ミノフスキー粒子なんて、オカルトチックなっ?! 作:丸亀導師
融解し赤熱したボアズ、その周囲では数々の閃光があった。
一機のジンが射撃をし、一機のダガーへとそれが迫り来る。だがどうだろうか、そのダガーは拝む事なく盾を正面に構え射撃を受け流しながら、急接近する。
ジン(ハイマニューバ)はそれに気を取られて、横合いから一気に胴体を切り裂かれる。
2対1の戦い、それでも少なく。他には3対1や4対1の戦いになるところもちらほら見受けられる。
多勢に無勢、それどころか画一化された戦法によってザフトは狩られていく。
獣はどんなに強くとも、人間の卑劣な戦いに対応出来なかったように、慣れている奴等を正面から戦って勝つ通りはない。
そうやってザフトの機体はどんどんと減っていく、後退しつつ戦い、決して一人ではなく隊で戦闘を行うもの達だけが生き残り。それ以外の単独のもの達は、エースや一般兵等関係なく絡め取られて落とされる。
そんな中で、一機だけ孤軍奮闘する奴がいた。彼は一人、無名のパイロット。他のコーディネイターと違うのは、調整が免疫能力だけと言うことだ、つまり身体能力はナチュラルと同じであり遺伝子上殆どナチュラルだ。
にも拘わらず彼一人、生き続けている。それは偶然かそれとも必然だろうか、彼の脳裏には何か良くわからないが直感のようなものが生まれ始めており、それを頼りに何とか凌いでいる。
更に連合のMSがボアズに取り付く、名もなく名声もない彼はそれを止めるために動き出す。
彼はそして、感じるだろうコーディネイターとは全く違未知の領域を。
~コゼット~
第3陣がボアズに取り付くのも時間の問題ね、寄ってくる敵も数が減ってきたし一段落かな?
その時、思考に電流が走った。
何かこちらに向かって来る!
『全機散開!貴方たちはボアズに向かって。サイ!誘導お願い。』
誰、私たちに向けてくるのは…アレか!
それはボロボロで今にも崩れ落ちそうな程になっている、ただ一機のジン。でもそれからまるでオーラのような力を感じ、私はそれに畏怖した。
だけれど、それに怖がっているだけでは駄目、どんな相手でも勝てないという通りはない!
そう身構えた瞬間、銃口がこちらに向くビジョンが浮かぶ、だから私はそれから避けようとした…そう避けようとしたのだ。でも、銃口から射出された弾は私を掠めるように飛んでくる。
まるで私の動きを詠んでいるみたいに、それでも変則的にしていくとどうしたことだろうか、あの機体では反応速度に限界があるらしく上手く動けないでいるようだ。
〈動きが鈍いな…このままでは!!〉
しめたとばかりにライフルを撃つが、それを相手も縫うように避けていくそして互いにすれ違う瞬間、サーベルを展開して切り結ぶ。
サーベル同士がぶつかりスパークが発生する、相手が力を弱めた。急に力がなくなるために、前傾になるところをスラスターで制御して逆に反動を利用して蹴りを入れる。そこで、声が聞こえた。
〈子供か、連合も俺たちと同じなのか〉
まただ、また頭の中に言葉が走った。この人、私たちと同じように言葉を発せずに会話出来ること、を知らないんだ。
『私たちは貴方達なんかと違う!私たちは、この戦争を終らせるためにやってるんだ!戦争の拡大なんか、絶対に阻止する!』
彼の機体は軋み、パワーで圧倒サーベルの柄を切り裂き、次の瞬間サーベルがその機体のコックピットを貫いていた。
〈すまない…ミーア〉
誘爆もない、でもこれは
「コゼット大丈夫か!さっきのあの感じは何だったんだ。」
「ありがとうカズイ…何だったんだろう私にもわからない。それに、これは悲しみ?それとも哀れみ?」
そんなものを気に掛けつつ最終防衛線を突破して、私たちはボアズを攻略した。
その時間は実に7時間という短さだったと言う、だけれどこの悪寒はなんだろうか。冷や汗が出てくる、これは憎しみ?
