ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第55話 天空の大決戦

 

 

フェアベルゲンで暫しの休息を取った後、俺達は最後の大迷宮である【シュネー雪原】にある【氷雪洞窟】に向かっていた。

【シュネー雪原】は大陸を南北に分ける【ライセン大峡谷】の南側の東に位置する雪原だ。

本来は極寒の雪原を徒歩で越えなければならないのだが、俺達はハジメの作った飛空艇フェルニルがあるのでそんな苦労はしなくていい。

眼下に【ライセン大峡谷】が望める今現在、シアが今までとは違い、ソファーに座るハジメとの距離を測りかねながらモジモジとしていた。

これはフェアベルゲンにいる時、ハジメがシアを受け入れる発言をしたのだ。

俺としては時間の問題だと分かっていたから特に驚きはしなかったが、シアは嬉しさのあまり泣き出してしまった。

それを見てティオは更にやる気を出し、八重樫さんも何となく思う所がある様だった。

そんなシアを見てハジメの隣に座っていた白崎さんが微笑むと席を立ち、

 

「ほら、シア」

 

シアをハジメの隣に座らせた。

そのシアをハジメは自然な動作で抱き寄せる。

 

「あぅ」

 

「今更照れるなよ。見ているこっちがハズイだろ」

 

「……シア、可愛い」

 

反対側にいたユエも微笑みを浮かべている。

すると、ティオが厭らしい笑みを浮かべながらシアの隣に座ると、シアの肩に手を回す。

 

「くふふ、確かに、また一段と可愛くなったのぉ。で? シアよ、初めての夜はどうだったんじゃ? うん? 痛かったのか、それとも気持ちよかったのか? どうなんじゃ? ちょっと妾に教えてたもう。微に入り細を穿って報告するのじゃ。ほれほれ~」

 

「い、言いませんよっ! 言うわけないじゃないですかっ!」

 

「何じゃ? 言えないほど、ご主人様は下手じゃったのか? うん?」

 

「そんな事ありませんっ! むしろ、すごくて……私ったら何度も…って何言わせるんですかっ!」

 

昨晩、シアはハジメと2人きりで過ごした。

何があったのかは言うに及ばず。

森人族のアルテナを始めとして出歯亀しようとする輩はユエと香織によって断固阻止された。

ハジメはシアを困らせているティオにとりあえずデコピンを喰らわせる。

デコピンと言ってもハジメの筋力ステータスから放たれるそれは、人一人を軽く吹っ飛ばす威力を持つ。

その威力にティオは悶絶するも、その表情は嬉しそうだ。

 

「い、いよいよ最後の大迷宮ですね! 早く攻略してミュウちゃんを迎えに行ってあげたいですね!」

 

ティオの所為で微妙な雰囲気となった室内の空気を、シアが強引に変えようと口を開く。

 

「そうだな。それに、カム達とも時間を作らないとな」

 

「ハジメさん……」

 

身内と判断した者には本当に気が回るハジメに俺は感心する。

 

「父様達とのお別れは十分に済ませました。心を砕いて下さるのは嬉しいですけど、あまり気にしないで下さい。その方が父様達も嬉しいはずです」

 

「そうか?」

 

「はい! ふふ、ミュウちゃんの時も思いましたけど、ハジメさんって身内には過保護ですよねぇ~」

 

シアも同意見の様だ。

 

「……ん。ハジメはあまあま。溺れないように注意が必要」

 

「あはは。確かに、ハジメくんに甘えすぎるとダメになりそうだね」

 

そんな彼女達を、微妙な表情で天之河が見ていた。

何だかんだで彼らも最後の大迷宮攻略についてきたのだ。

流石にそのままでは心もとないので、ハジメが彼らの武器を魔改造したが。

 

「…………………………ッ」

 

天之河がほんの僅かに舌打ちしたような音を口から漏らして部屋の出入り口を出て行く。

 

「…………………」

 

それを見ていた俺は、放っておくと面倒な事になりかねないと思い、後を追った。

 

 

 

天之河は後部甲板に来ていた。

手すりを掴みながら面白くなさそうな顔をしている。

 

「…………………納得いかないって顔してるな」

 

俺は天之河の背中に声を掛ける。

 

「ッ…………!? 黒騎………!」

 

天之河が驚いたように俺の方を振り向く。

 

「気持ちはわからんでもないが、嫉妬は見苦しいぞ」

 

「なっ!? 何を言っている!? 俺は嫉妬なんて………!」

 

俺の言葉に天之河が過剰に反応する。

 

「ハジメが見た目麗しい女性達と…………特に白崎さんと親しいのが気に入らないんだろう? それが嫉妬でなくて何だというんだ?」

 

「違う! 俺はただ、何故彼女達があんなにも南雲に心を許しているのかが理解できないだけだ! 最近では雫だって………! 何で南雲なんだ? あいつはこの世界の苦しんでいる人たちを助けようともしないし、人だって簡単に殺す。そんなあいつに何で皆…………!」

 

天之河の言葉に俺は溜息を吐く。

 

「そんなのは簡単だ。あいつは護ると言ったら必ず護ったし、彼女達が本当に助けてほしい時に必ず助けてきたからだ」

 

