ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第50話 怒りの完全体進化!

 

 

予想外のフリードの襲撃を退けた俺達は、改めて大迷宮の入口へ足を踏み入れる。

その際に、俺は自分のステータスプレートを確認してみた。

 

 

 

 

黒騎 大士 17歳 男 レベル:8

 

天職:デジモンテイマー

 

筋力:19

 

体力:19

 

耐性:19

 

敏捷:15

 

魔力:0

 

魔耐:16

 

技能:言語理解・融合進化・重力魔法・再生魔法・魂魄魔法

 

 

 

 

「…………………ステータスプレートに変化は無しか…………デジソウルはステータスプレートには反映されないみたいだな…………」

 

俺は試しに右手に意識を集中すると、金色のデジソウルが宿る。

どうやら俺は某喧嘩番長の様にデジモンを殴らなくても自分の意志でデジソウルを発現出来る様だ。

因みにデジソウルを発現させてもステータスプレートの数値に変化はなかった。

大樹の洞の中に入ると、特に何があるわけでもなく、ドーム状に空間が広がっているだけだった。

 

「行き止まりなのか?」

 

天之河が訝しむ様に呟く。

だがその時、洞の入り口が閉じてしまう。

 

「出口が!?」

 

「閉じ込められたの!?」

 

坂上と谷口さんが慌てる。

入り口が完全に閉じて暗闇に包まれるが、すぐに足元が輝き始めた。

おそらく転移用の魔法陣だろう。

 

「うわっ、なんだこりゃ!」

 

「なになに! なんなのっ!」

 

「騒ぐな! 転移系の魔法陣だ! 転移先で呆けるなよ!」

 

ハジメが慌てる勇者(笑)パーティー達に一喝する。

いよいよ転移が始まろうとした時、ギュッと両腕が掴まれた。

見れば、葵と優花がしっかりと俺の腕を抱きかかえている。

さっき俺だけで転移されてしまった事が不安なのだろう。

俺は同じ魔法陣で別々に飛ばされることは無いだろうと思いつつ、2人の行動を微笑ましく思った。

 

 

 

 

 

【Side 葵】

 

 

 

 

転移陣の光に包まれて一瞬意識が暗転した後、私達が転移した場所は木々が生い茂る樹海の中だった。

樹海の中にある大樹の中にある樹海って何?

私はそう思うも、転移前にしっかりと抱き着いた大士の腕の感触がある事に安堵し、顔を上げて大士の顔を見…………

 

「「ッ!?」」

 

たその瞬間に私と優花は同時にその手を放して『それ』から離れる。

私はそのまま腰の刀を引き抜き、『それ』の首筋に刀を寸止めする。

同時に優花は槍を構えて『それ』の胸に突き付けていた。

 

「葵!?」

 

「優花!? 何を………!?」

 

リュウダモンとハックモンが私達の行動に驚愕の声を漏らす。

でも、

 

「メタルキャノン!!」

 

ドルモンが放った鉄球が、その『何か』を弾けさせた。

転移直後に起こった出来事に皆は私達を困惑の表情で見てたけど、

 

「…………チッ! そう言う事かよ………! やってくれるぜ………!」

 

南雲君が何かに気付いたようにそう言うと、素早い動作で何かを投げ、ユエとティオ、それから坂上君をワイヤーで巻き付け、拘束した。

 

「ハ、ハジメさん!? ハジメさんまで一体何を!?」

 

「相棒!?」

 

シアとアグモンが混乱した様子を見せる。

 

「お前………誰だ!」

 

ユエの隣にいたブイモンがユエに向かって叫ぶ。

 

「貴様………ティオでは無いな。正体を現せ!」

 

ドラコモンもティオに向かって警戒の眼差しを向ける。

その様子を見て、

 

「彼らの様子………まさかユエ達は………!」

 

シアの首に巻き付いているクダモンが気付いたように声を漏らした。

 

「南雲! 一体、なんのつもりだ!」

 

状況を理解していない天之河君が南雲君に噛みつくけど、

 

「……少し黙ってろ」

 

南雲君は怒りを押し殺した声でそう呟くとユエの前に歩み寄っていく。

 

「ハジメ……どうしっ」

 

ユエがそう言い終わる前に、南雲君はドンナーの銃口をユエの額に押し付けた。

その直後、発砲音と共にユエの肩に銃弾が撃ち込まれる。

 

「な、何をやってるの! 南雲くん!」

 

雫が慌てて南雲君を止めようとするけど、

 

「雫ちゃん、待って」

 

香織は冷静な声で雫を制した。

 

「許可なくしゃべるな、偽物。紛い物の分際でユエの声を真似てんじゃねぇよ。次に、その声で俺の名を呼んでみろ。手足の端から削り落とすぞ」

 

南雲君が凄まじい殺気を放ちながらそう言い放つ。

 

「お前は何だ? 本物のユエは何処にいる?」

 

「……」

 

