ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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第73話 絶望を撃ち砕け! 新たなる聖騎士、オメガモンAlter-S!!

 

 

 

俺達がハウリア族を連れて王都に戻ってきた時、王都の一部に損害があった。

そして、その上空に佇む青い聖騎士の姿。

 

「あれは………! アルフォースブイドラモン!?」

 

その時、俺達に気付いたのか、アルフォースブイドラモンが俺達に向き直り、ゆっくりと降下してくる。

俺はDアークを取り出し、

 

「アルフォースブイドラモン 究極体 ワクチン種 聖騎士型デジモン。必殺技は、『シャイニングVフォース』」

 

その情報を読み上げる。

アルフォースブイドラモンが俺達の前に着地すると、

 

「ユエ………だよな?」

 

俺は確認する様に問いかける。

 

『ん…………その通り………これが私とブイモンの究極進化………!』

 

ユエの声が聞こえる。

その声色から察するに、ユエはドヤ顔をしている事だろう。

 

「ユエ……! 進化出来たんだ!」

 

葵が嬉しそうにそう言う。

 

「ロイヤルナイツに対抗できる戦力が増えたわね」

 

優花も冷静に言っているが嬉しそうだ。

優花のジエスモンと、ユエのアルフォースブイドラモンを加えれば勝機が見えてくる。

だが、それだけでは終わらなかった。

俺達が出てきたゲートホールが再び輝いたかと思うと、

 

『ひゃっほうっ!!』

 

ハイテンションなシアの声と共に、六本足の馬脚を持つ人馬型の赤い鎧を纏った聖騎士、スレイプモンが駆け抜けてきた。

 

「スレイプモン!?」

 

『お待たせしました! シア・ハウリア、スレイプモンとなって只今帰還したですぅ!!』

 

驚く俺を他所に、シアはそう名乗りを上げる。

 

「スレイプモン 究極体 ワクチン種 聖騎士型デジモン。必殺技は、『ビフロスト』と『オーディンズブレス』」

 

葵がDアークの情報を読み上げた。

 

『どうですか!? 驚きましたか!?』

 

そう言うシアのドヤ顔が簡単に想像できる。

 

『シア、調子に乗り過ぎ………!』

 

スレイプモンの背後にいたアルフォースブイドラモンの中のユエがそう言う。

 

「アルフォースブイドラモン………!」

 

「スレイプモン………!」

 

それぞれが互いの名を呼び合う。

 

『なあっ!? もしかしてユエさんも究極体に進化できたんですか!? くうっ! 折角下克上が見えてきたのに残念ですぅ!』

 

『甘い………簡単に追い抜かせる師だと思ったか………!』

 

向かい合うアルフォースブイドラモンとスレイプモンの背後で火花を散らし合うユエとシアを見た気がした。

すると、再びゲートホールが輝き、辺り一帯が影で覆われた。

 

「何!?」

 

優花が慌てて見上げる。

少し遅れて俺達も空を見上げると、そこには、一瞬空を覆いつくほどかと錯覚するほどの大きな翼を持った赤色の竜が無数の竜を従えるように、空に滞空していた。

 

「竜帝………エグザモン…………! ティオか………!」

 

俺はその姿に圧倒されつつも、自然とその名を口走る。

 

「エグザモン 究極体 データ種 聖騎士型デジモン。必殺技は、『アヴァロンズゲート』、『ペンドラゴンズグローリー』、『ドラゴニックインパクト』……………どう見ても竜なんだけど、聖騎士型なのね………」

 

優花がツッコミを入れる。

そこは突っ込んじゃいけない所だから。

 

『ふうむ………どうやらユエもシアも究極進化に成功した様じゃな』

 

ティオは落ち着いた声でそう言う。

エグザモンはデカいという設定があったが、エグザモン本体だけでもテイマーズ最大のセントガルゴモンを超えている上に、その背中の翼は更にデカい。

翼も含めれば四聖獣に匹敵するほどの大きさがエグザモンの存在感を主張する。

 

『くっ………思わぬところから伏兵が………!』

 

『大きすぎるでしょう!?』

 

ユエとシアは恐れ戦く。

まあ、エグザモンはロイヤルナイツ最大の大きさを誇るわけだが。

 

「………………仲間にロイヤルナイツが4体…………! これならいける………!」

 

確かな勝ち筋が見えた俺は、自然と拳に力が入った。

 

 

 

 

 

それからタイムリミットまで後1日半まで迫った時、アーティファクトの作成を終えたハジメ達が戻ってきた。

因みに、坂上と谷口さんが真のオルクスの迷宮で仲間に出来そうな魔物を探しに行っており、その護衛として八重樫さんやインプモン、レオモンが付いていっていた。

序にクルモンも。

その後情報を交換し、半日はゆっくりと体を休め、残りの1日で勝負に出ることにした。

その際、俺は考えている事を仲間達に話した。

それは、

 

「………インプモン。インプモンはここの防衛に残ってくれないか?」

 

「何でだよ!? 俺も一緒に………!」

 

インプモンは不満げに言ってくるが、

 

「確かに攻めるだけならベルゼブモンの戦力は重要だ。だが、敵はイグドラシル。どんな手を使ってくるか分からない」

 

「そりゃ………そうだけど………」

 

「それに向こうのロイヤルナイツには、ドゥフトモンというロイヤルナイツの中で搦め手を得意とする策士が居る…………いくら竜人族が居るとは言え、もし究極体が出てきたら防ぎきれない。攻めるからには後方の憂いを断っておきたいんだ。ベルゼブモンが居れば、その心配は無くなる」

