東方孤傀劇/~Noキミョン?Noウドンゲ?Yesうどみょん! 作:因田司
今回から再開していきます。
ゲストの方々がリリーブラックとの接触します。もう一人の神矢君視点です。
原作とは少し異なる点があるとは思いますが、
暖かい目で見てくださると、幸いです。
それでは、ゆっくりしていってね♪
SHINYA(ANOTHER)
~魔法の森
「!見付けた……彼処だ!」
俺達は駆真から今回の依頼に起きた、駆真が敵に付いたいきさつを聞いていた時、前方
に煙をまき散らしながら病気の副産物で出来たバイクにまたがり、爆走するリリーブラックが
見えた。
直ぐに加速して其の後を追った。まだ此方に気付いてはいない様だ。
「俺に任せろ…!」
王牙がドラゴガンを一丁だけだし、銃口を前に向けた。
「今度は逃がさない……!!」
そして発砲する。其の狙いはリリーブラックではなく、目玉の付いたバイクの後輪だった。
其処を見事に捉え、後輪を破壊した。
「!??」
バイクは大きくぐら付き、リリーブラックも必死にバランスを整えようともがいている。やがて
地面から生える大きなキノコに引っ掛かって大きく前に傾き、バラバラになって爆発した。
リリーブラックも反動で勢いよく前に投げ出された。
「!!あぁあァぁアぁアあアアァァぁァ~~~~………!!!!!!!!」
まるで本気で殴られたかの様に空中で何回転し、木や岩をなぎ倒し破壊しながら凄い勢いで
水平に飛んでいった。やがて高度が落ちて地面にも叩き付けられても、何度もバウンド
しながら砂煙をあげて転がり続ける。そして今度は地面から出ていた岩に激突してようやく
止まった。
ようやく追い詰めた。俺達は其の岩の前に降り立った。
「~~ア"ァ"……事故ッタァア~~……!!!」
岩の大きなひび割れの前で必死に起き上がろうとする其の身体は複雑に折れ、欠損し、
黒く変色している。服もビリビリに破れている。
いくらリリーブラックとは言っても、とてつもないダメージだと再生に時間はかかる
みたいだ。直ぐに体や肌の色は戻り始めたが其のスピードが余りにも遅い。
「~~痛ェヨ……痛ェ"ェエヨォオ……!!!!」
「其処までだ」
俺達は横たわるリリーブラックの前まで来て其の姿を見下ろした。するとピタリと痛がるのを
止め、駆真に目を向けた。
「ク、クル……いヤ、駆真……!??」
駆真が元に戻っているのを確認するや否やショックを受けていた。其の顔にゆっくりと
皮膚が張り直されている。
「オ前……!?ド…如何しテ……!??」
「残念だが、腹心はワクチンのおかげで元通りになった」
俺は駆真の肩に手を置いた。
「!ワ"…ワクチン……!??」
「此だ」
其処で王牙がリリーブラックに、駆真に使って空になった注射器を投げた。注射器は回転
しながらリリーブラックの頭にぶつかり、其のまま地面に転がった。
「!コ…此を……何処デ……!???」
完全に当惑している。仕方ない…此が答えになるかな…?俺はもう一つの支給品である
陰陽玉型の通信機を取り出し、其に話しかけた。
「おい、聞こえるか?」
すると数秒もせずに陰陽玉から聞き慣れた声がした。
『あら?其の声は、神矢君?』
間延びした声だ。何処かでくつろいでいたんだろう。
『どうしたの?何かあったのかしら?』
「リリーブラックを追い詰めた」
『!あら、御手柄じゃない。ならばあと少しね』
拍手までして喜んでいる様だが、紫が話すとあまり嬉しそうでない様に聞こえる。
『でも、油断はしない方が良いわ。最後の抵抗をしてくる……きっとね』
「駆真も一緒だ。色々あったが何とか合流出来た」
『良かったじゃない。三人で彼奴を追い詰められて』
「!マ、待テ……!!今……スキマ妖怪と…話してんのカヨ……!??」
ようやく理解できたのかリリーブラックが縋り付く様に慌てて声を絞り出して割り
込んできた。五月蠅ぇな。一度陰陽玉から視線を反らす。
