ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

91 / 298
第3話 この幸運の女神と邂逅を!

 

 

 

 

初めてのクエストを熟したその夜。

 

「え~、では、初めてのクエスト攻略に………」

 

「「「「「「「「「カンパーイ!」」」」」」」」」

 

俺の音頭でジョッキをぶつけ合う、カズマ一行を含めた俺達。

俺達は今、クエストを達成した報酬で夕食を楽しんでいた。

 

「なんか達成感があるな」

 

カエルの肉の唐揚げを齧りながら俺はそう言う。

 

「そういや大士達は別の異世……………前に居た所に冒険者とかは無かったのか?」

 

カズマがそう聞いてきた。

 

「いや、あるにはあったし、登録もしてたんだが、主に素材の換金ぐらいでしか利用しなかったからな…………こうやって依頼を受けて報酬をもらうって言う事は殆ど無かったな」

 

あったとしても、商隊の護衛にフューレンで受けたウィルの捜索、ミュウをエリセンまで送り届けるぐらいだったか。

 

「………………こう思うとトータスじゃ冒険者らしい仕事は殆どしてないな」

 

折角冒険者になっても意味が無い。

無駄に『金』ランクだっただけだ。

その時と比べると、安い報酬とは言え、あの時には無かった達成感がある。

 

「特にお金にも困ってなかったしね」

 

葵の言葉に俺も頷く。

俺達が仕留めた魔物は、普通の冒険者にとっては簡単に狩れるものでは無く、レアな素材なので、それを換金するだけで旅を続けるには事足りた。

 

「本当に登録してただけって感じね」

 

優花も同意見の様だ。

 

「もったいねえなぁ………」

 

カズマがそう言うが、

 

「その時は、今ほど余裕が無かったからな。帰る事に全力だった」

 

あの時は帰れる保証が何もなかったから、その可能性を持つ神代魔法の取得に全力を注いでいた。

今は、そう遠くない内にハジメが迎えに来てくれることは確定しているので、焦る必要は何もない。

トータスでは満喫できなかった異世界ライフを楽しむ余裕があるのだ。

 

「何を話しているのかはよくわかりませんが、3人とそこのでじもんとやらはとんでもない実力を持っているのはよく分かりました」

 

めぐみんがそう口にする。

 

「ああ、それは私もそう思った。特に、アオイの剣術は見事なものだ。ジャイアントトードを細切れにするなど、並の剣士には不可能だ」

 

ダクネスがうんうんと頷く。

それだけなら普通の騎士として当然の意見なんだろうが、

 

「あの鋭い切り口。あれ程の切れ味はこの私でも防げるかどうか…………身体中を切り刻まれ、傷だらけになった私はあられもない姿になって……………」

 

頬を染めながら悶え始める。

やっぱティオの仲間だなこいつ。

 

「俺が凄いと思ったのは優花の投擲だな。あの威力は一体何なんだ?」

 

カズマがダクネスをスルーする。

 

「何って………普通に投げただけだけど………?」

 

「いや、それであの威力ってのはおかしいだろ!? アンチマテリアルライフルとか、戦車の砲弾ぶち込んだかと思ったぞ!」

 

まあ、それぐらいの威力は出てると思う。

でも、重力魔法や、炎、雷の魔法を組み合わせればもっと威力が出ると言ったらどうなるのだろうか?

 

「その辺はステータスの恩恵だろうな。登録の時にも言ったが、優花の基本ステータスは俺達の中じゃ最強だ」

 

「改めて思うととんでもねーな…………」

 

カズマは戦慄しているのか冷や汗をたらりと流した。

 

「安心しなさい。今の所あなた達と敵対するつもりはないわ…………『敵』にならなければね」

 

「肝に命じます!」

 

カズマは敬礼の動作をしながら間髪入れずに頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

今日はカズマ達とは別行動で、掲示板に張り出されていた依頼を適当に受けたわけだが、

 

「………………大した事無かったな………」

 

俺はポツリと呟く。

俺達が受けた依頼は一撃熊の討伐。

名前からして一撃の強さに秀でたモンスターだと思った。

で、依頼の場所に行くと程なく目的の巨大な熊が現れたのだが、俺はどの位の強さがあるのかと、デジソウル付きの拳を相手の攻撃に合わせて繰り出してみたのだ。

その結果は…………………一撃だった。

小手調べのつもりで放った拳は、一撃熊の腕を圧し折ってそのまま顔面にめり込み、頭蓋骨を陥没させてそのまま絶命させてしまった。

 

「確かに人を一撃で殺せるぐらいの腕力は持ってたが…………デジモンの成熟期にも及ばないな…………」

 

