情報を得たハジメとユエが帰って来た。
「欲しい情報は得られた。今晩、カム達がいる可能性の高い場所に潜入する。警備は厳重そうだが、カム達を見つけさえすれば、あとは空間転移で逃げればいいから、特に難しくもないな。潜入するのは俺と香織、ユエとシアだけだ。万一に備えて、気配遮断や転移が使える方がいいし。大士達は帝都の外にいるパル達のところにいてくれ。悪いが今回はアグモン達も留守番な」
「え~~~~!」
アグモンが非難する様な声を上げる。
「我慢してくれ。潜入ミッションは少数精鋭が基本だ。それに俺達は気配遮断とかの技能も持ってるし…………」
ハジメはそう言って窘める。
「なぁ、南雲……今更だが、シアさんの家族が帝城に捕まっているんなら、普通に返してくれって頼めばいいんじゃないか? 今ならリリィもいるはずだし、俺は勇者だし……話せば何とかなると思うんだが……」
本当に今更だな。
だけど、考えが甘すぎる。
「対価に何を払う気だ?」
「え?」
「カム達は不法入国者な上に、帝国兵を殺したんだぞ? しかも、兎人族でありながら包囲されて尚、帝国側にダメージを与えられるという異質な存在だ。それを、まさか頼んだからって無償で引き渡してくれると思うのか?」
「それは……」
「対価を要求するに決まってるさ。それも思いっきり足元を見た、ドでかい対価をな。帝国にだって面子はある。唯で済ますことは出来ないだろう。あるいは、姫さんの交渉にも影響が出るかも知れないぞ? それでもいいのか?」
ハジメもそれに気付いていたのか天之河に警告する。
天之河はそれを聞くと、考え込む様な仕草をする。
その時、ハジメが八重樫さんをチラッと見た。
俺もつられてそちらを見ると、八重樫さんが困ったような苦い顔をしている。
要するに天之河は、『善意』と言う名の大きなお世話で、余計な行動をする可能性が高いという事だ。
確かにこいつの場合、潜入したハジメ達を追って、『俺にも何か手伝わせてくれ!』と言い、その場をかき乱す可能性が大いにある。
ハジメもその可能性に行きついているのか頭を押さえていた。
ただ、コイツの場合絶対に付いて来るなと言っても無理について来そうだ。
すると、
「なぁ、天之河。一つお前に頼みがあるんだが……」
ハジメがそんな事を言った。
「っ!!!? なん……だって? 南雲が俺に頼み? ……有り得ない……」
天之河は愕然とした表情を浮かべて固まる。
ハジメには失礼だがその気持ちはよーくわかる。
「あ~、いや、やっぱりいい。こんな危険な事、お前には頼めない。済まないな、忘れてくれ」
「ま、待てっ、待ってくれ! まずは何をして欲しいのか教えてくれ……」
さも悪そうに言葉を撤回したハジメに天之河が食いつく。
「いやな、帝城に侵入するといっても警備は厳重すぎるくらい厳重だ。だから、少しでも成功率を上げるために陽動役をやって欲しかったんだよ。……例えば、さっきの犬耳少年のような亜人を助けるという建前でひと暴れして帝国兵を引き付ける……とかな。ああ、だが、危険すぎるよな。忘れてくれ」
要は勝手についてこられると邪魔だから、せめて離れた所で自分らが有利になるように動いてくれって事だな。
「陽動……あの子達……やる。やるぞ! 南雲! 陽動は任せてくれ!」
そんなハジメの内心など気付きもせずに天之河はその話を承諾する。
「天之河………チョロ過ぎんだろ……………」
俺は小声でボソッと呟く。
「逆に心配になってくるんだけど………」
ドルモンもそう呟く。
「お、おう、そうか、引き受けてくれるかぁ、流石、勇者だな……うん。そんな素敵な勇者達には、これを贈呈してやろう」
そう言ってハジメは〝宝物庫〟から鉱石をいくつか取り出すとパパッと錬成して四つの仮面を作り出した。
その仮面はそれぞれ赤、青、黄、ピンクに分かれており、よくある戦隊もののヒーローのフルフェイスマスクを思わせた。
「……南雲……これは?」
「見ての通り仮面だ」
「………………なぜ?」