「ソイツはモウ……後輩にヤらレテ、操リ人形じゃア……??」
「『此処の』紫じゃねえよ。別んとこの紫が協力してくれてんだよ。ワクチンをくれたのもソイツだ」
まさかリリーブラックも、別の幻想郷の事についてまでは知らなかった様だ。妖精を玩具に
してる暇が有ったら、そっちも研究した方が良いと思うけどな……
「そうだ、一応言っとくぞ。お前、妖精をトカゲに変えたろ?」
自分が思った事で、思い出した。其を聞いた途端、またリリーブラックの顔色が変わった。
「トカゲ!?…マたカ……デ、どうシたンダ……?何処にイる…てカ、そもソも戦ッたのか?」
ようやく再生し終えるのか縋り付く様に言う声が元に戻って来ている。
俺は奴に言ってやった。
「戦った。なかなかインパクトあったし、良いと思ったよ……でも平凡」
「!!ハイレベルじゃねぇのかよ!!?」
「あ、平凡どころでもなかったな。やり直し」
無意識に言った俺の言葉が余程気に入らなかったのか、
「畜生がぁあぁあ!!!!!」
キレた猿みたいに両手で地面を叩いて悔しがる妖精。見てて案外飽きない。
「エリマキで勝てると思ってたのか?舐め過ぎなんだよ」
「グ……!??」
危険を感じたのかリリーブラックは急いで這いずりながら岩から、そして俺達から
離れようとした。が、再生したての部位を使っていないので其の移動速度は遅い。まだ
馴染んでないのか?
俺は陰陽玉にもう一度視線を向けた。
「…声がするからいるだろ?とにかく、捕まえたら連絡するから。スキマ、
用意しとけよ」
『もう、何時でもいけるけど無茶はしないようにね。因果律が狂うと色々と面倒だから』
……本音出てんじゃねえかよ。俺は紫と話し終えて陰陽玉をしまいながら歩いて先回りし、
リリーブラックの前に立ちはだかった。奴の足元には駆真と王牙が立っている。もう
逃げ道は残っていない。横に転がっても取り押さえられる事は十分に出来る。
「観念した方が良い……ぜ!!!」
そう言いながら俺は、
リリーブラックではなく、向かいにいる二人に弾幕を放った。
駆真と王牙は慌てて飛び退き、着地を同時に土煙を出しながら後ろに下がる。
「!?神矢!?……どういうつもりだ!??」
「そりゃあ見りゃあね。コイツの側に付くってのも案外面白そうだな…てな」
リリーブラックの後ろに回りながら、二人を見据える。
「~~お、お前……」
目の端で黒い妖精が唖然としているのが見えた。感情がコロコロ変わるな。
情緒不安定か、コイツは。
(何してるんだ!?いきなり裏切って……!!)
五月蠅ぇな、今度は言葉に出さずにもう一人の俺に返答する。俺に任せとけ、お前は
絶対損しねぇから、そう言った。
(!お前……もしかして……)
其の質問には答えず、邪魔するなよ、と言うと黙ってしまった。
次はリリーブラックを見下ろす。
「じゃあ這いつくばってないで見せてくれよ。病気で変貌するんだろ?…お前もよ」
「!いきなりの裏切りにいきなりのオーダー……無茶苦茶じゃんかよ……」
ようやく再生した身体に慣れてきたのか、ゆっくりと俺の前で立ち上がる。
「両腕だけならあるが…仕方ねぇ。折角の服も、もうボロボロだ……もう着る価値も
ねぇ……」
そう言うと、突然唸り声を上げて、再びその場に倒れた。膝を付き、両手も手に付けて
四つん這いになったリリーブラックは身体を震わせている。何処からか骨が軋む様な
身の毛がよだつ音も響き始めた。
「頼むゼ……後…輩……!!」
そう呟いた途端、其の顔が一気に黒く変色した。
「!来るぞ……!離れろ!!」
駆真と王牙が後ろに離れ始めると、直ぐに服を引き裂きながら身体が肥大化し始めた。
両腕が肩から二本に分かれ、六本となった手足の指は巨大な鉤爪となった。
少しずつ後ろに下がりながら、俺も其の変貌を見守った。
数十秒後、俺が視線を上に向けていた。
「……やるなぁ」
其処にいたのは巨大な甲虫だった。