 

「ッ~~~~~~~~~~!」

 

インプモンが葛藤していると、

 

「…………インプモン。俺からも頼む」

 

そう言ったのはハジメだ。

その言葉にインプモンが目を丸くする。

 

「王都にはミュウやレミア………愛子やリリィ達が残る………お前には彼女達を護って欲しい」

 

ハジメが頭を下げる。

さり気に愛子先生やリリアーナ王女の事を名前や愛称で呼んでいるが………まあ、そう言う事だ。

 

「あ~~~も~~~~~! 分かったよ!」

 

インプモンは叫びながら投げやりに答える。

本心としては一緒に攻め入りたいが、『仲間』の頼みを無視できないからだろう。

 

「すまない。流石に同じ究極体で魔王型とは言え、スリープモードのベルフェモンを頼りにする訳にはいかなかったからな…………」

 

ぶっちゃけ設定では、寝てても鼾やら何やらが必殺技だった筈だけどな。

永遠の眠りに誘う鼾とか、設定どおりだったら今頃俺達全員文字通り『永眠』してる所だ。

俺は気を取り直すと、

 

「それで、一応確認なんだが坂上と谷口さんもついて来る気なんだよな?」

 

元勇者(笑)パーティーの2人にそう問いかける。

 

「ああ! もちろんだぜ! 絶対に光輝を連れ戻す!」

 

「私も! 恵理とちゃんとお話ししたい!」

 

「決意は固いようだな…………」

 

ぶっちゃけロイヤルナイツに対しては戦力外にも程があるので正直置いていきたいぐらいなんだが、2人の意志は固そうだ。

 

「……………私が彼らと共に行動しよう」

 

「レオモン………」

 

その時レオモンが口を開いた。

 

「私はその恵理という少女が連れているオーガモンと決着を付けたい。それが曲がりなりにも命を救って貰った礼だ」

 

レオモンならそう言うと思った。

 

「わかった…………天之河達はそっちに任せる……………それで…………」

 

俺は視線を移動させて八重樫さん達を見やる。

正直、これを頼んでいいか如何か迷っていたのだが、八重樫さんは溜息を吐き、

 

「言われなくても、私達は鈴達について行くつもりよ」

 

俺が思っていたことを自分から口にした。

 

「………いいのか?」

 

俺は思わず聞き返す。

 

「何が起こるか分からない場所で、鈴達を放っておけるわけないでしょう? 相手は2人………オーガモンも含めれば同数よ。もしかしたらレオモンだけじゃ手が回らないかもしれないし、恵理がもっと強力なデジモンを連れているかもしれない。だけど、あなた達対ロイヤルナイツの戦力からは割く訳には行かない。なら、私達が行くのが筋ってものでしょう?」

 

「すまん、助かる」

 

俺は本心を口にして頭を下げる。

 

「頭なんて下げなくても良いわよ。正直、これが光輝に対する幼馴染としての最後のお節介だと思ってるから」

 

ハッキリとそう言い切った八重樫さん。

これが天之河へ通す最後の義理なのだろう。

俺は八重樫さんとの話を終わらせると、主要メンバーに向き直る。

 

「それからロイヤルナイツの誰を受け持つかだが、先ずは優花とハックモン」

 

「ええ」

 

「うむ」

 

「優花達はガンクゥモンを頼む」

 

「分かったわ」

 

「ああ。師匠は私達に任せてくれ」

 

「ユエとブイモンはマグナモンだ。マグナモンは防御に優れているが、防御力に能力を割り振っている分、他のステータスは他のロイヤルナイツよりも低めだ。アーマー体だしな。スピードで翻弄しつつ削り切れ。ただし、マグナモンには全方位攻撃も可能だ。まあ射程はそこまで長くない筈だから全力で離脱すればアルフォースブイドラモンのスピードなら避けれると思う」

 

「んっ」

 

「分かったよ」

 

「シアとクダモンはドゥフトモンだな。ドゥフトモンはさっきも言った通り策略家で消滅の剣と破壊の剣を使う。だが、それだけならスレイプモンのスピードなら問題ない。だが、ドゥフトモンには獣型になるレオパルドモードが存在する。通常を知性に長けた形態とするなら、レオパルドモードは野性に長けた形態だ。野性の本能の恐ろしさは獣人であるシアにならよくわかるだろう?」

 

「そうですね! 気を付けます!」

 

「油断せずに戦うことにしよう」

 

「ティオとドラコモンはクレニアムモンを相手してほしい。クレニアムモンは攻守共に高い能力を誇るが、それはエグザモンも同じだ。体のサイズの差で攻め続ければ有利に戦えると思う」

 

「了解したのじゃ」

 

「了解だ」

 

「俺とドルモン、葵とリュウダモンは、アルファモン王竜剣でデュナスモンとロードナイトモンだ。1対2になるが、王竜剣の攻撃力なら十分に勝機はある」

 

「そうだね! 今度こそあの2体と決着を付けよう!」

 

「俺達なら出来るよ!」

 

「うむ! その通りだ!」

 

葵、ドルモン、リュウダモンも気負った様子は無い。

俺は最後にハジメと白崎さんの方を向き、

 

「そして残るオメガモンは……………お前達だ」

 

そう言った。

 

「ッ……………! 自分で言うのも何だが、前はオメガモンに手も足も出ずに負けたんだが?」

 

ハジメは一瞬声を漏らすが、落ち着いた声でそう言う。

 

