東方孤傀劇/~Noキミョン?Noウドンゲ?Yesうどみょん!   作:因田司

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今回はゲストの一人、駆真君の話です。此のコラボの全日譚となっています。
此の話は聖魂のマキシさんの『東方聖霊夜』と繋がっています。其方も見せて頂くと幸いです。

原作とは少し異なる点があるとは思いますが、
暖かい目で見て下さると、幸いです。

それでは、ゆっくりしていってね♪



Requests;黑闇は、見つめ返す

KARUMA

~魔法の森(駆真の世界)

 

 

 

「~~ハァ……ハァ………」

 

 

俺は無くなった右腕を押さえながら夜の森を走っていた。

 

姿と存在の気配、魔力を初めとする力の気配を消して森の中を走っていた。

 

 

【君、右腕を失っちゃったね】

 

 

再び女性の声と共に、仮面が傍に現れた。

 

 

「逃げられるのならば……此位……!」

 

【随分逞しいんだね…】

 

 

仮面が紫の尾を引きながら、走る俺の隣をぴったりとついて来ている。

 

 

「俺は何もしていない……何もしていないのにどうして……」

 

【!またお迎えらしい。其も今度はかなり……おぞましいね】

 

「!おぞましい……!?」

 

 

俺は思わず仮面の方を見た。

 

 

【そう……取り敢えず、気を付ける事ね】

 

 

その言葉と共に仮面は消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然、目の前の地面に弾幕が直撃し、俺は其の場で踏み止まった。

 

 

「…!此奴等は……!」

 

 

見上げた其の先には武器を携えた小さな人形が数体、俺を待ち構えていた。其の目は全て

青く、冷たく俺を見下ろしていた。

 

 

「クッ……!!」

 

 

弾幕を撃つものの其の間を縫われ、次々と攻撃を繰り出された。右腕のないハンデと敵の

数により明らかに押されている。

 

 

「はぁ……はぁ……俺は本当に何もやっていない!信じてくれ……!」

 

 

 

 

 

 

「フフフ……フフフフ………」

 

 

何処からか声が聞こえた。

 

 

「口よりも体を動かしたらどうかしら?」

 

 

更に言葉が続けられると、一斉に人形達が地面の中に溶けて消えていった。

 

 

「!!」

 

「無様ね……」

 

「人形……お前まで俺を殺しに来たのかよ……アリス!」

 

 

其の名前を言った。アリスも、俺を抹殺する指名を受けたのだろうか…?

 

 

「……残念、貴方の言うアリスと私は…」

 

 

ふと目の前の木陰から誰かが此方に歩いて来た。

 

そして月の光に照らされた其の姿は……

 

 

 

 

 

 

 

「……キット違ウワ」

 

 

人形遣いのアリスだ。だが、俺の普段知っているアリスとは思えない程に変わり果てた姿だった。

 

 

「…おい……ウソだろ……!?」

 

 

其は俺が過去に戦った別次元の幻想郷で異変を起こしているアリスだった。

しかも前に会った時と比べ、更に醜く変わっている。全身に内出血した様な肌の色は更に

どす黒く、其のあちこちは陶器の様にひび割れて紫色の光が漏れている。

 

何より目を引くのは顔の真ん中にある、目。

赤く血走った白目に巨大な青い宝玉を埋め込んだ様な瞳。頬にも走るひびからの光で、不気味な

紫色のハイライトを携えていた。

 

 

「何でお前が…此処に来てるんだよ…!?」

 

 

するとアリスの目付きがキッと険しくなり、青い瞳が形を崩して白目に滲んだ。

 

 

「……オ前ガ憎イ」

 

 

其の瞳に、赤い光がちらつき始めたのが見える。

 

身の危険を察した俺は咄嗟に朱雀の力を使って辺りに炎を巻き起こす。

但し、範囲はあくまでも自分の周りだけに。

 

 

だが、パチンという音と共に俺の足元がパックリと割れた。

 