「なぜってお前、勇者が帝都で脈絡なく暴れるとか不味いだろ? 正体は隠さないと。そして、正体を隠すと言えば仮面だ。古今東西、ヒーローとは仮面を被るもの。ヒーローとは仮面に始まり仮面に終わるんだ。ちゃんと区別がつくように色分けもしてあるだろ?」
「え? いや、いきなり、そんな力説されても……まぁ、確かに正体は隠しておいた方がいいというのはわかる。リリィの迷惑にもなるだろうし……でも、これは……」
天之河が頬を引き攣らせながら目の前の戦隊マスクを見る。
「……心配するな勇者(笑)。お前には、ちゃんとリーダーの色、〝赤〟をくれてやる」
「……なぁ、今、勇者の後に何かつけなかったか?」
「坂上、お前は青だ。冷静沈着を示す青。黒とどっちにするか迷ったが、お前脳筋のためにも青がいいと判断した。我ながら英断だったと思う」
「お、おう? なんかよくわからんが、くれるってんなら貰っとくぜ」
「そして谷口、お前は……」
「ピ、ピンクかな? かな? ちょっと恥ずかし……」
「黄色だ。あれ? いたの? の黄色だ。お調子者の黄色だ。いろんな意味で微妙の代名詞、黄色だ」
「……ねぇ、南雲君って、もしかして鈴のこと嫌いなの? そうなの?」
受け取ったそれぞれが感想を漏らす。
俺はふと、最後に残ったピンクのマスクが気になった。
勇者(笑)パーティーは3人なのに、何故4つ目のマスクがあるのか?
「そして、最後のピンクは…………」
ハジメが最後のピンクのマスクを手に取ると、八重樫さんに差し出す。
「八重樫、お前だ」
「ちょっと待ちなさい南雲君! 何で私まで行くことになってるの!?」
八重樫さんがそう言って反論する。
「いや、天之河がやり過ぎないようにするストッパー役だ。正直コイツらだけだと必要以上に首を突っ込みかねん。暴走した天之河を止められるのは、以前からストッパーを担っていたお前だけだ」
「なっ………!? そ、それは確かに………言いたいことは理解できるけど………でも、何でよりにもよってピンク…………っていうか、仮面以外にも正体を隠す方法なんていくらでもあるでしょう? 布を巻くくらいでいいじゃない! 南雲君、あなた、確実に遊んでいるでしょ!」
八重樫さんはそう叫ぶ。
「いいか? 正体を隠すなら確実に! だ。その仮面はちゃんと留め金が付いていて、ちょっとやそっとでは外れない上に、衝撃緩和もしてくれる。更に、重さを感じさせないほど軽く、並の剣撃じゃあ傷一つ付かない耐久力も併せ持っているんだ」
「あ、あの一瞬でそこまでのものを……なんて無駄に高い技術力……」
「そして八重樫、お前のように普段キリッとしたクールビューティータイプは、実は可愛らしいものが好きというのが定番だ。故に、わざわざ気遣ってピンクにしてやったんだ。感謝しろ」
「な、なんという決めつけ……わ、私、別に可愛いものなんて……」
「あっ、当たってるよ、ハジメくん! 雫ちゃんの部屋ぬいぐるみで一杯だもん」
「なっ!? 香織っ!?」
白崎さんの思わぬ裏切りに八重樫さんは声を漏らす。
「今思うと、雫ってやたらクルモンに構う事が多かったよね」
葵がそう言ったのを切っ掛けに、
「……そういえば、昔から動物も好きだったよな。特に、ウサギとかネコとか……」
「!」
「ああ、シズシズの携帯の待ち受けもウサちゃんだったよね~」
「!」
「ゲーセンとか寄ったりすると、必ずUFOキャッチャーやるよな。しかも、やたらうめぇし」
「!」
「なるほど、それで雫さん、私のウサミミをいつもチラ見していたんですね?」
「!!!」
「……八重樫。さぁ、受け取れ。ピンクは……お前のものだ」
次々と浴びせられる言葉に八重樫さんは俯き、
「……なんなのよ、この空気……言っておくけど、私、ホントにピンクが好きなわけじゃないんだからね? 仕方なく受け取っておくけど、喜んでなんかいないから勘違いしないでよ? あと、小動物が嫌いな人なんてそうはいないでしょ? だから、私が特別、そういうのが好きなわけじゃないから……だから、その優しげな眼差しを向けるのは止めてちょうだい!」
羞恥で顔を真っ赤にしながら仮面を受け取った。
………………仮面を受け取らないという選択肢を何故選ばなかったのだろう?
