ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第71話 竜の誇りを胸に…………竜帝エグザモン降誕!!

 

 

 

【Side ティオ】

 

 

 

 

シアがご主人様に言われて解放者の1人であるというミレディに会いに行っている間、妾にもご主人様からの依頼があったのじゃ。

それは、竜人の戦力を連れてくること。

とは言え、もちろんロイヤルナイツにぶつけると言う訳では無く、妾達が『神域』に突入した際の、手薄になる王国の防衛の為じゃ。

ご主人様やタイシの話では、究極体デジモンとはそもそも限られた一部のデジモンしか進化することが出来ず、そこまで数は多くないとの事じゃ。

即ち、今まで究極体デジモンに遭遇してきた方が稀な事で、ロイヤルナイツを呼び出した今、イグドラシル側に究極体が残っていたとしても、ご主人様達が『神域』に攻め入れば、全て防衛に回すだろうという事がご主人様やタイシ達の予想じゃ。

その間に完全体デジモンや成熟期デジモンが王都に攻め込んだ時のための防衛力として竜人の力を貸してほしいとの事じゃ。

まあ、竜人族ならば並の戦士でも成熟期デジモン並の強さは持って居るし、精鋭ともなれば妾と同じく完全体に迫る者も居る。

力を合わせれば持ち堪えることも不可能では無いじゃろう。

それに世界の危機じゃ、竜人族としても参戦せぬわけにはいかん。

そう言う訳でご主人様が用意したアーティファクトで隠れ里まで戻って来たわけじゃが………

何故こうなったのじゃろう?

 

「姫!? お気を確かに!!」

 

「アドゥル様が気絶為されたぞ!?」

 

「リスタス! しっかりしろ………!! ッ………心臓が止まってる!?」

 

里の者達は阿鼻叫喚に包まれておる。

何故じゃろう?

妾はただ、『御主人様と呼ぶべき方との出会い』を細かく語っただけじゃったのに…………

 

「……………なあティオよ…………もしかしてだが、ティオのその…………特殊な性格は、ハジメ達と出会った後に培ったものだったのだろうか?」

 

ドラコモンが妾にそう聞いてくる。

 

「ご主人様と出会った後…………というより、妾の新たな『扉』を開いてくれたのが主人様じゃったからのう…………」

 

「そうだったのか…………」

 

ドラコモンはそう呟くと、何故か同情する様な視線を里の者達へ向ける。

なぜそのような視線を向けるのじゃ?

納得いかないんじゃが……………

ともあれ、妾は里の者達へ空に現れた大地の正体と現状を伝え、協力する様に要請する。

何とか復活したじい様は、

 

「うむ………話は理解できた。既に怨敵である『エヒト神』は消滅したが、それとは別の『神』がこの世界と異世界を衝突させて共に消そうとしており、その『神』をティオ達が倒しに行く間に地上の者達を護って欲しいという事だな?」

 

「うむ。じゃが、敵は強力故、ご主人様の作ったアーティファクトで力を底上げもらうが、それでも厳しい戦いとなるじゃろう」

 

妾は注意の意味も含めてそう言う。

すると、

 

「お待ちください! 世界の危機であれば力を貸すことに異論はありません! しかし、どこぞの馬の骨が作ったアーティファクトの力を借りずとも、我ら竜人族の力ならどのような敵でも打ち勝てます!!」

 

リスタスが口を挟んでくる。

 

「ほう? リスタスよ。我がご主人様を馬の骨と申すか………?」

 

妾にとってその言葉は看過できん。

 

「うっ………! お、俺はその人間族の男をまだ認めてはいません! 何よりまだ信じられないのです! 竜人族の姫であり最強の力を持つ姫様が人間族の男に後れを取ったなど…………!」

 

ふむ、妾を姫として敬ってくれることは嬉しいが、それ故にご主人様を認められぬか…………

 

「それに道具の力に頼るなど、姫様は最強種族としての誇りも失ってしまったのですか!?」

 

最強の種族である竜人族。

その自負が目を曇らせておるな。

 

「ふむ…………ならば、戦ってみるかの?」

 

「は…………?」

 

「丁度今ここに、戦うであろう敵と同等の力を持つドラコモンが居る。ドラコモンと戦い、勝てたなら妾も文句は言わぬ。好きにするがよい」

 

「ッ…………姫様は俺を侮辱なされるおつもりか!? 俺がそんなチビ竜に負けるとでも!?」

 

「そう思うのなら戦えば良かろう? 勝てば先ほども言った通り文句は言わぬ」

 