 

 

「ウワァアァアァァアーーーーーー…………!!!!!!!」

 

 

 

不意を突かれた俺は其の中へと真っ直ぐ吸い込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

KARUMA

~亜空間

 

 

「くそ…!何だ、此処は……!?」

 

 

肩で息をしながら体を起こし、立ち上がると森の中だった筈の目の前の景色がいつの間にか

変わっていた。

 

見渡す限り毒々しい紫の色をした世界。

其のところどころに池のようなものが出来ていて、底からポコポコと泡が発生していた。

 

 

「……確カニ私ハ憎イ……」

 

 

声がした方向を見ると、アリスが空中で立っている。フードの陰に潜む、充血した

巨大な眼球が俺を見ている。

 

 

「……デモ、会イタカッタワヨ……神崎駆真君♪」

 

 

其の元に戻った瞳からは好意もあり、殺意もある視線を感じた。

 

 

「…何で俺を此処に連れてきた……お前の目的は何だ?」

 

「目的?ソンナノ決マッテルジャナイ……」

 

 

アリスが発する、人間の少女としてはあり得ない声に、思わず震える。

 

 

「自分のことを探って計画の邪魔をした俺に復讐、ってとこか?」

 

「……復讐……」

 

 

アリスが黙り込んだ。

 

 

「其モ、マタアルケド……」

 

 

其の時、アリスの身体が前方に倒れ込んだ。

 

 

「!?」

 

 

だが地面にはぶつからず、空中で止まった。

目は閉じている。其は見えない海の中に身体を浮かべている様にも見える。

 

其の身体から突如、大量の黒い霧が噴き出してきた。

 

 

「!クッ……!!」

 

 

アリスの姿が見る見るうちに霧に包まれ、すっかり見えなくなってしまった。

 

 

『生キ延ビル為ニハ……戦ウシカナイ……』

 

 

霧の中から、くぐもったアリスの声が響いた。俺は霧の中で、アリスが何十人にも分身したと思った。

 

 

『抗ウ為ニハ……足掻クシカナイ……』

 

 

其の時、霧の中から何十…いや、何百もの青い目玉が出現した。

 

仮面の言葉の言う通りだ。今のアリスはおぞましい、そして酷い。とんでもない事になっている。

 

 

そしていろいろな場所を見ていた其の目が、一斉に此方を睨み付けた。

 

 

 

 

 

 

KARUMA

VS〈黑色の人形遣い〉アリス・マーガトロイド

〈滾々たる閉塞心〉ミアズ・マリス×∞

~亜空間

 

 

『……全力デカカッテ来ナサイ……』

 

 

俺は弾幕を放った。

 

朱雀のまま、炎を放った。アリスを包む霧を炎が包み込む。

 

 

『!!!イヤァア"ァア"ァ"ァ………!!!!!』

 

 

おぞましい悲鳴を上げながら周囲の霧から目玉が閉じ、消えていく。

だがわずかに残っていた霧がアリスを包んだまま炎の中から真上に一直線に伸び上がった。

 

 

「!」

 

 

霧は其のまま俺の方へ迫って来た。霧が次々と繰り出す攻撃を右へ、左へ何とか避けていく。

 

くそ……攻撃の方法がまるで予想がつかない。人形を一切使わず、代わりに周囲の目玉だらけの黒い霧を触手状に、或いは弾幕状に、変幻自在に襲い掛かって来る。

女王蜂が率いる蜂の群れとでも相手してるみたいだ。

 

 

『ヴァア……駆真ァアァア……!!!』

 

 

其に周囲の霧は吹き飛ばしても吹き飛ばしても、アリスの身体から際限無く噴き出して来る。

洒落に聞こえるが、本当にキリが無い。

 

 

なら……霧を出す前に叩くしかない……!!