まあ、この空気で受け取らないという選択肢を選ぶのも、それなりに勇気のいる事だとは思うが。
因みにこの後、シアからコッソリ「雫さんなら少しくらいウサミミ触ってもいいですよ?」と言われると、デレっと相好を崩したのはご愛敬である。
その夜。
ハジメ達が帝城へ侵入を果たす頃、天之河達も行動を始めようと宿を出て行った。
行ったのだが……………
「……………なあ? 何であいつ等正体ばれちゃいけないのに、聖剣やら金ぴかの鎧やら装備して行ってるんだ…………?」
窓からチラリと見えた夜でも目立つ天之河の装備を見て、呆れて思わず呟いた。
「雫に至ってはコテモンまで連れて行っちゃってるし………」
葵もやや呆れた声で呟く。
「雫、ピンクの仮面が恥ずかし過ぎて自分の世界に閉じこもっちゃってるみたいね。周りが全然見えてないわ」
優花もそう言うと、
「それは拙いのではないか? 話しを聞くに、現在この国の皇帝と交渉している王女は知り合いなのだろう?」
ハックモンがそう言うと、
「そうだよなぁ…………いくら顔が分からなくてすっとぼけた所で、聖剣と金の鎧なんてもの着てりゃ誰かなんて一目瞭然だし、少なからず交渉にも影響が出るだろうな…………」
俺は如何するか少し思案すると、
「…………いけるか?」
1つの案が思い浮かんだ。
「何か思いついたのか? 大士殿」
リュウダモンにそう聞かれたので、
「まあ、案と言うか………結構強引な策なんだが…………簡単に言えば、あいつ等には本当の正義のヒーローになって貰おう」
「本当のヒーロー?」
俺の言葉に葵が首を傾げる。
「ああ。帝都を襲う怪物から人々を助けるヒーローだな」
「…………いや、言ってることは何となくわかるけど、そんな都合よく怪物なんて現れる訳が…………」
優花がそう言ってくるが、それも勿論考えている。
「………気付かないか? 俺達のデジモンの中で、八重樫さんも含めたあの4人が知らない形態がある事を」
俺がそう言うと、
「「…………………あっ!」」
2人は暫く考えた後、同時にドルモンに振り向いた。
「「ドルグレモン!」」
「そう言う事。ドルグレモンを適当に暴れさせて、あの4人と戦って、ある程度の所でエイリアスのカードで分身を作ってやられた振りをすれば、見事あの4人は怪物から帝都を救ったヒーローと言う訳だ。ああ、もちろん暴れさせる場所は魔人族の襲撃で被害を受けて人が居ない所な」
「…………でも、ドルグレモンって完全体でしょ? 天之河達の攻撃が効くの?」
「まあ、派手な技を使ってくれればやられた振り位は出来るだろ? 最悪は葵とリュウダモンが応援に駆けつけてヒシャリュウモンになって貰うって事で」
割と適当な策だが、バレバレの変装よりかはマシだろう。
あわよくば、勇者(笑)達の活躍で怪物を撃退したって事で、リリアーナ王女の交渉が有利に進むかもしれない。
まあ、これは希望的観測だが。
「というわけで優花、空間魔法頼む。先回りしないと」
「分かったわ」
優花はそう言うと、数分間集中し、
「〝界穿〟」
空間ゲートを作り出す魔法を唱えた。
目の前の空間に穴が開き、別の場所と繋がる。
「じゃ、行ってくる」
俺がそう言うと、
「大丈夫とは思うけど、気を付けてね」
「ああ」
葵の言葉に頷くと、
「行くぞ、ドルモン」
「うん!」
ドルモンと一緒に空間ゲートに飛び込んだ。
【Side 雫】
