ミノフスキー粒子なんて、オカルトチックなっ?!   作:丸亀導師

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戦後〜
第56話 時は動き出す


二年前。マイケル・スパロウが生物の体内で縮退炉の暴走を止めたとき、生物から冥王星レベルの重力が発生した。

 

惑星として見たときのそれは強いとは言えないが、それでもコロニー群が機能を麻痺するには充分すぎる力であった。

 

プラントのコロニー群はその重力に引かれ、歪みを生じた。その結果プラントはその機能を停止させなければならず、大量の難民が発生したのだ。

 

彼等難民を受け入れる。そんな心に余裕があるものは、民間人のなかには、地球上ではいなかった。地上の人々にとって、彼等は人殺しも当然の存在。もしも、難民として受け入れられたとしても、歴史上のユダヤ人のように多くの地域で迫害されるのは、明らかだった。

 

一人一人を見るには連合ですら手に余る、先の生物のせいで連合各国は疲弊していた。

 

そこで、連合各国は思いきった行動に出る。彼等を企業が職員として雇用すると言うものだった。

企業側からしたらたまったものではない、だがそこは巨大国家連合。のらりくらりと絡めとり、遂には企業側を丸め込んだ。

 

暫くの間、彼等は簡易的な社宅となったがそれでも、生きていくには充分であった。

二年と言う歳月は戦争を過去のものとする。

 

ほとぼりも覚め始め、人々は次第に冷静に事を見始めた。戦争の根本的な原因、次にどうすれば戦争が起こらないようになるのか?分裂した東アジア。疲弊したユーラシア。

混沌とした宗教の沼、中東。

考え始めればキリがない程に。

 

そこに一つの光が射した、世界の再構築。それはこの混迷のなか、始まった。

唯一余力があった大西洋連邦は、他の国が楯突く暇も与えずに、強引に連合各国を吸収していく。

 

再独立を果たしたばかりの国々は大西洋連邦の比類無き国力により飲み込まれていく。

 

最初は不満もあったであろう、だが一月、二月と時が経つと状況は一変した。

吸収された国々は発展と言うものが、目に見えるように進んでいく。

 

そんな中で反対しても旨味がないと、誰もがそれを感じ、そこで最後の選択肢が出てきた。

このまま豊かな暮らしをしながら、新しい組織に組み込まれるか。

貧しく、苦痛に満ちた道を進むか…。

 

9割の国々が新しき組織を受け入れる。

その年、連合は解体再編成され地球圏を一つの国家とする、地球連邦が樹立された。

連邦憲章は何時誰が造ったのか謎に満ちたものである、一説によれば一人の老人が書き記したものが元となっていると言う。

 

(その老人は連邦が樹立されて10年後他界した。)

 

憲章は発効され即日効力を持った。中でも他の物と明らかに異なった部分、新人類の定義と議会への参画。

それは非常に難しくも、画期的なものであった。

 

その当時既にニュータイプと言われるものたちが、戦争下で現れていたこと。

彼等の染色体が通常とは異なっていたこと、そしてそれは遺伝しやすいこと。

 

それらが証明されていたことにより、新人類と言う定義は固定化され強固なものとなる。

そして、議会の席に座るものたちは嘘を見抜き、物事の真実を見抜く彼等に恐怖し、議会は少しずつ浄化されていっている。

 

そんな中、プラントにある生物の死骸。そこから発せられていた重力場が消失する。

それは、何かの合図か?それとも良からぬ事の前触れか、連邦政府は生物の内部への探索を軍に命令を下した。

 

 

 

~コゼット~

 

『召集命令?』

 

「はい、大尉には隊を率いて内部調査を願いたいと…内部に入ったもので現在軍にいるのは、貴女だけですから。」

 

またあそこへ行くのか…こんなことなら軍を辞めておくべきであったか?