「それは俺だって同じだ! 護ると言ったら必ず護るし、助けて欲しいというのなら必ず助ける! その言葉に嘘は無い!」

 

微妙に理解してない天之河に軽く溜息を吐く。

 

「違う。彼女達にとって重要なのは『護ってくれる』、『助けてくれる』かじゃない。『護ってくれた』、『助けてくれた』事が重要なんだ」

 

「どういう事だ………?」

 

「ハジメは本人の意志はともかく、彼女達が護って欲しい時に護ったし、助けて欲しい時に助けたんだ。いいか? 『護った』し、『助けた』んだ。言い方はおかしいが、ハジメは護ってくれた、助けてくれたという実績があるし、護ると決めたら全力で護った………いや、現在進行形で『護っている』だな。だから彼女達はハジメに惹かれるんだ」

 

「だから、それは俺だって………!」

 

「違うな」

 

天之河の反論しようとした言葉に重ねてそれを止める。

 

「確かにお前は護ろうとする意志は持っているのかもしれない。だけど、お前の『護る』という言葉は軽すぎるんだよ」

 

「何ッ!?」

 

「お前には『大切』な奴が居るか?」

 

「勿論だ! 俺は皆が『大切』だし、皆を必ず『護る』と誓っている!」

 

「その『皆』っていうのは一体どこまでなんだ?」

 

「『皆』は皆だ! 昔からの友人やこちらの世界に来てから知り合った人達、そしてこれから知り合っていく人達………俺は全員が『大切』なんだ!」

 

確かに良い事を言っているように思える。

おそらく天之河の言葉に共感する人は多いだろう。

だが、

 

「それは逆に言えば、お前にとっての『普通』なんじゃないのか?」

 

「えっ…………?」

 

天之河は虚を突かれたように呆けた。

 

「お前は知り合う人全てを『大切』だと言った。つまり、お前にとって知り合った人を『大切』にするのは普通の事なんだ。『特別』でも何でもない」

 

「な………に…………?」

 

「おそらくお前は恋人になった女性ですら、その『大切』の括りに入れるんだろう。つまり、お前にとっての普通の扱いと何ら変わりは無い。寝返った中村も同じような事を言ってたらしいじゃないか」

 

中村が裏切った時の大まかな理由は八重樫さんから聞いている。

 

「ハジメは違う。ハジメは『特別』と『大切』とそれ以外を明確に分けている。だからこそ護られる側にとって、自分は『特別』や『大切』に思われていると強く認識できる。お前は『大切』の括りが大きすぎるから、護られる側は自分は本当に『大切』にされているのかと疑うんだよ」

 

「そ、そんな…………俺はそんなつもりじゃ………」

 

「お前はハジメが女を侍らせているように思っているかもしれないが、ハジメは自分から言い寄った事など一度もない。ハジメが自分の信念の許、起こしてきた行動を見た白崎さんやユエ達がハジメに惹かれ、その彼女達がどんな形であれハジメと共に居たいと望んだ。その結果が今の状況と言う訳だ」

 

「………………………」

 

「お前は『護る』と言う言葉をよく使うが、『護ってるつもり』で自己満足に浸ってるだけじゃないのか?」

 

「ッ…………!」

 

天之河は目を見開いて絶句する。

すると、

 

「……………悪い事なのか………?」

 

沈黙の末に言葉が漏れた。

 

「ん?」

 

「大勢の人達を護ろうとすることは、そんなに悪い事なのか!?」

 

天之河が叫ぶ。

 

「そんなわけないだろ」

 

「えっ?」

 

俺の言葉が意外だったのか、素っ頓狂な声を漏らす。

 

「『大勢の人達を護る』。それ自体は立派な事だと思うし、俺も否定する気は無い。だが、お前は自分『1人で全てを護ろうとしている』から駄目なんだ。1人で護り切れる人数なんてたかが知れてる。それなのにお前は自分の護れる容量を超えてまで護ろうとしている。その結果、表面上だけ助けたつもりで満足して、本当に助けてほしい時に助けてあげられないのなら、お前はただの嘘つきだ」

 

「ッ……………!?」

 

「それに、それは自分以外を足手纏いと判断しているに等しい」

 

「俺はそんな事…………!」

 

「思っていなくてもそう判断できるって話だ。それに、『護る』事と『護り続ける』事をお前は明確にしていない」

 

「『護る』事と『護り続ける』事?」

 

「『護る』だけなら、今その場で護ればいい。けど、『護り続ける』事はこの先ずっと護っていくという意味だ。お前は安易にどんな時でも護ってやるって言ってるようだが、それは言い換えれば『護り続ける』と言う意味になる。1人の男が『護り続けられる』女性は1人ないし少数だ。この意味が分からない程馬鹿じゃないだろう?」

 

「そ、それは…………」

 