ユエの姿をした『何か』は答えない。

表情を無くして無言を貫いている。

 

「答える気はないか。……いや、答える機能を持っていないのか。ならもういい。死ね」

 

南雲君はユエの形をした『何か』の頭をレールガンで吹き飛ばす。

頭部を失った『何か』の身体は一拍おいてドロリと溶け出すと、赤錆色のスライムの様なものになり、そのまま地面のシミになった。

同じようにティオと坂上君の形をした『何か』も同じように吹き飛ばす。

思った通りその2人も赤銅色のスライムになって溶けて消えた。

 

「チッ。流石大迷宮だ。いきなりやってくれる……」

 

南雲君が不機嫌な様子を隠さずにそう零す。

 

「ハジメさん……ユエさんとティオさん、タイシさんは……」

 

「転移の際、別の場所に飛ばされたんだろうな。僅かに、神代魔法を取得する時の記憶を探られる感覚があった。あの擬態能力を持っている赤錆色のスライムに記憶でも植え付けて成り済まさせ、隙を見て背後からって感じじゃないか?」

 

南雲君の説明を聞いて雫や鈴が納得したように頷いた。

 

「なるほどね。……それにしても、葵や優花はよくわかったわね」

 

「うんうん、鈴には見分けがつかなかったよ。どうやって気がついたの?」

 

その問いに私達は、

 

「え? 私達が大士を見間違えるわけないじゃん」

 

「ええ、見た瞬間に分かったわ。ここにいるのは私達が愛した大士じゃないって」

 

当然の如くそう返した。

 

「「「「「……」」」」」

 

私達の答えに鈴達がガクッと脱力する。

なんか納得いかない反応何ですけど…………

 

「そ、そう言えば南雲君は何で分かったの?」

 

雫が気を取り直して南雲君に問いかける。

 

「ユエは見た瞬間に気付いた。こいつは〝俺のユエじゃない〟って」

 

「「「「「……」」」」」

 

再び脱力する一同。

 

「じゃ、じゃあ、龍太郎君とティオさんは?」

 

「一度、偽者がいるって分かれば、後は注意して見れば〝魔眼石〟で違和感を見抜くことは出来るんだよ。だから、今後は俺といる限り心配無用だ」

 

鈴の質問にそう答える南雲君。

天之河君達はどこか呆れたような眼差しを南雲君や私達に向ける。

そんな中、シアが何か思いついたようにハッとすると、もじもじしつつ期待を含めた眼差しで南雲君に問いかけた。

 

「あの、ハジメさん……私でも、見た瞬間に気づいてくれますか?」

 

「私は?」

 

シアに便乗して香織も楽しそうに問いかける。

普通ならここで2人とも「勿論気付くに決まってる」と答えるべきなんでしょうけど、

 

「香織は分かる。シアは………………見た瞬間は無理じゃないか?」

 

「……………」

 

ニコニコする香織とジト目を向けるシア。

南雲君はそれを気にせず、スタスタと樹海の奥へ進み始めてしまう。

それを追って香織と私達が後を追う。

 

「神経が太すぎるのも考えものね……」

 

「あぅ、シアシア、元気だして!」

 

「香織は本当に、何だってあんな奴を……」

 

後ろからそんな声が聞こえてくる。

すると、

 

「因みに本当は?」

 

私達の目の前で香織が南雲君に問いかけていた。

 

「………………シアなら分かる」

 

と、本音を漏らしていた。

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

 

入り口の転送陣から転送された俺は、皆と逸れたのか俺1人で樹海の中に放り出された。

そこで俺は現状を確認し………………地面に体全体を着けた体勢で項垂れていた。

いや、寧ろ今の俺には項垂れる頭も無かった。

その理由は、

 

「………………(転移したらスライムだった件…………………)」

 

声すら出ない。

俺の身体は青い半透明の液体の様になっており、所謂スライムの様な魔物になっていたのだ。

こっちの世界ではバチェラムだったか?

暫く項垂れた…………というか身体を広げて地面に投げ出した俺は、暫く経って漸く落ち着き、現状を考える事にした。

 

「…………(入り口から転移していきなりアウトって事はないだろうけど…………)」

 

そう言えば、ミレディが言ってたこの大迷宮の試練は何だったけ?

確か…………『絆』の試練………だったか?

つまり、魔物の姿に変えられた仲間を見破れるか如何かが最初の試練って事か?