 

 

 

俺は朱雀を解除した。

 

 

『?マサカ…モウ諦メタ訳ジャナイワヨネェ……?』

 

「……お前は言ったよな?……俺は生き延びる為に、戦うしかないないと……」

 

 

炎の中の霧の塊を真っ直ぐに睨み付けた。

 

 

「だったら……精一杯戦ってやる……精一杯生き延びてやる!!」

 

 

「覚醒『麒麟』!!!」

 

 

麒麟の力を開放した。

 

 

『!!ナ…!?…ソノ髪ト、其ノ角……貴方……!?』

 

 

俺は自分で放った炎を掻き分け、敵の前まで瞬間的に移動した。

 

 

『!?ヴゥ……!??』

 

 

其処から蹴りを放ち始めた。出来るだけ目玉を狙う様に連続で蹴り続ける。

 

すると霧の中からアリスの輪郭が見えて来た。其の姿は蛹の中の幼虫さながらだった。

 

 

「此処だぁ!!!」

 

 

其の腹に、右足での膝蹴りを放った。アリスの身体は大きく吹き飛ばされ地面を転がり、地面にうつ伏せに倒れた。

 

 

「どうだ、効いたか!?」

 

 

そして噴き出されていた霧もあっという間に消えて無くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の周りの炎が徐々に小さくなる。

 

 

「~~ウゥ……!!」

 

 

呻き声と共に立ち上がるアリス。苦悶に視線が泳いでいる。

 

 

「俺は絶対にぃ……!」

 

 

そう言いかけた俺は片膝を付いてしまった。

しまった……今ので、力を……

 

 

「~~アハハハ……」

 

 

するとアリスが嗤い始めた。

 

 

「アハハハハハハハハ……!!」

 

「……何が、可笑しいんだ……!?」

 

 

数秒間後、アリスは嗤い終え、こう言った。

 

 

 

「合格ヨ、神崎駆真君……」

 

「ご、合格?…どういう…意味だ……?」

 

 

突然の通告に戸惑ってしまった。

 

 

「辛カッタワヨネ。苦シカッタワヨネ。私モ貴方ノ苦シミガ分カルワ」

 

 

そう言ってアリスは俺を抱きしめてきた。

 

 

「なっ!?やめろ!」

 

 

必死にもがくが右腕を失っていたのとアリスの力が予想以上に強かったのがあって

振り払う事が出来なかった。

 

 

「……私ニ…逆ラワナイ方ガ良イワヨ…?」

 

 

アリスが声を更に奇怪にして脅してきた。

 

 

「私モネ…幻想郷ニ狙ワレテイルノ………」

 

 

その言葉を聞いてもがくのをやめ、話に耳を傾ける。

 

 

「トアル病気デネ……ズット一人ダッタ……愛シイ人トモ会エズニ暮ラシテキタ」

 

 

其の時俺はアリスの視線に違和感を覚えた。

アリスではない、別の何者かが俺を見つめている……?

 

 

「其ノ人モ、貴方ト同ジ……判ルワヨネ?」

 

 

俺は其の言葉にショックを受けた。同時に別次元で見た、不気味な壁画を思い出す。

 

 

「…其は……まさか……」

 

 

だが其の名を言う前に、身体がふら付いた。もう、限界だった。

 

 

「…ダカラ大丈夫、貴方ヲ受ケ入レラレルワ……良イワヨネ」

 

 

疲れた体と心にはあまりにも甘い言葉だった。

 

 

 

 

「オイデ………オイデ…………」

 

 

 

 

俺は全身の力が抜けていき其のまま身を任せて眠りへとついてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが意識を失う瞬間、俺は見た気がした。

 

アリスの隣に突如現れた何者かが、周囲に漂わせていた黒いナニカを俺にけしかけたのを。

 




如何でしたか?
前回のコラボで一人で邪魔をした駆真君に対して、マリスはやはり捨てきれない
執着心があった様ですね……


次回、ゲストの方々がリリーブラックを追い詰めていきます。

それでは、次回もゆっくりして行ってね♪
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