陽動をするために瓦礫撤去作業をしている亜人奴隷を見張る帝国兵の詰め所を襲撃するために、私達はその近くの建物の影から様子を伺っている。
すると、
「雫、もうすぐ予定時間だ。早くマスクを付けるんだ」
光輝が私を促すためにそう言う。
その顔にはレッドのフルフェイスマスクが付けられている。
「八重樫、急げ」
「シズシズ、早く」
龍太郎と鈴もブルーとイエローのマスクを付けながらそう言ってくる。
そう言われる私は、未だにピンクのマスクを手に持ったままそれを被ることを躊躇している。
「雫………」
コテモンが心配そうに私を見上げた。
「だ、大丈夫よ………コテモン」
私は意を決してそのマスクを被ろうとした。
その瞬間、
「うわっ!?」
「きゃっ!?」
「なんだ!?」
突然の爆発音とともに振動が響き、私達は驚いた。
すると、ズゥン、ズゥンと重い足音が辺り一帯に響く。
私は思わず建物の影から飛び出して、その足音が聞こえてきたであろう方向を向く。
するとそこには、瓦礫となった街を踏みつぶしながらこちら側に歩いてくる、巨大な竜の姿だった。
「何だ!? あの魔物は!?」
「…………魔物………とはちょっと違う感じがするわ。もしかしたら………!」
私は思う所があり、Dアークを取り出してみる。
すると、思った通りそこにデータが表示された。
「ドルグレモン 完全体 データ種 獣竜型デジモン。必殺技は、『メタルメテオ』………やっぱりデジモン。しかも完全体………!」
相手が完全体だと分かり、私は戦慄を覚える。
私は黒騎君か葵に連絡を取った方が良いと思ったのだが、
「いけない! あのまま進めば亜人達の居る小屋が!」
光輝の言う通り、あのドルグレモンの進行方向には亜人達の眠る小屋がある。
「やらせるか!」
光輝は相変わらず後先考えずにドルグレモンに向かって行く。
「俺も行くぜ!」
龍太郎も光輝に続く。
「鈴も!」
鈴まで後を追って行ってしまう。
「ちょっと3人とも!?」
私は制止しようとするけど光輝を筆頭に構わずドルグレモンへ向かって行く。
「ああもう! コテモン!」
「承知でござる!」
私も仕方なく後へ続く。
正直完全体相手に策も無く突っ込むなんて無謀にも程があるでしょ!
南雲君達のパーティーと行動を共にしてデジモンの強さを少なからず知った私はそう思う。
既にドルグレモンの下には帝国兵が集まり、攻撃を仕掛けているが、効いている様子は全くない。
単に踏み出した一歩の衝撃だけで陣形が崩され、烏合の衆となり果てている。
そんな彼らの下に光輝が駆け付けた。
「万翔羽ばたき、天へと至れ――〝天翔閃〟!」
光輝が跳び上がりながら輝く聖剣を振り下ろし、光の斬撃がドルグレモンの頭部へと直撃する。
私はその位じゃビクともしないと思っていたけど、
「グォォォォォッ!」
ドルグレモンは苦しむ様な声を上げて仰け反る。
光輝が帝国兵たちの前に着地すると、
「大丈夫ですか!?」
「あ、あなたは…………?」
光輝がそう言うと、帝国兵は唖然とした声を漏らした。
「ここは俺達に任せてください!」
「あの、助力は感謝しますが…………勇者殿? なぜそのような変な仮面を?」
「えっ? あ、そ、それはその………」
帝国兵の言葉で気付いたけど、光輝達は変装用のマスクを付けたままだ。
ハッキリ言って変態にしか見えない。
……………つけなくてよかった!