それなら俺の姿がこんなのになった理由も納得だが…………

その時、俺ふと閃いて意識を集中させてみた。

すると、スライムの身体全体からデジソウルの輝きが溢れ出る。

 

「………………………(デジソウルは意志の力。姿が変わっても使えるか)」

 

試しにデジソウルを纏って木に体当たりしてみたら軽く圧し折れました。

おそらくこれで戦闘に関しては問題ないだろう。

それを確認した俺は皆と合流するために移動しようとして……………

ドゴォォォォォォンと少し離れた場所で爆発が断続的に起こった。

 

「…………(…………あれはハジメか?)」

 

こんな所で爆発を起こす奴なんてハジメ位だろう。

とりあえずあそこを目指すか。

俺は爆発が起こった場所に向かって身体を進めた。

 

 

 

 

 

【Side 優花】

 

 

 

 

「オラァ!! 森ごと果てろやァ、ドカス共がァ!!」

 

「ふざけてるのかな? かな? 皆消えちゃえ!」

 

南雲と香織が2人揃って重火器を構え、目の前の魔物達を樹海ごと吹き飛ばしていた。

 

「あ、あの、ハジメさん、もうそれくらいで……」

 

「そ、そうよ香織………きっとあの魔物も、もう死んじゃってると思うし……」

 

シアと雫が恐る恐る2人に声を掛けるが、

 

「あ゛ぁ゛?」

 

「何かな? かな?」

 

「いえ、何でもないです」

 

「うん、邪魔してごめんなさい」

 

血走った目で振り返った南雲と、目が笑って無い笑顔でニッコリと笑い掛けられた2人は即行で前言を撤回してすごすごと引き下がった。

 

「クリュリュ~~…………2人とも怖いでクル…………」

 

「容赦ねえな…………」

 

「うぅ……怖いよぉ。アオアオぉ、止めてよぉ~」

 

「無茶言わないでほしいな。私だって死にたくないし。まぁ、南雲君と香織が怒るのも無理はないと思うけど……あんなもの見せられちゃあね………今は気が済むまでほっとくのが一番かな?」

 

クルモンが怯え、インプモンがゲンナリした視線で眺め、縋りつく鈴を葵が困った笑みを浮かべながら慰める。

更にその隣では、涙を流しながら両手で自分の目を抑えつつ、うずくまっている天之河の姿があった。

 

「目がぁ~、目がぁ~。ちくしょう、南雲の奴めぇ! いきなり、何すんだよぉ!」

 

理由は先程南雲にチョキでブスッと目潰しを食らわされたからだ。

そして更に言うべきことがあるのなら、

 

「ギガデストロイヤー!!」

 

「カイザーネイルッ!!」

 

南雲のアグモンと香織のガブモンが完全体のメタルグレイモン(青)とワーガルルモンに進化していて、樹海の破壊を加速させていた。

何故南雲と香織がアグモンとガブモンを完全体に進化させ、樹海を焼き払い、ついでに天之河の目を潰したのかと言えば、さっき現れた魔物が原因だった……………

 

 

 

 

 

 

私達は行方不明になった大士達を探しながら樹海の探索をしていた。

探索開始直後に蜂型の魔物の群れに襲われ、一応攻略者としてアピールするために回復役として香織をつけて、天之河と鈴に任せてたんだけど、やはり実力不足で押し切られそうになったため、私や南雲が手を出して全滅させた。

それから30分ぐらいした時、

 

「「「「「キキィーーーーーッ!!!」」」」」

 

私達の前に猿型の魔物が飛び出してきた。

どこから手に入れたのか、棍棒や剣を持っている個体も居た。

その猿の様な見た目の通り、素早く、トリッキーな動きで私達を翻弄しようとする。

 

「くっ……うわっ!?」

 

「わわわっ!?」

 

案の定、その動きに翻弄されて天之河は剣を躱された直後に別の個体から不意打ちを受け、鈴は完全に防戦一方だ。

見た限り猿型の魔物はある程度の知能はあるようで、個々の戦いではなく、連携を駆使して私達を襲ってきている。

でも、

 

「くだらねえ………」

 

南雲は猿の動きを完璧に見切ってレールガンにより次々に仕留めていき、

 

「うぉおおおおおりゃぁあああああああっ!!」

 

シアは大振りの攻撃でも、先の動きを読んで叩き潰し、

 

「葵!」

 

「うん!」

 

速度と剣技をもつ雫が魔物の足を止め、攻撃力のある葵が止めを刺す。

 

「遅いわよ」

 

私も気配感知で猿型の魔物の位置を完璧に把握し、苦無や手裏剣の投擲で一撃で仕留める。

その時、人質を取ろうとしたのか、私達の中で苦戦している天之河と鈴に攻撃を集中し始めた。

 

「わああっ!? 一杯来た!」

 

「くそっ! こいつら………!」

 

必死に剣を振る天之河と鈴。

天之河は絶え間なく襲い掛かる魔物の前に大技を使う暇がなく、どんどん追い込まれていく。

でも、

 

「ハッ! 俺に背を向けるとはいい度胸だ」

 

南雲や私にとっては背を向ける敵は逆にやり易い。

言い方は悪いけど、2人を囮にして撃破数を上げて行く。

やがて、猿型の魔物はこのままでは拙いと思ったのか、動きを変えた。

ここで猿型の魔物が『撤退』を考えるほど知能があったのならあんな事にはならなかった。

でも、知能があっても狩りをする時に『工夫』することにしか頭を使わないらしく、私達の中の中心人物と言える南雲の心を乱すために、悪手とも呼べる一手を打ってきた。

それが、

 