精々成長期以上成熟期未満と言った所か。

真のオルクス大迷宮の第1層の魔物にも劣る。

拍子抜けした俺達だが、宝物庫にモンスターの死骸を収めると、そのまま街へ帰る事にした。

 

 

 

俺達がアクセルの街に戻り、依頼達成の報告を済ませてギルドを出ると、

 

「やあ、ちょっといいかな?」

 

突然聞き慣れない少女の声が響いた。

俺達がそちらを向くと、そこには短い銀髪のスレンダーな体形をした少女がいた。

 

「…………君は?」

 

俺が僅かに警戒しながら聞き返すと、

 

「ああ、そんな警戒しなくていいよ。ちょっと話を聞きたかっただけだからさ」

 

銀髪の少女は両手を挙げて、敵意が無い事をアピールしながらそう言う。

 

「………………………で? 俺達に何の用なんだ?」

 

俺は警戒レベルを一段落としながら話とやらを促す。

 

「先ずは自己紹介だね。アタシはクリス。見ての通り盗賊だよ!」

 

クリスと名乗った少女は親指で自分を指差しながらそう名乗る。

 

「黒騎 大士だ」

 

「神代 葵だよ……」

 

「園部 優花よ」

 

「俺はドルモン!」

 

「某はリュウダモンだ」

 

「私はハックモンという」

 

俺達からも名乗り返すと、

 

「うん、よろしくね!」

 

クリスは笑みを浮かべてそう言った。

どうやら本当に敵意は無い様だ。

 

「…………それで、話っていうのは?」

 

俺が再び話を促すと、

 

「突然現れた高ステータスの新鋭パーティー。ジャイアントトードを20匹以上も仕留めて、ついさっきも一撃熊の討伐をあっさりと成し遂げた。私じゃなくても興味持つと思うけど?」

 

クリスは興味深そうに俺達を見てくる。

 

「まあ、私はダクネスから話を聞いて興味を持ったんだけどね」

 

笑いながらそう言うクリスに、

 

「ダクネス? カズマのパーティーのダクネスか?」

 

「そうだよ。彼女はアタシの友達なの!」

 

「ダクネスの友達か……………」

 

俺はそれを聞いてこいつもドMの仲間なのかと訝し気に見ていたが、

 

「あの………勘違いしないように言っておくけど、アタシには彼女みたいな特殊性癖は無いからね」

 

その視線に気付いたのか、クリスは苦笑しながらそう言った。

 

「そうか」

 

まともな感性の持ち主ならそれでいいんだが。

俺がそう思っていると、

 

「……………ねえ、クリスって言ったよね?」

 

葵が怪訝そうな目でクリスを見ながら声を掛けた。

 

「そうだけど………何かな…………?」

 

ジッと見つめられていることに気付いたクリスは不思議そうな表情をしながら首を傾げる。

すると、

 

「……………………優花、ちょっと内緒話したいからお願いできる?」

 

「………わかったわ」

 

葵の言葉に優花が頷くと、空間魔法を使って周囲から認識できないようにする。

葵がそれを確認すると、再びクリスに向き直り、

 

「……………クリス…………………クリスって………『女神』だよね?」

 

驚くべき一言を口にした。

 

「え、ええっ!? ち、違うよ!? 私は『エリス様』じゃないよ! クリスだよ!!」

 

明らかに動揺した様子でそう否定する。

だが、

 

「………………私は『女神』って言っただけで、『エリス』とは一言も言ってないけど?」

 

「そ、それは…………エリス様はこの世界で一番信仰されてる神様だし、普通に女神と言ったらエリス様だと思うよ!」

 

クリスはそう言うが、必死に誤魔化そうとしてるのは丸わかりだ。

 

「水の女神のアクアもこの世界で信仰されてるけど?」

 

「そ、その…………確かにアクシズ教は存在するけど、エリス教徒に比べたら少数だから………!」

 

クリスは尚も必死に誤魔化そうとするが、

 

「………………隠したい気持ちは分かるけど、同じ『神』の『眼』は誤魔化せないよ」

 

そう言いながらジッと見る葵の眼は、女神化した時と同じように済んだ碧眼となっていた。

 

「ッ!? こ、これはまさか『神眼』!? どうして下界の人間が『神眼』を!?」

 

驚愕からか、口調が変わっている。

しかも、『下界』とか言ってる時点で、自分が『天界』の存在であると証明している事に気付いてない。

すると、葵が光に包まれ、白い翼が広がり、蒼銀の髪となる。

 