「俺が『護り続ける』女性は葵と優花だけだし、ハジメでも今現在では白崎さんとユエの2人、そしてそこにシアが入った。俺もハジメも、半端な覚悟で『護り続ける』と誓ったわけじゃない。それこそ『一生護り続ける』覚悟を持ってそう決めたんだ。お前は俺達を複数の女性を囲う最低な輩だと思っているのだろうが、俺から言わせれば、一生護り続ける覚悟も無いのに、『護り続ける』と多くの女性達に言って回っているお前の方がよっぽど最低だと思うぞ」

 

「………………」

 

ここまで言って分からなければ、俺にはこいつをどうすることも出来ない。

俺はそのまま踵を返そうとして……………

突如として足元が傾いた。

 

「うわっ!?」

 

「何だっ!?」

 

俺と天之河はバランスを崩して咄嗟に手すりに摑まる。

次の瞬間、激しい揺れと共に飛空艇の右舷に爆発が起こった。

 

「くっ!」

 

俺は状況を確認するためにハジメ達の居る場所へ急ぐ。

その間にも、飛空艇は激しく傾いたり、爆発の様な音が続く。

時折壁に身体を打ち付けながらもハジメ達が居るブリッジへ辿り着くと、

 

「一体何があった!?」

 

俺は入るなりそう口にする。

 

「攻撃だ!」

 

ハジメが叫ぶ。

 

「おい、ここは空の上だろう!? 何で攻撃を受けるんだ!?」

 

後から追いついて来た天之河が叫びながら聞くと、

 

「こういう事だよ!」

 

ハジメは水晶ディスプレイに映像を映す。

 

「プテラノモン!」

 

そこに映っていたのは、編隊を汲んで飛行している無数のプテラノモン達。

 

「プテラノモン アーマー体 フリー種 翼竜型デジモン。必殺技は『ビークピアス』ですぅ!」

 

シアがDアークで情報を読み上げた。

すると、プテラノモンがその鋼鉄の翼に装備されているミサイルを発射してくる。

 

「ちっ!」

 

ハジメは舌打ちしつつ飛空艇を操作し、傾きながらミサイルを回避するが、数発避け切れずに被弾してしまう。

 

「相棒! 大丈夫なのか!?」

 

アグモンがそう声を上げると、

 

「普通のアーマー体の攻撃だからな………すぐに撃墜されるって事はねえが、攻撃を受け続ければ分かんねぇ!」

 

ハジメはやや余裕無さげにそう言う。

 

「なら、空を飛べるデジモン達で迎撃に出る! 幸いプテラノモンだけなら対処は難しく……………」

 

俺がそう言おうとした瞬間、目の前の雲の中に、赤い光が見えた。

 

「クッ!?」

 

その瞬間、ハジメが飛空艇を操作し、大きく傾かせると同時に急旋回した。

その瞬間、雲を吹き飛ばしながら赤い閃光が飛空艇のすぐ下部を通り過ぎた。

その閃光は雲を吹き飛ばしながら彼方へ消える。

 

「い、今のは………?」

 

優花が声を漏らした時、先程の閃光で正面の雲が吹き飛ばされていた為、そこに居る存在が目に入った。

それは、この飛空艇の大きさに勝るとも劣らない大きさを持つ、蜂の巣を担いだ蜂を思わせる風貌をした、巨大なサイボーグ型デジモン。

 

「キャノンビーモン!」

 

俺は思わず叫ぶ。

 

「キャノンビーモン 完全体 ウィルス種 サイボーグ型デジモン。必殺技は、『ニトロスティンガー』と『スカイロケット∞』」

 

ティオがデータを読み上げる。

しかもキャノンビーモンは1体だけではない。

3体ものキャノンビーモンが飛空艇の正面に滞空していた。

 

「チッ! 知らないデジモンだが完全体! しかも3体か! いくらフェルニルでも完全体の攻撃の直撃を喰らえばアウトだ!」

 

ハジメが危機感を露にする。

キャノンビーモンの腹の先にある針を模した砲塔の先に赤い光が集中する。

 

「ハジメ!」

 

「糞がっ!」

 

ハジメが悪態を吐きながら飛空艇に回避行動を取らせる。

3条の赤い光線の内の1本が飛空艇の一部に掠り、その部分が爆発した。

 

「くそっ! これじゃジリ貧だぞ!」

 

ハジメの言葉を聞きながら俺は考えを巡らせる。

今の此方の戦力で採れる最善策は………

 

「ッ!」

 

俺は葵とリュウダモンを見る。

恐らく今思いついた策がこの飛空艇を護りつつ敵を撃退する最善策だろうと思う。

でも、この策は…………

 

「大士」

 

俺が一瞬迷いを感じた時、そう声を掛けてきたのは葵自身だった。

 

「大士の考えた作戦なら大丈夫。私達は大士を信じてるから。だから大士も私達を信じて?」

 

葵の言葉に俺は迷いを捨てた。

俺は顔を上げると、

 

「よし! 作戦の要はベルゼブモンとオウリュウモン! ベルゼブモンはドルグレモン、メタルグレイモンと共に、キャノンビーモンへの攻撃を担当!」

 

「おっしゃ! 任せとけ!」

 

インプモンが気合を入れて返事をする。

 

「オウリュウモンにはキャノンビーモンからの防御を担当してもらう。一番危険な役割だが…………頼めるか?」

 