「…………ハ、ハジメ………………!」

 

猿型の魔物達は、奥の茂みから何かを引きずってきた。

それはユエの姿をしていた。

しかも、その姿は服がビリビリに引き裂かれ、あられもない姿となり、身体中傷だらけで血まみれと言う姿だった。

まあ、例え1人でもユエがこんな魔物に後れを取るとは思わなかったからすぐに偽物って事は気付いたんだけど、南雲は例え偽物でもユエの裸を他の男に見せるのは我慢できなかったらしく、〝縮地〟を使ってまで天之河がユエの偽物の姿を視界に捉える前に目を潰した。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!? 目がっ!? 目が~~~~~~~っ!?」

 

一瞬偽物にやり過ぎ?と思わないでもなかったけど、仮に偽物とは言え、自分の裸の姿を大士以外の男に見られると思ったら身の毛がよだつ程嫌だったので、南雲の行動は至極正しい行動だったと思い直した。

それでもちゃんと手加減しているのか、暫く視力は戻りそうにないけど眼球の損傷はしてなさそうな天之河を見て、南雲は怒ってはいるだろうけど理性はしっかりしていると思い、特に心配はしていなかった。

ここまでは。

でも、魔物は空気を読むという事を知らず、南雲の行動に効果があったと判断したのか、南雲の目の前でユエの偽物を殴りつけて下卑しい笑みで笑う。

そして最後の止めに、

 

「……ハジメ、助けて」

 

何て言ってしまったものだからさあ大変。

 

―――ブチブチッ

 

っと何かが切れる音が二重に聞こえた。

そう、『二重』にだ。

 

「……………クックック……………アーーーーーッハッハッハッハ!! どうやら死にたいらしいな!!!」

 

「何の真似かな? かな………………………? 泣いて謝っても許さないから!!」

 

ユエの恋人である南雲は勿論、ユエと同じでハジメの恋人である香織もキレた。

香織とユエは、南雲と言う共通の恋人を持つライバルでありながら、親友でもあり、姉妹の様な間柄でもある。

簡単に言えば、南雲に次ぐ大切な相手だ。

偽物とは言えそんな光景を見せられた香織も堪忍袋の緒が切れたようだった。

宝物庫から南雲がガトリングガンを取り出して両手に装備し、香織は連装式ミサイルランチャーを担ぐ。

一瞬後に全弾発射され目の前が火の海になった。

猿型の魔物だけではなく、他の魔物も巻き込まれているようで必死になって逃げ回っている。

 

「相棒、俺もやるぜ!」

 

南雲に感化されたのか、ウィルス種で好戦的なアグモンが叫ぶ。

 

「香織、オイラも! 偽物とは言えユエを利用したんだ! 許せないよ!!」

 

ガブモンは純粋にユエを利用された事に腹を立てているみたいね。

 

「おお! やれやれ!! 塵1つ残すんじゃねえぞ!!」

 

「葵ちゃん! 何でもいいからカード頂戴、カード!」

 

2人が葵に催促する。

 

「あ、う、うん…………」

 

葵が2人にドン引きしつつカードの束を取り出し、進化カードを抜き出そうとするけど、2人は葵が手に持ったカードの手札から適当にそれぞれ一枚ずつ抜き取った。

 

「あっ」

 

葵は声を漏らしたけど、

 

「成熟期なんかじゃ納得しねぇ! 完全体まで進化して見せろ!!」

 

「おおっ! やってやらぁ!!」

 

南雲の言葉にアグモンは威勢よく答え、

 

「今の私の怒りは、簡単には収まらないよ!」

 

「オイラたちの怒りをぶつけてやる!」

 

香織とガブモンは同じ方向に怒りを向ける。

すると、2人の持つカードが青く輝き、ブルーカードへと変貌を遂げる。

 

「えっ? 嘘っ? 本当にやっちゃうの?」

 

葵が困惑した表情を見せる。

すると、

 

「「カードスラッシュ!」」

 

南雲と香織が同時にDアークにブルーカードをスラッシュし始める。

 

「「マトリックスエボリューション!!」」

 

ブルーカードを通し切った瞬間、

 

「クル――――――――――ッ!!」

 

クルモンの額のマークが光を放った。

 

――MATRIX

  EVOLUTION――

 

Dアークから放たれる光に呼応してアグモンとガブモンが光を放つ。

 

「アグモン進化!」

 

「ガブモン進化!」

 

アグモンはグレイモンへ。

ガブモンはガルルモンへ進化する。

そして、更にそこから進化する。

グレイモンの左腕は機械化され、巨大なクローへ。

胸部と頭部も機械化され、後頭部には赤い髪。

背中にも翼が生まれた完全体デジモン。

 

「メタルグレイモン!!」

 

ガルルモンは二足歩行となり、人型になる。

メリケンサックを付けた拳が特徴的な、格闘戦に優れた人狼のデジモン。

 