私はしみじみそう思った。
「オラァッ!」
龍太郎がドルグレモンの頭を殴りつける。
これもドルグレモンは仰け反った。
「話は後だ! 先ずはこいつをどうにかするぞ!」
龍太郎がそう言った瞬間、ドルグレモンが瓦礫を蹴っ飛ばして此方に破片を飛ばしてくる。
「守護の光は重なりて 意志ある限り蘇る〝天絶〟!」
鈴が障壁を張ってその破片を防いだ。
「行くぞぉ!」
光輝が再びドルグレモンに斬りかかる。
「ああもうっ!」
私も仕方なしに刀を抜いてドルグレモンに斬りかかった。
「サンダーコテ!」
コテモンも私に続いて電撃を纏った一撃を繰り出す。
今の私は葵から分けてもらったオプションカード数枚しか持ってないからコテモンを進化させることが出来ない。
…………ピンチになれば進化する時があるって言ってたけど、自由に進化させられないのはキツイわね。
私達の攻撃を受けたドルグレモンは転倒する。
その様子に光輝達は得意げな顔をして、兵士達は歓声を上げた。
光輝達はそのまま攻撃を続ける。
でも、私はますます怪しく思えた。
「…………ねえコテモン」
「何でござるか?」
私は静かにコテモンに呼びかける。
「………気付いてる?」
「完全体の割には手応えが無さすぎる事でござるか?」
「それもそうだけど…………寧ろ手応えが無いのはこっちの方よ」
私はドルグレモンに斬りつけた黒刀に視線を落とす。
「斬りつけた感覚では、ドルグレモンの体表を切り裂ける手応えなんて全く無かった。それなのに、ドルグレモンはダメージを受けてる…………ように見せかけてる」
「雫、それは…………!」
「ええ。どんな狙いがあるかは知らないけど、ドルグレモンは手を抜いてるって事よ………!」
「何と………!」
「…………………コテモン、許せないと思わない?」
「うむ! 手を抜かれて勝ちを譲られるなど、武人として最大の侮辱でござる!」
コテモンも私の言葉に同意する。
私の心にもある感情が沸き上がった。
「コテモン! 舐められたまま終わるのは癪よ!」
「うむ! あ奴に目にもの見せてくれようぞ!!」
私とコテモンの思いは1つ。
あのデジモンに一泡吹かせてやる!
そう思った瞬間、私のポケットから光が漏れている事に気が付いた。
そのポケットは、葵から分けてもらったカードが入っている所。
私はそのポケットからカードを取り出すと、その1枚が青く輝いている事に気が付いた。
「これって………もしかしてブルーカードって奴?」
葵がリュウダモンをヒシャリュウモンに進化させる時に一瞬見た事がある。
これは………もしかしたら…………
「コテモン、やってみる?」
「うむ! もちろんでござる!」
私の問いかけにコテモンはハッキリと頷く。
「なら、行くわよ!!」
私はDアークを取り出すと、ブルーカードを構えた。
「カードスラッシュ!!」
私はDアークにブルーカードをスラッシュさせる。
「マトリックスエボリューション!!」
それをスラッシュした瞬間、Dアークが輝いた。
――MATRIX
EVOLUTION――
Dアークの光に呼応する様にコテモンが光に包まれる。
「コテモン進化!」
コテモンは光の中で進化する。
成長期から成熟期のディノヒューモンへ。
さらにそこからもう一段進化する。
重厚な鎧を身に纏う4mほどの巨漢。
背中には大盾を背負い、手には身の丈ほどもある大剣を持った戦士型のデジモン。
「ナイトモン!!」
私の目の前に現れるナイトモン。
「これが………コテモンの完全体…………!」
一瞬呆けるも、すぐに気持ちを切り替え、
「行きなさい! ナイトモン!!」
「おお!」
私の呼びかけに応えてナイトモンはドルグレモンに突進。
ドルグレモンの側面に体当たりを仕掛ける。
「ぐあっ!?」