「俺も言ったが、ブリッツグレイモンとクーレスガルルモンにはオメガモンに匹敵する潜在能力がある。何より、お前達なら勝てると信じているからだ」

 

「そうは言うが…………」

 

ハジメの中では、ブリッツグレイモンとクーレスガルルモンでは勝てるイメージが浮かばないんだろう。

 

「それに、お前が一度負けた相手に二度も負けるはずが無いだろう?」

 

俺はハジメを煽るような口調でそう言う。

ハジメは、死ぬ寸前まで追い詰められて負けて逃げた相手だろうと、二度目の戦いでは必ず勝っていた。

ベヒモス、蹴りウサギ、爪熊……………

ハジメはリベンジ戦では必ず勝つ。

そんなジンクスも踏まえて俺はハジメ達をオメガモンに宛がった。

ハジメは、俺の言葉を聞いてハッとしたように目を見開く。

その後不敵な笑みを浮かべ、

 

「ああ、そうだな………そうだった………!」

 

その目には闘志がギラついている。

 

「同じ『敵』に、二度は負けねぇ………!」

 

「そうだよ! 私達が力を合わせれば、勝てないものなんて何もないよ!」

 

白崎さんも両手で握り拳を作って気合を入れる。

 

「やってやろうぜ! 相棒!」

 

「オイラも頑張るよ!」

 

アグモンとガブモンも怖気づいたりはしない。

それを見て、こいつらなら大丈夫だと改めて思った。

 

 

 

 

それから最後の休息を取り、いよいよ迎えた決戦の朝。

王城の中庭で、俺達は出発の準備を終えて『神域』への扉を開こうとしていた。

そして、『神域』へ行く俺達を見送るインプモン、ベルフェモンを抱いたミュウ、レミアさん、愛子先生、リリアーナ王女を始め、他の異世界召喚組の面々。

 

「パパ…………わるい神様やっつけたら早く帰ってきてね………!」

 

ミュウは心配そうな表情を浮かべつつも、ハジメにそう声を掛ける。

 

「ああ。ちょちょいと片付けてすぐに帰ってくらぁ」

 

ハジメは心配するなと言わんばかりにミュウの頭を撫でる。

 

「だから、俺達が居ない間は、お前がレミアを護るんだぞ?」

 

「ミュウが………?」

 

ハジメの言葉にきょとんとするミュウ。

 

「ああ。ミュウもテイマーなんだ。ミュウがパートナーの事を信じてやれば、パートナーはきっと応えてくれる」

 

「…………わかったの! ミュウはべるちゃんの事を信じるの! それでママの事も絶対護るの!」

 

「ああ。頼んだぞ、ミュウ………」

 

ハジメは優しい笑みを浮かべながらもう一度ミュウの頭を撫でてから手を退かす。

 

「あなた………どうかご無事で…………」

 

レミアさんはただ一言、ハジメにそう声を掛ける。

 

「南雲君…………生徒達だけを危険な所へ向かわせるのは教師失格ですが、私がついて行った所で足手纏いにしかなりません。ですから、これだけは約束してください。必ず皆無事に帰ってくると………!」

 

「ああ、約束する………天之河と中村については確約できないけどな」

 

愛子先生の言葉に相変わらず空気を読まないハジメの返答。

 

「さ、坂上君、谷口さん、八重樫さん! どうか天之河君と中村さんの事はよろしくお願いします!」

 

愛子先生は少々焦りながら他の3人にお願いする。

それに苦笑する坂上と谷口さん。

八重樫さんは溜息を吐き、

 

「ハジメ、そこは嘘でも2人も無事に連れて帰ると言ってあげなさい」

 

そう言う。

因みに八重樫さんもハジメの事を『ハジメ』と呼ぶようになり、ハジメからも『雫』と呼ばれるようになっている。

ハジメは軽く肩を竦める。

 

「南雲さん……皆さん……ご武運を…………」

 

リリアーナ王女は祈る様にそう口にした。

それぞれから見送りの言葉をもらうと、俺達は踵を返してハジメがクリスタルキーを使ってゲートを開く。

 

「覚悟はいいな?」

 

ハジメの言葉に俺達迷わずに頷き、そのゲートへ足を踏み入れた。

だがその瞬間異変を感じた。

クリスタルキーによる転移は、ゲートを潜ればドアを通り過ぎる位の一瞬で目的地に着くはずなのだが、そのゲートに足を踏み入れた瞬間、俺達に襲ってきたのは浮遊感だ。

空中に放り出されたという訳では無い。

ゲートを潜ったら宇宙空間の様な場所に放り出されたのだ。

 

「ハジメ! これは!?」

 

俺は思わず問いかける。

 

「わからねえ! ここが『神域』って訳でもなさそうだが…………」

 

ハジメはそう言うが、次の瞬間、俺達は何かに流されるような感覚を覚えた。

 

「こ、これは引っ張られる!? いや、流されてるのか!?」

 

俺とドルモン、葵とリュウダモン、優花とハックモン、ユエとブイモン、シアとクダモン、ティオとドラコモンは同じ方向へ。

ハジメとアグモン、白崎さんとガブモンは別方向へ。

八重樫さんとコテモン、レオモン、坂上と谷口さん、そして、

 

「ク~~~~~ル~~~~~~~ッ!?」

 

何故か居るクルモンが更に別方向へ流されていった。

何故クルモンがいるのかと疑問に思う暇もなく視界が真っ白に染まる。

そして次の瞬間、俺達は別の場所へ放り出された。

 