「ワーガルルモン!!」

 

2体の完全体が南雲と香織の後ろに立つ。

 

「メタルグレイモン(青) 完全体 ウィルス種 サイボーグ型デジモン。必殺技は『ギガデストロイヤー』」

 

雫がメタルグレイモンのデータを読み上げ、

 

「ワーガルルモン 完全体 データ種 獣人型デジモン。必殺技は『カイザーネイル』」

 

私がワーガルルモンのデータを読み上げる。

因みにこの間にも南雲と香織による破壊活動は続いている。

すると、メタルグレイモンが身を起こして胸部を前に突き出すようにすると、胸のハッチが開く。

 

「ギガデストロイヤー!!」

 

その胸のハッチから2発のミサイルが煙の尾を引きながら発射され、遠くに着弾したかと思うと大爆発を起こして広範囲を吹き飛ばした。

更に、

 

「カイザーネイルッ!!」

 

ワーガルルモンの爪が赤く光ったかと思うと、大きく横薙ぎに腕を振り、赤い斬撃が放たれた。

その赤い斬撃は真っ直ぐに進み、その進行方向にある木々を片っ端から切断し、その射線軸上にいる魔物達を切り裂いていく。

そのまま2組の破壊活動は続いた。

 

 

 

 

 

と言う訳で、南雲達の破壊活動が現在も続けられているわけだけど、既に1km四方の樹海が更地どころかクレーター状態になっていて、見るも無残ね。

 

「ほら、2人共、諦めないで! シアと雫以外に誰が南雲を止められるというの!」

 

「「でも……」」

 

「でもじゃないわ。どうしてそこで諦めるの! 諦めたらそこで終わりよ! ほら、頑張れ! 頑張れ! 出来る、出来る! 恋する乙女は無敵よ!」

 

私は人事だと思って2人を鼓舞する。

正直私も今のあの2人に近付きたくないし。

 

「ハジメさん! もう、これくらいにっ、これくらいにしときましょう!」

 

「そうよ、香織! ユエ達が巻き込まれるかもしれないでしょ!?」

 

シアは思い切ってハジメに抱き着きながらそう言い、雫は必死に香織の肩を揺さぶる。

 

「あ゛ぁ゛?」

 

「何かな? かな?」

 

南雲は不機嫌そうに顔を歪め、香織は目が笑ってない笑みのまま雫へ顔を向ける。

それでも2人は引かず、

 

「ね? ね?」

 

と、一生懸命南雲と香織を宥めた。

 

「ふぅ~~~~~。わかった。取り敢えずこれくらいにしとく。ぶっ放して結構スッキリしたし」

 

すると、南雲が落ち着きを取り戻したのか大きく息を吐き、今まで取り出した武装を宝物庫へ戻した。

同じように香織も落ち着いた様子を見せる。

 

「悪かったな、気を遣わせて」

 

「いえ、あいつらのやり方は私も頭に来ましたし。仕方ありませんよ」

 

「うん、ホント、最低だったね。……ある意味、流石大迷宮って感じだよ」

 

苦笑いしつつそう言い合うと、

 

「香織。落ち着いたのなら、そろそろ光輝を何とかしてあげて欲しいのだけど……」

 

雫の指し示す先には未だに目潰しで苦しむ天之河の姿。

香織は頷くと、回復魔法を行使する。

 

「うっ、この感じ。回復魔法か? あ、光が見える……」

 

そして、当然ながら目を潰した張本人である南雲に抗議の声を上げる。

雫がそうなった経緯を説明するけど、まだ不満顔だ。

 

「あのなぁ、天之河。手加減が下手だったのは悪かったが、自分の恋人のあられもない姿を他の男に見られるか否かの瀬戸際だったんだ。男なら……目を潰すだろ?」

 

「なに、『常識だろ?』みたいな口調で同意を求めているんだ。危うく失明するかと思ったぞ。大体、偽物だって分かっていたんだろ? 本物ならともかく、偽者のためにあの痛みを味わったかと思うと……すごく腹が立つんだが」

 

「馬鹿だなぁ。お前の視力とたとえ偽物でもユエの半裸……路傍の石と最高級の宝石を天秤にかける奴がいるか?」

 

「俺の目は路傍の石かっ!」

 

まあ南雲にとってはそうでしょうね。

天之河は抗議の声を上げるけど、南雲はどこ吹く風だ。

その時、私の気配感知に後方から一直線にこちらに向かって来る気配を察知した。

私が後ろを振り向くと、南雲達も気付いたようで訝しむ様な表情をする。

気配の感じからして強敵では無さそうだけど、何故か私達に向かって来る。

私達の表情に、天之河達も何かが近付いてきていると察したのか、武器を構えて後方を警戒している。

その時、ガサガサと茂みが揺れて現れたのは、一匹のゴブリンだった。

暗緑色の肌に醜く歪んだ顔、身長140cm程の小柄な体格でぼろ布を肩から巻きつけている。

そのゴブリンは私達を………

性格には南雲を見た時に、

 

