ありふれた転生者はデジモンテイマー   作:友(ユウ)

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最終話 この素晴らしい世界にサヨナラを!

 

 

 

 

この世界に来てから数ヶ月が過ぎた。

 

「………………ハジメの奴おせーな………」

 

俺は思わずそうボヤく。

遅くても一ヶ月ぐらいで迎えに来ると思ってたんだが、未だに何の音沙汰も無い。

 

「私達がここに来ることになった原因のマジックアイテムが特殊なモノだったのかもしれないし、『女神』であるアクアの力が大きくて、予想以上に遠い世界から呼び出されたのかもしれないし………」

 

「もしくはその両方か………ね」

 

葵と優花がそう言う。

 

「まあ、私としては大士やハックモンが居るなら、何処の世界でも構わないけどね」

 

優花がそう言って笑みを浮かべた。

 

「逆に言えば、そういう考えだから、優花は元の世界に帰る為の〝概念魔法〟を生み出せないんだけどね」

 

葵が苦笑する。

優花は〝概念魔法〟を習得はしているが、元の世界に帰る為の『極限の意志』を持たない為、帰る為の〝概念魔法〟は生み出せないでいた。

 

「だけど、大士と離れ離れになったら、大士の所へ行く〝概念魔法〟を生み出す自信はあるわよ」

 

「ははは………」

 

俺は思わず苦笑した。

因みにカズマ達だが、最近屋敷を手に入れ、そこに住むようになった。

以前の凍えそうな馬小屋生活から一転して、寒さに凍えることは無くなってカズマは喜んでいた。

ただし、家の維持費はそれなりに掛かるだろうが…………

そんな時だった。

 

『デストロイヤー警報! デストロイヤー警報!』

 

突如として、街中に放送が響き渡る。

 

「ん?」

 

『住民の皆様は直ちに避難を! 冒険者の方は、装備を整えて冒険者ギルドへ!!』

 

その放送を聞いた住民たちが、我先にと逃げ出していく。

 

「…………一体何が起きたの?」

 

ドルモンが首を傾げる。

 

「デストロイヤーとは一体………?」

 

ハックモンがそう呟く。

 

「ん~~~! ここで考えてても分からないし、一先ず冒険者ギルドに行くか」

 

一先ず放送に従って冒険者ギルドに向かうことにした。

 

 

 

 

冒険者ギルドに行くと、そこには多くの冒険者達が集まっていた。

その中にはカズマ達の姿もある。

 

「カズマ!」

 

俺はカズマに声を掛けた。

 

「大士! お前達も来てくれたのか!?」

 

カズマはそう言う。

 

「ああ………つーか、『デストロイヤー』って一体何なんだ?」

 

俺はずっと疑問だったことを尋ねる。

 

「なんか、大昔に暴走した古代兵器らしいぞ。なんでも、そいつが通った後には草も残らないとか何とか………」

 

「歩く災害みたいなモノか…………」

 

すると、

 

「皆さんがこの街の最後の砦…………どうか、よろしくお願いします!」

 

受付嬢のルナさんがそう言うと、隣に居た水晶玉を持った女性のギルド職員が前に出る。

 

「現在、デストロイヤーは街の北西方面から、こちらに向けて真っ直ぐ進行中です」

 

そのギルド職員が持つ水晶玉には、巨大なクモ型の機動兵器が映っていた。

どうやらあれがデストロイヤーの様だ。

すると、デストロイヤーの背面の一部が光ったかと思うと、水晶に映っていた映像が途切れる。

おそらく、偵察に飛ばしていたモノが迎撃機能により撃ち落とされたのだろう。

それを見ていた冒険者達が静まり返る。

 

「あの……デストロイヤーって古代の魔法王国が作ったんですよね………? 作った人達は、何か対抗策を用意して無かったんですか?」

 

冒険者の1人がおずおずと手を上げながらそう質問した。

だが、ルナさんは残念そうに伏せていた目を開けると、

 

「デストロイヤーの暴走で、真っ先に滅ぼされました………」

 

そう答えた。

 

「…………ムリゲー」

 

カズマがボソッと呟く。

 

「こんな時、ミツルギさんが居てくれたら………」

 

「何処に行ってしまったんだろう………?」

 

その言葉に俺はギクッと反応し、カズマはそっと目を逸らす。

何故なら、その肝心のミツルギは俺が殴り飛ばした挙句にカズマが魔剣を売っ払い、その魔剣を取り戻すために奔走中だ。

 