「…………その言葉に嘘はありませんね?」

 

「竜人族の誇りに懸けて誓おう」

 

「よろしい! 受けて立ちましょう!!」

 

リスタスは立ち上がる。

 

「ティオ………」

 

「じい様、ここは黙って見ていてくだされ。これから戦う敵がどの程度のものか、丁度よい指針になるじゃろう」

 

リスタスを利用している気がするが、まあ、直接力を思い知るいい機会じゃ。

妾達は里から少し離れた場所を決闘の場とし、ドラコモンとリスタスが向かい合っていた。

 

「ティオ………本当に良いのか?」

 

ドラコモンが心配そうに妾に確認する。

 

「うむ、リスタスには悪いがデジモンの力を直接見るいい機会じゃ。里の者にもよく見ておいて欲しいのでな」

 

妾の言葉にドラコモンはリスタスに向き直る。

 

「おいチビ竜! 姫様のパートナーだか何だか知らんが、貴様の様な弱い竜が姫様の傍にいる資格など無い事を教えてやる!!」

 

リスタスはそう言うと〝竜化〟し藍色の竜となった。

ふむ、ドラコモンへの暴言は気に入らんが、油断せずに〝竜化〟したことは正しい。

 

「では、こちらも行こうかの、ドラコモン」

 

「承知した!」

 

妾はDアークとカードを取り出す。

 

「カードスラッシュ!」

 

スラッシュするカードがブルーカードへと変化し、

 

「マトリックスエボリューション!!」

 

そのカードをスラッシュした。

 

――MATRIX

  EVOLUTION――

 

「ドラコモン進化!」

 

Dアークから放たれる光を受けて、ドラコモンが完全体へと進化する。

 

「ウイングドラモン!!」

 

蒼き天竜となったウイングドラモンがその場に降り立つ。

 

『なっ!?』

 

相対しているリスタスが驚愕の声を漏らし、

 

「これは…………!?」

 

妾の隣で見ているじい様も目を見開いておる。

 

「これがデジモンの最大の特徴である『進化』じゃ。普通はこのような急激な進化はせぬのじゃが、ドラコモン達『パートナーデジモン』は『テイマー』の力で進化させることが出来るのじゃよ。そしてもちろん、進化すればするほど強くなるのじゃ」

 

完全体のウイングドラモンは〝竜化〟した竜人族より一回り以上大きい。

 

『うっ…………!』

 

竜化した状態で上からにらまれる事の少ない竜人族にとって、普通に上から見下ろされるだけでも普通以上に威圧感を感じるのじゃろう。

リスタスはジリッと後退った。

 

「ほれ、どうした? 勝負はもう始まっておるぞ?」

 

妾がリスタスを煽る様にそう言うと、

 

『くっ………! いくら図体がデカくても、動きは鈍いだろう!? 俺のスピードについてこられるか!』

 

リスタスは翼を広げて空を舞う。

リスタスはウイングドラモンの大きさから動きは鈍いだろうと判断した様じゃな。

普通なら正しいのじゃろうが、生憎今回はハズレじゃ。

次の瞬間、ウイングドラモンがリスタスの目の前に現れる。

 

『なっ!?』

 

リスタスは慌てて急旋回してウイングドラモンにぶつからないように避ける。

その直後、遅れてウイングドラモンが移動した時の衝撃波が巻き起こって妾やじい様に砂埃を巻き上げる。

 

「うおっ!?」

 

じい様は衝撃波によってバランスを崩し、転倒する。

 

「じい様、大丈夫かの?」

 

「う、うむ………今のは一体…………?」

 

「今のはウイングドラモンの高速移動じゃ。音の速さの20倍は早いらしいのじゃ」

 

タイシが言うには『まっは20』じゃったか?

 

『うぉおおおおおおおおっ!?』

 

リスタスもウイングドラモンを避けたつもりじゃったが、遅れて巻き起こった衝撃波でバランスを崩して墜落しおった。

 

『うぐぐ………!』

 

土煙を上げて墜落したリスタスは頭を振りながら身を起こすと、

 

『これでも………くらぇえええええええええっ!!』

 

竜の象徴であるブレスを放った。

まあウイングドラモンならばあの距離から放たれるブレスを躱す事など造作も無い事じゃが、ウイングドラモンは敢えてそのブレス攻撃を受けた。

 

『やったか!?』

 

リスタスは嬉々とした声を上げる。

しかし、それはご主人様に言わせれば『ふらぐ』じゃったか?