俺は出来るか?とは聞かない。

オウリュウモンなら………葵とリュウダモンなら出来ると判断しての役割だ。

 

「勿論!」

 

「守りの要………見事果たして見せようぞ!」

 

葵とリュウダモンは迷わずに頷く。

 

「なっ!?」

 

天之河が声を漏らすが、俺はそれを無視し、

 

「プテラノモン達には残りのメンバーで相手をして貰う。空を飛べるのがティオのコアドラモンだけだが、優花のセイバーハックモン、白崎さんのワーガルルモン、八重樫さんのナイトモンの完全体デジモンにオプションカードで飛行能力を付与すれば、空中戦にもある程度対応できると思う。ユエのブイドラモン、シアのレッパモンは飛空艇の上からプテラノモン達からの攻撃を撃ち落とす事に専念してくれ。でも、無理にプテラノモン達を撃墜しようとしなくていい。ベルゼブモン達はキャノンビーモン達を倒したら、すぐに援護に来てくれ。ハジメは辛いだろうが飛空艇の操縦に専念だ。下手に魔力を消費して墜落なんてシャレにならん。念のために、優花と白崎さんの魔力も温存の方向で」

 

俺のが作戦を伝えると、仲間達は頷いたが、

 

「ちょっと待て! お前、さっき散々俺に『護る』事を説いておきながら、護る存在だと言った神代さんを盾にするとはどういう事だ!?」

 

天之河が文句を言って来た。

俺は時と場合を考えない勇者(笑)にイラッとしたが、

 

「…………葵も優花も、護られるだけの弱い女じゃないんでね!」

 

俺はそう言う。

 

「2人は俺が『護る』と誓った相手であると同時に、『信頼する仲間』でもある。俺は仲間である葵とリュウダモンならこの役目を果たせると信じたから任せただけだ」

 

「だ、だが…………!」

 

天之河が口を開こうとした時、

 

「一々煩いのよ頭お花畑の天然勇者!」

 

優花が天之河を睨み付けながら言った。

 

「そ、園部さん………?」

 

「いい加減私達の関係に口を出すのを止めてくれない? 私達は大士がアンタみたいに一方的に護るだけの男だったらこんなにも好きにはならなかった。精々その力を信用する程度よ。だけど、大士は私達を信じて頼ってくれる。だから私達も大士を信頼できるの!」

 

「………………………」

 

天之河は何も言えなくなる。

 

「今はともかく迎撃が最優先だ。行くぞ!」

 

俺はそう言って皆を促した。

 

 

 

 

 

飛空艇の上部に出た俺達は、デジモン達を進化させ、迎撃作戦を開始した。

 

「頼んだぞ、ドルグレモン! ベルゼブモン! メタルグレイモン!」

 

「ああ!」

 

「任せとけ!」

 

「すぐに片付けてやる!」

 

3体はそう言うと翼を羽搏かせて飛び立つ。

すると、キャノンビーモンが再び砲口を赤く輝かせる。

 

「オウリュウモン! 頼む!」

 

「承知!」

 

オウリュウモンが空中を泳ぐ様に前方に躍り出ると、キャノンビーモンから赤い閃光が放たれる。

 

「ぬん!」

 

オウリュウモンはそれを、大刀を交差させて受け止めた。

その際に放たれる光に俺達は目を庇う。

その光が収まると、

 

「大丈夫か!?」

 

俺は咄嗟に確認する。

 

「問題無い。これしきの攻撃、いくらでも受けて見せよう!」

 

オウリュウモンはハッキリとそう言った。

 

「頼むぞ!」

 

俺はそう言うと、プテラノモンの編隊に向き直る。

すると、プテラノモン達はミサイルを一斉に放ってきた。

無数のミサイルが尾を引きながら迫ってくる。

 

「攻撃、来ます!」

 

シアが叫ぶ。

 

「全員で迎撃!」

 

俺が叫ぶと、

 

「ブイブレスアロー!!」

 

ブイドラモンがV字の熱線を放ち、

 

「真空カマイタチ!!」

 

レッパモンが尾を振って真空波を飛ばし、

 

「ブルーフレアブレス!!」

 

コアドラモンが青い炎を吐き、

 

「カイザーネイル!!」

 

ワーガルルモンが赤い爪撃を飛ばし、

 

「ベルセルクソード!!」

 

ナイトモンが大剣を振った際の剣圧で薙ぎ払い、

 

「メテオフレイム!!」

 

セイバーハックモンが、口から炎弾をマシンガンの如く吐き出す。

迎撃されたミサイルが爆発し、空一面が真っ赤に染まる。

プテラノモンはそのまま飛空艇の近くを通り過ぎるが、空中を旋回して再び向かって来る。

そちらを警戒しながらも、俺はキャノンビーモンの方に目をやると、キャノンビーモンの1体が煙を上げながら傾いているのが見えた。

 

「先ずは1体か………」

 