「「「うおっ!?」」」

 

「「「わっ!?」」」

 

「「「っと!?」」」

 

「ッ!?」

 

たたらを踏みつつも何とか着地する。

俺が辺りを確認すると、やはり同じ方向に流されたメンバーしかこの場には居なかった。

 

「分断させられたか………」

 

そう呟くが特に驚く必要はない。

転移直後に分断させられるなど、大迷宮では何度も経験している。

可能性は考慮していたし、他の皆特に取り乱してはいない。

ハジメが羅針盤を持っているためその内合流できる事が分かっているからだろう。

俺は改めて周辺を見渡す。

そこは一言で言うと白かった。

ただ何処までも続く白い空間に俺達だけが立っている。

そんな場所だった。

 

「ここは…………」

 

俺がそう呟いた瞬間、

 

「やはり来たか。人間と、それに付き従うデジモン達よ」

 

聞き覚えのある声がしてそちらに振り向くと、そこにはロードナイトモンを始めとしたロイヤルナイツが勢揃いしていた。

 

「ロイヤルナイツ………!」

 

「いきなり全員が勢揃いとはのう………」

 

シアとティオがそう漏らす。

 

「君達が来る事など、我らが『神』にはお見通しだ」

 

「来ないと思う方がどうかしてると思うが?」

 

ロードナイトモンの言葉にそう言い返す。

 

「…………私達だけをここに呼び寄せたのは何故………?」

 

ユエが冷静な声で問いかける。

 

「フッ………それは選択させるためだ」

 

「選択………?」

 

ドルモンが声を漏らす。

すると、ロードナイトモンは俺達を見据え、

 

「同胞達よ。今からでも遅くはない。我らが主の下へ戻るが良い。お前達は元々ロイヤルナイツ。四聖獣によって記憶と力を奪われただけだ。我々が争い合う必要など何処にも無い。失った力もデジエンテレケイヤがそう遠くない内に取り戻せるだろう。その力、再び我が君イグドラシルの為に振るうと良い」

 

そう言った。

すると、

 

「……………仮にその提案を受け入れたとして、優花達は如何なる?」

 

ハックモンがそう問い返した。

 

「我が君イグドラシルはつい先ほど人間を完全に不要な存在と判断した。生かしておくわけが無かろう」

 

俺はその言い方に引っ掛かりを覚えた。

 

「ついさっき完全に………? 如何いう意味だ? イグドラシルは不要と判断したからこそ世界同士をぶつけ合って消滅させようとしていたんじゃないのか?」

 

「我らが『神』にも慈悲はある。こちら側に居た2人の『観察対象』の思考をイグドラシルが観察し『必要』と判断されればイグドラシルは計画の中止も視野に入れていた。だがその結果、やはり人間は『不要』とイグドラシルは判断したのだよ」

 

「………………『観察対象』ってもしかして…………天之河と中村の事か…………?」

 

俺は恐る恐るそう問う。

 

「当然だろう。魔人族領に居た丁度良いサンプルだったのだ」

 

俺はそれを聞いた瞬間、頭を抱えた。

 

「…………その2人は一番『観察対象』にしちゃいけない類の人間だろうが…………」

 

片や自分の正義を疑わない(都合のいい様に解釈する)ご都合主義思考の勇者(笑)。

片や恋愛感情を拗れに拗らせすぎたヤンデレ。

『観察対象』にするには最悪すぎる。

 

「…………あの2人の所為で世界が滅びるって…………」

 

「ホント碌な事しないわねあの2人は…………!」

 

葵と優花がここに居ない2人に愚痴を零す。

 

「そう言う事だ。失った記憶も我が君の手に掛かれば簡単に取り戻せるだろう。さあ、我らと共に来るが良い………」

 

ロードナイトモンはそう言いながら手を差し出す。

 

「…………その必要はない」

 

ハックモンがハッキリとそう言った。

 

「何だと………?」

 

ロードナイトモンは聞き間違いかと問い返す。

 

「記憶なら既に取り戻している………!」

 

「その上で僕達の答えは決まっている………!」

 

「その答えは……………」

 

クダモン、ブイモン、ドラコモンが順に言葉を続け、

 

「「「「断る!!」」」」

 

「「「「「「ッ!?」」」」」」

 

ハッキリとそう断言した。

その言葉にはロイヤルナイツ全員が目を見開いた。

 

「何故だ!? 記憶を取り戻しているならなぜ人間達と行動を共にする!?」

 

「例えイグドラシルが人間を『不要』だと判断したとしても、私は優花達と共に在ることが間違いとはどうしても思えない!」

 

「そりゃ人間の中にだってどうしようも無い奴は居るよ?」

 

「だが、シア達の様に素晴らしい人間も沢山いる」

 

「よって、己達はイグドラシルに再考を申し立てる!」

 

「我が君の判断に背くというのか!?」

 

「たった2人の人間を観察しただけで人間全てを否定するのは早計だと言っているのだ!」

 

「『観測対象』を世界全てに広げ、判断のやり直しを要求する!」

 

ハックモン達がロイヤルナイツに呼びかける。

 

「…………よもやここまで人間達に毒されていようとは………」

 

しかし、ロードナイトモンは顔に手を当てて首を振る。

 

「これ以上の説得は不可能と判断する。イグドラシルの命に従い、貴様たちを処分する!」

 

ロードナイトモンはそう言い放った。

 