まあ、その『ふらぐ』を見事に回収しおったリスタスの目の前で爆煙が晴れていき、ほぼ無傷のウイングドラモンがその姿を見せる。

 

『バ、バカな…………!?』

 

驚愕するリスタスじゃが、ウイングドラモンは大きく息を吸い込む様に首を仰け反らせると、

 

「ブレイズソニックブレス!!」

 

音速を超える速度で放たれた炎はリスタスが認識するよりも早くリスタスの頭上を飛び越え、背後にあった山の一部を融解させた。

 

『……………………………』

 

リスタスは竜の姿のまま口を大きく開けて呆然と背後の一部が溶けた山を見つめておる。

 

「…………………さて、これでウイングドラモン………もとい、完全体デジモンの力は分かってくれたと思うが…………安心せい。我がご主人様のアーティファクトがあれば、互角とは言わずとも、一方的にやられるようなことは無いと断言しよう」

 

妾は呆然としている里の者達にそう呼びかける。

とは言え、里の者達は一人残らず口をあんぐりと開けたまま固まっておるが…………

これで更に上の究極体もおる事を言ったらどうなるじゃろうな?

妾がそう思っておると、上空から大慌てで数体の竜化した同族が降りて来た。

妾はウイングドラモンのブレスを見て近付いてきているのかと思ったのじゃが、

 

『族長! 大変です! 巨大な何かがこの隠れ里に接近中です!!』

 

その内の1人がそう叫ぶ。

 

「巨大な何か………だと?」

 

じい様はそう聞き返す。

 

『はい。海中を移動していた為正体は掴めませんでしたが、真っ直ぐにこの隠れ里がある島に向かってきます!!』

 

『時間がありません! 早く迎撃態勢を…………!』

 

そう言い掛けた瞬間、轟音と共に山が砕けた。

比喩では無く文字通り、山が木っ端微塵に砕かれたのじゃ。

そして、その山があった場所の跡地から、

 

「ウォァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

身体中が鋼鉄で出来た巨大な竜の姿がそこにあった。

 

「な、何だ!? あれは竜………なのか?」

 

じい様が驚愕の声を漏らす。

 

「あれはもしや…………!」

 

鋼鉄の竜を見て、妾はすぐにデジモンでは無いかという可能性に思い当たる。

妾はDアークを取り出す。

すると、思った通りデータが表示されたのじゃ。

 

「ブレイクドラモン 究極体 ウイルス種 機竜型デジモン。必殺技は、『デストロイドラッシュ』、『インフィニティボーリング』、『グラビティプレス』。くっ………究極体デジモンとはっ………!」

 

このままでは里が全滅してしまう。

 

「ウイングドラモン、頼む! 奴を里から引き離してくれぬか!?」

 

「………ッ!? やってみよう!」

 

ウイングドラモンは一瞬呆けていたようだが、妾の言葉に頷いて空へと羽搏く。

ブレイクドラモンはウイングドラモンに目を向けると、

 

「インフィニティボーリング!!」

 

背中の複数のドリルを回転させ、それをワイヤーが繋がった状態で射出する。

 

「くっ!?」

 

ウイングドラモンはスピードを活かした高機動でそのドリルを躱していくが、躱したドリルのいくつかが山に辺り、粉砕していく。

 

「何という破壊力じゃ………あれは俊敏性は無いが、凄まじいパワーを誇るタイプのデジモンか………!」

 

ウイングドラモンとは真逆じゃの。

 

「ブレイズソニックブレス!!」

 

ウイングドラモンも反撃に出る。

灼熱の炎がブレイクドラモンを包むが、

 

「ウォァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

その鋼鉄の身体は見た目通り防御力もあるようじゃ。

ブレイクドラモンは全く意に介さぬ…………

いや、まるで痛みを感じておらぬかのようにウイングドラモンに向かって叫び声を上げる。

 

「奴には全く理性を感じぬ………まるで獣じゃ………!」

 

奴の獣の様な雄叫びからそう感じる妾。

 

「ッ……………!?」

 

じゃが、先程から気になるのは、ウイングドラモンが度々戸惑う様な反応をすることじゃ。

奴の強さに恐れをなしていると言う訳では無い。

ウイングドラモンはそのような臆病な竜では無い。

それに、ブレイクドラモンも理性を感じさせぬ割には執拗にウイングドラモンを追っている気がするのじゃ。

すると、ウイングドラモンが上昇し、

 

「エクスプロードソニックランス!!」

 

