陰キャTS娘が配信を通じて人生を始めるお話。   作:視聴者A

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プロローグという名の

 朝、俺が真っ白な空間で神様に、『ごめん、まじごめん。出来る限り楽できるような設定にするから、許して』と軽率に謝られる奇妙で不安な夢から目を覚ました時、自分の体が細くて柔らかい美少女の姿になっている事に気が付いた。

 

「どういう事なの…」

 

 突っ込みどころ満載な展開に頭を抱える俺。そんな俺、山本優(ゆう)はつい昨日まで普通のサラリーマンとしてつまらない人生を送っていたただの童貞だった筈だ。

 

 それが目を覚ませば美少女に?ははワロス。それなんてウェブ小説だよ。

 

「…いっだだだだだ!?」

 

 これは夢に違いないと確信して思いっきり頬をつねってみるとあまりの激痛に身悶えた。

 

 鏡を見てみると、新しい自分が涙目でこちらを不満げに見つめてきていた。全体的に色素は薄く、ミルク色のふんわりした髪の毛や長い睫毛、紅く染まった頬など可愛らしい。恐らく14、5歳ほどだろうか。幼気さと女っぽさの狭間で生きているような絵に描いたような美少女っぷりに、視界が眩む。

 

 何故こんな事になった?

 

 少し考えて、すぐにあの夢が原因だったのではないかと思い当たった。確か、昨日は徹夜勤務3日目で久しぶりに家に帰ってきて、泥のように眠りについて、それからは…朧げではあるが、確か夢を見た筈だ。

 

 思い出せるワードは『ミスで死』『転生』『マジごめん』。いやこれ確定で犯人じゃねえかふざけんな!

 

「こ、これからどうしよう」

 

 部屋の中を見ると、そこは見慣れない謎の部屋の一室だった。まるで高級ホテルか何かのような巨大なベッドにカーテンに遮られた巨大な窓。

 

 カーテンを開けると、そこには高層ビルが立ち並んでいる都会の街並みが非常に高い視線から見下ろす事が出来て、俺は一瞬で発作の高所恐怖症を発症して顔を青くした。

 

 寝室を出ると、廊下なんて御大層なもんがあって、リビングはバカみたいに広い。風呂は泳げそうなくらい広くジャグジー付き、さらにゲーミング部屋も完備。最新機種ゲームや最新のゲーミングPCが置いてあって、ああ確かに俺ゲーム好きだったもんなと死んだ目で他人事のように思い出した。

 

 さらに預金通帳の数字が天文学的に増えているのを発見した俺の目玉はキャストオフ。顎もどっかにパージして消えていった。

 

「はー…はー…、な、何がどうなってるんだ…?」

 

 精神的ダメージで酸欠を起こし息を荒くしながら、部屋の入口でずるずるとへたり込む。

 

 恐る恐る携帯(最新機種にすり替えられていた)を触ってマップを開くと、なるほど今俺がいる場所はド田舎ならぬド都会の真ん中らしい。そりゃ高層ビルが立ち並ぶしまるで上空にいるかのような超高級マンションが建っていてもなんら不思議ではない。

 

 可笑しいな、俺、昨日までそこら辺の片田舎でブラック企業に扱かれつつひっそりと暮らしてた筈なんだけど…。突然の変化に頭が付いていけてない。っていうか心が苦しい。これが異世界転生してきた主人公の気持ちなのだろうか。

 

 ただ一つ、お詫びのつもりでなのか知らないが、俺なんかにこんな環境を揃えてくれた神様に言っておくことがある。

 

 俺、死んでもそんな価値のある人間じゃないから。

 

「マジで、そこまでしてもらう程価値のある人間じゃないからぁ…!」

 

 自分で言っておいてなんだけど、涙目になりながらかすれた声で叫ぶのだった。




山本優・・・ヘタレ。陰キャ過ぎて他人の好意を素直に受け取れない系男子。神様に物凄い負い目を感じている。

神・・・義務ではないが、善意で世界の秩序のバランスを取っている。立ち位置的に中間管理職で、ストレスも増えて禿げた。山本優への謝礼金は山本優がもたらすはずだった世界への影響、築いていたはずの富、残すはずだった子孫の価値や、つながりのある人々のプラス思考などの集合体。一つ一つ組み上げていくのにリアル時間で2,3カ月くらいかかった。
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