「私ですよ、エリス。運命を司る女神のアルオイスです。今は訳あって人間に転生しています」

 

葵がそう名乗ると、クリスは驚愕で目を見開き――――――

 

「アルオイス先輩!!」

 

クリスは目をキラキラさせて、憧れの人物を見るような眼差しで胸の前で手を組みながら叫んだ。

葵はそんなクリスに微笑むと、

 

「久し振りですね、エリス」

 

「は、はい! お久しぶりです、アルオイス先輩! 私を覚えていてくださったなんて光栄です!!」

 

クリスの表情は、感動で目に涙を溜め、頬が赤くなるほどに興奮している。

 

「あ~、葵? やっぱり彼女は『女神』なのか?」

 

俺が口を出すと、

 

「はい。彼女は『エリス』。『幸運を司る女神』です」

 

「幸運の女神…………」

 

「『幸運』は『運命』と密接に関係している役割です。司る役目の関係上、運命神と幸運神は顔を合わせることが多いのですよ」

 

「なるほど」

 

「そして彼女………エリスは幸運の神の中でも真面目で優秀な女神です。彼女の働きに助けられた事も、何度もありましたから」

 

そう言って微笑む葵。

 

「そ、そんな畏れ多い! 私の力なんて、アルオイス先輩の働きに比べたら微々たるもので…………」

 

「謙遜することはありませんよ。私があなたに助けられたことがあるのは事実です。そして、あなたが『神』として優秀だからこそ、この世界では最も信仰されているのでしょう?」

 

「ア、アルオイス先輩っ……………!!」

 

クリスは感極まって涙を流している。

 

「…………それで、何であなたはそんなに感動してるの?」

 

優花が感動し過ぎているクリスに問いかけると、

 

「だって………だって………! 憧れのアルオイス先輩にそこまで言って頂けるなんて思ってなかったんだもん!」

 

感動し過ぎて言動が幼児退行している。

 

「あ~………つまり、エリス様にとって、葵は憧れの存在と…………」

 

「勿論です!!!」

 

「ッ!?!?」

 

俺が何となく口にした言葉にものすごく力強く肯定され、俺は思わずドン引いた。

 

「私を始めとした下級神にとって、アルオイス先輩は憧れの存在なんです!! 上級神様に匹敵する力はもちろんの事、『神の役割』の中で最も難しい役割の1つで、限られた神しかなれないと言われる『運命を司る』役目を担う神の中でも飛び抜けた量の仕事を熟し、それでいて高圧的な態度は決して取らず、物腰も柔らかく、尚且つ私の様な後輩女神にも真摯に向き合って相談にも乗ってくれて…………そして何より『翼』持ち!! もう『女神』という存在の模範とも言うべき『完璧な女神』!! それがアルオイス先輩なんです!!」

 

クリスもといエリス様が興奮した面持ちで力強くそう言う。

 

「お、おう…………」

 

俺は押され気味だったので、ちょっと気になった事を質問することにした。

 

「ちょっと気になったんだが、葵が『翼』を持ってるって事は特別な事なのか? 俺はてっきり『神様』は翼を持っているものと思い込んでたんだが…………」

 

俺が見たことある神は葵と上級神様だ。

2人共翼を持っていたので、俺は神様が翼を持つことは普通の事だと思っていた。

そういやアクアは無かったな?

 

「それは違います!!」

 

エリス様がキッパリとそう言う。

 

「『翼』を持つ神は上級神様と同等の力を持つ事の証明なのです。数多いる下級神の中でも、『翼』を持つ『神』は、アルオイス先輩を含めても片手で数えられる程度です」

 

「ほ~、それは初めて聞くな………やっぱり葵って相当凄い女神なんだな」

 

俺は改めて葵の有能さを認識する。

 

「そうなんですっ!! アルオイス先輩は凄いんです!! そんなアルオイス先輩が下界堕ちになったと聞いた時には、何かの間違いだと、私を含めた先輩を崇拝する同志たちで上級神様に直訴に行ったぐらいです!!」

 

「そ、そんな事してたんだ…………」

 

エリス様の言葉に葵は呆気に取られて声を漏らす。

 

「ですが、アルオイス先輩が過失で1人の男性の運命を終わらせてしまったという事は間違いないらしく、裁定は覆りませんでしたが……………」

 

「因みに、それは俺のことな。あと、葵が仕事ミスったのは、他の神が葵に仕事押し付けてキャパオーバーになったからだぞ」

 