そう思った時、目の前を極大の光の束が直進して私たちの秘密兵器の半分をもぎ取って行った。
不幸中の幸いだった事は艦隊には何の損害もなかったこと、それ以上に危機的状況にあることには変わりなかった。
~パトリック~
『何?ジェネシスが命中しなかった、だとぉ?』
この男は私の肉体を操りながら、そう話した。机に手を思い切り叩きつけ、血が滲んでいるにも拘わらず人の身体をなんだと思っているのか。
「そ、それが電波での照準が定まらず目視でのみの砲撃を行ったのですが、ボアズが二つに分裂しまして。その後片方が消えてしまい、泣く泣くそれを撃ったのです。」
『それで、粉砕できたのは高々数千枚の薄っぺらい鏡だけか…下がれ。』
情報を持ってきたものが下がり、奴は息をついた。
〈どうやら、お前の目論見は成就しなさそうだな?Mr.X〉
『黙れ、まだ自我が残っていたのか?脳波が感じられなかったから、てっきり死んだのかと思ったが?』
〈この程度で私が死ぬと思ったか?それよりも、まさかダミーを掴まされるとはな。ハハッ良い気味だ、私の身体を返してもらっても良いかな?〉
私の顔で苦虫を噛み潰したような表情で鏡を睨んでいる。
『因果を誰かがコントロールしている、俺のコントロールが効かなかった。』
こいつが何かそれはわからないが、人ではないのは確かだ。そして、願いを歪曲して叶えその願いに絶望した心を食す、という変わった食事の仕方をする。
そこから見るに、地球上の生物ではないもっと別の惑星から飛来したものだろう。
こう思考するが、私の体の主導権は今はない。こいつ自体に実体は存在しないのか、はたまた何か依り代があって…まさかジョージ・グレンが持ち帰ったアレか?だが、アレに生体反応はなかったが。なにより宇宙は広い、こういう奴がいてもおかしくはない。
『ハハッ、だがお前の望みは叶えてやろう。地球を壊せば、お前たちは独立出来るのだからな。』
こいつを止める術は有るのだろうか?
~ニコル~
僕は父に呼ばれ実家に帰ってきていた、だけれどいままで暮らしてきた雰囲気とは違い何かピリピリとしている、そしてその元凶は直ぐに現れた。
「初めましてになるかな?ニコル君」
『貴方はシーゲル・クライン前議長。』
「クラインで良い、もはやプラントも末期だ今更そんな畏まった言い方はしないでくれ。」
困ったような顔をしていた。
『なぜ貴方が、確か外出禁止令を出されていた筈では?』
「ユーリに少し手伝って貰った。監視も今やお粗末なものだからね、それよりも私は今反乱を企てていてね。」
いきなりそんな物騒な事を言い出すなんて、誰が想像できるだろうか?
「我々にはもう時間がない、今やプラントは外部からの侵略の尖兵となり始めている。出鼻を挫かなければ、地球は滅ぶやも知れない。」
『な、何をいってるんですか?そんな地球外の知的生命体なんて、そんなもの来れる訳ないじゃないですか。』
フン、と鼻で笑われた。
「私はね昔とんでもない存在を知ってから、この手の存在に疑問を感じないのだよ。確実にパトリックはアレに囚われている。信じるも信じないも君次第だが、私は信じてほしいと思っている。」
「ニコル、シーゲルさんの言葉信じてほしい。父さんも最初聞いた時は遂に頭がおかしくなったのかと思ったんだが、最近のパトリックの言動を鑑みて合点が行ったんだ。」
『父さんまで…ですが、それを僕に話して何になると言うのですか?』
少し考えた素振りをして僕を見た。
「君にはアスラン君の説得をして貰いたい、彼には黒い事だが政治的に利用させてもらう。こっちは独房内のクルーゼ君を説得しようと思う。彼の友人であるデュランダル君の協力の下に、時は一刻を争うこの通りだお願いしたい。」
僕に頭を下げているのは、プラントの頭脳の一人それが危機を憂いている。やるしかないじゃないか。
『わかりました、迅速に事に当たらせて頂きます。これで借り一つですよ。』
「ありがとう、君らには甲斐の有る人生を送らせたかった。」
『何が甲斐が有るのかは僕らが決めることです、それに僕たちはまだ若いですので。』
僕らの最後の戦いが始まった。
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