテナ様!? ご無事だったのですか!?」
「あ、はい。彼等とハウリア族の方々に助けて頂きました」
ハジメの傍らにいたアルテナに気付き、驚愕の声を上げた。
「それはよかったです。アルフレリック様も大変お辛そうでした。早く、元気なお姿を見せて差しあげて下さい。……少年。お前は、ここに来るときは亜人を助けてからというポリシーでもあるのか? 傲岸不遜なお前には全く似合わんが……まぁ、礼は言わせてもらう」
「そんなポリシーあるわけ無いだろ。偶然だ、偶然」
言葉を交わすハジメ達にここを訪れるのが初めてのメンバーが首を傾げていると、シアが以前の出来事を掻い摘んで説明した。
「それより、フェアベルゲンにハウリア族の連中はいるか? あるいは、今の集落がある場所を知ってる奴は?」
「む? ハウリア族の者なら数名、フェアベルゲンにいるぞ。聞いているかもしれないが、襲撃があってから、数名常駐するようになったんだ」
「そりゃよかった。じゃあ、さっさとフェアベルゲンに向かうぞ」
ハジメの不遜な物言いに虎人族の男は微妙な顔をした。
フェアベルゲンに辿り着いた俺達が見たのは、所々に破壊痕が残る光景だった。
「ひどい……」
白崎さんが呟く。
多くの同胞が攫われた所為か、フェアベルゲン全体に暗い空気が漂っているように思える。
そこに俺達に気付いた亜人族達が、攫われた仲間達も居ることに気付き、集まって来た。
その中にはアルフレリックの姿も見える。
「お祖父様!」
「おぉ、おお、アルテナ! よくぞ、無事で……」
アルテナがアルフレリックの胸に飛び込み涙を流す。
しばらく抱き合っていた二人だが、そのうちアルフレリックは、孫娘を離し優しげに頭を撫でると、ハジメに視線を向けた。
「……とんだ再会になったな、南雲ハジメ。まさか、孫娘を救われるとは思いもしなかった。縁というのはわからないものだ。……ありがとう、心から感謝する」
「俺は送り届けただけだ。感謝するならハウリア族にしてくれ。俺は、ここにハウリア族がいると聞いて来ただけだしな……」
「そのハウリア族をあそこまで変えたのもお前さんだろうに。巡り巡って、お前さんのなした事が孫娘のみならず我等をも救った。それが事実だ。この莫大な恩、どう返すべきか迷うところでな、せめて礼くらいは受け取ってくれ」
アルフレリックの言葉にハジメは困った様に肩を竦めた。
そんなハジメを天之河が微妙な表情で見つめている事に気付き、
「納得いかなそうな顔してるな」
俺は天之河にそう言う。
「べ、別に納得していないわけじゃ………」
「大方、世界を救うために努力してきた自分達よりも、好き勝手やってるはずのハジメの方が結果的に多くの人を救っている事が気に食わないんだろう?」
俺は半ば確信を持って問いかける。
「……………気に食わないわけじゃない………ただ、『何故?』とは思っている…………」
天之河はそう言う。
「何故も何も、そうやって見返りを求めている時点でお前はハジメに遠く及ばない」
「なっ!? 俺がいつ見返りを求めた!?」
「確かに金銭や礼と言った事はお前は求めていない。けどな、称賛されるハジメを見て疑問を抱く時点でお前は見返りを求めてるんだよ。『自分が正しい事をした』という『証拠』をお前は欲している」
「そ、そんな事は……………」
「何も思って無きゃ、ハジメが称賛されることに疑問を覚えたりしない」
「……………」
その言葉で天之河は黙り込んだ。
すると、辺りを伺っていた白崎さんが決意したように顔を上げると、
「ハジメ君! 私に亜人の皆の治療をさせて! 大迷宮に向かうまででいいから! それだけの時間があれば、この集落の全員に治療魔法をかけられると思う!」
そう言った。
「好きにしろ。出発する時になったら呼びに行く」
ハジメは特に反対もせずにそう言うと、
「ありがとう! ハジメ君!」
白崎さんは嬉しそうに笑みを浮かべて街の中へ駆けて行く。
「ああ! 香織待って! オイラも行くよ!」
その後をガブモンが追っていく。
その後、ハウリア族はタイミング悪くフェアベルゲンの外に出てしまっているが直ぐに戻るはずだと聞き、アルフレリックの家で待たせてもらうことにした。
アルテナが淹れた茶を飲みながら待っていると、外からドタドタとけたたましい足音が鳴り響き、
「ボスゥ!! お久しぶりですっ!!」
「お待ちしておりましたっ! ボスゥ!!」
「お、お会いできて光栄ですっ! Sir!!」
「うぉい! 新入りぃ! ボスのご帰還だぁ! 他の野郎共に伝えてこい! 三十秒でな!」
「りょ、了解でありますっ!!」
凄まじい剣幕でハウリア族が雪崩れ込んできた。
「あ~、うん、久しぶりだな。取り敢えず、他の連中がドン引いているから敬礼は止めような」
「「「「「「「Sir,Yes,Sir!!!」」」」」」」
ビシッと一糸乱れぬ動きで直立し、ほぼ同時に掛け声をかける。