背中の槍を構えて急降下する。

それに対し、

 

「デストロイドラッシュ!!」

 

左右の鋼鉄の腕を交互に連続で繰り出す。

ウイングドラモンのスピードは一撃では捉えられないようではあるが、連続で放てば当たると踏んだ…………いや、元々そのような知能は無さそうじゃ。

本能のままに破壊を繰り返しておるだけじゃろう。

その攻撃の殆どは外れて地面を割っていたが、たった1発のみウイングドラモンを捉えた。

 

「うぐあっ!?」

 

その一撃でウイングドラモンは吹き飛ばされ、妾達の近くに叩きつけられる。

 

「大丈夫か!? ウイングドラモン!」

 

「あ、ああ………何とか…………ッ」

 

ウイングドラモンは起き上がるが、また戸惑う様な表情を見せた。

 

「一体如何したのだウイングドラモン? 何をそこまで戸惑っておる?」

 

妾は気になる事を問い質した。

すると、ウイングドラモンは苦しそうに目を伏せると、ゆっくりと目を開いてブレイクドラモンを見据えると、

 

「……………奴は………己の『半身』だ…………」

 

ウイングドラモンはそう口にした。

 

「『半身』……!? 如何いう事じゃ!?」

 

妾は思わず問い返す。

 

「言葉の通りだ…………奴は2つに分かれてしまった己の半身…………己自身なのだ………!」

 

「ウイングドラモン…………? ッ!? まさか記憶が!?」

 

「……………ああ………奴を見た瞬間に全て思い出した…………」

 

ウイングドラモンは言葉を続ける。

 

「己は…………エグザモンは元々2体のデジモンが融合したデジモンだったのだ」

 

「2体のデジモンの融合? 先日見たアルファモンの様なものかの?」

 

「香織が言っていたジョグレスというものだ。アルファモンはオウリュウモンを剣として攻撃力に特化した形態となったが、ジョグレスは2体のデジモンを融合させ、一段階上に進化する事だ」

 

「その片割れがあのブレイクドラモンということか?」

 

「ああ。おそらく四聖獣からの妨害を受け退化した際、己の身体も2つに分かれたが、エグザモンとしての意志は全て(ドラコモン)に移り、奴には力のみが残されたのだろう。今の奴は、破壊と闘争の本能だけで動いている。だが、奴も己を自分の半身だと分かっているのだろう。先程から己を執拗に狙うのは、足りない部分を補おうとしているのだろう………」

 

ウイングドラモンは何か覚悟を決めた目でブレイクドラモンを見据えた。

 

「奴は己だ。だから己が止めねばなるまい」

 

「何をするつもりなのじゃ! ウイングドラモン!?」

 

ウイングドラモンの目に宿る覚悟が尋常でない事を悟った妾は問いかける。

 

「……………奴との融合を試みる。今の己は完全体。奴は究極体であり、破壊の本能を抑え付けられるか如何かが問題だが、今の己では奴を止める術はそれしかない!」

 

ウイングドラモンは翼を広げる。

 

「待つのじゃ! ウイングドラモン!! くっ………!」

 

妾は制止を呼びかけるが、ウイングドラモンはそのまま羽搏いて飛んでいってしまう。

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

ウイングドラモンは光に包まれ、ブレイクドラモンへと突撃し、共に光に包まれた。

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

【Side ドラコモン】

 

 

 

 

 

 

全身全霊を用いて己の半身(ブレイクドラモン)との融合を試みる。

その直後、

 

――破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する

 

破壊の衝動が全身を駆け巡る。

 

「うぐぁっ!?」

 

想像以上の破壊の衝動。

 

「し、静まれ! そのような衝動に身を任せてはならん!」

 

己はそれを何とか抑え付けようとする。

だが、

 

――破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊

 

その衝動は収まる気配を見せず、それどころか更なる大きな衝動が己の意志を飲み込もうとする。

 

「は…………はか………い……………する……………」

 

苦しい……………

 

「破壊………………する…………………」

 

何故己が苦しまなければならないのか?