「…………言葉では無理か…………ならば『力』で証明しよう。デジモンとテイマーの絆が生み出す力を!!」

 

ハックモンがそう叫び。

 

「優花!」

 

「ええ!」

 

「ユエ!」

 

「ん!」

 

「シア!」

 

「はいですぅ!」

 

「ティオ!」

 

「うむ!」

 

「大士!」

 

「おう!」

 

「葵!」

 

「うん!」

 

パートナーデジモンの声に俺達は応え、Dアークを掲げた。

 

――MATRIX

  EVOLUTION――

 

「「「「「「マトリックスエボリューション!!」」」」」」

 

俺達の身体がデータとなり、自分のパートナー達と1つになる。

 

「ハックモン進化!」

 

「ブイモン進化!」

 

「クダモン進化!」

 

「ドラコモン進化!」

 

「ドルモン進化!」

 

「リュウダモン進化!」

 

光の中でデジモン達の身体が分解され、再構成される。

パートナーとテイマーの『絆』が行きつく先の姿へ。

 

「ジエスモン!!」

 

「アルフォースブイドラモン!!」

 

「スレイプモン!!」

 

「エグザモン!!」

 

「アルファモン!!」

 

「オウリュウモン!!」

 

それぞれが究極体へ進化する。

だが、アルファモン()とオウリュウモンはそこから更に1つとなる。

 

――BLAST

  EVOLUTION――

 

「「ブラストエボリューション!!」」

 

俺達は1つとなり、

 

「アルファモン王竜剣!!」

 

アルファモン王竜剣となった。

 

「なっ!? この短期間で更なる進化を会得していたのか!?」

 

ロードナイトモンの声には焦りが含まれていた。

 

「これが私達の答えだ。人間と共に在ることは、決して間違いではない!!」

 

ジエスモンが代表してそう言い放ち、剣を構えるのだった。

 

 

 

 

 

【Side ハジメ】

 

 

 

 

強制的に大士達と引き離され、俺とアグモン、香織とガブモンが転移した先は、白いブロックが無数に浮遊する空間だった。

 

「チッ、分断されたか…………」

 

「ハジメ君、皆は…………?」

 

俺は羅針盤を取り出して皆の位置を調べる。

 

「ユエ、シア、ティオ、大士、神代、園部は一緒に居るな…………ロイヤルナイツも一緒に居やがる……………」

 

「ええっ!?」

 

「雫は…………坂上や谷口と一緒だな。都合よく天之河と中村が近くに居る。羅針盤によるとユエ達と雫達の居場所は殆ど反対方向だ」

 

「ッ……………なら、私達が向かう先は………」

 

「ユエ達の方だな。元々天之河と中村についてはあいつらに任せる予定だった。俺達がユエ達と分断されたのだけが予定外だ」

 

「うん…………」

 

「あいつらには雫とコテモンがついてる。ガイオウモンに進化できる雫達なら力尽くで取り押さえられるだろ」

 

「うん………そうだよね……!」

 

香織は心配そうだが雫の事を信じて気を取り直す。

 

「じゃあ、早くユエ達の所へ行こう!」

 

香織がそう言って、羅針盤の指し示す方向へ向かおうとした時、

 

「「ッ!?」」

 

気配察知に反応があった。

俺達が振り向くと、浮遊する白いブロックの影に何かが張り付いており、光が収束している。

それがエネルギーの集中だと気付いた瞬間、俺達は乗っていたブロックからアグモンとガブモンを抱えて飛び退いた。

次の瞬間、そのエネルギーが砲弾の様に放たれ、俺達が乗っていた足場を木っ端微塵に吹き飛ばす。

 

「ぐっ!?」

 

「ううっ!?」

 

予想以上の爆風に煽られた俺達は別のブロックに着地し、改めて敵を見る。

ブロックの影になっている側面に貼り付いていた『何か』は、正面に移動して来てその姿を露にする。

 

「なっ!?」

 

「あれはっ!?」

 

俺と香織はその姿を見て声を漏らす。

細長い腕に紺色の体。

爪の長い手足。

ケタケタと笑っているような顔。

その姿は、劇場版アニメに出ていたよく知るデジモン。

 

「嘘………あれ………ディアボロモン………!?」

 

香織は驚愕を隠し切れない。

 

「ディアボロモン 究極体 属性不明 突然変異型デジモン。必殺技は『カタストロフィーカノン』。やっぱりディアボロモンか………!」

 

俺はDアークで情報を確認するとディアボロモンを見据える。

香織は動揺しているのを隠し切れない。

 

「落ち着け香織。確かにディアボロモンは強敵だが、相手が1体だけならウォーグレイモンとメタルガルルモンで割と押していた筈だ。映画でウォーグレイモンとメタルガルルモンが最初負けたのは、主人公がパソコンをフリーズさせたのが原因だった筈だろ?」

 

俺は覚えている内容から香織にそう説明する。

 

「あっ……う、うん………そうだったね!」

 

香織もその事を思い出しのか幾分か落ち着きを取り戻す。

 

「俺達にフリーズなんて事は起こりえない。ブリッツグレイモンとクーレスガルルモンなら勝てるはずだ!」

 

俺は香織を鼓舞する意味も含めてそう言う。

 

「………うん、そうだね。私達なら絶対勝てるよ!」

 

漸くいつもの調子を取り戻した香織に俺は安堵すると、

 

「なら、さっさと片付けてユエ達の所に行くぞ! アグモン!」

 

「おう! 待ってたぜ!」

 

「ガブモン!」

 