帽子と同じ赤いギザギザの模様が走る黒い身体が月の光を反射して光を放っている。
其の大きさは、博麗神社の本殿とほとんど変わらない。
前髪の一本が大きく伸びてカブトムシの角みたいになってる一方でサイドの髪の束二本は
クワガタみたいな顎に変化している。
髪の色は黄色で変わってなったが、サイドの髪を互いに打ち鳴らすと金属音が響くあたり、
もはや髪の毛と呼べない代物になってる様だ。
「カブトムシ……いや、クワガタか!?」
「本当に病気か?……昆虫になる病気なんて聞いたことが無い…!!」
駆真と王牙は其の姿を見て唖然としている。
するとリリーブラックが鉤爪みたいになった一番前の左手をさっき自分が激突した
岩の上に置き、力を加えてあっという間に砕いてしまった。
力の誇示か…?どちらにしても圧倒的なパワーアップをした事に間違いはなさそうだ。
俺は見上げていたが、さっきとは違う感情になっていた。地面を踏んでジャンプし、堅そうな其の背中に飛び乗る。
「!?ナ……俺様ノ背中ニ乗ルナ…!!」
「良いじゃねえか、助けてやったんだから」
最初は軽く身体を振って落とそうとしてきたが、俺がそう言うと渋々動きを止めた。
「飛んでくれ。俺が上から攻撃してやるから、其以外は何もしなくていいぞ」
そう言うと苦虫……甲虫が苦虫噛み潰したってのもおかしいけど、まぁ、そんな感じの表情
で俺を見上げた後、黒い翅を開いた。すると其の中で畳まれていた半透明の薄羽が伸び、
其が震える様に振動を始めた。
やがて蠅の羽音を大きくした重低音と共にゆっくりと浮上を始めた。
「さぁ……とっとと始めるとするか!」
俺はそう言うと、ゆっくりと足を上げ、
「割符『アースクラック』!!!」
思いっ切り下ろし、黒光りする其の背中を粉々に踏み割った。其の衝撃に耐えきれず、
リリーブラックは空中から墜落して地面に叩き付けられる。
俺は地面に衝突する瞬間に背中から飛び退き、駆真の前に着地した。
「!!?………」
突然の出来事の連続に呆然とする二人を他所に俺は立ち上がりながら後ろを見た。
土煙が薄れ、地面に倒れた巨体が見えてくる。墜落の衝撃で変な方向に曲がった上の翅
にも見事なひびが入り、下の薄い翅はボロボロに破れている。
其も直ぐに再生されて消えていった。チッ…そう上手くはいかねえか。
「お前…もしかして、さっきの一撃を叩き込む為に……?」
「さぁ……知らねえな」
俺は二人の顔を見ないで答えた。
「グガァア……!!?如何シテ裏切ッタ……!??」
俺の騙し討ちをまんまと喰らった元妖精の甲虫はゆっくりと起き上がり、複眼になった
目で俺を睨み付けた。
「だから言っただろ?上から攻撃してやるって…其のままじゃねえか」
俺は平然とそう言い返す。別に誰にとは言っていない。だから悪びれもしない。
間違ってはねえし。
「てか、龍とかなら良かったが…最初にそんな虫になったのが間違いだったな!興醒めなんだよ!!」
そう言ってやったけど、後ろの二人に完全に誤解されると面倒臭かったので
一言付け加える事にする。
「……最初から手を貸す気はなかったけど!!」
(もしかして、俺の言っていた事を……?)
もう一人の俺はそう言ったが、
「……口実にしようとしただけだ」
そう呟いて、頭を掻いた。
「フザケヤガッテガキ共ガ……纏メテ葬リ去ッテヤル!!!」
完全にキレたらしく、クワガタの様な牙を激しく打ち鳴らしながら喚いた。翅も開き、
再び飛び始めようとする。
「んじゃ、さっさと捕獲して籠の中にブチ込んでやろうぜ!牢獄という巨大な籠にな!!」
俺達は其の妖精を見上げて構えた。
如何でしたか?
リリーブラックは妖精をやめて甲虫と化しました。何処ぞの江戸で奉行所に駆除されても
おかしくないレベルです。彼方よりは大分小さいですが。
次回からリリーブラックとの戦闘が始まります。
それでは、次回もゆっくりしていってね♪