「早く皆で逃げた方が良いよ!」

 

クリスがそう提案する。

だが、

 

「いや駄目だ。町の人々が帰る場所を失ってしまう」

 

ダクネスがそう言って、その案を拒否する。

 

「相変わらず頑固だなぁ、ダクネスは………」

 

クリスは呆れた様にそう言った。

その時、葵が服の袖をちょいちょいと引っ張り、

 

「どうするの………?」

 

何処か期待に満ちた表情でそう聞いてきた。

どうやら葵には俺の心はお見通しらしい。

 

「…………まあ、まだ日は浅いが、この街にもそれなりに愛着はある。その街が理不尽に破壊されようとしているのなら、黙って見ている気は無いさ」

 

「普通に助けたいって言えば?」

 

俺の言葉に優花が呆れた様にそう言った。

エセ神や国の陰謀が入り混じったトータスの時とは違う。

この街は、駆け出し冒険者が集まるという性質の所為という事もあるかもしれないが、余所者の俺達も温かく迎えてくれた。

それなりに気に入っているし、良い街だと思う。

どうなっても良いという気にはならない。

少なくとも、手助けがしたくなるぐらいには。

だから俺は口を開く。

 

「そのデストロイヤーだが、俺達に任せてもらっていいか?」

 

その言葉に、全員の視線が集中する。

 

「如何にか………出来るんですか………?」

 

ルナさんは縋るような視線を向けながらそう聞いてきた。

 

「ああ、多分な」

 

「お願いします!! デストロイヤーを止める手段があるのなら試してください!!」

 

ルナさんは必死な表情で頭を下げた。

手段も何も、完全な力押しで倒すつもりだが………

 

「まあ、任せてください」

 

その言葉に、ルナさんは表情を引き締めると、

 

「それでは! 緊急クエスト開始です!!」

 

「「「「「「「「「「おおっ!!」」」」」」」」」」

 

その言葉に冒険者達が気合の入った声を上げた。

いや、戦うのは俺達だからな?

 

 

 

 

 

 

 

「タイシさん! アオイさん! ユウカさん! 間もなくデストロイヤーが見えてきます! 戦闘準備をお願いします!」

 

街の門の前で待機している俺達に、ルナさんが呼びかけてくる。

すると、地平の向こうから巨大な影が見え始めた。

それは途中にある岩山をも軽々と砕いて直進してくる。

 

「おお~、こうして見ると結構デカいな………」

 

俺はデストロイヤーを眺めながらそう口にする。

 

「なあ、ホントに大丈夫なのか?」

 

それを見たカズマが不安げに聞いて来た。

 

「………カズマ、俺達のパートナーを忘れちゃいないよな?」

 

「パートナーって…………」

 

カズマはドルモン達に視線を落とす。

 

「まさか、成熟期までしか進化出来ないとは思って無いよなぁ?」

 

「それって………まさか………!」

 

カズマは気付いたように声を上げた。

俺達はDアークと1枚のカードを取り出す。

すると、そのカードが光り輝いて、ブルーカードとなる。

 

「おおっ!? それってまさかブルーカードって奴か!?」

 

その言葉に俺は笑みを浮かべることで応えると、

 

「「「カードスラッシュ!」」」

 

そのブルーカードをDアークにスラッシュする。

 

「「「マトリックスエボリューション!!」」」

 

――MATRIX

  EVOLUTION――

 

ドルモン達が光に包まれる。

 

「ドルモン進化!」

 

「リュウダモン進化!」

 

「ハックモン進化!」

 

デジモン達が光の中で進化する。

成長期から成熟期へ。

そして成熟期から完全体へ。

 

「ドルグレモン!!」

 

ドルモンは紅の獣竜に。

 

「ヒシャリュウモン!!」

 

リュウダモンは鎧を纏いし龍に。

 

「セイバーハックモン!!」

 

ハックモンは、両手両足尻尾に計5本の刃を持つ竜人に進化した。

突如光と共に現れた完全体デジモンに、周りの冒険者達は驚愕のざわめきを起こす。

 

「うひょぉー! これが完全体か! 壮観だな!!」

 

ただ1人、カズマだけは興奮した面持ちで声を上げている。

俺はデストロイヤーを見据えると、

 

「先ずは様子見だな………ドルグレモン!」

 