「……………ホント軍隊だな」
俺は思わずボソッと呟く。
「ここに来るまでにパル達と会って大体の事情は聞いている。中々、活躍したそうだな? 連中を退けるなんて大したもんだ」
「「「「「「きょ、恐縮でありまずっ!!」」」」」」」
ハジメの言葉に感動した面持ちで涙をこらえるハウリア達。
ハジメはパルから聞いた話を伝える。
その際に二つ名と言う厨二病患者が既にハウリア全体に行き渡っていると知り、ハジメもドン引いていた。
「ハウリア族以外の奴等も訓練させていたみたいだが、今、どれくらいいるんだ?」
「……確か……ハウリア族と懇意にしていた一族と、バントン族を倒した噂が広まったことで訓練志願しに来た奇特な若者達が加わりましたので……実戦可能なのは総勢百二十二名になります」
「それくらいなら全員一度に運べるな。帝都に行く奴等をさっさと集めろ。俺が全員まとめて送り届けてやる」
「は? はっ! 了解であります! 直ちに!」
一瞬ハジメの言っている意味が分からなかったのか呆けたが、それがハジメも一緒に帝都へ向かってくれることだと悟ると、ハウリア族は気を取り直して返事をした。
その言葉に一番驚いていたのは外ならぬシアだった。
ウサ耳をピンと立てて、目を丸くしている。
「ハ、ハジメさん……大迷宮に行くんじゃ……」
「カム達のこと気になってんだろ?」
「っ……それは……その……でも……」
シアは言い淀んでいたが、
「シア、伝えたいことは言葉でハッキリと伝えたらいい…………大丈夫、彼なら必ず承諾してくれる………」
首に巻き付いているクダモンがそう言う。
「クダモン…………」
すると、ハジメが口を開く。
「シア、お前に暗い顔は似合わねぇよ。カム達が心配なら心配だって言えばいいだろう?」
「で、でも……」
「でもじゃない。何を今更、遠慮なんてしてるんだ? いつもみたいに、思ったことを思った通りに言えばいいんだよ。初めて会った時の図々しさはどこにいったんだ? 第一、お前が笑ってないと、俺の……俺達の調子が狂うだろうが」
「ハジメさん……」
「あまり実感がないかもしれないが……これでも、その、なんだ。結構、お前の事は大切に想ってるんだ。だから、お前の憂いが晴れるなら……俺は、俺の全力を使うことを躊躇わない」
「ハジメさん、私……」
「ほら、言いたいこと言ってみろ。ちゃんと聞いてやるから」
ハジメの言葉を聞いて、俺はハジメがデレたなどと場違いな事を考えてしまう。
「……私、父様達が心配ですぅ。……一目でいいから、無事な姿を見たいですぅ……」
「全く、最初からそう言えばいいんだ。今更、遠慮なんてするから何事かと思ったぞ?」
「わ、私、そこまで無遠慮じゃないですよぉ! もうっ、ハジメさんったら、ほんとにもうっですよぉ!」
シアは嬉しそうに笑う。
「……ん。シア、可愛い」
「始めっからそう言えばいいのに…………」
ユエとブイモン。
「ふむ、たまには罵り以外もいいかもしれんのぉ~」
「ティオ、そこは普通に羨ましがっておくべきだ」
ティオとドラコモンがそう言う。
「まぁ、惚れた男にあんな風に言われれば嬉しいでしょうね……」
「な、南雲君……ストレートだよ。そっち方面でも変わってしまったんだね。鈴はびっくりだよ」
「シアさん……妬ましい、私もハジメ様に……」
八重樫さん、谷口さん、そして何故かアルテナの順でそう零した。
その後、ハウリア族達を乗せて俺達は再び飛空艇で帝都へと向かった。
因みに白崎さんだが、驚くことにこの短時間でフェアベルゲンのほぼ全ての負傷者の治療を終えたらしい。
その方法だが、〝聖典〟を発動させながらガルルモンの背に乗ってフェアベルゲン中を駆け回ったらしい。
そんな荒業を聞いた俺達は、感心半分、呆れ半分の感想を持ったのだった。
第44話の完成。
でも原作とほぼ変わりなし。
この辺りは特にネタが無いのでほぼ原作通りになるかと。
あと、以前コテモンの完全体がグレイドモンと言いましたが、ちょっとしたネタが舞い降りてきたので変更します。
でも、そうなるとコテモンの完全体に丁度いいデジモンが思い浮かばないんだよなぁ……完全体で剣士と言うとナイトモンぐらいしか思い浮かばないんだが…………後はカラテンモン?
ガイオウモンに進化するからライズグレイモン?
でも剣士関係ないし…………
まあ、一番無難なのはナイトモンですかね。
ともかく次も頑張ります。
大士をパワーアップさせるか?
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このまま普段は最弱で
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魔物肉を食べてしまえ
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シリーズ違うけどデジソウルを使おう