東方孤傀劇/~Noキミョン?Noウドンゲ?Yesうどみょん!   作:因田司

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マリスにより甲虫型に変異したリリーブラックとゲストの方々の
戦闘です。王牙君視線で御送りしていきます。


原作とは少し異なる点があるとは思いますが、
暖かい目で見てくださると、幸いです。

それでは、ゆっくりしていってね♪


Requests;Evil Mutation

OUGA

VS〈影を告げる妖精〉ケイオスブラック・ベート

~魔法の森

 

巨大な黒い甲虫の様になったリリーブラックは前の一対の鉤爪みたいになった足で地面を

数回掻いた後、頭を下げて角を突き出したまま此方に向かって猛進して来た。

 

俺達は弾幕を発射したが、黒い甲殻に全て弾かれてしまった。

 

 

「!避けろ!!」

 

 

俺の声で攻撃を止めた神矢と駆真はそれぞれ横に、俺は少し助走をつけて大きくジャンプした。

 

赤いものを見た牡牛さながらに突進していく其の真上で、身体を捻りながら再びドラゴガンを

真下に構えて狙い撃つ。だが、霊力の弾丸はやはり背中や翅を空しく叩いただけだった。

其のまま地面に着地して直ぐに真後ろの敵に視線を向ける。左右に回避した二人も戻って来た。

 

敵を鉤爪で地面を抉りながら方向転換し、クワガタみたいな牙を打ち鳴らしながら俺達の方に再度突進を仕掛けてくる。俺達は再び回避する。今度は俺も、神矢と同じ方向に横転して避けた。

 

するとあまりに勢いが良すぎたのか、リリーブラックは俺達の背後にあった木に物凄い音と共に

激突し、黄色い角も深々と幹に突き刺さった。

 

 

「!?オゥ…嘘……!?ヌ?…ヌグゥヴ~~~~……!!!!」

 

 

焦ったリリーブラックは角を引き抜こうと必死になってもがき始めた。相当力んでいるらしく、

四枚の翅を全て拡げ、柔らかそうな腹が丸見えになっている。

 

 

「!……」

 

 

其に気が付いた俺は一丁だけを向け、今度は腹に発射した。銃弾は腹に食い込み、黒い体液が

噴き出した。

 

 

「腹が柔らかい!!外の殻は堅いけど、此ならダメージが与えられるぞ!!」

 

 

俺達は弾幕を発射し始めた。

 

 

「!!?~此ノ…!!レディノ尻ヲ狙ウカ……変態カ、オ前等ハ……!??」

 

 

そんなまったく見当違いな罵声にも構わず集中攻撃を浴びせていく。男勝りな言葉遣いの

凶悪犯がレディと名乗るとは…片腹痛いにも程が有る。

 

 

「~~落トサネェゾ…刺サッタ位デ……落シ物ダナンテ…絶対ニ……!!」

 

 

そして攻撃を受けながらも何か訳の判らない事を呟きながら、相変わらず角を引き抜こうと

必死にもがいている。其の腹は弾幕や霊力の銃弾を大量に浴び、自身の体液で紫色に染まって

いく。

 

何とか角を引き抜き、大きく後退した敵は後ろに不意討ちをかける様に角と牙を振りながら

此方に振り向いた。素早い動きだったが、幸いにも遠くから弾幕で攻撃していたので俺達は其の

範囲に入っていなかった。

 

更に其の大振りな攻撃モーションが仇となり、今度はすぐ横に生えていた木の幹に黄色い牙が食い込んだ。

 

 

「もう一度チャンスだ!攻撃するぞ!!」

 

 

巨体の割には小さい顔面に弾幕を放つ。腹よりは効いていないみたいだったが、目を瞑って

耐えている所から確実にダメージを与えられている事が判った。

 

 

「覚醒『玄武』!!」

 

 

すると駆真が髪と瞳を緑色にした。リリーブラックは怯みや、牙を引き抜こうと必死になって

此の変化を見ていない。

 

 

「注意をひき付けていて下さい…!」

 

 

そういうと駆真は、穴を掘って地中に潜っていった。

 

そうか……不意打ちを仕掛けるつもりか…!!俺は弾幕を打ち続けて駆真の言う通りにした。

 

木屑を撒き散らしながらようやく牙を引き抜き、三対の複眼を開いて俺達を睨み付ける。

今度は翅を広げてゆっくりと上昇し始めた。

 

そして今度は低空飛行をしたまま勢いを付けて此方に突っ込み始めた。

 

 

「玄武『グランド・ドライブ』!!!」

 

 

だが其の直後、其の真下の地面から駆真が勢いよく飛び出し、リリーブラックの巨体を

打ち上げた。

 

 

「!??ア"ァ"ァア"ヴ………!!!」

 

 

真下から衝撃を受けて少し浮き上がった敵の身体は、空中で180度回転して仰向けになり、俺達の

前に轟音を立てて墜落した。

 

すると敵に向かって神矢が走り始めた。

 

 

「俺に任せろ!!」

 

「神矢……!?」

 

 

するとリリーブラックが神矢を食い止めるために、仰向けのまま四本の足を伸ばし掴みかかって

来た。

 

 

「割符『アースクラック』!!!」

 

 

だけど神矢も其をかわしながら、それぞれの腕の関節に飛び乗り、翅を踏み割ったのと同じ要領で

次々を踏み折っていった。そして四本目を破壊した後、其処から顎に向かって大ジャンプし、

両足で力一杯踏み割った。

 

 

「!!!オォ"オォオ………」

 

 

頭部の黒い殻だけでなく黄色い髪の角や顎も砕け、破片が辺りに散らばった。神矢の足の下で

化け物の様な断末魔を上げた後、リリーブラックは六本足を抵抗するかの様に弱々しく

動かし始めた。

 