デストロイヤーのパワーがどの程度かを判断する為に、ドルグレモンに呼びかける。

ドルグレモンは上半身を仰け反らせ、口を上に向けると、その先に鉄球を生み出す。

その直後に、その鉄球が直径200m以上にまで膨れ上がると、

 

「メタルメテオ!!」

 

その超巨大な鉄球をデストロイヤーに向けて放った。

超重量の鉄球が高速で放たれる様は、まるで隕石の様だ。

デストロイヤーに近付くにつれ、鉄球の下部が地面を削りつつデストロイヤーに接近し、衝突する。

だが、その鉄球はデストロイヤー本体に届いてはおらず、直前に結界によって止められていた。

だが、衝撃までは防げないようで、デストロイヤーが凄い勢いで後退していく。

デストロイヤーの細長い脚にも負荷がかかり、バチバチと紫電が発生している。

それでもやがて勢いが収まっていき、完全に止まった。

鉄球は勢いを失い、粒子に分解される。

 

「…………耐えやがった」

 

俺は少し意外だった。

小手調べとは思っていたが、少なくとも中破。

上手くいけば、大破まで行けると想定していたからだ。

それをデストロイヤーは、かなり無理をしたとは言え、ほぼ無傷で防ぎ切った。

予想以上の防御性能だ。

すると、

 

「「「「「「「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」」」」」」」」

 

突然周りの冒険者達が歓声を上げた。

俺は一体なんだと思ったが、

 

「デストロイヤーを押し返しやがった!」

 

「スゲェ!? 信じらんねぇ! スゲェ!?」

 

デストロイヤーを押し返したことが信じられなかったらしい。

 

「そこまで騒ぐことか………?」

 

俺は思わずそう漏らすが、カズマと一緒に居ためぐみんとダクネスも目を丸くしていた。

 

「信じられません………今まで押し返すどころか、止める事すら困難だったデストロイヤーを…………」

 

「それにあの巨大な鉄球………! あんな巨大なものが迫ってくると考えただけで…………あぁっ!」

 

めぐみんはともかく、ダクネスは変な所で興奮すんな。

 

「……………で、どうするの?」

 

優花がスルーして問いかけてきた。

 

「ん~~~、頑丈なのは結界だけで、それさえ破れば完全体の攻撃でも十分倒せると思うぞ」

 

俺は先程の状況を見て推測を立てる。

 

「だったら、私の解呪魔法(セイクリッド・ブレイクスペル)で結界を消せると思うよ」

 

葵がそう言う。

だが、

 

「それをやる前に、ちょっと試したいことがある」

 

俺はそう言って魔法を準備しようとしていた葵を止める。

 

「何をするの?」

 

優花がそう問いかけてきたので、

 

「あの結界を殴り壊す」

 

拳にデジソウルを纏いながら俺はそう言った。

その言葉に、

 

「あ~、うん、大士らしいと言えば大士らしいわね………」

 

「大士って、デジソウルを使えるようになってから、脳筋というか………好戦的になってるよね………」

 

2人が乾いた笑いを漏らしながら呆れた言葉を漏らす。

 

「……………………否定は出来ないな」

 

2人の言葉に自分の行動を軽く顧みてそう呟いた。

 

「まあ、とりあえず試してくる」

 

俺はドルグレモンの背に飛び乗ると、そのままデストロイヤーに向かって飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

【Side カズマ】

 

 

 

 

デストロイヤーという機動兵器に向かって、ドルグレモンに乗った大士が向かって行く。

 

「大丈夫なのか? あいつ…………」

 

デジソウルという理不尽な力を持ってるのは知ってるが、あんな巨大な物に向かって行く気が知れん。

すると、

 

「というか、あんた達は『究極体』に進化出来たりは………?」

 

「出来るよ」

 

「出来るわね」

 

「出来るんかい!!」

 

「勿論大士もね」

 

「じゃあ何で素手で突っ込んでくんだよ!? どう考えても究極体で殲滅した方が手っ取り早いだろ!?」

 

俺は思わず突っ込んだ。

ドルモンの進化ルートからすると、究極体はドルゴラモンかアルファモンだろうし、究極体の中でも上位のデジモンだ。

あの程度の機動兵器は物の数じゃない筈。

すると、

 

「それは、大士がデジソウルを使えるようになる前の反動かなぁ………?」

 

葵様がそう仰った。

 

「反動?」

 

