ミノフスキー粒子なんて、オカルトチックなっ?! 作:丸亀導師
無事生物の体内から生還したマイケル・スパロウ。彼を待ち受けていたのは、執拗な程にまでたかれたフラッシュとマスメディアの質問であった。
マイケル・スパロウ。学会ではよく名を聞くものも多く、大学院等になると彼という存在を知らぬものはいない。
だが、彼の姿は意外な程に知られていないなぜか?
論文を発表するとき、彼はいつも代理を立てた。時間が勿体ないからだ。どうせ論文の整合性を検証するには発表から数ヶ月かかる、なら他のものを書いた方が時間の節約になると思っていたからだ。
それゆえに、彼がマスメディアの前に始めて現れたのは意外なことに、プラントとの会談であったりする。
それゆえに、彼という人物がこの度広く世間に知れ渡った。
天才、そんな人物が二年間の行方不明から無事に帰還した。しかも、現在の数々の船舶で使用されているミノフスキークラフト、それの開発者であること。
発電用核融合炉や旧地球連合のMS開発に深く関わっていたことが拍車をかける。
執拗な質問責めが彼を襲う、だがどんな質問をしても彼が答える内容が聴衆の頭では理解が出来ない。
理解できるのは、同じような研究者達で専門知識もない一般人に彼の思考は理解不能だ。
次第に彼等の間にはある種の恐怖に似たものが現れる、未知のものへの探求心が、次第に理解不能のものへの反応へと変わっていくのだ。
故に彼は理解されないであろうが、周囲の人々がそれを和らげる。
家族や友人はそれほど大切なものであろう、でなければとっくの昔にこの世界が滅んでいる可能性だってあったのだ。
そんな事もあり彼は始めて世界の人々が見る討論番組、へと出演することになる。視聴者参加型のそれは、西暦で言うところのニコニコのように画面にコメントが流れ、より多い質問をAIが集計するそんなものだ。
~マイケル~
どうしてこうなった…あれか?あの生物から出たら二年経ってたとかそう言うのか?
別に俺は内部で数日過ごしただけだから、正直なんでこんなにも報道されるのかまったくわからん。
落ち着いてきているから、日常が戻ってきたからそんなものがここに満ちているのはわかっている。
だが、俺をそれに巻き込んでもらいたくないものだ。早く、あれを書き始めなければ、人類の進歩は止まってしまう。そう、頭の中では出来ているが出さねばな…
「…さん、スパロウさん大丈夫ですか?」
『うん?あ~えぇ、だいじょうぶですよ?少し考え事をしていまして。』
他愛もない質問が続くなか、あるものについて質問された。
「サイコフレームというものを、知っていますか?現在、各地の研究所内から発掘されているという未知の物体だそうなのでが…」
サイコフレームか、そうだなぁ。
『あれはまあ要するにだ、ナノマシンの一種だと思ってくれ。厳密に言うと少し違うのだが、まあそう言うものだと思ってほしい。』
「ナノマシン…ですか。あれは、私たちの先祖が作り出したロストテクノロジーだということですか?」
『いや、違う。あれは、我々とはまた違う技術体系の星から流れ着いたと考えるべきだ。基礎技術自体は私の作り出した、ガンバレルの脳波による補助システムあれと同じだろう。だが、出力が桁違いだ。
簡潔に言おう、あれを造るに我々は後100年はかかる。そう言う代物だ。
ちなみにだが、私があれの研究をやるつもりは毛頭無い。ああ言うものに特化した奴等に任せた方が、人類全体の底をあげるに役に立つ。』
周囲が私の発言にざわめいている、ナノマシンの一体何がそんなに驚くことだろうか?
それにだ、一人の人間に全てを背負わすことの愚かさを忘れている。とてもリスキーで、やってはならぬことだ。
『私のやるべきことはただひとつ、私の探求心を満たすこと。今、私は私の残っている時間を全てを注ぎ込み、私は人類のもう一つの夢を叶えよう。
ミノフスキー粒子、あれの可能性を私は再認識したあれは素晴らしいものだ。』
「夢とは…」
『それは君達が考えることだ。さて、私は行かせてもらうよ、こう言う場所で話をしていては時間の無駄だ。』
退室させてもらおう、そう思い座席を立つ。皆呆然としているが、何とか止めようと私の前にスタッフが来るが、その程度の力で私を止められると思うなよ?
周囲からどう思われようが知るか!そんなことよりも、研究だ私には後50年程しか時間がないのだ、一行でも多く計算しなくては。
~アズラエル~
彼の出演した番組を見ていたら、突然彼は席を立って何処かへ行ってしまった。
生中継中の放送事故だな、彼らしいと言えばらしいか。軍隊でももってこなけりゃ彼を止めることは出来ないだろう。それは良いのだが、彼はいったい何の研究を始めるつもりだ?
