ミノフスキー粒子なんて、オカルトチックなっ?!   作:丸亀導師

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第52話 食物とは名ばかりに…

周囲に散らばる残骸、その中に有るのは人であったもの。膨張して破裂したものや、凍結して死んだもの、太陽光によって焼かれたもの。様々な遺体が存在し、プラントで起きたことがどれ程のものであったのか、それを見れば明らかである。

 

残骸はそこかしこに散乱し、今もなお拡大し続けている。その元凶は巨大な生物、エヴィデンス01。その姿形が似てはいるが大きさが桁違いに膨張し、コロニーを呑み込もうとする。

 

連合軍は投降したザフト並びに、新生ザフト(クライン派残存勢力)との共同戦線を張ることを決意した。

その前段階として、近接コロニーに居住しているもの達を一挙に強制疎開させる。MS MA問わず様々なものが投入された。

参謀では兵器の分配を開始し、使用可能なものとそうでないものの選別を行った。

先の戦闘で弾薬の凡そ半数を使い、残りはエネルギー兵器であるメガ粒子砲だけだ。

 

それがどの程度あの生物に効果があるのか、それは誰にもわからない。ただ言えることは、あの生物は放射線に対して非常に強いと言う特性を持っていることは確かであろう。よって核兵器等多少大きな爆弾である。

 

やるのなら反物質と物質を対消滅させ、完全なエネルギーに変換させる方が効率的だ。だがそれがどの程度効くのだろうか?また、それほどの反物質を確保するにはどれほどの時間がかかるだろうか?

 

学者達は時間の許す限り考える。マイケル・スパロウ、彼の考えを元に造り出された縮退炉の試作品。あまりにも危険すぎたが為に、戦争が終わるまで実験すら行われずにいたもの、太陽系の外縁部での実験を行おうとすら考えられていたそれを使うべきか。

 

果たして結論は出た、縮退炉のリミッターを解除し暴走させることによりブラックホールを造り出す。

一点ものでただ一度きり、失敗は許されないものだ。

そしてそれは、占領されたヤキン要塞へと運び込まれる、クラウン博士と共に。

 

 

 

~コゼット~

 

移送も何とか完了して、ヤキンに寄港した。腕を破損したストライク、推進材を使い果たしたゲイル。ガンバレルを一機落とされたフレイのダガーガンダムヘッド。

弾の尽きたマドロック。

 

アークエンジェル隊は既に戦力としての価値が低かった。もっとも、もう戦争どころの話じゃないのが現実で、未曾有の危機と言うものが映像で確認できる。

 

M粒子の干渉によって一部見えないけど、大分大きな事は確かだ。

あんな生物は見たことない、羽クジラのレプリカを見たことあるけどそれには?少し似てるのかな?

それでもあんな触手みたいなのは無かったけど…やっぱり化石なんて想像を昂らせるものでしか無いのかな?

 

なんて、考えつつヤキンの大型ドックにパイロットが集められた。

 

お偉いさんが先の戦闘での勲章の授与を行い、場違いなほどの祝辞を読んでそこで話は終わらなかった。

 

「さて、諸君等も知っての通り巨大な生物が発見された、それも宇宙空間で突然コロニーを呑み込むかたちで。

我々はあれに対してとある兵器を用いての戦闘を画策した、この任務は非常に危険なものである。

勿論君たちが精鋭であることは知っているが、今回だけは志願制としたい。

成功するとも言えないものだと、本官は判断した。もし志願者がでない場合、本官が責任を取る。

 

誰か志願するものはいるか?それでもいるのならば、一歩前へと進み出て欲しい。」

 

最初に一人前に出た、リディア大佐。お偉いさん、いや中将の後ろで前に出た。そして、13独立機動艦隊の面々も。それは波のように広がり、連合の全パイロット。士官、下士官問わず。

 

旧ザフトの面々はそれに呆気にとられた。

恐怖するのは当然の事、だが目の前の者に立ち向かうからこそその恐怖は克服できる。それをプラントのコーディネイターは知らない、井の中の蛙まさしくその通りであろう。

 

そして、作戦の説明が始まった。

かいつまんで言えば、艦隊による援護射撃を行ってアレを釘付けにしてその間に、炉を敵の内部へと運び暴走させる。その部隊は第一部隊と呼称される。

 

