ミノフスキー粒子なんて、オカルトチックなっ?!   作:丸亀導師

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CE70年2月~3月


第15話 失った制宙権、手に入れた人材

コロニー郡世界樹は、崩壊した。宙域における一大拠点を失った、連合軍艦隊は一路月基地プトレマイオスへと、逃走を行った。

実験艦隊は、派閥争いにより一度は拒まれたが、それでも最短の基地への入港を許可される。

 

この中では、半壊した艦艇やMA腕や足が欠損したものたちが溢れ、油と血の混じった匂いが辺りに充満しそこは文字通りの地獄であった。

それでも、被害事態は中程度に押さえられ艦隊の再編成も進められていた。

 

そこに並ぶ艦艇は、全て新造されたもの。その艦艇全てに、核融合炉が搭載され武装も一新された。

だが、散布能力は未だ無かった。

データリンクシステムに依存している艦隊を、脱却することは出来なかったのだ。

そして、次代こそが完全なるM粒子の散布を行えるものとなる。

 

 

一方の勝者である筈のZAFTは、予想以上の艦艇の損耗率に驚嘆していた。

彼等の目に合ったのは、突如として艦隊を奇襲した姿の見えぬ敵、ゴーストエネミー。

 

彼等はその敵が、何処の何者なのかという事を戦闘後徹底的に調べあげる。

その中にあったのは、人間の動きとは到底思えない軌道で宇宙(そら)をかけるMA、映像で確認出来たエンブレムは、Rの文字を変形させたペガサスが描かれていた。

 

評議会の議題に上がるほどに、謎めいたそれを全員が注視する。

更に、ゴーストエネミーが映像の中にうっすらと確認できた。

 

それは旧来のロングレンズカメラによる撮影で、偶然端に写っていた。

艦型の称号から、既存艦艇に改装を施したものであると断定した。だが、何故彼等はあそこから一方的な砲撃を出来たのか。誰にもわからなかった。

それを知るのは、半年ほどたったことであった。

 

 

~マイケル~

 

おい!そこ!アポジモーターの角度調節、後0.1ミリ下方にずらせ!じゃないと機体が回転しちまうぞ!

おいおい、エンジンユニットのバイパスコンデンサが焦げてるだろ、なにやってんの!予備は艦内には無いんだぞ!

 

おっ?どうしたんだい?何をやっているのか、だって?

今な、損傷した機体を中核として、戦時戦闘能力の向上を図ってるんだ。忙しいよ、だいたいこんな整備場で、開発するなんて誰が言ったんだ?

 

せっかく持ってきたスーツが台無しだよ、これじゃあまだまだ時間がかかるなぁ。せめて6日で終わらせねえと、敵が地球降下作戦を行うかもしれない。

だから、せかされてんだそんなに脅されてもねぇ。

 

メビウスは比較的ポテンシャルが高いものだったからなぁ、まあ改造等のお陰だけど、それよりも一番気になっていることがある。

目の前にいるパヴリチェンコ大尉の搭乗する、メビウス・ゼロだ。

 

やはりというか、彼女の反応速度に機体が付いていけていない。それどころか、ラグを感じるほどだから内部の電子回路等にも、負荷がかかっていたそうだ。

なんと、自分で調整していたからそこは大丈夫だと、メカニックとしての腕もあるのか…凄いな。

 

だが、残念な事にもうメビウス・ゼロのアップグレードは、行えない。あの機体のポテンシャルは既に、使い潰されている。

後は、彼女の腕でMSと戦っているわけだ。勿論彼女も生き物だから、疲労する。それを補えるだろうか…。

 

まあ、仕事を進めよう。メビウスで現在使用されている、20ミリバルカンは正直時代遅れの代物だ。

何故なら、本来仮想敵であった筈の同じタイプのMAの撃破すら出来ない処か、MS相手では速射制のみ頼りにされ、肝心の貫徹力が不足している。

 

航空機が相手ならともかく、頑丈な装甲に護られている機体への攻撃力が限定される。本来の用途であった、対艦戦闘にはまだまだ活用できるが、小回りの効くMS相手では対艦ミサイルも使えず。頼りになるのは、対装甲目標撃破率の悪い、対空兵装だけになる。

 

そこで、当たっても攻撃力が足りないのなら、一発の威力をあげる事となった。

選択肢は2つ、一つはリニアガンを装備する。

これは、メビウスゼロの兵装からの流用だからOSの移植で、可能だ。問題点として、速射の悪さ一撃必中を目標に、メビウスゼロのような大容量バッテリーの搭載されていない中での使用となる。

 

もう一つは単純な口径拡大だ。

質量はエネルギーだから、単純にでかくなりゃ同じ速度なら、デカイ方が強い。

だから、2連40ミリバルカンを拡大した2連75ミリバルカンへと、換装させる案を出そう。

これは瞬間火力をある程度保持したまま、より強力なものとするということ。

問題点として、携行弾数が減る。瞬間火力密度が多少減ると言うことだ。

 

どちらも、俺としてはやりたい。え?75ミリバルカンは正式採用されてないから、駄目だろ?だって?心配ご無用、イーゲルシュテルンが有るじゃあないの、有るものを使うのが、一番良いに決まってる。

 

後は姿勢制御だが、ここは既存のものの出力を上げる程度で済む。どうせ、艦隊から離れたところでの戦闘は出来ないからな、なんせバッテリー駆動だから。

これで、まにあうかなぁ~。

 

 

2月29日

 

良し!正式採用された。これで、多祥なりとも被害は減らせる。何?今度は艦艇の改修をしろだと!そんなもの、たくさん有るバッテリーを核融合炉に変えて、主砲をメガ粒子砲にして、センサーを画像解析型にすりゃ済む話だ!