「おおっ!」

 

俺達の言葉にアグモンとガブモンが応える。

俺達はDアークを掲げる。

 

――MATRIX

  EVOLUTION――

 

「「マトリックスエボリューション!!」」

 

俺達は1つになって進化する。

 

「アグモン進化!」

 

「ガブモン進化!」

 

アグモンとガブモンの身体が分解され、究極体へと再構成する。

 

「ブリッツグレイモン!!」

 

「クーレスガルルモン!!」

 

究極体へ進化したブリッツグレイモン()とクーレスガルルモンはディアボロモンを見上げる。

相変わらずブロックの側面に貼り付いているディアボロモンはケタケタと笑うと、胸の砲口にエネルギーを集中させ、エネルギー弾を放ってくる。

ブリッツグレイモン()とクーレスガルルモンは前に飛び出しながらそのエネルギー弾を躱し、ディアボロモンへと接近する。

 

「うぉおおおおおおっ!!」

 

ブリッツグレイモン()が腕を振りかぶりながらディアボロモンに向かって殴りかかると、ディアボロモンは別のブロックへと飛び移って繰り出した腕を躱し、繰り出した腕はディアボロモンが居たブロックを砕くだけに留まる。

 

「激・氷月牙!!」

 

クーレスガルルモンが鋭い氷柱を無数に作り出して放つが、ディアボロモンはピョンピョンとトリッキーな動きでその攻撃を躱していく。

 

「くっ、動きが読めない………!」

 

クーレスガルルモンがそう漏らす。

その瞬間、ディアボロモンがクーレスガルルモンに向かって飛び出してきて、その長い腕をクーレスガルルモンに叩きつける。

 

「くうっ!?」

 

クーレスガルルモンは黄獣偃月刀で防ぐが、その勢いは防ぎきれずにブロックに叩きつけられる。

 

「クーレスガルルモン!? こいつ!」

 

ブリッツグレイモン()は背中のサンダーバーニアを前面に展開し、

 

「サンダーバーニア!!」

 

プラズマ砲をディアボロモンに向かって放つ。

ディアボロモンは腕を引き戻しながらヒラリとプラズマ砲を躱すと、空中で器用に体勢を整えてカタストロフィーカノンを放ってきた。

 

「チッ! エレックガード!!」

 

避けられないと悟ったブリッツグレイモン()はプラズマエネルギーでバリアを張る。

エネルギー弾が着弾し、爆発を起こした。

流石に並の究極体以上の力を持つディアボロモンの攻撃を完全に防ぎきることは出来ず、ダメージが通る。

 

「ケタケタケタ…………!」

 

ディアボロモンは面白そうに笑い声を上げた。

 

「舐めやがって………!」

 

ブリッツグレイモン()は呟くと、吹き飛ばされて戻ってきたクーレスガルルモンに、

 

「クーレスガルルモン! 何とか奴の動きを止めてくれ! その隙に俺が強烈なのをお見舞いしてやる!」

 

「わかった!」

 

ブリッツグレイモン()の言葉にクーレスガルルモンは迷い無く答え、

 

「激・氷月牙!!」

 

先程と同じように無数の氷柱を飛ばす。

ディアボロモンも同じようにトリッキーな動きで避けて行くが、

 

「はぁあああああああああっ!!」

 

今度はクーレスガルルモンも一緒に飛び込んできていた。

クーレスガルルモンはその素早さを生かしてディアボロモンに追いすがり、黄獣偃月刀による鋭い突きを繰り出す。

 

「ッ!?」

 

ディアボロモンは一瞬驚いたようだが、身体をグネッと捻ってその刃を躱す。

だが、

 

「ハッ!」

 

黄獣偃月刀の柄による横薙ぎがディアボロモンの身体を打ち付け吹き飛ばすとブロックに叩きつけられた。

クーレスガルルモンはブロックに叩きつけられたディアボロモンに向かって突撃し、そのままディアボロモンの身体をブロックに押し付けると、

 

「ブリッツグレイモン!!」

 

ブリッツグレイモン()に合図を出す。

 

「サンダーバーニア!!」

 

俺は背面に向かってサンダーバーニアを放ち、推進力として利用する。

その推進力で猛スピードでディアボロモンに向かって行き、クーレスガルルモンがタイミング良く離脱した所で、

 

「プラズマステーク!!」

 

勢いの付いた右腕をディアボロモンの胴に叩き込み、更に杭を打ち付けてディアボロモンの内部に雷撃を流す。

 

「!?!?!?!?!?!?!」

 

内部に直接電撃を叩き込まれたディアボロモンは痙攣を何度か繰り返すと、やがて力無く垂れさがった。

それを確認した俺は、プラズマステークをディアボロモンから引き抜く。

ディアボロモンはそのまま落下していき、データ分解されて消えた。

それを見届けると、クーレスガルルモンと顔を見合わせ、融合している香織と笑みを向け合…………

 

「ぐああっ!?」

 

その瞬間背後から攻撃を受けて爆発に呑まれた。

 

「ブリッツグレイモン!?」

 

『ハジメ君!?』

 

クーレスガルルモンと香織が声を上げる。

だが、

 

「うああっ!?」

 

クーレスガルルモンも別方向からの攻撃を受け、爆発に呑まれる。

 

「ぐっ………!? クーレスガルルモン………!?」

 

ブリッツグレイモン()はクーレスガルルモンに視線を向けると、爆煙の中からダメージを受けた姿を見せた。

 

「一体………どこから………?」

 