「グキャ!」

 

と、何処か嬉しそうな鳴き声を上げた。

その直後に、何故かハッとなって自分の姿を確認する様な仕草をすると、その場に佇んでじっと南雲を見つめていた。

その顔の造形から、こちらを睨み付けているように見せる。

するとその時、そのゴブリンを敵と判断したのか天之河が一気に接近して聖剣を振りかぶった。

それでもそのゴブリンは一瞬天之河に視線を向けたけど、無防備なまま防ごうとも避けようともしなかった。

次の瞬間、

 

「〝縛光鎖〟!」

 

「何してくれてんだ、ボケェ!」

 

「ブイモンヘッド!!」

 

「んなっぶべらっ!?」

 

聖剣がそのゴブリンを切り裂く寸前、香織の発動させた光の鎖が聖剣に絡みついて動きを封じ南雲のローリングソバットとブイモンの頭突きが天之河を吹き飛ばした。

天之河は樹海の木々の間に消える。

 

「ちょっと、南雲くん! ブイモン! 今のは何!? いくらなんでも滅茶苦茶よっ。光輝はただ魔物を倒そうとしただけじゃない!」

 

「そうだよ! っていうか、光輝くん大丈夫かな。直ぐに探しに行かないと」

 

流石に雫と鈴が抗議の声を上げる。

私はゴブリンの様子がおかしいとは思ってたけど、そこまでして止めるほどの事かと首を傾げていた。

その南雲達は、先程からじっとそのゴブリンを見つめている。

その時、樹海の奥から腕や頭を摩りつつ、天之河がやってきた。

 

「……南雲。どういうつもりだ。香織もだ。なぜ邪魔をしたんだ? さっきとは状況が違う。下手な言い訳は許さない。魔物を庇うなんて正気を疑う――」

 

「魔物じゃない」

 

「何だって?」

 

南雲はそう言ってそのゴブリンの前で膝を着き、目線を合わせると、

 

「……ユエだよな?」

 

「グギャ!」

 

「「「「「「「……は?」」」」」」」

 

「…………なるほどね」

 

南雲の言葉に天之河や鈴、シア、雫、ブイモン以外のデジモン達は素っ頓狂な声を漏らし、私は南雲の行動に納得した。

 

「ユエ………」

 

「グギャ」

 

南雲の呟きにユエらしきゴブリンは嬉しそうに鳴く。

 

「えっと、ハジメさん。まさかと思いますがユエさんなんですか。その、私には魔物に見えるのですが……」

 

「わ、私も魔物に見えるわ。本当にユエなの?」

 

シアと雫が驚愕した表情のまま確認を取る。

 

「うん、間違いない。ユエだよ」

 

「僕にも分かるよ。目の前に居るのはユエだ!」

 

香織とブイモンが自信を持って言う。

 

「グギャ、グゴゴ、ギャアギャ」

 

ユエらしきゴブリンは何かを訴えようとするけど、声が出ないのかがっくりと肩を落とした。

だけど、

 

「ん? ん~、転移したあと気が付けばその姿に変えられていたって?」

 

「! グギャ! ……グゴゴ」

 

「ふむ、肉体そのものが変質したってところか……」

 

「グギャ……ギャギャ、グギ」

 

「装備品も失ったのか。……ああ、俺の残したマーキングを追って来たんだな?」

 

「ググッ……ゴガゴガ」

 

「なるほど、爆音が響く場所にハジメありってか? まぁ、間違ってないか……」

 

「……ギュウウ、ゴゴ」

 

「そうか、魔法も使えないと……でも、これ以上変質するような感覚もないか」

 

「ギギギ、ガギ」

 

「まぁ、大丈夫だろう。これもおそらく試練の一つだろうしな。不可避のスタート地点に立った時点でゲームオーバーとか試練の意味がない」

 

「……ギュウウ?」

 

「ああ、あと、大士とティオと坂上もいないんだ。おそらくユエと同じだろう。何の魔物かまでは分からないが……まぁ、そう心配するなよ、ユエ。いつも通り何とかするさ」

 

「……グギャ!」

 

南雲は普通に意思疎通が出来ている様だ。

 

「「「「「……」」」」」

 

天之河や他のデジモン達は声が出ない。

 

「そういうことだ。じゃあ、取り敢えず再生魔法かけてみよう」

 

「「「「「いやいやいやいや、待て待て待て待て」」」」」

 

「あ? どうした?」

 

黙って見ていたメンバーたちからツッコミが入る。

 

「おかしいでしょ? おかしいわよね? どうして意思疎通が出来ているの? それもごく自然に!」

 

「いや、何でも何も……ユエだって喋ってるだろ?」

 

「鈴にはグギャ! としか聞こえないよ! 何語なの!? 何で理解できるの!?」

 