「ええ、それも承知しています! 全く、『運命を司る』役目が神の役目の中でもエリートであるという事は認めますが、殆どの神々はその役目に就いているという事だけで胡坐を掻き、無駄に偉ぶっているだけで、実際は本来の半分も仕事して無かったじゃないですか!! その尻拭いをぜーんぶアルオイス先輩が受け持ってたんですよ! そんなのミスが出るに決まってるじゃないですか!!」

 

エリス様はプンスカと怒っている。

つーか、そこまで酷かったのか運命神…………

俺は天界の状況に呆れる。

つーか、何気に前世の俺の死はスルーされたな。

 

「お、落ち着いてエリス……」

 

葵はエリス様を宥めようとする。

 

「なのに、罰を受けたのはアルオイス先輩ただ1人………! 挙句に女神としての力と記憶を封印されて人間に……………………って、あれ? どうしてアルオイス先輩は女神としての記憶と姿を?」

 

「「「今更!?」」」

 

俺、葵、優花の3人が揃って呆れた声を漏らした。

 

「あ~、それはね…………」

 

葵は女神の力と記憶を取り戻した経緯を簡単に説明する。

 

「そう言う事でしたか……………『運命を司る女神』なだけあって、数奇な運命を辿っているようですね、アルオイス先輩」

 

エリス様は納得したように頷く。

 

「むしろ数奇な運命を辿っているのは大士で、私は大士と一緒に歩んでいるだけかな?」

 

それは確かに。

すると、エリス様は葵をジッと見つめ、

 

「やっぱりアルオイス先輩、以前よりも綺麗になりましたね」

 

突然そんな事を言った。

 

「えっ? そ、そんな事無いと思うけど…………」

 

突然言われた事に照れたのか、葵は頬を染める。

 

「いいえ。何ていうんですか? こう、内側から滲み出る色気が出てきたと言うか…………やはり恋をすると変わるというのは本当なんですね!」

 

「エ、エリス………!」

 

葵は恥ずかしそうに翼を折り畳む。

 

「これは本当にアルオイス先輩が天界に戻って来た時に、男神達が荒れますね」

 

「ええっ?」

 

「アルオイス先輩は気付いて無かったかもしれませんが、アルオイス先輩に想いを寄せる男神達は非常に多いんです。今までは『格』の違いから気後れしてしまって遠くから眺めているだけでしたが、そのアルオイス先輩が想いを寄せる相手…………それも『神』ですら無い唯の『人間』だと知ったら、善からぬ事を企む(もの)も出てくるかもしれません……………」

 

「…………碌な事になりそうも無いな…………」

 

その状況が簡単に予想出来る。

生きている内から死後の心配をするとは思ってなかった。

すると、

 

「…………………その時は…………」

 

『魔力』とも『神力』とも違うプレッシャーがその場に広がった。

優花の作り出した空間が軋みを上げ、空間が隔てられたはずの外側では、世界中の人々に何かしらの悪寒が駆け巡る。

野生動物やモンスター達も一斉にアクセルの街から離れる様な行動を取った。

 

「………その時は『()』が相手でも許さない………!!」

 

静かながら、どんな『神言』よりも重いその言葉。

正に『神の怒り』。

それを発しているのが葵と分かっているから、俺や優花、デジモン達は平気だが、

 

「あ………ひ…………も、申し訳……………」

 

そのとばっちりを諸に受けたエリス様は腰を抜かして身体を震わせている。

エリス様が悪いわけでは無いが、謝罪を口にしていた。

 

「おい、落ち着け、葵」

 

「後輩が怖がってるわよ」

 

俺と優花が葵の肩に手を置きながら宥めるようにそう言う。

そこで葵はハッとなり、

 

「あっ………! ご、ごめんエリス…………大丈夫だった?」

 

つい先ほどまでのプレッシャーが消え、慌てながらエリス様に謝り、手を差し出す。

 

「は、はい……………ビックリしました…………」

 

エリス様は葵の手を取って立ち上がる。

 

「それにしても、アルオイス先輩がそこまで取り乱すなんて、よっぽタイシさんが大切なんですね?」

 

「それはもちろん!」

 

エリス様の言葉に間髪入れず頷く葵。

 

「………………ですがどうするんですか? 先ほどの言葉はあくまで予想ですが、その可能性は高いと思います」

 

「えっと………さっきは取り乱しちゃったけど、並の下級神なら、今の大士なら殴り倒せると思う」

 

「はい?」

 

「信じられないかもしれないけど、大士は上級神様の『神言』に抗うほどの『魂』の強さを持ってるの」

 

「ええっ!? 上級神様って………『運命』の上級神様ですか!?」

 

「うん」

 

「そ、そんな!? 並の下級神では動く所か指一本動かせなくなる上級神様の『神言』を!?」

 