煙を上げて雲の中へ消えて行くキャノンビーモンを見て俺はそう漏らす。

この分なら、2、3回プテラノモンの攻撃を凌げばベルゼブモン達がこちらに来れると判断した。

残ったキャノンビーモンがこちらに向かって攻撃してくるが、その攻撃は再びオウリュウモンが受け止める。

このまま行けば、特に被害無く乗り切れると思った。

このまま行けば…………の話だが。

その瞬間、足場がぐらりと傾いた。

飛空艇が急旋回したのだ。

その瞬間、上がった左翼の先が下から飛び出してきた大きな物体によって切断される。

 

「くっ!」

 

「きゃあっ!?」

 

「何事っ!?」

 

それぞれが足場にしがみ付きながら振り落とされないように耐える。

俺は下方から飛び出してきた存在に視線を向けると、そこには灰色の巨大なクワガタの様なデジモンが居た。

 

「オオクワモン!」

 

俺はそのデジモンの名を叫ぶ。

 

「………オオクワモン 完全体 ウィルス種 昆虫型デジモン。必殺技は、『シザーアームズΩ』」

 

ユエがDアークのデータを読み上げた。

 

「完全体による奇襲とは………やってくれるのう………」

 

ティオがそう漏らす。

その時、キャノンビーモンが居る方角から大爆発と共に衝撃が走った。

遠くてよく分からないが、ベルゼブモンと何かが激しい戦いを繰り広げている。

 

「ベルゼブモンと何かが戦ってる?」

 

八重樫さんが怪訝そうな声を漏らした。

俺はDアークを取り出し、近くで戦っているドルグレモンの視覚を映し出すと、そこにはベルゼブモンに相対する、青い機械の身体を持った竜人の様な姿をしたデジモンが映っていた。

それと同時に、Dアークにデータが表示される。

 

「ダークドラモン 究極体 ウィルス種 サイボーグ型デジモン。必殺技は、『ダークロアー』と『ギガスティックランス』…………究極体だと………!」

 

俺は新たに現れたデジモンに戦慄する。

更に、

 

『危ない!』

 

オウリュウモンと融合している葵の声が聞こえた瞬間、側面から極太の熱線が襲い掛かってきた。

 

「なっ!?」

 

俺は驚愕の声を漏らすが、その前にオウリュウモンが立ちはだかってその熱線を受け止める。

オウリュウモンは爆煙に包まれるが、すぐに無事な姿が見えた。

俺はその姿にホッとすると、視線を熱線の大本に向ける。

そこには、色々なデジモンのパーツを組み合わせた姿のデジモンが居た。

 

「あれって、キメラモン………!?」

 

白崎さんが叫ぶ。

アニメにも出てきた完全体デジモンだ。

出る作品によっては究極体である場合もあるが…………

 

「キメラモン 完全体 データ種 合成型デジモン。必殺技は、『ヒートバイパー』」

 

白崎さんが読み上げた完全体であるという事実に少しだけホッとする。

もし究極体だったら、確実に被害が出ていた。

俺とドルグレモンがアルファモンに進化しても飛べないから足手纏いだし。

とは言え、完全体でも気は抜けない。

 

「オウリュウモンは変わらずキャノンビーモンからの攻撃を防いでくれ!」

 

「心得た!」

 

「ナイトモンは大盾でキメラモンの攻撃からの防御を! 八重樫さん! 防御系のオプションカードでナイトモンのサポートを!」

 

「了解でござる!」

 

「ええ!」

 

「ワーガルルモンはキメラモンに攻撃! セイバーハックモンはオオクワモンを頼む!」

 

「わかった!」

 

「任せよ!」

 

「ブイドラモン、レッパモン、コアドラモン! キツイだろうが何とか持たせてくれ! ユエとティオも迎撃に参加! シア! プテラノモンはミサイルを撃ち尽くしたらおそらく突っ込んでくる! その時に思いっきりぶちかませ!」

 

「おお!」

 

「うむ!」

 

「了承した!」

 

「………ん!」

 

「任せよ!」

 

「了解ですぅ!」

 

俺は咄嗟に役割分担を決め、皆はそれに迷うことなく返事を返してくれる。

だが、敵の戦力が増えたことで、敵からの攻撃の頻度が上がってくる。

完全体からの攻撃は、オウリュウモンとナイトモンが何とか防いでいるが、プテラノモンのミサイル攻撃は、いくつかは通してしまい、飛空艇のダメージが蓄積している。

セイバーハックモンとワーガルルモンは不慣れな空中戦の為、優位に戦う事が出来ない。

何か反撃の切っ掛けがあれば………!