俺は辺りを見渡す。

すると、少し離れた所に浮遊しているブロックの影からディアボロモンが姿を見せる。

 

「くっ………! もう1匹居やがったのか………!」

 

油断したことに歯噛みするブリッツグレイモン()

 

「ブリッツグレイモン!!」

 

その時、クーレスガルルモンが別方向を見ながら焦った声を出した。

その視線を追うと、そこにはまた別のディアボロモン。

 

「もう1匹!?」

 

ディアボロモンが更に2匹居た事に驚愕する俺達。

だが、それだけでは終わらなかった。

ブリッツグレイモン()の声が合図になったかの様に、離れた所にある無数の白いブロックの影から、次々とディアボロモンが姿を見せ始めた。

 

『こ………これが全部ディアボロモン…………!?』

 

香織が絶望的な声を漏らす。

何匹居るのかも数えるのが馬鹿らしいほどのディアボロモンの数。

おそらく万は超えているだろうか?

何処にこれだけ隠れていたのかと突っ込みたくなるような数だ。

ふと、映画のウォーゲームの主人公たちがディアボロモンの群れに囲まれた時も、こんな気持ちだったのかと場違いな考えが頭を過った。

その瞬間、ワラワラと動いていたディアボロモン達が動きを止め、一斉に俺達の方を向くと、

 

「「ッ!?」」

 

カタストロフィーカノンの嵐が放たれた。

 

「くっ!?」

 

クーレスガルルモンは素早さを活かして回避に専念し、クーレスガルルモン程の素早さを持たないブリッツグレイモン()はエレックガードで防御しつつ出来るだけ回避する。

クーレスガルルモンは最初は何とか回避していたが、万を超える攻撃の嵐はいつまでも避け切れるものじゃない。

 

「ぐあっ!? ぐああああああああああああっ!?」

 

一瞬回避に失敗して被弾すると、次々に被弾していく。

 

「クーレスガルルモン!」

 

『香織!!』

 

ブリッツグレイモン()はクーレスガルルモンのカバーに入ろうとしたが、遂にエレックガードがディアボロモンの攻撃に耐えきれなくなりバリアが破られる。

 

「がああああああああああああああああっ!?」

 

そして、ブリッツグレイモン()も同じように攻撃の嵐に晒された。

強固なブリッツグレイモンの装甲が罅割れ。砕かれ、背中のサンダーバーニアも破壊されていく。

クーレスガルルモンのクロンデジゾイドの鎧は罅割れ、各部に付いている刃も折れ、武器である黄獣偃月刀も粉々に破壊される。

俺達は成す術無く攻撃に蹂躙され、激しいダメージが俺達に蓄積されていく。

やがて、ディアボロモン達の気が済んだのか、攻撃が止む。

その時の俺達は、進化は解けてはいないが、もう体を動かす事が困難なほどにダメージを受けていた。

力無く空間の中央に浮かぶブリッツグレイモン()とクーレスガルルモン。

ブリッツグレイモン()は背中のサンダーバーニアを破壊され、両腕のプラズマステークも使用不能。

クーレスガルルモンは主武器である黄獣偃月刀を失い、満身創痍。

 

『ッ………! か、香織………無事か………? 香織…………!』

 

俺は香織に呼びかける。

 

『ううっ………ハ、ハジメ君…………』

 

返事が返って来たことに、僅かな安堵を覚える。

 

『………キツイね………これ………』

 

『ああ…………こいつはマジでオメガモンクラスを引っ張って来ないと切り抜けられねぇ…………』

 

俺達はそう言葉を交わす。

 

『だけど…………』

 

『ああ…………』

 

俺と香織はブリッツグレイモンとクーレスガルルモンの身体を必死に動かす。

 

『こんな程度で諦めたりしない………!』

 

『その通りだ………俺達は生きるんだ…………一緒に………!』

 

ブリッツグレイモン()は右腕を、クーレスガルルモンは左腕を必死に伸ばしていく。

 

『うん…………一緒に…………2人…………ううん………2人だけじゃない…………』

 

『そうだ…………俺と香織だけじゃない………アグモンとガブモンも一緒に…………』

 

ブリッツグレイモン()の右腕とクーレスガルルモンの左腕が徐々に近付いていく。

 

『一緒に………………!』

 

『皆一緒に……………!』

 

そして、ブリッツグレイモン()の右腕とクーレスガルルモンの左腕が触れ合った瞬間、

 

『『一緒に生きて帰るんだ!!』』

 

俺達は光に包まれた。

 

『こ、これは…………?』

 

突然の状況に困惑するが、触れ合った右腕から香織の存在をとても近く感じる。

 

『ハジメ君…………』

 

気付けば光の中に、俺と香織は一緒に居た。

そして同時に感じる。

ブリッツグレイモンとクーレスガルルモン…………アグモンとガブモンの存在を。

 

『ハジメ君、私ね、黒騎君が言ってた意味、ずっと考えてたの』

 

『ブリッツグレイモンとクーレスガルルモンは、オメガモンに匹敵する潜在能力を秘めているって奴か?』

 

『うん…………それにね、ブリッツグレイモンはウォーグレイモンの、クーレスガルルモンはメタルガルルモンの亜種って事も言ってたよね』

 

『あ~………そういやそんな事を言ってたな』

 

『でね、ウォーグレイモンとメタルガルルモンに亜種が居るのなら、オメガモンにも亜種が存在するんじゃないかなって思ったの』

 

『ッ…………!?』

 