「それは言いすぎだろ? 確かに上級神様の『神言』はキツかったが、葵の為を思ったらいくらでも抗えたぞ。ドルモンやリュウダモンも抗ってたし」

 

「それは普通じゃないです!!」

 

エリス様がハッキリと否定する。

 

「うん。だから、下界での生が終わったら、私は大士達を私の『従属神』として迎え入れようと思ってるの。上級神様の『神言』に抗う位だから、『魂の格』を上げるのは簡単だろうし」

 

「『従属神』?」

 

聞き慣れない言葉に首を傾げると、

 

「一定以上の強さを持つ『魂』が、『神』に認められる功績を上げることで、『魂の格』を『神』の領域に引き上げて『新神』となるの。そして、その新神が下級神に仕えることで神格を上げて、更に上の神を目指す。その時に下級神に使える新神を『従属神』っていうの」

 

葵がそう説明する。

 

「………なんか話が大きくなり過ぎてついて行けなくなりそうなんだが…………」

 

「あはは。難しく考えなくても、死んだ後も私と一緒に居たいなら如何にかできるって事」

 

「アルオイス先輩、それは端折り過ぎです………」

 

エリス様がゲンナリした声を漏らす。

 

「そもそも、『神』に認められる功績って、そう簡単なモノじゃ無いだろ?」

 

俺は理解できた部分だけでもそう聞く。

 

「えっ? 何言ってるの? 大士はもう2度も世界を救ったんだから、その功績はとっくにクリアしてるよ。勿論優花やリュウダモン達も」

 

葵がきょとんとしてそう言った。

 

「………そういやそうだったな…………」

 

ぶっちゃけ世界を救ったという実感は無い。

俺は自分の大切な物の為に戦っただけだ。

 

「そもそも大士は既に『神』を殴り倒してるじゃない」

 

優花も呆れた口調でそう言う。

 

「ごもっとも」

 

そういやイグドラシルも『神』だったか。

 

「だから、後は大士達の『意志』次第。勿論嫌なら無理強いするつもりは無いから、輪廻の環に戻っても………」

 

そこまで言って葵が僅かに悲しそうな眼をしていたので、

 

「バーカ、俺がお前を手放すわけ無いだろ?」

 

軽く頭に拳骨を落としながらそう言ってやる。

 

「………大士………」

 

「俺は何時までも一緒だ」

 

「………うん」

 

「………そこは、『俺達は』と言って欲しかったわね」

 

優花の言葉に俺は振り向く。

 

「大士がそっちを選ぶなら当然私もよ。『神』にでも何でもなってやろうじゃない」

 

優花がどんと来いと言わんばかりにそう言った。

 

「勿論俺達も!」

 

「某は葵のパートナーだ。それは未来永劫変わらない」

 

「私も優花と共に在るつもりだ」

 

「皆…………」

 

優花やパートナー達の言葉に葵は感極まった声を漏らす。

 

「……………うん! ありがとう!」

 

葵は涙を浮かべながら笑みを浮かべてそう言った。

 

「……………素晴らしい方々ですね。アルオイス先輩」

 

「うん…………こう言ったらおかしいかもしれないけど、私、人間に転生して本当に良かったと思ってる」

 

「アルオイス先輩は有能過ぎて孤独でしたしね」

 

「そ、それは…………否定しないけど………」

 

何だ?

葵ってぼっちだったのか?

 

「それはともかくとして、エリス。いつまでこの世界に居るかは分からないけど、少しの間よろしくね!」

 

葵は、元の人間の姿に戻りつつそう言う。

 

「はい、こちらこそ。アルオイス先輩!」

 

エリス様もそう言うが、

 

「エリス、今の私は『運命神 アルオイス』じゃなくて、人間の『神代 葵』だよ!」

 

葵がそう訂正すると、

 

「じゃあ、今のアタシも『エリス様』じゃなくて『盗賊のクリス』だよ!」

 

エリス様もといクリスもそう訂正した。

 

「うん、わかった。よろしくね、クリス」

 

「こっちこそ、葵」

 

そう言って2人は握手を交わす。

『神』同士では無く、人間としての友情がそこにはあった。

 

 

 

 

 





このすばクロス第3話です。
このすばの原作はアニメだけですが、他の肩の小説を読んでクリスの正体がエリス様だという事は知ってたんでこの話を盛り込みました。
あと、話の中で妄想が勝手に膨らんで従属神やらなんやらの設定が出てきましたが、即興で思いついた事なんであまり気にしないように。
次回はあの魔剣持ちの彼が出てくると思う。
お楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。