俺がそう思っていた時、プテラノモン達の動きが変わった。

今まで距離を取りつつミサイル攻撃をしてきていたのが、動きが直線的になり、上空から垂直降下してきたのだ。

 

「ミサイルが切れたのか! 突っ込んでくるぞ!」

 

プテラノモンのミサイル攻撃も確かに厄介なのだが、プテラノモンの本当の攻撃は、この上空から垂直降下により、鋭い鼻先で相手を射抜く、必殺技の『ビークピアス』だ。

威力だけならミサイルよりも上。

 

「ブイブレスアロー!!」

 

ブイドラモンが接近してくるプテラノモンを熱線で撃ち落とし、

 

「駆駆裂空斬!!」

 

レッパモンが高速で前転しながら迫りくるプテラノモン達を切り裂いていき、

 

「ストライクボマー!!」

 

コアドラモンが強靭な尾で近付いてくるプテラノモン達を薙ぎ払う。

 

「〝雷龍〟」

 

ユエが雷の龍で蹂躙し、

 

「うぉりゃぁああああああああああっ!!」

 

シアが戦槌で片っ端から殴り飛ばす。

 

「喰らうが良い!」

 

ティオもブレス攻撃で広範囲を薙ぎ払う。

それほどの攻撃を以ってしても、プテラノモンの大群の攻撃は防ぎきることが出来ず、その鋭い鼻先はいくつも飛空艇の装甲に穴を開ける。

1度目の攻撃では装甲に穴が開いただけで内部まで達していないが、何度も攻撃されれば危ないだろう。

攻撃が成功したプテラノモンは、反撃を受ける前に再び空へ舞い上がる。

 

「また来る!」

 

八重樫さんが叫ぶ。

プテラノモンが再び垂直から降下してくる。

ブイドラモン達やユエ達は、再び迎撃しようと待ち構える。

だがその時、一斉に降下してきたプテラノモン達が二手に分かれた。

 

「なっ!?」

 

俺は驚愕するが、分かれた一方がセイバーハックモンへ殺到し、もう片方がワーガルルモンへ殺到する。

 

「なっ!? ぐわぁあああああっ!?」

 

「うわぁあああああああっ!!」

 

セイバーハックモンとワーガルルモンが不意打ちを受けて隙を晒してしまう。

その時、キャノンビーモンから砲撃が襲い掛かり、同時にキメラモンが口から熱線を俺達に向かって放つ。

そして、オオクワモンがセイバーハックモンを振り切り、側面から突っ込んできた。

その攻撃は、どれも飛空艇を一撃で沈める威力を持っている。

それを俺達は…………

 

「むん!!」

 

オウリュウモンが迷わずにキャノンビーモンの砲撃を防ぎ、

 

「させぬでござる!」

 

ナイトモンはキメラモンの熱線を大盾で受け止める。

このような状況でも、それぞれは俺の指示を信じて自分の役割を全うした。

ならば俺も、その信頼には応えなければならない!

 

「うぉおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

俺は全身からデジソウルを発しながらオオクワモンに向かって駆ける。

目の前には、オオクワモンが大きく顎を広げている。

オオクワモンの必殺技、『シザーアームズΩ』。

その攻撃は、この飛空艇すら真っ二つに切り裂くだろう。

そうなれば、この船に乗っている皆も無事では済まない。

そう、葵や優花も…………

 

「ッ………!」

 

その脅威から護りたいと思う気持ちが更に激しくデジソウルを燃焼させる。

俺は迷わずに飛空艇の端から踏み切った。

デジソウルによって強化された脚力が、俺に人間離れした跳躍力を持たせてくれる。

俺の身体は勢い良く押し出され、オオクワモンの頭部のすぐ前に到達する。

 

「はぁあああああああああああああああっ!!!」

 

俺は渾身の思いを込めて、右の拳を繰り出した。

俺の右拳に感じるのは、以前殴り飛ばしたミノタルモンよりも、遥かに硬い感触。

しかし、それでも俺は力を緩める気は無い。

 

「だりゃぁあああああああああああああっ!!」

 

俺は拳を振り抜く。

 

「ギィェエエエエエエエエエエエッ!?」

 

オオクワモンは驚愕したように鳴き声を上げると、硬い壁にぶつかった様に跳ね返され、バランスを崩しながらふらつく。

僅かに降下したが、オオクワモンは羽を羽搏かせて持ち直す。

それでもまだふら付いてはいるが。

一方、俺には飛べる術など持っていないので、重力に引かれて落ちて行く。

 

「………………………」

 

それでも俺は、ひとかけらの心配もしていなかった。

何故なら、

 

「大士!」

 

俺を追って飛空艇から飛び降りてくる人影。

その人影が俺に追いついて手を伸ばす。

俺は笑みを浮かべてその手を掴んだ。

 

「大士!」

 

「優花!」

 

飛び降りてきた人影、優花は俺の手を掴むと〝空力〟による足場を作ってその場に留まる。

 

「大士、大丈夫!?」

 

俺を心配する言葉に、

 

「ああ、信じてたからな」

 

俺は信頼の言葉で返す。

 

「…………馬鹿」

 

優花は顔を赤くして呟く。

そのまま足場を蹴って飛空艇の上に戻る。

 

「おお、無事であったか。先程は何とか凌げたが、何度も来られると拙いのう」

 

ティオはそう言う。

 

「どうする? ハジメでも呼ぶか? あいつの遠距離攻撃と殲滅力は、この場を乗り切る一手にはなると思うが………」

 

ここでハジメの魔力を使わせるのは心配だが、ここで飛空艇が墜ちては元も子もない。

すると、

 

「必要ない」

 

ユエが、

 

「ハジメさんは私達を信じて私達に任せてくれました。なら、その信頼に応えるのが私達の役目です!」

 

シアが、

 

「それに、主らも言ったが、妾達も護られるだけの女では居たくないからのう」

 