「大士はこの世界に来る前に召喚された世界でも、ステータスは最弱クラス。とてもじゃないけど、1人じゃ魔物とは戦えなかった」

 

「私も途中まで最弱クラスだったけど、大士がデジソウルを使えるようになるより早くに女神の封印が緩み始めて、それなりにステータスが上がって戦えるようになったんだよね」

 

優花と葵様が続ける。

 

「他の仲間達もチートレベルの力を有してたから、大士は劣等感と言うか…………情けなさを感じてたみたいなの」

 

ふむ、他の仲間はともかく、恋人より弱いっつーか、護って貰ってばかりなのは男として情けなくなってくるな。

 

「私達はそんな事全然気にしてなかったけどね。強さで大士を好きになった訳じゃないし」

 

こんな時に惚気んでいい!

 

「だから大士は、可能な限り自分の力で立ち向かおうとするの。勿論、無理だと感じたらすぐに仲間に頼るし、独り善がりになってるわけじゃないよ」

 

「ただ、自分の力で可能だと思った事は、可能な限り自分の力を試そうとするのよ」

 

半分呆れた声で………もう半分は、心配そうな声でそう呟く。

その視線の先では、大士を乗せたドルグレモンがデストロイヤーに近付いていくところだった。

デストロイヤーからは、迎撃システムが作動したのか、無数のレーザーの様なものが照射される。

ドルグレモンはその攻撃を受けても怯まずに突っ込んでいき、デストロイヤーの結界に衝突した。

デストロイヤーは、たたらを踏む様に後退するが、多脚をしっかりと踏みしめてドルグレモンに対抗する。

ドルグレモンが結界に衝突している部分には、結界の魔法陣がハッキリと浮かび上がっていた。

すると、ドルグレモンの背の上で大士が立ち上がると、全身からデジソウルを吹き上がらせ、そのデジソウルを拳へと集中させた。

そのままデストロイヤーの結界へと飛び掛かり、

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

デジソウルを纏った拳を叩きつけた。

正直、傍から見れば『頭大丈夫かコイツ?』と言いたくなるような光景なのだが………

 

――ビキリッ

 

と大きく罅の入る音が聞こえた。

 

「うぉらぁああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

 

大士が更に気合の入った声を上げると、結界全体に罅が広がっていき、

 

――バキィィィィィィィィィィィィィン

 

と、ガラスが割れる様な音を立てて結界が砕け散った。

 

「マジかっ!?」

 

俺は思わず声を漏らす。

そして次の瞬間、

 

「成龍刃!!」

 

「レッジストレイド!!」

 

巨大な剣へと変化したヒシャリュウモンと、飛び蹴りの体勢をしたセイバーハックモンがデストロイヤーへ向かって突撃する。

その二体は流星の様にデストロイヤーに向かって接近し、そのままデストロイヤーの脚の付け根辺りを抉り取りながら通過した。

両脚を失ったデストロイヤーはその巨体を地面に投げ出しつつ停止し、

 

「メタルメテオ!!」

 

最後のダメ押しとばかりに、ドルグレモンが放った巨大な鉄球によって圧し潰された。

 

「容赦ねえ~………」

 

俺はその光景を見て思わずボヤいた。

両脚失って身動き取れなくなった所に巨大鉄球で圧し潰すとか。

すると、

 

「「「「「「「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!」」」」」」」」」」

 

冒険者達が歓声を上げた。

だが、

 

「やったか!?」

 

「俺、これが終わったら結婚するんだ………」

 

はっ!?

こういう時にフラグになるような発言は!?

 

「さあ! 帰って乾杯よ! 報酬はお幾らかしらね?」

 

駄女神が駄目押しとばかりにフラグ立てやがった!

 

「この馬鹿ーっ!! 何でお前はそうお約束が好きなんだーーーーっ!?」

 

俺は思わずアクアに怒鳴る。

しかも報酬は全部大士達のもんだろ!?