香織のその言葉は寝耳に水だった。

 

『そしてそれが…………黒騎君の言ってた本当の意味だとしたら…………!』

 

『ブリッツグレイモンとクーレスガルルモンの………ジョグレス………!』

 

思わずそう口にした時、

 

『やってやろうぜ、相棒!』

 

『ああ! オイラ達ならきっと出来る!』

 

いつの間にかアグモンとガブモンが隣に居た。

 

『…………そうだな。俺達なら出来る…………! 必ず………! 俺達皆で………!』

 

『『『『生きて帰る!!!』』』』

 

俺達の思いが1つになった時、光が爆発した。

ブリッツグレイモンとクーレスガルルモンが光に包まれる。

 

「ブリッツグレイモン!!」

 

「クーレスガルルモン!!」

 

俺達は光の螺旋を描きながら昇っていく。

 

「「ジョグレス進化!!」」

 

その光が1つとなり、そこから光の柱が降り注ぐ。

そして、その光の柱の中に俺達は居た。

左手がブリッツグレイモン、右手がクーレスガルルモンの頭となっている腕を持ち、白くスマートな体躯。

そして、真っ黒なマントを靡かせた新たなる聖騎士。

その名は、

 

「「『『オメガモンAlter-S!!!』』」」

 

オメガモン Alter-Sとなってその場に舞い降りた俺達。

 

『成功した………?』

 

俺は思わず呟く。

 

『やったねハジメ君!』

 

すぐ傍………いや、一心同体となっている香織の声が俺に届く。

 

『ああ………行くぞ香織! オメガモンAlter―S! やられた借りは利子付けて返してやるぞ!!』

 

「「おおっ!」」

 

ブリッツグレイモンとクーレスガルルモンの声が二重に聞こえるオメガモンAlter―Sの声。

その瞬間、再びディアボロモンがカタストロフィーカノンの嵐を撃ってくる。

 

「「………………………」」

 

そして同時に理解する。

オメガモンAlter―Sは、ウォーゲームのオメガモンの様に全てを弾き返すことは出来ない。

故に全身をマントで包んで防御する。

次々と着弾し、爆発に呑まれるが先程とは違い、オメガモンAlter―Sには殆どダメージが無い。

先程と同じぐらいの時間だけ攻撃が続いたかと思うと、攻撃が止む。

爆煙の中から姿を現したオメガモンAlter―Sはマントを翻すとほぼ無傷の姿を見せつける。

その姿に怯んだのか、ディアボロモン達にざわめきが広がる。

オメガモンAlter―Sは『右腕』のクーレスガルルモンの腕を振り上げると、

 

「「ガルルソード!」」

 

その口から剣が飛び出す。

グレイソードと比べて刀身が薄く、黒い刀身と金の刃を持つ剣だ。

グレイソードが破壊力に特化しているのに比べ、ガルルソードは斬撃に特化した剣。

切り裂くことに長けた剣だ。

オメガモンAlter―Sは身を捻る様に振りかぶると、その場で1回転する様に横薙ぎに振るった。

その瞬間、ガルルソードの軌跡に合わせ、斬撃が環を描くように広がっていく。

その斬撃は、その通過点にいたディアボロモン達を綺麗に切り裂いた。

続いてブリッツグレイモンの頭となっている『左腕』を振ると、

 

「「グレイキャノン!」」

 

その口から四角い砲身が飛び出す。

ガルルキャノンはエネルギー弾を放つ形だが、このグレイキャノンはプラズマ砲。

ブリッツグレイモンのサンダーバーニアの超上位互換だ。

グレイキャノンを正面に向けると、その砲口にエネルギーが集中し、プラズマ収束砲が撃ち出された。

そのプラズマ砲に呑み込まれたディアボロモンは跡形もなく消滅する。

オメガモンAlter―Sはエネルギーの放出を続け、左腕を動かしてディアボロモン達を殲滅していく。

時折反撃が来るが、その程度ではオメガモンAlter―Sは物ともしない。

グレイキャノンである程度殲滅した後、ディアボロモンの群れの中央に飛び込み、ガルルソードで一気に切り裂く。

全てのディアボロモンを殲滅するのに数分と掛からなかった。

 

『…………片付いたか…………』

 

俺は同じ轍を二度踏まないように、オメガモンAlter―Sの感覚を研ぎ澄ませ、撃ち漏らしが無いかを確認する。

どうやら今度は間違いなく殲滅した様だ。

 

『ハジメ君! 早くユエ達の所に行かないと…………!』

 

『分かってる……………』

 

俺はそう言うと、オメガモンAlter―Sのグレイキャノンをある方向に向ける。

 

『…………ハジメ君………? 何をするつもりなのかな?』

 

香織の声が引きつっているのが分かる。

 

『いちいち道なりに行くのは面倒だ。空間をぶち抜く。こいつならやれるはずだ!』

 

『えっ!? そんな強引な………!』

 

香織の声に構わず俺は不敵な笑みを浮かべ、グレイキャノンをぶっ放したのだった。

 

 

 

 

 






第73話です。
決戦早々オメガモンAlterーS参上。
オメガモン戦で進化させようとも考えたんですが、ディアボロモンも出したかったんでこんな形に。
そして、勇者(笑)と恵理が生かされていた理由がこんな感じ。
当てにならない人種を観察対象にしていたイグドラシルでした。
次回はその勇者(笑)とヤンデレちゃんのお話。
1話で終わるかなぁ………………そしてなんとレオモンが…………
お楽しみに。



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