ミノフスキー粒子なんて、オカルトチックなっ?! 作:丸亀導師
砂漠の虎を打ち倒し、より安全な航路を移動すべくユーラシア大陸へと向かうアークエンジェル。
その後をザラ隊は追撃しようとするが、バルトフェルドの死んだ後の崩れた戦線を何とか立ち直らせようと、総力戦を繰り広げる南方方面軍への援軍を引き受けさせられる。
そんな彼等を尻目にアークエンジェルはユーラシアの防空識別圏へと到達し、久し振りの安全な航海に心を休めるときが来る。
そんな彼等へユーラシア連邦は大西洋の安全な航海のため、とある任務に従事することを依頼する。
ジブラルタル侵攻作戦である。
ジブラルタル、そこはスペインの南端アフリカとの境目。現在、ジブラルタル自体はユーラシアが征しているが、結局のところ両サイドを抑えなければ船舶が回航することが出来ない、故にユーラシアは腰を上げた好機を逃さぬために。
~マイケル~
やあやあ、激戦を終えてここ旧ウクライナのオデッサ基地に俺たちはいます。何をしているのか、だって?ここで補給を行っているんですよぉ、なんと塩が足りなくなってしまったから、最寄りの基地へと来たと言うことです。
ほんでね、ここには現在ユーラシア軍旧ロシア戦車師団が集結してる。どうやらここからトルコ方面へ南下して、ジブラルタルとヴィクトリアとの連携で3正面作戦を展開させてザフトを押し潰す算段らしい。
にしても、リニアガンタンクの数が尋常じゃないこの方面への攻勢に凡そ一万四千両がここにいる、いやこの方面に敷き詰められている。
正しく数の暴力とでも言えようものだ、いったい何処に隠していたのか。
子供達はそんな事関係ないと言わんばかりに、ボルシチに舌鼓を打っている。呑気なことだ、まぁそれくらい緊張の糸が張り詰めていたのだろう、こうやって糸が垂れるのがちょうどいいのかもしれない。
にしても、これ程の数の動員をするとはいったい人口の何%を投入する気だ?
話に聞くところによると、その殆どが志願兵でコーディネイターナチュラル問わず集まったのだとか。
おお、プラントよお前は憎まれているな、コゼットが顔を青くしているぞ?
それほど憎悪が満ちている。
『コゼット、大丈夫…じゃあ無さそうだな。この感覚怖いかね?』
「ねぇ、この感覚何なの?ニュータイプだとか、そういうものってこう言うのを感じたりするの?」
『かねがねそうだな、もっとも俺は少し事情が異なるが、そうだな。パヴリチェンコ中佐(昇進した)がいればもっとそういうのを教えてくれたかもな?彼女が一番強い力を持っているから。』
「ねえ、気になってたんだけどさ母さんはこの〈力〉?のことどれくらい知ってるの?」
『厳密に言えば力ではなく、遺伝子構造だ。X染色体内の塩基に通常存在しないものが加えられてる。俺は、それがこの力の元だと確信を持っている。母さんはそれを良く知っているよ、俺は全部話したからね。因に言うが、それと俺の肉体には何ら関係はないぞ?』
そろそろ出航の時間か。
『次の寄港地はヨーロッパ北部キール軍港だ。作戦には時間があるから、そこでショッピングでもしてくれば良いさ。ここよりも安心して準備が出来る。
それと、バジルール中尉も連れて行ってやってくれ。彼女もコゼットと同じ事を感じている筈だからな、気分転換をさせた方がいい。やってくれるかい?』
「ええ、勿論。中尉かなり疲れてるから、何したの?」
『なにも?』
別に何か精神的に追い込むようなものは、あげてないと思うのだがはて?
それよりも、サイ君の機体の組み立てを始めるかな?後数日程で終わる筈だ。
デュエルの余っていた胴体にジンの腕と足、バクゥのキャノン。携行火器はなんとかするべ。
~ナタル~
『私に休暇を取れですか?』
「ええ、そうよ。貴女には助けられっぱなしだし、たまには良いと思って。」
『ですが、私が行わなければならない事が…』
「そこは、私に任せておいて。そんなに量は無さそうだから、やっておくわ。ノイマン曹長にお礼言っておいてね、彼貴女に休みをとらせたくて張り切っていたから。
さあ、行った行った仕事の邪魔よ!」
そんな事が数時間前あった、私は私服に着替えて軍港を後にする。のだが
『どうしてお前達も一緒に来るんだ?それに、どうしてラクス嬢までいる。』
目の前には戦時任官のもの達がズラリと勢揃いしている、良くみれば少し化粧の類いもしている。
「バジルール中尉…じゃなかった。ナタルさん、一緒にショッピングに行きませんか?ラクスも気分転換が必要だからって、艦長に聞かなかったのですか?」
『いや何も、私は少し出掛けるだけだ。お前達は何で私を連れていこうとする。』
「あの、ナタルさん。私服あまり持ってなさそうだし、お洒落とか気にしなさそうだから一緒にどうかなって。」
『余計なお世話だ、とにかく私は行かないからな。!何をする!』
両脇を固められた!この娘たちこんなに力が強かったのか?