 

「へっ?」

 

俺の怒鳴り声にアクアが声を漏らした瞬間、

 

―――ズズズッ

 

と、デストロイヤーを圧し潰した鉄球が僅かに持ち上がった。

 

「ッ!?」

 

「ほら見たことかーーーーっ!?」

 

「えぇえええええええっ!?」

 

俺達が声を上げると、鉄球の下からニョキッと6本の細長いクモの脚の様なものが広がる様に出て来て、地面を踏みしめる。

 

「な、何だアレ…………?」

 

俺は一瞬デストロイヤーの足かと思ったが、新しく出てきた足は機械的では無く、どちらかと言えば生物っぽい。

でも、その大きさはデストロイヤーのモノに引けを取らない。

その6本の足が大地を踏みしめ、グググっと鉄球の下を持ち上げようとしている。

すると、鉄球にビキビキビキッと罅が広がり、砕けるように崩れると、その中から黒い本体が持ち上がって来た。

だが、それはデストロイヤーなんて生温いものでは無かった。

 

「お、おい………あれってまさか…………!?」

 

俺はそれを知っている。

知っているとは言っても、DVDやネットの情報で知っているだけで、本物を見た事など勿論無い。

何故なら、

 

「ア、アーマゲモン…………?」

 

おそらくデジモン映画史上最強の敵デジモンであろう究極体。

あのオメガモンすら一蹴した最凶の敵。

 

「アーマゲモン 究極体 属性不明 属性不明デジモン。必殺技は、『アルティメットフレア』と『ブラックレイン』」

 

優花がDアークを見ながらそう口にする。

その時、

 

「キュァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

アーマゲモンの背中からミサイルの様にエネルギー弾が撃ち出された。

それはドルグレモンに向かって殺到する。

ドルグレモンも躱そうとしたが、それは映画の通りに追尾性能を持っていて、躱そうとしたドルグレモンに追いつき着弾した。

その瞬間、凄まじい爆発がドルグレモンを包む。

 

「ああっ!?」

 

「タイシッ!?」

 

めぐみんとダクネスが叫んだ。

ドルグレモンの背中には大士が乗っていた。

あの爆発じゃ、もう…………

 

「クッ………!」

 

俺は思わず目を背けてしまった。

でも、その時おかしい事に気付いた。

葵様と優花は、特に取り乱しもせずにその光景を冷静に眺めていた事に。

 

「………………?」

 

俺は不思議に思ってもう一度爆発が起こった所に視線を移す。

すると、爆炎の中から黒い騎士が飛び出した。

 

「あれは………?」

 

「アルファモンかっ!?」

 

アクアが声を漏らし、俺は思わず叫ぶ。

アルファモンはそのまま降りて来て地上に着地した。

アルファモンはアーマゲモンを見上げ、アーマゲモンはアルファモンを見据える。

すると、

 

「キュァァァァァァァァァァァ…………!」

 

アーマゲモンが大きく口を開き、体を膨らませると同時に、口の奥が輝き始める。

次の瞬間、その口から凝縮されたエネルギー弾が放たれた。

それに対し、

 

「はぁあああああああっ!!」

 

アルファモンは左手を突き出して巨大な魔法陣を浮かび上がらせる。

そして、その魔法陣でアルティメットフレアを受け止めた。

 

「くっ……………!」

 

だが、その勢いは凄まじく、アルファモンも押されて後退していく。

しかし、

 

「はぁああああああああああああああああっ!!!」

 

アルファモンが気合の入った声を上げると、魔法陣の角度を変え、受け流すようにアルティメットフレアを後方上空に弾いた。

凝縮されたエネルギー弾はアクセルの街を飛び越え、地平の彼方に着弾し、核爆発が起こったかと思えるほどの爆炎と共に爆発した。

 

「なんちゅー威力だ………」

 

俺はその光景を見てゾッとする。

 

「これはアルファモンだけじゃキツそうね………」

 

「うん! 私達も!」

 

優花と葵様がそう言うと、いつの間にかヒシャリュウモンとセイバーハックモンが戻ってきている事に気付いた。

すると、その2体が一旦成長期に退化し、

 

――MATRIX

  EVOLUTION――

 

再び輝いた。

 

「「マトリックスエボリューション!!」」

 

葵様と優花がリュウダモンとハックモンと1つになる。

 

「リュウダモン進化!」

 

「ハックモン進化!」

 

その輝きは、今までとは桁が違う。

何故なら、

 

「オウリュウモン!!」

 

「ジエスモン!!」

 

究極体への進化だったからだ。

2体はすぐに飛び立つと、アルファモンの横に並ぶ。

 

『相手はオメガモンすら超える相手だ。気を抜くなよ』

 

大士がそう言うと、アルファモンが右手を前に突き出し、

 

「デジタライズ・オブ・ソウル!!」

 