 

だから、それをやれって?わかった、で次は?プトレマイオス?良いよ、いきゃ良いんだろいきゃ。

 

 

3月9日

 

非常に残念なお知らせがあります。なんと、地上しかもマスドライバーがあるビクトリアに、ザフトが降下作戦を実施したんだと、ここ月面でもかなり話題にあがっているよ。何でも、ザフトを撃退し、殲滅したそうだ。

 

やはり量産は間に合わなんだ、後一週間早ければこんなことにはならなかったかもな。以後気を付けよう。

さて、この課題が終わったら地球に返れる。

いやー久々だよ、帰ったらまず妻と娘と一緒に何処かへ旅行へ行きたいなぁ。

 

 

 

~アズラエル~

 

その時僕に衝撃が走った。L1コロニー郡世界樹が襲撃され破壊されたなどという事を、誰が予想できていたであろうか。

あれ程の艦隊をいつの間にか何処かに隠し持っていたという事を。

 

あんなにも大規模な艦隊を、早々に造り出せるものなのだろうか?いや、出来ないならばどういう事か、もしかすると、戦時改装後戦力として投入できるものが最初から設計されていたのか。

 

もしそうなのだとすれば、矢張連中の言うことをいちいち聞いて行動など出来はしない、我々の許可無くそのような事をするなど、最初から敵対する気だったことの表れだろ。

 

それにしても、今回の敗退で多くの死人が出たから遺族年金を工面するのも政府を疲弊させるな。こちらからも支援を行わねば。

 

まったく獅子身中の虫を排除もしなきゃならないし、遺族年金の補填もしなけりゃならない。

いかに戦争が長引いたとしても、国を疲弊させては儲かるものも儲からなくなるからね。

 

マイクは艦隊戦のとき、実験艦隊いや今は第13独立機動郡だったか。にいたようだけど、あの男が早々に死ぬわけが無いからね、本当に彼は良く、災難に見舞われるよ。

 

おい、秘書君。次の予定は何だったかな?軍との兵器開発に関する、新しいプランの実行。相手は?ハルバートン率いる、MS主力派ね。わかりました、良いでしょう。

 

 

3月8日

 

その日僕は、久し振りに平和というものを謳歌していた。グラスにワインを注ぎ、同級のガールフレンドと共に一時を楽しんでいた。人としての在り方はこうであるように感じるその時を、噛み締めていた。

 

そんな時、事件は起きた。

ビクトリア宇宙港、この地球に置いて一二を争うほど巨大なマスドライバー施設。

それが、宇宙からの攻撃にさらされた。

 

だが、初動が早く早期から撃ち落とす事に成功しながら、防戦を行ったところ。勝利したようだ。

ここは良くやったと言いたいところなのだが、そうも行かないだろうなぁ。

 

きっと連中も焦る筈だ、絶対に二度目がある。だとすれば、何処なのか。マスドライバーは世界各地にある、一つづつ攻略するのは難しいが、何か手だてを持っているのだろうか?

もしくは何かを使用するのか、それはわからないが、警戒しておくに越したことはない!

 

 

 

~プラント評議会・シーゲル~

 

3月15日

評議会は地球連合に対する、積極的攻勢作であったビクトリア攻略の失敗を期に、作戦に一捻りを加えたもの『オペレーションウロボロス』を策定し、作戦の実行日を議論していた。

そして、それの決定後あるMAに対する議論が始まった。

 

かつては穏健派だったパトリックは、今や鷹派の代表格だ。全ては血のバレンタインのせいだよ。

あれさえ無ければ、彼がこれほどまでに憎悪にまみれた顔でナチュラルを詰ることは無かった。

 

そして、その矛先にあるのは先日の世界樹攻防戦での、とある連合のMAだ。

そのMAは、大局に影響を与えることは無かったが、あと少し現れるのが早ければ。我々は、戦略的な敗北を喫する事になるほどだった。

 

エザリア女史からの報告には、あの機体には何ら小細工らしきものは施されていないと、映像解析の結果表された。

だが、唯一違うところが有るとすれば、その反応速度に起因すると。

 

現在パイロット、特にエースと呼ばれるコーディネイターの反応速度は異様に高い。それこそ、ナチュラルにはそれほど優れた者はいないと、評される程だ。

だが、このMAのパイロットは例外と言える、そうだ。

 

まず、その速度は『マイナス秒』であるという。それはもはや、生物としてあり得ない。起こった事象に対して、反応を示すのが生物だ。だが、もし起こり得る事象に対して反応できた場合、それこそ『時』を見ているといえよう。最早神の領域だ。

 

エザリア女史も、パトリックも急進派と呼ばれるものたちは、そんなものはあり得ないと思いつつ。現実を受け入れている。私自身、そんな人間がいるとは正直思わない。だが、マルキオの言う『SEED』を持つものならば、可能なのだろうか?

 

パイロットの身元は案外直ぐに露呈した、何より簡単なものだった。白地に濃い藍色の機体、Rをペガサスの形状に変形させたエンブレム。

それだけで、解ったのだ。連合が、いや大西洋連邦が行った観艦式でエースパイロットの代表として、紹介されていたからだ。

 

女性でありながら、多くの部門で非常に優秀な成績を残し、そのたぐいまれな身体能力に恵まれた。ナチュラルだ。だから、パトリックは目の敵にしているのか、はたまた何かを行おうとしているのか。

きっとこう思っているのだろうな、『ナチュラルがナチュラルのまま我々を抜こうとしている。』と。

 

それでも、我々も彼等も人間であるには変わらない。

もっとも、このナチュラルは人間から一段階上の存在のような気もするがな…。




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