ティオがそう言う。

 

「「「だからこの程度、私(妾)達で十分(ですぅ)(じゃ)!」」」

 

それぞれが決意の言葉を口にする。

 

「僕達も、いつまでも足手纏いじゃいられない!」

 

「シアが諦めぬ限り、我もその思いに応えよう!」

 

「ティオの誇り高き心。己はそれを信じる!」

 

パートナーデジモン達も、諦めの心は無い。

その時、彼女達が持つカードが青い光を放つ。

それぞれがカードを取り出すと、

 

「これは………」

 

「ブルーカード………」

 

「ならば…………!」

 

そのカードを手に、パートナーデジモン達に向き直る。

 

「ブイドラモン」

 

「うん」

 

「レッパモン」

 

「うむ」

 

「コアドラモン」

 

「ああ」

 

テイマーの言葉にそれぞれが頷くと、

 

「クルックル~!」

 

何処からともなく額を輝かせたクルモンが現れ、

 

「「「カードスラッシュ!」」」

 

3人が同時にブルーカードをスラッシュする。

 

「「「マトリックスエボリューション!!」」」

 

「クル~~~~!!」

 

クルモンの額のマークが強い輝きを放つ。

 

――MATRIX

  EVOLUTION――

 

それぞれのDアークの画面にその文字が刻まれ、光を放つ。

 

「ブイドラモン進化!」

 

ブイドラモンが光に包まれ、その中で巨大化する。

頭部の3本の角は更に大きくなり、身体の各所はより格闘的に。

そして背中には、大空を翔る大きな翼を持った聖竜型完全体デジモン。

 

「エアロブイドラモン!!」

 

 

 

「レッパモン進化!」

 

レッパモンが光の中で進化する。

その姿を大きく変え、その身体は緑の鱗に覆われた馬の様な姿へ。

それは、伝説の幻獣、麒麟のような姿をした聖獣型デジモン。

 

「チィリンモン!!」

 

 

 

「コアドラモン進化!」

 

コアドラモンが光の中で進化する。

翼が大きく発達し、重力を遮断する鱗に包まれる。

身体も空中を飛ぶことに適したものへと進化し、背中には鋭い槍を背負った天竜型デジモン。

 

「ウイングドラモン!!」

 

光の中から、3体の完全体デジモンが現れた。

そして、その3体は全てが飛行に適したデジモンだ。

 

「ブイドラモン達が………進化した」

 

俺は思わず呟く。

 

「行って、エアロブイドラモン………!」

 

「おう!」

 

「チィリンモン! 今までの借りを返してやるです!」

 

「任せよ!」

 

「ウイングドラモン! その力を見せてみよ!」

 

「了承した!」

 

それぞれが声を掛けた瞬間、衝撃波が辺りを襲った。

エアロブイドラモンが羽搏いたと思ったら猛スピードてキメラモンに接近、その顔を殴りつける。

チィリンモンは空中を駆けるように移動し、オオクワモンへと体当たりを仕掛けた。

ウイングドラモンは一瞬でプテラノモンの群れを突っ切ったかと思うと、遅れて衝撃波がプテラノモン達を襲い、互いに激突したり、空気の激流に呑まれて墜落したりしていた。

 

「エアロブイドラモン 完全体 ワクチン種 聖竜型デジモン。必殺技は、『Vウィングブレード』と『ドラゴンインパルス』」

 

「チィリンモン 完全体 ワクチン種 聖獣型デジモン。必殺技は、『疾風天翔剣』、『迅速の心得』、『改心の波動』」

 

「ウイングドラモン 完全体 ワクチン種 天竜型デジモン。必殺技は、『ブレイズソニックブレス』、『エクスプロードソニックランス』、『ウイングブラスト』」

 

俺、優花、八重樫さんがそれぞれのデータを読み上げる。

その間にも、新たな3体の完全体デジモンによる攻撃は続いていた。

 

「うぉおおおおおおおおっ!!」

 

エアロブイドラモンは高速移動を駆使した格闘戦。

キメラモンの4本の腕も、エアロブイドラモンのスピードの前には掠りもしない。

気付けば後ろに回られて攻撃を受けていた。

 

「迅速の心得!」

 

チィリンモンはその素早い動きで分身を作り出し、オオクワモンを完全に翻弄する。

 

「遅い………!」

 

ウイングドラモンは普通に飛ぶだけで音速を超え、衝撃波を発生させる。

その衝撃波に巻き込まれたプテラノモンは攻撃どころではない。

今までピンチだった状況を完全にひっくり返した。

 

「オウリュウモン! キャノンビーモンの砲撃を防ぎながらベルゼブモン達の応援に向かってくれ!」

 

俺はここぞとばかりに攻勢に出る指示を出す。

 

「心得た!」

 

オウリュウモンが待っていたと言わんばかりにベルゼブモンの方へ向かって行く。

 

「ナイトモンはこのまま防御を担当! 万が一に備えてくれ!」

 

「了解でござる!」

 

「セイバーハックモンとワーガルルモンは待機しながら力を溜めるんだ!」

 

「うむ!」

 