「言われると思いました、じゃあ皆行くよ!」
『ま、まて!私はそんなところ!』
公共交通機関に押し込められ、暴れようにも人様に迷惑を掛けたくないから暴れられずにズルズルと、服を買うのか…。
ずんずん進んでいく、金は何処から持ってきたのかBLACKカードなんてもので支払っている。出所はコゼット少尉だと!
『まさか、父親に借りたのか?』
「気前良く渡してくれた。どうせ俺は殆ど使わないからって、家は特許料でご飯を食べていたのかと、初めて知りました。」
色々と何か違うこともあるが、不思議と胃が痛くなるような事はない。不思議なものだな、自分が嫌がっていたことがこんなにも心を軽くするものか…。
ふと時計を見ればもう帰り時だ。
『今日はすまなかった、正直楽しかったよ。大西洋連邦に着いたらお礼をさせてくれ、少しの間なら何か出来るだろうから。』
次の戦いどうなるかわからないが、最善を尽くそう。
~シーゲル~
『私は反対だ!それを兵器転用するなど、あまりにも馬鹿げている。それ程まで虐殺をしたいのか?地球に撃ち込めばどうなるか、君らも解っているだろ?』
虚しくも私の声は会議場に響いた、皆私の声を聞いているだろうが反応が帰ってくることはない。もはや、心に決めていると言うことか?
「議長ですが、現在我々に残された時間は余りにも少ないのが現状です。見たでしょう?デブリ帯での地球軍の戦力を、最早我々にMSと言うアドバンテージは無いのです。なら、我々は来る決戦へ向け準備を整えるのが常道では無いですか?」
いったいどうしたと言うのだ、なぜ頑なにあれをそうしようとするのか
『あれは、未来なのだ。我々の世代だけの話ではない、ナチュラル、コーディネイター双方の架け橋になるための…』
「だが、未来を見据えて今を殺すのか?私は子供達がこれ以上苦しむ姿をみたくない。だからこそ!この力が必要なのだ!」
『パトリック、それでは我々の現状を無視するだけではないのか?』
周囲は私の敵だらけ、クライン派と呼ばれるもの達までもが“推進装置”を兵器転用しようとしている。彼等は脅しの為と言うだろう、だが手にしたものを使うものが必ず現れる。それでは遅いのだよ。
私の反対もむなしく、議題は採決され兵器転用が始まった。大規模な工事は数ヶ月にも及ぶだろう、これが完成するまでに戦争が終結している事を願うばかりか…。
「シーゲル隣は良いですかな?」
パトリックか、
『今更何のようだ。』
「ここから見る景色が貴方は好きだった、と思いましてね。ここからはSAが良く見える、貴方達の外宇宙探査の夢が詰まったあれを。」
何を言っているのか、私を説得しにきたのか?
『あれを造ったのは誰か知っているか?君が忌み嫌うナチュラルの男が、我々でも考え付かない理論を構築して設計したものだ。あれでこれからの人類の進歩が50年は進んだ。そんなものを使って、君は悔しくないのか?』
少し考える素振りをしているな、何か心に来るものはあるようだな。
「確かにその男、マイケル・スパロウは我々よりも優秀だ。だが、奴はブルーコスモスに通じている。貴方はそれを承知で開発に当たらせた、何故それをやらせたのか?」
『あの時、彼を見たとき我々の事を何とも思っていなかった。まるで、虫をみるような目だ。それは、同族であるナチュラルにも同じ目をしていた、だから決心したんだこいつは差別はしないと。
それに、少しずつ変わって行ったんだ、少しずつ人になっていった。
それが未来を語った、産まれ来る子供達のために残したいと、君はそれを兵器にするんだ。未来を壊すんだ。』
「答えになっていませんよ、まあ今更です。私たちはやり遂げる何があろうとも、戦争に勝たねば。」
たとえ勝ってもそんな不毛な終わりかたは、誰も望みはしないのだぞ?
パトリックは去った、私は深く椅子に座り
〈Spacecraft accelerator〉
を眺めるだけしか出来なかった。
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