「いや、そこはフィーリングで……目と目でも会話は出来るし」

 

「そう言えば普段から見つめ合ってますよね。……あれが、まさかこんな時に役立つなんて……お二人の通じ合い方が天元突破してますぅ」

 

「いや、恋人なら普通だろ」

 

「普通だよね? 私はハジメ君ほどハッキリとは分からないけど、ある程度ユエが何言いたいかは分かるよ」

 

「っていうか南雲。どうやって気がついたんだ。俺を蹴り飛ばしたってことは最初から分かっていたんだろ?」

 

「どうやってって、お前。そりゃあ、単純な話……」

 

ゴブリン姿のユエを優しく見つめて、いつものように頬に手を這わせながら、

 

「姿形が変わったくらいで、俺がユエ………もちろん香織もだが、2人を見失うわけない。それだけのことだ」

 

「「「「「……そうですか」」」」」

 

「……グギャ!!」

 

その言葉に天之河達は砂糖を吐きそうな表情になり、ユエは嬉しそうに鳴く。

 

「そんな事ことより、香織。再生魔法を頼む」

 

「うん。それじゃ、いくよユエ。〝絶象〟!」

 

周りをスルーして、南雲の言葉に香織は答えて再生魔法を行使する。

再生魔法なら元に戻ると思っていたんだけど、そこには元には戻っていないゴブリン姿のユエが佇んでいた。

 

「……グギャ?」

 

「あれっ? 何で!? も、もう一度、〝絶象〟!」

 

香織がもう一度再生魔法を唱えるけど、ユエは元には戻らなかった。

 

「どうして……」

 

「グギャ……」

 

その理由が分からない2人は肩を落とす。

すると、

 

「う~ん…………この迷宮に入る為には元々再生魔法が必要なわけだし、迷宮の試練に関する事には何らかの対策が施されてるんじゃないかなぁ?」

 

葵が自分の推測を口にする。

 

「その可能性が高いか…………大丈夫だ、ユエ。さっきも言ったが、トラップにはまったわけでもないのに、スタート地点でゲームオーバーなんて有り得ない。必ず元に戻る方法があるはずだ。再生魔法が効かなかったのは、おそらくその変質が同じ神代魔法によるものだからじゃないかと思う。他にも特殊な方法が使われているんだろう。挑戦者が再生魔法を持っているのは自明の理。あっさり治されちゃ試練の意味がないからな。いずれにしろ、先に進めば元に戻る方法がわかるはずだ」

 

「……グギャ」

 

「ああ、心配するな。あと、忘れてたけど、ユエ。これ持ってみ?」

 

「……ギギ?」

 

南雲がユエに『念話石』を渡した。

 

『……ハジメ? ハジメ、聞こえる?』

 

元のユエの声が聞こえた。

南雲達の言った通り、このゴブリンはユエで間違いないんだろう。

 

「ああ、聞こえるぞ、ユエ。姿は変えられちまったが……無事でよかった」

 

『……んっ。ハジメなら気が付いてくれると思ってた』

 

「当然だろ。ずっと見てきたんだから分かるに決まってる」

 

『……ん。でも嬉しかった。大好き』

 

「……よせよ。恥ずいだろ?」

 

『……ふふ』

 

姿はゴブリンなのにいつも通り桃色の空間を発生させる南雲達に戦慄を覚える。

 

「ユエ、無事で良かったよ」

 

『ん……香織も』

 

「ユエさん……絶対、ぜぇ~たい! 元に戻して見せますからね! その為なら、私、何だってしちゃいますからいっぱい頼って下さい!」

 

『……シア、ありがとう。今は戦力になれないから頼りにしてる』

 

香織と何とか精神の均衡を取り戻したシアがユエと言葉を交わす。

 

「ユエさん、その、さっきは済まなかった。君だと気が付かなくて……危うく傷つけるところだった」

 

『……気にしないで。仕方ないこと。それに信じてたから傷つくとは思わなかった』

 

「えっ、それって俺が……」

 

『……勇者が(笑)でも、必ずハジメが守ってくれるって』

 

「……そうですか」

 

天之河はがっくりと項垂れる。

 

「それじゃあ、早くユエを元に戻す為にも残りの3人を見つけて、さっさと攻略を進めるぞ」

 

南雲の言葉で、クレーターと化した樹海の一部を背後に、私達は再び樹海の奥へと歩みを進めた。

 

 

 

 

 

その後、ゴブリンの集団にリンチされて悦んでいたゴブリン姿のティオとドン引きしつつも合流し、オーガと死闘を繰り広げていたオーガ姿の坂上とも合流できた。

 

「……………後は大士か」

 

南雲が呟く。

残りの1人である大士とはまだ合流できていない。

どんな姿かもわからないし、無事であることを祈る。

 

「だけど、魔物の姿にされた3人の共通点なら見つけた! そこから何となく予想は付く!」

天之河が自信に満ちた声でそう言う。

 

