ミノフスキー粒子なんて、オカルトチックなっ?!   作:丸亀導師

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第49話 分裂のプラント

ジェネシスの反射板それは非常に巨大かつ、精密な計算の下に造られる工芸品。

一つ一つが高価であり、それの量産は決して簡単なものではない。

 

ジェネシスが兵器として駆動する以前、この反射板の生産にプラント内のプラントでは一部騒動が巻き起こった。連戦連敗の妥協策を造るという名目で、労働者達には給料の大部分が支払われずにいる。

 

それに反旗を翻したものたちが、パトリックに対するデモ活動を行った。これらは武力による鎮圧により、速やかに解散させられた。

だが、それだけで諦めるもの達ではない。

抑圧された感情は熟成され、風船にガスが溜まり破裂するのではないかという程に、膨れ上がっていた。

そこに現れたのは失脚した筈のシーゲル・クライン、労働者達に此度の事の謝罪を目の前で行い、それに心討たれたもの達は彼への協力を惜しみ無く行う。

 

この工作活動、実に3ヶ月もの間行われていた。シーゲル・クライン、彼は道化である。宗主国を欺き続けたその手腕は現在進行形で輝いているのだ。

そして、それは実を結ぶ。

 

ジェネシスの反射鏡の交換その作業中、問題が発生した。些細な機械的トラブル、だがそれは徐々に大事に発展する。パネルの反射、それの屈折率が変化し使い物にならなくなったのだ。

 

一つ壊れればやはり交換しなければならない、しかも発射体勢を解除して、再度取り付けるという面倒くさい作業。更に作業員達は給料不払いから来る怒りで、一時作業をボイコットした。これによって、連合はボアズ攻略で消耗した戦力を回復する時間が稼がれたのだ。

 

そして、交換作業に入るため防衛艦隊?が現れる。しかし、様子がおかしい。ジェネシスの基部を中心になにか行っている。さながら解体作業をするように。

 

暫くすると第2射用反射鏡に艦隊が随伴して現れる、そしてそれに対して防衛艦隊?は即座に攻撃を開始する。ここにザフト内乱が勃発した。唯でさえ、ザフトに余裕は無いというのに。

 

連合との戦力比は15対1、必敗が約束された戦い。普通であれば総力戦をし敗北をもってして降伏やむ無し。

だが、プラントが各地で行った蛮行、それを受けたもの達が果たして、それを良しとしないだろうことは考えるに難しくない。

 

 

一方その頃連合側はどうなのかと言うと、部隊の再編が完了し艦隊を4つに分散して別々の航路でプラントへと進攻を開始した。

それぞれの艦に合わせたその動きは、まるで水中の小魚のように綺麗に纏まった一子乱れぬものだった。まさしく《美しい》と言う言葉が似合うものだろう。

 

さて、その進攻ルートにはプラントの最終防衛線ヤキン・ドゥーエ要塞が待ち受ける。しかし、如何な要塞と言えど飽和攻撃を潜り抜けるのは並大抵のものではない。最も参謀本部では如何にして戦力の消耗を最小限にするか、というのが一番の議題となっていたのだが。

それは、簡単なものであった。

 

 

~コゼット~

 

『ヤキンを無視してそのままプラントへと殴り込む?』

 

「そうだ、司令部はそれが最も損害が少ない方法だと結論付けたらしい。」

 

艦長席からくるりと回りつつそう話すナタル艦長。

どういう事だろうか、もしもヤキンを素通りすれば挟撃されるのは確定的に明らかな筈。誘い出すつもり?でも、それで上手く行くの?

 

「皆の考えていること、充分に理解できる。ただ、どうやら事態は意外にも我々に味方しているようだ。」

 

『と言うと』

 

「ザフトが分裂したのだそうだ講和派と継戦派で。」

 

今更仲間割れなんてしてる時じゃ無いでしょうに、ここまで来ると流石に末期状態って奴なのかな?

 

「それはおそらくクライン派とザラ派では無いでしょうか、であるならば私もご協力可能だと思います。」

 

ラクスがいつの間にかいた、どうやら艦長が呼んだらしい。政治とか大嫌いだ!とか何とか言いそうな見た目してるのに、ナタル艦長ってこんな人だっけ?

「その点はクライン上等兵が気にする事ではない、既に手は打ってあるそうだ。コゼット少尉、君のお父上。マイケルが部隊を率いてプラント本国に突入する。あえて言おう、我々や他の艦隊は大規模な囮だと言う事だ。」

 

父さんが…研究に没頭するんじゃなかったの?