「分かった!」

 

俺はそれぞれの戦いを見据える。

キメラモンはエアロブイドラモンを捉える事が出来ずに無茶苦茶に熱線を撃ち放っているが、エアロブイドラモンには掠りもしない。

偶にこっちに飛んで来ても、ナイトモンがしっかりとガードする。

すると、

 

「カードスラッシュ。 高速プラグインH ハイパーアクセル………!」

 

ユエがカードを静かにスラッシュした。

しかも、高速系のオプションカードだ。

既にスピードで翻弄している所に更にスピード上げるとは………

えげつねえ………

俺はハジメに似たユエの容赦の無さに戦慄する。

エアロブイドラモンのスピードは更に上がり、既に生身の人間の目には見えないほどのスピードだ。

キメラモンにも全く追えていないだろう。

キメラモンがエアロブイドラモンの姿を完全に見失った時、強烈なアッパーカットがキメラモンの顎に叩き込まれ、キメラモンが大きく体勢を崩す。

 

「ワーガルルモン!!」

 

俺はワーガルルモンに合図を出す。

 

「おお! カイザーネイル!!」

 

キメラモンが怯んだ瞬間を狙い、ワーガルルモンが両の爪を交差させてキメラモンの胴体を大きく切り裂く。

 

「エアロブイドラモン!」

 

そのタイミングでユエが叫ぶ。

すると、エアロブイドラモンが翼を大きく広げると、その翼が青く輝き出す。

そして、

 

「Vウイングブレード!!」

 

その翼からVの文字を象った光のエネルギー波が発せられた。

そのエネルギー波は、ワーガルルモンが傷を付けた胴体部分に直撃、そのまま貫き、キメラモンを上下真っ二つに切り裂いた。

キメラモンは、そのままデータ分解されていった。

一方、オオクワモンはチィリンモンの分身攻撃に完全に翻弄されており、闇雲に分身体に攻撃をしているだけだった。

オオクワモンは、1対1の真っ向勝負なら相当強力なデジモンだ。

だが、その攻撃は直接攻撃しかなく、素早い動きで敵を翻弄するチィリンモンには相性が悪いと言わざるを得ない。

そして、オオクワモンの気が完全にチィリンモンに向いた時、

 

「トライデントセイバー!!」

 

セイバーハックモンは両腕と尾の先の三本の赤い刃でオオクワモンの甲殻にX字と縦一文字に傷をつける。

その瞬間、

 

「疾風天翔剣!!」

 

チィリンモンが上空から一気に急降下し、頭部の鋭い角でオオクワモンの傷の中心を刺し貫いた。

 

「ギェエエエエエエエエエエエエエッ!?」

 

オオクワモンは断末魔の悲鳴を上げて分解された。

そしてウイングドラモンは先程から飛び回っていたが、それは適当に飛び回っているだけでは無かった。

俺もつい先ほど気付いたが、ウイングドラモンが巻き起こす衝撃波により、プテラノモンが1ヶ所に集められているのだ。

そして、その状況が意味する所はただ一つ。

 

「ブレイズソニックブレス!!」

 

1ヶ所に集められたプテラノモン達に向かって、音速を超えたスピードで灼熱の炎が口から放たれる。

衝撃波で作り出した網で獲物を集め、そこを一気に焼き尽くす。

一網打尽。

正にその言葉がぴったりな状況だった。

プテラノモンは一体残らず焼き尽くされ、データに分解されていった。

 

 

 

 

デジモン達が戻ってきた時、飛空艇の中からハジメが現れた。

ハジメは白崎さん、ユエと労い、シアに目を向けると、

 

「よくやった、シア」

 

そう言いながらシアの頭を撫でるハジメ。

その行動にシアは感極まり、

 

「ハジメさぁぁぁぁぁぁん!」

 

ハジメに抱き着きながら泣いてしまった。

そして、それを見ていたティオが羨ましそうに、アピールしだし、

 

「ご主人………妾も頑張ったぞ。妾も頭を撫でてたも?」

 

「寄るな変態」

 

「おおう!? この仕打ちの差! 流石は我がご主人、容赦が無い! んんっ! 流石じゃ」

 

酷い扱いを受けて快感を感じる相も変わらずなティオ。

だがそれを見て、

 

「なあウイングドラモン。ホントのホントーーーーにこいつがパートナーでよかったのか?」

 

メタルグレイモンがウイングドラモンに再度問いかけた。

 

「……………本当に普段は尊敬できるパートナーなのだがな…………」

 

ウイングドラモンは、何処か達観した表情で溜息を吐いたのだった。

 

 

 

 

 




第55話です。
ほぼオリジナルの話となりました。
丁度残っていた3体の完全体が空中が得意なデジモンで、味方に空中戦が得意なデジモンが少なかったので天空の大決戦としました。
飛べるデジモンは結構いますが、空中戦が得意なデジモンとなると結構限られてきますよね。
なんか前回のオマケがハマったのか反響が凄い…………
正直過去作のベル不敗の二番煎じだったのでそこまで受けていただけるとは思いませんでした。
さて、次回から最後の迷宮探索に入ります。
お楽しみに。
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