「3人の共通点は人型であることだ! 女性であるユエさんやティオさんはゴブリンに。大柄の男子である龍太郎はオーガにされた。つまり、平均的な背丈の黒騎は、龍太郎と同じオーガか、もしくはオーク辺りの魔物にされていると俺は予想する!」

 

天之河の言葉に、私はなるほどと納得する。

天之河は馬鹿だけど頭は良い。

その推理はあながち的外れじゃないのかもしれない。

私はそう思いつつ気配感知に集中し、

 

「………あれ?」

 

直ぐ近くに小さな気配を感じた。

ガサッと草が揺れたかと思うと、そこにはスライムの様な魔物。

 

「む、スライムか!」

 

天之河は自分の推理に自信を持っているのか、不定形型の魔物に躊躇なく剣を振り上げた。

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

慣れないスライムの身体を必死に動かし、爆発があった場所に到着したけどそこにはクレーターとなった大地が広がっていただけで皆の姿は無い。

辺りを探していると、ゴブリンの集団に襲われたためにデジソウルを纏った体当たりで吹き飛ばし、更に進めは今度はオーガに襲われたので再びデジソウルを纏った体当たりでノックアウトしておいた。

ぶっちゃけデジソウルに目覚めてなきゃ、俺はこのままスライムの姿でBAD ENDを迎えていた可能性が高いな。

後は魔物の死体を道標に皆の姿を追っていた。

すると、草を掻き分けて茂みを潜り抜けた先に、ようやく皆の姿を見つけた。

一行の中にゴブリンやオーガの姿がある事を考えれば、俺と同じように他にも魔物の姿に変えられたメンバーが居たんだろう。

俺は何とか皆と合流しようとして、

 

「む、スライムか!」

 

天之河の奴が問答無用で斬りかかってきやがった!

この野郎、俺だって魔物の姿に変えられてるって可能性は分かってるはずなのに問答無用で攻撃するか?

俺は仕方なくデジソウルを使って迎撃しようと思った瞬間、

 

「何してくれてんのよ!!」

 

「メタルキャノン!!」

 

目の前の天之河が一瞬で飛んできた優花の空中回し蹴りによって吹っ飛んでいった。

更に吹っ飛んだ際、空中で鉄球に追撃されている。

 

「やっと見つけた!」

 

その声と共に、後ろから突然抱き上げられる。

振り向けば葵がニコニコと俺を抱き上げていた。

 

「大士、大丈夫?」

 

吹っ飛ばした天之河を一瞥もせずに優花が俺に歩み寄ってくる。

 

「…………………(おお、よく俺だってわかったな)」

 

そう言おうとするけど声が出ない。

 

「もちろんわかるよ。私達が大士を分らないなんて嘘だよ」

 

「…………………(ん? 喋れないけど言いたいこと分かるのか?)」

 

「当然よ。あなたが伝えたいことを私達に伝えられないなんてあるはずないでしょ?」

 

「……………………(そう言うもん?)」

 

ちょっとそれは無理があるの様な気が…………?

 

「…………一応確認するが、それが大士でいいんだよな?」

 

ハジメがそう聞いてくる。

俺は身体の一部を紐状にして手を上げるようにして返事をしてみる。

 

「言葉は分かってるみたいだな………お前は念話石使えねえし、どうやって証明してもらうか……………」

 

俺はそう言われて、デジソウルを発生させてみる。

 

「なるほど、デジソウルか…………それなら証明になるな…………」

 

ハジメは納得したのかうんうんと頷く。

 

「大士、無事でよかった!」

 

ドルモンが心配そうな表情で見てきたので、俺は身体の一部を持ち上げて大丈夫とアピールする。

 

「それにしても、ゴブリン、ゴブリン、オーガと来て、ここでスライムか…………前の3人が人型だったから危うく騙される所だったな………」

 

ハジメはジト目で吹っ飛んでった天之河を睨む。

 

「………………(どうかしたのか?)」

 

俺がそう訴えると、

 

「天之河が、3人が人型だったから、大士もきっと人型の魔物に変えられてるって予想してたのよ。大外れだったわけだけど」

 

「…………………(なんじゃそりゃ)」

 

大迷宮で偏見持つなよ。

 

「それじゃあ、大士も見つかったことだし、先へ進むか」

 

ハジメの言葉で俺達は次のエリアを探した。

 

 

 

 

 

なお、途中で出てきた中ボスらしきトレントの様な魔物は天之河達は苦戦したが、ハジメによってあっさりと沈黙した。

すると、そのトレントを倒した後に生えた巨木が次のエリアへの入り口となり、俺達は再び転移することになった。

 

 

 

 

 

 





第50話です。
今回は勇者(笑)の受難、でした。
え? 違う?
目潰しされ、ローリングソバット受けて、おまけにもう一発。
受難続きですけど。
大士はスライムになってしまいました。
それでも一目で見抜く恋人たちの眼力は凄い。
次回は理想世界ですが…………?
次も頑張ります。
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