 

「破壊する………………………………」

 

この苦しみから逃れられるなら、いっそのことこの感情に身を任せてしまえば…………

 

「破壊する………………!」

 

ああそうだ……………抗わずに身を任せてしまえば楽になれる……………

 

「破壊する!」

 

そうだ……………

 

「破壊する!」

 

その為に……………

 

「全てを破壊する!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我等、己の存する意味を知らず」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如として聞こえたその声に、己は自分を繋ぎ止める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この身は獣か、あるいは人か。世界の全てに意味あるものとするならば、その答えは何処に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉を聞いている間は、不思議と破壊の衝動は気にならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「答えなく幾星霜。なればこそ、人か獣か、我等は決意もて魂を掲げる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

己は目を見開き、その声の主を探す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「竜の眼は一路の真実を見抜き、欺瞞と猜疑を打ち破る」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を見開いた先には、黒髪を広げながら己に向かって手を伸ばす人影。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「竜の爪は鉄の城壁を切り裂き、巣食う悪意を打ち砕く」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれは………………ティオ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「竜の牙は己の弱さを噛み砕き、憎悪と憤怒を押し流す」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の瞳は、破壊の衝動が駆け巡るこの場において、確かな理性の輝きを宿している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「仁、失いし時、我等はただの獣なり」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

己は自然と彼女の伸ばす手に向かって自分の腕を伸ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「されど、理性の剣を振るい続ける限り――我等は――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ……………やはりティオは………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我らはパートナーである!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最高の『テイマー』だ……………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

己とティオの手が触れ合い、光が全てを呑み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

【Side ティオ】

 

 

 

 

 

 

 

妾とドラコモンの手が触れ合った瞬間、眩い光がブレイクドラモンごと妾達を包む。

 

――MATRIX

  EVOLUTION――

 

「マトリックスエボリューション!!」

 

Dアークを身体に押し付け、妾の身体がデータ化し、同時にブレイクドラモンもデータに分解されてドラコモンと1つとなる。

 

「ドラコモン進化!!」

 

ドラコモンの腕が分解され、強靭な竜の腕として再構成される。

ドラコモンの足が分解され、強靭な竜の脚として再構成される。

ドラコモンの体が分解され、強靭な竜の体として再構成される。

ドラコモンの頭が分解され、ティオの誇りもった瞳を持つ竜の頭部として再構成される。

それは、右腕に巨大なランス『アンブロジウス』、背中には意志を持つ巨大な翼『カレドヴールフ』を持つ、竜のデジモンの頂点に立つロイヤルナイツ。

 

「エグザモン!!」

 

妾はエグザモンとなった自分達を見下ろす。

2足歩行で立つ足から頭までだけでもおよそ30m。

翼の全高まで合わせれば50mはあるだろうか。

翼を広げれば、横幅は最大100m近い。

更に尾も長大で、こちらも100m近くは無かろうか?

ふと見れば、里の者達がエグザモン()を見て腰を抜かしておる。

 

『安心するがよい、里の者達よ』

 

妾がまず呼びかけ、妾の意志がある事を伝える。

そして、

 

「我が名は竜帝エグザモン。竜の民達よ。我と共に進め!!」

 

エグザモン()はアンブロジウスを掲げ、更に翼を広げてその姿を民達に知らしめる。

一瞬静寂が訪れた後、

 

「「「「「「「「「「おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」」」」」」」」

 

この姿に触発された民達は鬨の声を上げた。

 

『ふむ、どうやらご主人様の言いつけは守れそうじゃな』

 

妾は呟く。

 

「ティオ……………礼を言う…………己1人であれば、破壊の衝動に呑み込まれる所であった」

 

『気にするでない。言ったはずじゃ、妾達はパートナーじゃと』

 

「うむ……………ティオ、君はやはり己にとって最高のテイマーだ」

 

『フフ…………当然じゃ、妾を誰と心得る? 誇り高き竜人――クラルス族が末裔、ティオ・クラルスなるぞ!』

 

「ああ………そうだな」

 

『さて、早くご主人様の所へ帰りたいのう………! やはり数日離れているだけでも寂しいのじゃ! 早く帰ってご主人様のお仕置きを…………! んんっ! ハァハァ………! 想像するだけでも興奮するのじゃ!』

 

「………………………」

 

『む、いきなり無言になるとはどうしたのじゃ?』

 

「……………いや。やはりティオはティオだと改めて思っただけだ」

 

エグザモンはそう言うと、周りの木々がしなるほどの大きなため息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 






第71話の完成。
今回はエグザモン登場の回でした。
登場しただけで戦いませんでしたけどね……………
最初はブレイクドラモン関係なしにエグザモンに進化させようと思ってたんですけど、感想でチラホラ気にするような声があったので。
自分の原作知識はWEB版とマンガとアニメなんでティオの里帰りはどんなものか知らないです。
なのでアフターからの知識で適当に…………
戦わずして登場したエグザモンですが反応は如何に………?
では、次も頑張ります。





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