ポケットモンスター、縮めてポケモン。この世界に存在する不思議な不思議な生き物。彼らは、陸に。空に。海に。この世界のどこにでも存在する。この物語は、1人の少年とそのパートナー達の送る気ままな旅の物語である。
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ふと、息苦しさを感じて目を覚ました。顔に覆いかぶさったナニカをそっと退かすと、そのナニカはこちらを見て嬉しそうに鳴いた。
「イブイブ、ブイッ!!」
「んぅ……ふわあ……おはよう、“イヴ”」
僕の相棒であり、家族であるポケモン、イーブイのイヴ。僕がトレーナーになった時から艱難辛苦を共に乗り越えたかけがえのない家族である。カーテンを開ければ、眩しい朝日が室内を照らす。今日も今日とて雲一つない快晴だ。
ベッドの脇の棚上に置いていたメガネをかけ、大きく伸びをすると、僕はイヴに言った。
「朝ご飯、食べるか」
「ブイブイ!!」
僕達が宿泊しているホテルの階下にあるレストラン。そこで僕はコーヒーのモーニングセットを。イヴにはいつもよりちょっと贅沢なポケモン用のモーニングを。
「いただきます」
「ブイブイ、イブブブイ!」
バタートーストをかじり、コーヒーを飲む。うん、やっぱり美味しい。イヴも満足そうにモーニングセットをむしゃむしゃと食べている。今日も彼女は元気ハツラツのようだ。
「ご馳走様でした」
「イブイブ、イブブイ!」
命の恵みに感謝し、部屋に戻る。服に袖を通し、鏡の前で髪を整える。おかしな所は無し、寝癖も直した。お気に入りのベレー帽を被り、首にカメラをかける。そしてナップサックを背負う。準備万端だ。
「それじゃあ、行きますか」
「イッブイブブイ♪」
チェックインを済ませたら外へ出る。
「イヴ、今日はどんな所に行きたい?」
そう言いながら僕は地図を開く。すると、イヴはとある町を指し示した。
「『コボクタウン』か。OK、じゃあ行こう」
「ブブブイ!」
そんなやり取りをしながら、僕らはホテルの駐車場に向かう。駐車場の隅っこにあったのは、1台のバイク。最近移動の為に中古で買った代物で、まあまあ古い。だけど、僕とイヴはそこを気に入り、購入を決意したのだ。ヘルメットを被り、風よけゴーグルをつける。バイクに取り付けられたサイドカーにイヴを乗せ、バイクの後部に荷物を括る。
「それじゃあ、今度こそ出発しよっか!」
「イッブブイ♪」
風を切り、バイクを走らせる。森の木々が後ろへ後ろへと流れていく。似たような景色を何度も見ているのに、全く飽きる様子のないイヴは目を輝かせながら風景を眺める。その姿を見て、僕は静かに笑みを浮かべるのであった。
バイクを走らせること数時間。目的地のコボクタウンに着いた頃には、太陽はとっくに真上に昇っていた。このコボクタウンの付近には、どうやら立派な宮殿が建っているらしい。
「どうする?行ってみる?」
「イブー?イブブイ♪」
僕と一緒ならどこでも楽しいみたいだ。嬉しくなっちゃうね。
バイクから降りて手で押しながら木々のアーチを歩く。野生のポケモン達が仲良くじゃれあっているのを見て、カメラのシャッターを切りたい衝動に駆られてしまうが、何とか我慢する。少し長い木のトンネルを進むこと数分。眩しい光が差し込み、目を細める。目が慣れて、そっと前を見る。すると、そこには─────
「おお……………!!!」
「イブブ…………!!!」
立派な門と、豪奢な宮殿がそびえ立っていた。
「これは1枚撮るしかないよね!」
そう言いながら、僕はカメラのピントを宮殿に合わせる。
宮殿を太陽が照らし、青い空を白い雲が流れていく。
パシャッと乾いた音を鳴らし、シャッターを切る。
自然の中に佇む、白亜の宮殿が何とも表現出来ない美しさを醸し出していた。
「それじゃあ、宮殿の中見学してみよっか」
「イブブイ!」
「イヴ、ここの庭園はとっても綺麗らしいよ?楽しみだね」
「イブイブ、イブブブブイ!」
そんなやり取りをしながら僕らは宮殿がへと足を運ぶのだった。
この後、領主さんのポケモン、トリミアンが脱走。それを捕まえる手伝いをしてヘトヘトになったのはまた別の話。