 

「詳しいことはわからない、だが我々には我々のやるべき事があるそれをやり遂げるのが、今の我々の使命だ。」

 

どうして研究者が突入するのか解らないけど、まああの身体能力だからと納得する自分がいるのも事実。

それでも心配なことに変わりはなかった。

 

 

~シーゲル~

今私は戦争犯罪人や捕虜を収容している施設へと踏み入った。

中の保安はお世辞にも優秀とは言えず、このプラントも末期なのだと実感する程には人手不足のようだ。

 

『ここに収容されているものの8割はクライン派か…、これ程収容されているとは、見知った顔もあるね。

デュランダル君、彼は何処に?』

 

「収容所の最奥です。ですが、こうも保安に穴が空いているとは準備が無駄になってしまいました。」

 

奥の方へと進んでいくと談笑が聞こえてくる、いったい誰が喋っているのだろうか?一人の声には聞き覚えがある、特につい最近。

どうしてデュランダル君の声が聞こえてくるのだろうか?彼は私の後にいるというのに。

 

「ほお、では君は矢張ナチュラルなのだな。そこまでの地位に到達するまで、どれほどの努力の積み重ねをしたのか想像するに、難しい。」

 

「貴様もナチュラルだろうに、その年齢でそれほど元気であるなら隠居など考えるな。それにこれは私の実力ではない、素体がよかっただけだろう。」

 

「たとえ君がクローンであろうとも、肉体は訓練の賜物だ。それを誇りに思った方がいい、それにだそれを公表すればどれだけの事が出来ただろうか?悪知恵が働かないのかな?」

 

一人はクルーゼで間違いないが、少し嗄れたデュランダルの声が聞こえる。いったい誰なんだ…

 

『お話し中失礼するよクルーゼ君。』

 

「これはこれは前議長閣下私に何用で?」

 

あの仮面の男がなにやら憑き物が落ちたように、スッキリ爽やかな顔で私を見てきた。

 

『君の力を借りに来たのだが…何やら話し込んでいたようだが?それに、君はナチュラルなのかな?』

 

「ええ、そうです。最も私はアルダ・フラガのクローンですが。」

 

クローンであれ、何であれあの男がいるならそれくらいいるだろう。

 

『だからなんだね、それと返答は?』

「協力しても良いですが、この御仁も共にと言うのであれば。」

 

その男、金髪で昔はさぞや美男だったのだろうと思える男。額に傷があるのが印象的で、どこか胡散臭さがあるような。

 

『協力してくれるならそれでも良い、それで貴方のお名前はなにかな?』

 

「そうだな、私の名はエドワゥと言うしがないパイロットとでも思って頂ければ幸いだ、よろしく頼むよクラインさん。」

 

果たしてこの男は何者なのだろうか?

 

 

~イザーク~

 

『なに?連合がここを素通りしただと?』

 

ザラ隊の解散後、俺は一個の隊を任される事となりここヤキン・ドゥーエの防衛の任に付いていた。

だが、当初の予想とはまるで違い連合がここに来ることはない。

 

『それで、司令部はなんて言ってるんだ?挟撃する…か。』

 

「ですが、それは罠の可能性も有るのでは?」

 

そう考えるのは当たり前だろう、いったい何が待ち受けているのか全くと言って良い程、背に冷や汗が浮かぶ。

それでも、やらなけりゃならない。それが、軍人になった俺の運命か。

 

『全員出立の準備をしておけ、直ぐに指令が来る筈だ。それまでに、艦に荷物を載せておけよ。』

 

俺は果たして隊長として振る舞えるだろうか?連中には強く言うことは出来たが、それでも不安がないと言えば嘘になる。

俺たちよりも強いMS、そして優秀なパイロットそれが一定数以上いることは俺の自信を砕きかねない。

それでも隊長として出来ることは何か、少ない頭で考えているとき、一つの情報が入った。

 

《クライン派の武装蜂起》だ。

 

これが全体に伝わった時、ヤキンの内部でも分裂が始まった。誰かが扇動している、そうとしか考えられない程に、その伝播速度は異常だ。

俺の耳に入る頃には、内乱が起きていた。

 

各地で武装奮起するもの、艦で逃げるもの、連合を追うものどれもが存在し、俺たちは連合を追い本国との挟撃体勢を整えていた。

もはや軍としての体裁すら存在せず、ただ護ろうとするだけだった。

 

決戦兵器であった筈のジェネシスは、これにより事実上無力化していた。

 

 

~名も無き側近~

 

「何!ジェネシスが使用不可能な状況だと?」

 

また驚いてらっしゃる、自分でヤキンに行きたいだの、やれジェネシスを撃てだの言って、現場を混乱させてきたつけだろうなぁ。

今や国内の問題だけでも手一杯なのに、こりゃもうプラントもおしまいだな。

 

『はい、反乱者共は勢力を拡大しており尚も増大中、このままでは戦争継続すら難しいかと…。』

 

これで、戦争が終わればまだ良いんだけどなぁ。端から勝てないと思ってたよ、だいたいもっとスマートなやり方有ったんじゃないか?

やはりコンピューターで選別された奴等なんて、理想しか掲げないんだな。

 

それに、最近議長はおかしい。喋っているときも同じ言葉をまるでリピートするかのように喋るんだ、端から見れば恐怖でしかない。

 

そう考えていたのが2日程前の事…いま、私の目の前には筋骨隆々な男がいて、炎の中議長と対峙している。

 




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