 

「!おい…やり過ぎじゃないか……?」

 

 

俺は神矢に言ったが、もう遅かった。

 

暫くもがいていた六本(不自然な角度に曲がった四本も含む)足を小刻みに震わせながら内側に

畳むと、脱獄犯はやがて割れた頭を地面に付けて全く動かなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……おい…」

 

 

俺はもう一度敵の頭に乗っている神矢を見上げて言った。

 

 

「?………!!え、死んだのか?」

 

 

今更気が付いた神矢がまさかと言わんばかりに自分が踏んでいるリリーブラックの顔を

見下ろした。散らばった顔の破片とじわじわと広がっていく体液に沈む青い瞳の六つの複眼は、

もう何も見てなかった。

 

 

「参ったな……死なねえ程度に弱らせようと思ってたのに……」

 

「どうするんだ?紫に、なんて言ったらいいか…」

 

 

其処で駆真も合流した。俺はドラゴガンを二丁ともホルスターに収納する。

 

 

「まぁ、生け捕りは出来るだけって言われてたし……そう言う事で良いんじゃねえかな」

 

 

そう言いながらリリーブラックの顔の上から飛び、黒い血溜まりを越えながら俺達の前に

着地した。

 

 

「こんな危険なカブトムシを籠に入れても、また破壊して出て来られたら面倒くさいし……」

 

「うぅん…俺も、此処の幻想郷の為に危険分子は殺しておいた方が良いと思う。此処の幻想郷は

とんでもない事が起きている。俺の所もそうなんだが……」

 

 

駆真の発言に俺は黙ったままだった。

 

 

 

 

 

 

 

「ヘヘ……ヘヘヘヘ………」

 

「!!?」

 

 

不意に声が聞こえ、後ろを向くと裏返しになった甲虫妖精が、活動を再開させていた。

 

 

「此ノ程度デェ"エ……終ワッタトォ"オ……思ッテルノカァ"アァア"……???」

 

 

だけど、其の傷の再生に時間がかかっているらしい。

ひっくり返された亀みたいにもがく足の内の四本は、肘から先が情けなく揺れ、割られた頭からは

まだ黒い血が噴き出ている。

 

 

「まさか、頭を割られても息を吹き返すなんてな…」

 

「やっぱ倒せねぇか…此処まで来ると大した再生力だ。あの紫が気を付けろと言った訳だぜ」

 

 

俺は戻したばかりのドラゴガンを持ち、ホルスターから抜いた。

 

 

「覚醒『朱雀』!!!」

 

「貫符『トラジカルスピア 手中』!!!」

 

 

駆真も髪の色と目を赤色に変え、片方しかない手で炎と共に出現したレイピアを握った。

神矢も同様に手に槍を持つ。

 

すると俺達の前で瀕死の甲虫の全身が完全に黒く染まり、姿を変え始めた。

 

 

「!また変異か……!!」

 

 

骨が軋む様な音を立てながら、其の影のようになった姿が長く伸び、やがて一つの姿が現れた。

 

 

「!!!……」

 

 

唖然とする俺達の前で、妖精は大きく上に伸び上がった。

 

 

 

 

 

其は大蛇だった。

 

傍で並ぶ樹木並の太さの身体に覆われた、紅いギザギザの模様が刻まれた黒い鱗。其が月の光に

赤く輝いている。だが甲虫の時ほどはっきりと反射はせず、其の輝きは鈍い。

薄い紫色の六枚の羽が首元でフードみたいに広がり、其の腹側から四対の青い瞳の目が此方を

睨み付けていた。威嚇の為の模様ではない。紛れもない本物の目玉だ。

 

まるで猛毒を持つコブラを彷彿とさせる風貌だ。

 

 

「……何処まで妖精を止めるつもりなんだよ、コイツは……」

 

 

神矢は小さく笑いながら呟くのが聞こえた。

 

 

「俺様ハ絶対ニ捕マラネェ……!二度ト戻ルカ…ンナ糞ミテェナ牢獄ニ……!!」

 

 

擦れ声でそう言うと、大量の棘の付いた尻尾を前に出し、ガラガラヘビの様に音を出して

震わせた。

 

俺はドラゴガンの銃口を蛇の顔に向けた。其の両目は虫の時と同じ三つの眼球があったが、昆虫

特有の複眼ではなく、切れ込みの様な瞳の蛇の眼になっていた。

 

リリーブラックが前に長く伸びた口を大きく開けた。其処には虫の脚みたいに節のある牙が

ズラリと並び、それぞれがバキバキと音を立てながら蠢いている。其の内の八本が蜘蛛の

脚みたいに異様に長く、先端から紫色の液体が滴り落ちている。

 

 

「やっぱり生け捕りは無理だ!此処で殺すしかない!」

 

 

今の状況に面している俺は、駆真の言葉に反対する事はなかった。神矢も黙って頷く。

 

 

「仕方ない、作戦変更だ……行くぞ!!」

 

 

俺達は蛇とに向かって走り出した。

 

 

「絶対ニ…逃ゲ切ッテヤル……終ワッテ……堪ルカァアァアァアァアア!!!!!!!」

 

 

向かってくる俺達を迎えるかの様に、相手も虫の脚みたいな牙を見せながら、破裂音の様な咆哮を

上げた。

 

 




如何でしたか?

角が刺さったり、落し物だのと言ったり……某国民的狩猟ゲームの影響が凄いです。
更には其の作品に最近、昆虫型や大蛇型のターゲットも出現しているらしいですが……

次回は、そんな大蛇型リリーブラックと戦闘です。そして、どうやら決着の時も近い様です。

それでは、次回もゆっくりしていってね♪

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