全5部隊編成となり、残りの四つの部隊は可能な限りの生存者の捜索を行う事とされた。これが成功するか誰にも神にもわからない。

だから、父さんを救出できるかもわからない。

 

 

 

~マイケル~

 

特務部隊の面々とやっとこさ合流したものの、果たしてここから出られるかどうか、わからん。

 

「スパロウ博士、これはいったい何なのか貴方にはわかりますか?」

 

『これか?これは…そうだなとある巨大生物の体内だな、あまり刺激するなよ?免疫細胞みたいなのが出てきたら洒落にならないからな。最悪分解されるかもしれん。』

 

隊員は冷や汗を流しているが、それでもパニックにはなっていない。特殊任務に付く連中は、こう精神が強いから良い。だが、このパトリックの秘書官?はそうも行かないようで、さっきからガタガタと震えて縮こまっている。

 

『秘書官はこうなのに、あんたは意外とタフだな。』

 

「そうかね?諦めが付いている分悟っているだけかもしれん。」

 

意識を取り戻したパトリックは、意外なことに精神を害していない。寧ろこの巨大生物への憎悪のようなもので、ここまで持っているのか?

 

「この戦争、そもそもは我々の無知から始まった…それを奴につけこまれて。だからこそ償いをしなければな。」

 

『憑依されていたのなら、こいつがいったいどういう存在かある程度予想できるんではないか?』

 

隊員が一斉に彼の方へ向く、その眼差しを受けて口を開いた。

 

「アレは単なる動物だ。思考するな。あれは、人の心を喰らって大きくなる、故に人を殺す事は間接的以外には行わなかった。我々は利用され奴の食事の為だけに、戦争をしている。」

 

何やらおかしな生命体のようだ、そんなものを食べるとは実体はこちらの世界に無いのか?だが、現にこうやって体内にいるのだからここにはいるのだな。

 

『さて、諸君これからどうする?私はこいつの心臓部を探索しようと思うのだが…』

 

「確かにそれは必要だと思いますが、それは我々の仕事です。貴方はあくまでも民間人ですから。」

 

『いや、私よりも生存者を運び出して欲しいんだが…』

 

これからどうするか。

 

 

 

~アズラエル~

 

密航という形でヤキン要塞に到着して早々に見つかり、vip待遇でこの貴賓室に入れられた。

将校は顔に手を置きやれやれと言った感じだ、だが話してみたかったんだ。目の前に座っている金髪のこの伝説の男と。

 

『初めまして、ムルタ・アズラエルと言います。キャスバル・レム・ダイクンですね?貴方の事は祖父から聞いております。こちらの世界へ航ってきた人物だと言うことは。』

 

「ほお、では君はあの環境保全団体の首領だった男の孫か。私の願いを聞いてくれたことは礼を言う。だが、その孫が何故今ここに?」

 

部屋にいる皆に目配せをした。

 

『はい、あの生物に関して聞きたいことがありまして。』

 

映像を見せる、あの巨大生物の

 

「こいつは私も良く解っていない、正直このように動くとは想像もしていなかった。」

 

『何故、ジョージグレンはこれを持って帰ってきたのですか?あれがなければ、今のこの戦争も起こらなかったでしょう。』

 

映像を少し見て、下を向いたあと僕の目を見た。

 

「声を聞いたのやも知れない、若しくは何かを見させられたか。であれば、私があの牢に閉じ込められることも無く、プラントで隠居出来ていたのだから。」

 

『声?』

 

「そう、あれからは微かだが声がした。腹が減ったと、気づいた頃には私は牢屋にいたよ。それ以外に知ることは無い。」

 

『そうですか、こんな時でなければもっと長く話をしてみたかった。これ以上はお身体に障るでしょうから、私はこれで。』

 

ドアに手を掛ける。

 

「もし、アレを攻撃するのなら用心することだ。あれは、幻覚を見せる。それもかなり強力な、ニュータイプでなければアレを振りほどくのは難しい。」

 

廊下へ出ると直ぐに連絡を入れた。

 

『艦隊による攻撃を一時中止させろ…なに?もう始まっている?まだ後20分は残っているんだぞ!』

 

気がついた頃には遅いことも有るのだ。

 

 

 

 

 

 




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