それだけが問題だ。恐らくは彼は寿命の限り、何かに取り組むのだろうが、それが人類の発展に最重要な事なのだろうか?
であるならば余計に出資者として、気になるじゃないか。
『済まないが予定を変更しても良いだろうか?彼に何を創るのか聞きたい。出来るね?』
大統領との会食会はいつでも出来ますからねぇ、あの方には私の書類を押し付けておけば、向こうの仕事が増えて私のせいではなくなります。
〈5日後〉
久々の研究所、というのは彼も同じな筈なのだが、これはどう言うことだ?
目の前の研究所の入り口となっているホテル、そこは人の出入りなど皆無であった筈なのに、この二年間僕が目を離していた間何があったのか、観光客が大勢いる。
これじゃあ本当にホテルじゃないか。
車を降りてフロントで話を聞かねば。
『やあ、特別ルームで予約をしていたアズラエルだ。』
フロントには見知った顔の人物がいない、それどころか本当に彼等はフロントマンか?
その筋肉の付き方にヒットマンだとか、そう言う名前がちらついている。
そう言えば周囲の人間も堅気の人物とは考えられないような…こんなにも物騒だっただろうか?
「これはアズラエル様。お待ちしておりました、料金は引き落としとなっておりますので、どうぞこちらの部屋をお使いください。エレベーターで地下4階でございます。」
『ありがとう。』
エレベーターを降りた先はやはり研究所だった、出迎えてくれるのは恐らくはロボットであろうもの達。
一年ほど前に私に見せてくれたときよりも遥かに、人と同じ仕草をするようになった。
本当にロボットか?
「アズラエル君、彼等はロボットだよ?」
聞こうとしたことを言われた。
『クラウン博士、お久しぶりですね。マイケル博士を訪ねてきたのですが、本人が来てくれません。』
「彼は到着してからこの3日間部屋に籠っているよ、それほど急いでやらねばならぬことがあるらしい。昔に戻ったようだよ、周囲の事など気にもしない。」
どう言うことだ?
「それでも家族のことは気にするだろうがな。」
~コゼット~
父が研究所に付いたと連絡が入り、私には数日の間休暇が言い渡された。
長い間あっていなかったのだからと、どうやら政府が介入したようだ。
それを母に連絡した後に私はあの研究所に向かった。
さすがに非番であるからMSで行くわけにも行かず、大陸横断鉄道(リニア新幹線)を使用してでの帰郷となる。
駅に母が迎えに来た。
「お帰り。」
『た、ただいま。』
「あの時から一度も帰ってこないなんて、思わなかった。ちゃんとご飯食べてるよね?軍人なんだから。」
『父さん帰ってきてるよね?』
…沈黙?なんで?
「あの人 私たちに連絡してくれてないもの、怒りにいかなきゃね !」
『は、はい。(--;)』
研究所に付いたら真っ先に父の研究室の前に立ち、ロックを直ぐ様解除した母。その後ろ姿には鬼神がいた。
近くでアズラエル財務大臣がいたことに気が付いたが、気にもしなかった。
「アナタ!どうして連絡してくれないの? 心配したんだから、それくらい入れるのが当然でしょ!」
「ア、アイナなぜ。多重に施した電子ロックとダイヤル式をどうやって解いた!ビームサーベルでも持ってこないと開かない筈だ!」
「アナタの思い付く番号なんて直ぐに解るし、単語なんていや程知ってる。それに、生体認証は私のも入れてあるじゃない?それで、どうして私に連絡してくれなかったの?」
あの父が、母に気圧されている。こんなの見たこと無い。
「いや、君達に迷惑がかかるんじゃないかと…それに、これは私が始めて感じた使命、それを全うするものではないのかと思ってね…いけなかったかい?」
「まったく、昔から変わらないのね。使命に邁進するのは良いことよ。でもね、せめて家族で一緒にご飯くらい食べないと、狂ってしまうわよ?一度知った温もりをアナタは忘れられない筈だから。」
そう、研究者は狂気とのせめぎ合いを行うという。母はそれを言っているのだろう。
「そうだろうか?」
『だから、私たちと一緒にご飯たべよ?妹も待ってるから。それと、アズラエルさん。話は後でも良いですか?』
その日私たちは父を連れて帰宅し、母の手料理を食べた。きっとこう言うのが本当は良いのだろう、私は軍人でなかなか帰ることが出来ないが、せっかく戦争が終わったんだからたまにはこう言うのも良いよね?
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