光弾を連続で放った。

その光弾を次々と叩き込まれるアーマゲモンは後退していく。

 

「永世竜王刃!!」

 

オウリュウモンが持つ二振りの大刀が輝き、それを振り抜くと巨大な斬撃が飛ぶ。

 

「轍剣成敗!!」

 

更にジエスモンが強烈な一閃を放った。

 

「キュァァァァァァァァァァァッ!!」

 

それでも尚アーマゲモンは生きている。

まあ、ガルルキャノンの連発を腹の中に受けても平然としてたやつだからな。

アーマゲモンは再び背中から無数のエネルギー弾を撃ち放ち、雨の様に降らせる。

 

「させん!」

 

アルファモンは巨大な魔法陣を上に展開してそのエネルギー弾を防ぐ。

 

『皆! 長期戦はアクセルの街が巻き込まれる! 一気に決めるぞ!』

 

大士の言葉にアルファモン、オウリュウモン、ジエスモンが頷くと、

 

――BLAST

  EVOLUTION――

 

「アルファモン!!」

 

「オウリュウモン!!」

 

「「ブラストエボリューション!!」」

 

光に包まれたアルファモンとオウリュウモンは、互いに螺旋を描きながら天へと昇っていく。

そして、

 

「アルファモン王竜剣!!」

 

左手に巨大な大剣を持ち、金の翼で空を飛ぶアルファモンが現れた。

更に、

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

ジエスモンが気合の入った声を上げると、赤い光に包まれる。

そして、その光の中から、

 

「ジエスモンGX!!」

 

姿の変わったジエスモンが現れた。

 

「おおっ………!」

 

俺は感嘆の声を漏らす。

アルファモン王竜剣とジエスモンGXにまで進化出来るなんて…………

俺が感動していた次の瞬間、

 

「聖拳滅破っ!!!」

 

ジエスモンGXの背中にあった光の翼が形を変え、巨大な腕となって無数の乱撃をアーマゲモンに叩き込んだ。

アーマゲモンはその攻撃を受けて軽々と吹っ飛び、背中から岩山に叩きつけられた。

更に、

 

「はぁあああああああああああああああああああっ!!」

 

アルファモン王竜剣が追随し、王竜剣の一閃を叩き込む。

 

「キュァァァァァァァッ!?」

 

アーマゲモンの腹に大きな傷跡を付け、序とばかりに岩山も両断されていた。

 

「次で止めだ! ジエスモン!」

 

「ああ!」

 

一旦距離を取ったアルファモンがジエスモンと合流し、止めを刺さんとアーマゲモンに向き直った。

だが、

 

「キュァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

アーマゲモンが叫び声を上げると、背中からエネルギー弾を無茶苦茶に撃ち放つ。

 

「「なっ!?」」

 

アルファモン王竜剣とジエスモンGXは驚く声を漏らすものの、そのエネルギー弾を迎撃していく。

しかし、

 

「しまった!?」

 

アルファモン王竜剣が声を漏らした時にはもう遅かった。

アーマゲモンが撃ち放ったエネルギー弾の内の一発がこちらに、アクセルの街に向かって落ちてくる。

 

「………………あ、死んだ」

 

俺は思わずそう呟いた。

あんなものが直撃すれば、アクセルの街は跡形も無く吹き飛ぶだろう。

俺がこんなにも冷静なのは、焦りが一周して逆に冷静になるという奴だろう。

俺はそのまま呆然と降ってくるエネルギー弾を見つめ、

 

――ズドォォォォォォォォォォォォォォォッ!!

 

横方向から突然飛んできた紫の光に呑み込まれるのを目撃した。

 

「な、なんだぁっ!?」

 

俺は漸く我を取り戻して今更ながらに大慌てする。

俺は紫の光が飛んできた方向に視線を向けると、そこには、

 

「あれは………黒いオメガモン………? いや、もしかして、Alter-Bって奴か?」

 

オメガモンを黒くして凶悪にしたようなデジモン、『オメガモン Alter-B』が左腕を向けた状態でそこに居た。

 

「あれは……!」

 

アルファモン王竜剣がオメガモン Alter-Bを見ると一瞬目を見開くが、安心したようにアーマゲモンに向き直り、

 

「ジエスモン!!」

 

「ああ!」

 

ジエスモンGXはアルファモンと共に飛び上がり、

 

「究極戦刃……………!」

 

「ナイツ・イントルーダー!!」

 