今までのわざとらしい悲鳴とは違う。
明らかにダメージを受けた声を漏らした。
ドルグレモンはそのまま倒れ、横倒しになる。
「なっ!? し、雫………!?」
「八重樫………!?」
「シ、シズシズ………!?」
3人が驚いた顔で私を見る。
「はぁあああああっ!!」
ナイトモンは大剣を振りかぶって斬りかかった。
「くっ!」
対するドルグレモンは、鼻先のブレードで大剣を受け止める。
「ぬんっ!」
でも、ナイトモンは剣を巧みに操ってドルグレモンの頭を上へと跳ね上げる。
「しまっ………!」
「ふんっ!」
ナイトモンはそのまま体当たりを仕掛けてドルグレモンを吹き飛ばした。
ドルグレモンは瓦礫に突っ込み、砂塵が舞って一瞬ドルグレモンの姿を覆い隠す。
それでもすぐに砂塵は晴れ、倒れるドルグレモンが露になった。
「雫!」
ナイトモンからの呼びかけに、
「ええ!」
私は頷いてカードを取り出す。
「カードスラッシュ!」
私はDアークにカードをスラッシュする。
「攻撃プラグインA!!」
ナイトモンの剣に光が宿る。
ナイトモンはその大剣を大きく上段に振りかぶると、
「ベルセルクソード!!」
大きく跳び上がってドルグレモンに斬りかかった。
「はぁああああああああああああっ!!」
その一閃は大地ごとドルグレモンを両断し、ドルグレモンは消え去る。
「ははっ! やったぞ!」
光輝が嬉しそうな声を上げる。
「…………………」
でも私は違和感が拭いきれていなかった。
余りにも呆気ない。
ううん、それ以前にあのデジモンには暴れようという気が少なかったように思える。
念のために暫く辺りの様子を伺っていたけど、結局何もなかったため、そのまま私達は拠点へ戻ることにしたのだった。
【Side Out】
……………あっぶっねー!
危うくドルグレモンが退化して正体ばれる所だった。
流石のドルグレモンもあの直撃を喰らえば大ダメージは必至だっただろう。
ドルグレモンが瓦礫に突っ込んで砂塵に覆い隠された時にエイリアスのカードをスラッシュして、同時にドルグレモンがドルモンに退化し、高速プラグインHのカードを使って高速移動でその場を離れたのだ。
にしても、
「ナイトモン 完全体 データ種 戦士型デジモン。必殺技は、『ベルセルクソード』…………このタイミングで進化するとはなぁ…………」
俺はチラッと横を見る。
「クル~♪」
そこにはいつの間にかついてきていた、額のマークを仄かに輝かせたクルモンの姿。
「やっぱりクルモンがいるとパートナーデジモンでも進化しやすいんだな…………」
まあ八重樫さんとコテモンの気が合っていたという事も理由の1つだろうけど、
「………さて、面倒にならない内に戻るか」
それはそう言ってドルモン、クルモンと共に拠点へ戻るのだった。
第46話です。
八百長しようと思ったらマジで負けそうになった話です。
あれが八百長と言えるのかは分かりませんが………
ハウリア救出は変わりないので端折りました。
なので光輝と言うか雫にスポット当ててみました。
原作とは違い、雫はマスクをつけてないので恥は回避。
何故かコテモンを完全体に進化させちゃった感じです。
次回は皇帝との対面。
さて、どうなることやら。
大士をパワーアップさせるか?
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このまま普段は最弱で
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魔物肉を食べてしまえ
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シリーズ違うけどデジソウルを使おう