リディア准将はその階級のため、もはや前線に出ることはなく、政治の道に行ってるし。

 

メビウスパック隊は、宇宙にいるがそれでも彼等が内部に精通している訳ではない。

要は心臓部である、あの部屋に行きたいのだろう。

 

『わかった、だがきちんとMSは用意してくれ。あの生物の体内では何が起こっても不思議ではないからな。

後、人員だが出来るだけ少なめにして貰いたい、護衛するのも苦労するからな。』

 

行くことは既に決定しているのなら、今は目の前のこの書類を何とかしなければな。

それに、上からの連中との模擬戦もやりたいからな。

 

〈数日後〉

 

『これより模擬戦を行う。私が教導するのは今日で一旦終了となる。今から呼ぶものはMSに搭乗し、全力で私と戦うこと。良いか?いいな!』

 

練習機はエールストライクダガー。

この数年でもはや型落ちとなった機体、それを駈り所定の位置に付く。

想定は市街地戦、模擬用のビル群はMS搭乗訓練で組み立てられたもの。

いくら壊しても、また廃材を再利用して造り直されるテーマパーク。

 

『何時のってもコイツの機動は遅いな、ゲイル(あいつ)の足元にも及ばない。

 

っくるか!』

 

フットペダルを踏み込み一気に滑るように移動すると、先程までいた場所にビームが叩き込まれる。

 

『狙いは正確だな、故に読みやすいか。私をそっちに誘導してどうしようと言うのかな?』

 

ビームは正直言えば狙いが分かりやすく、こちらを何処かへ誘導する為のものだ。

であるならだ…

 

『3・2・1 今!』

 

ちょうど遮蔽物が無くなったところを、赤いランチャーダガーが狙い撃ってきた。

もっとも、バレバレだから余裕を見せて華麗に空中一回転ひねりをして避けてやった。

ここでバカにされたと思って突撃して来ると思ったのだが、どうやら違うようだ。

 

本当に入り組んでいる、ハンデとして空を飛ぶことが出来ないからこそ、こうやって全体を見るが。

明らかに提出されていた見取り図と形状が違う。

誰か細工をしたなぁ?

…どうやら二人来たようだ。

 

私の前後を取るように白色とトリコロールのダガーがサーベルを片手に構えている。

 

 

「おとなしく投降した方が良いんじゃないか、教官!」

 

『あぁ、そうだな。蛆虫共が集まったところで、登校するのが関の山か?』

 

そう言ってやれば直ぐに飛び掛かってくるのが、シンと言う人間だ。

私の背面から正直に突っ込んでくる、振り上げられたサーベルに対して盾を斜めに構え。瞬間、それを押し出す。

 

すると、機体表面を滑りシンの機体は空中に浮かんだ。

こうなるともうどうしようもない、自動的に姿勢制御を取ろうとするから、動きが一瞬硬直する。

そこをやるのだ。

 

そうはさせまいと白色が来る、がそれにシンを盾で押し当てる。

それを避けるがそこにライフルを置いて撃てば、一機撃墜だ。

 

遅れて黒い機体と、赤がやってくる。

 

『何をやっていたんだ?随分と遅いじゃないか。』

 

本来動きは良いんだ、彼等に足らないのは格上との戦闘か…少しは勉強になれば良いかな?

 

 

数分後彼等は全機撃墜判定を出される。これが私の教官としての最後かも知れない。

 

『皆知っての通りあの生物から発せられていた重力が、消失した。

私は数日後それの探索メンバーとして向かうことになっている。

私が戻ってくるまで、今日の戦闘で獲たものを研究し己の糧としてくれ。』

父さん今迎えに行くよ。

 

 

~マイケル~

 

止まったな、やっと止まった。これで時間の進みかたは外と同じようになる筈、だけどまあどうやって帰ろうか?

数年経ってる可能性もあるのなら、救助では来ないだろう。

 

もっともここは最深部、来れるのは道を知っている奴だけか。

さて、エネルギーが少ないが…ゲイル何処まで持つか。

 

ふと、目の端に人影が現れた。見知った顔。

 

『よおダニィ久し振りだな、こんなところに現れるなんて、どういう風の吹き回しだ?』

 

「ああ久し振りだな。こんなところにまで来られるなんて、僕自身驚きだよ。

君が行方不明になって、二年と6ヶ月の時間が流れた。」

 

そんなに経ってないんだな。

 

『てっきり10年位経ってると思ったんだが、なるほどこりゃ観測しなければわからないな。それで、それだけ伝えに来たのか?』

 

「いいや。君の娘がここに向かってる、生存を信じて。」

 

そうか…

 

『ありがとう、少しでも長生きするよ。』

 

それじゃ出発するかいゲイル。

 




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