「王竜剣!!!」

 

ジエスモンGXは光の剣となって突撃し、アルファモン王竜剣は王竜剣を振り下ろした。

次の瞬間、衝撃と共に強烈な爆発が起こり、アーマゲモンは消えていった。

 

 

 

 

 

 

アーマゲモンを倒した後、俺達の目の前でアルファモン達とオメガモン Alter-Bが向かい合っていた。

 

「あの~カズマさん? あの後から出てきた黒い方、どう見ても悪役なんですけど………凶悪そうなんですけど………?」

 

アクアが俺の背に隠れながらそう言ってくる。

 

「い、いや、多分大丈夫だろ? 一応助けてくれたわけだし………」

 

俺は一応そう言うが、オメガモン Alter-Bが凶悪そうな面構えなのには同意する。

すると、その場のデジモン達が光に包まれて縮んでいき、アルファモン達は大士達とドルモン達に。

オメガモン Alter-Bは、背の高い黒髪に眼帯をした青年と黒いアグモン、黒髪の美少女とガブモンとなってその場に現れた。

 

「…………思ったより遅かったな、ハジメ」

 

大士がそう言うと、

 

「そこまで言う事は無いだろう? これでも急いできたんだ。まあ、1ヶ月近く掛ったことは認めるが…………」

 

「1ヶ月? こっちじゃもう数ヶ月は立ってるんだが…………」

 

黒髪の青年と大士の話の食い違いが起こる。

だが、

 

「ああ、それぞれの世界で時間の流れ方が違うって奴か」

 

「だろうな」

 

一瞬で両者とも納得しやがった!

 

「な、なあ大士……知り合いなのか?」

 

俺が恐る恐るそう聞くと、

 

「ああ、前に言ってた迎えだよ」

 

大士がそう答える。

 

「えっ!? 迎え!? って事は………」

 

「ああ、俺達はこれでサヨナラって事だ」

 

その事実に俺は驚愕する。

いや、その内迎えが来るって事は聞いてたから、覚悟はしてたつもりだったんだが、いざこうしてその時が来ると、なにか寂しいものがある。

 

「そう………か………よかったな!」

 

それでも、大士達には帰る場所がある。

だったら、笑って見送ってやらなきゃな。

 

「カズマ………」

 

大士は苦笑する。

すると、思いついたように顔を上げ、

 

「そうだ。今まで世話になった礼に、デストロイヤー討伐の報酬はお前達が受け取ってくれ」

 

「マジか!? いいのか!?」

 

湿っぽい雰囲気が一気に吹っ飛んだ。

 

「ああ、俺達にはもう必要のないものだからな」

 

「そ、そうか………! なら遠慮なく!」

 

貰えるものは貰う!

それが俺のポリシー!

 

「皆も世話になったわね」

 

優花がそう言い、

 

「じゃあね、皆。アクアは80年後ぐらいに天界で会えるかな?」

 

葵様はそう仰った。

 

「もういいか?」

 

ハジメと呼ばれていた黒髪眼帯の男は待ちくたびれたと言わんばかりにボヤくと、鍵の様なものを取り出して後ろの空間に向ける。

すると、空間に穴が開いた。

その青年はかったりいとばかりにそれを潜り、黒いアグモンと黒髪の美少女にガブモンもそれに続く。

そして、優花とハックモン、葵様とリュウダモンが続き、最後に大士とドルモンが潜ろうとして、一旦こちらを振り向き、

 

「じゃあな!」

 

笑みを浮かべてそう言った。

そしてすぐに振り返ると空間の穴を潜り、ドルモンも後を追った。

やがて、その空間の穴が消えた。

こうして、不思議なデジモンテイマー達が居た短い生活は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

尚、デストロイヤーの賞金でウハウハだった俺達だが、最初にアルファモンが弾き飛ばしたアルティメットフレアの爆発がどっかの貴族の屋敷を破壊したとかで国家転覆罪の冤罪を掛けられ、一悶着起こることになるのだが余談である。

 

 

 

 

 





最終話です。
最後がちょっと雑になった。
このすばクロスはこれにて終幕。
如何でしたでしょうか。
まだ執筆は続けれそうなので、次やって欲しいクロスをアンケートします。
投票お願いします。

次のアフターでやって欲しいクロスオーバーは?

  • マブラヴオルタネイティヴ
  • ゼロの使い魔
  • デジモンの居るオリジナル異世界
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