ぐらんぶる〜もう1人の少年を添えて〜   作:夢見969

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皆様ありがとうございます。拙いどころか狂っている作品ですが指さして笑っていただければ幸いです。
感想等ありがとうございますっ。今暫くバカたちの日常にお付き合いください。


妹達

「お兄ちゃんはいったい何をしてるの!」

 

「えっと…野球拳を…ですね」

 

「あ、あの直葉ちゃん? 和人の事をあんまり怒らないでやっ「伊織さん、少し黙っててくださいませんか」あ、はい」

 

「是非俺のことを耕平お兄ちゃんと呼んで「(ギロリ)」 フッ、反抗期か」

 

「直葉ちゃん、そんなに怒らないの。私たち何時もこんなだし」

 

「何時もこんなのなんですか!?」

 

ここまでブチ切れたスグを見たことが無い。

心の底から恐怖し、伊織も隣で正座をしていて寿先輩方もあまりの怒気に充てられて店の隅っこでこちらを眺めている。 誰か助けてくれ。

 

「そーそー。 別にやましいことはしてないし和人は恋人に一途だし大丈夫だよ」

 

梓さんのフォローが苦しい。 あの飄々としている梓さんでさえ頬に汗を流している。

 

「野球挙で女性を裸にすることはやましい事ではないと?」

 

「もちろん。脱いでって頼まれるまでもなくいつも脱いでるし」

 

「梓さんストップ!! 余計な誤解を与えてるから! スグも竹刀を振りかぶるな!?」

 

「梓さん、脱いでって頼んだらもっと脱いでくれるんですか」

 

「はいはい、伊織はあっちでお酒でも飲んでなさい」

 

ズルズルと千紗に引き摺られて時田先輩たちの中に放り込まれた。くっ、いくらクズでも居ないよりはマシだったのに…

 

「千紗さん、お兄ちゃんは何時もこんな?」

 

「いつもは…いつも………」

 

チラリとこちらを見た千紗に伊織ばりの眼力とウィンクで合図を送ると彼女は一瞬微笑み…

 

「ごめん…これ以上は」

 

「千紗さん!? お兄ちゃん普段何してるの!!」

 

「誤解だスグ! ここはダイビングサークルだぞ!イチオウ。 普段からこんな飲み会をしてるわけがないじゃないか!タブン。」

 

「嘘ばっかり! ダイビングサークルがこんなのなわけないじゃない!」

 

それは俺たちも常々思っている事だ。

 

「まぁまぁ直葉ちゃん。 とりあえず暑いし水分でも取って落ち着こ? 和人も逃げないから」

 

「…どーも」

 

愛菜が割って入ってくれたおかげで直葉が止まりコップに入った水を受け取る。

正確には下着姿で正気を失っているハズの愛菜から…だ。

 

「待てスグ! それを飲むなっ」

 

静止も虚しく直葉はコップの液体を一息で半分ほど流し込んでしまった。

 

「んぐっ……こ、れ…………」

 

グラりと直葉の身体が揺れると和人が飛び込み間一髪で彼女の身体を抱き留めた。

彼女の手からこぼれ落ちたコップからは残った水が床にぶちまけられ直ぐに揮発していく。水は水でもPaBでいう可燃性の水であった。

 

「おま、愛菜なんてことしてくれるんだ!?」

 

「うちら楽しゅう飲みよるとに煩かったけん、少し黙らしただけばい」

※未成年飲酒は絶対にやめてください

 

「だからってアルコール、しかもスピリタスを飲ませるな!? スグは今年受験なんだぞっ? 伊織や耕平みたくバカになったらどう責任を取ってくれる!?」

 

「おいおい耕平聞いたか?」

 

「あぁ、まるで俺たちがバカみたいな事を言ってるな」

 

キュゥ…なんて声にならない音を鳴らして目を回している直葉を奈々華さんの手伝いも借りて何とか抱き上げながら和人の部屋へと連れていきベッドに横にする。

 

「とりあえず寝せて…どう説明したものか…」

 

「桐ヶ谷は寝ておけ。 俺が妹の面倒を見よう」

 

「あぁ…悪い頼…む訳あるかぁ! 耕平お前は金輪際、スグに近付くなよ!?」

 

「殺生な!? 慣れないアルコールで苦しんでいる子を見過ごせと!?」

 

「俺が居るから大丈夫だ」

 

外に蹴り出し扉を閉じて直葉の様子を見る。

顔を真っ赤にしてウンウン魘されているのを見ると申し訳なさが込み上げてくる。

心配で様子を見に来てくれたんだもんな…それを適当な言い訳で誤魔化そうだなんて…よし、スグが起きたらしっかりと…

 

 

 

 

 

 

 

「う、うぅん…あれ? 私いつの間に寝ちゃった…?」

 

「おはようスグ。だいぶ疲れてたみたいだな? 昨日来てあっという間に寝ちゃったんだぞ?」

 

「え、嘘!? それじゃあ夢だったのかなぁ…」

 

適当な言い訳ではなく、しっかりと誤魔化そう。

 

「どんな夢だったんだ?」

 

「お兄ちゃんがサークルの人達ととんでもない騒ぎをしてて…うぅん…なんでか頭が痛い…」

 

「ほら水だ。 暑かったし脱水気味なのかもな? 水分ちゃんと取るんだぞ」

 

先程自販機で買ってきた正真正銘の水(火がつかない。重要)を手渡して記憶が混濁している直葉の様子を見ながら内心ガッツポーズを決めている。

これならばいける。 コンコンと、部屋の扉がノックされると奈々華さんが顔を覗かせた。

 

「和人くん、直葉ちゃん起きた?」

 

「あ、はい。今起きました。 スグ、この人はこのお店のオーナーの娘さんでダイビングのインストラクターをやっている古手川奈々華さんだ」

 

「あ、いつもお兄ちゃんがお世話になっていますっ。 妹の直葉です」

 

行儀よく頭を下げて挨拶をするスグ。 我が妹ながらしっかりしているものだなと思う。

妹を引連れ店の方へと降りると千紗を始めとするPaBの面々が勢揃いしていた。 大丈夫、あれだけ言い聞かせたのだ。

 

「おはよう直葉ちゃん。 俺は北原伊織…ほら、前にALOで会ったイオだ」

 

「私は吉原愛菜。 アイだよ」

 

ニッコリといい笑顔で挨拶する二人。

伊織は昨日の修羅と化した直葉を忘れられないのか産まれたての小鹿みたくなってるし、愛菜は小さな声でひたすら謝罪しているがノータッチ。

 

「それであそこでダイビングの本を構えて様子を伺っているのが千紗。 奈々華さんの妹でALOではマレって名前をつけるほど海が大好きなんだ」

 

「ダイビングに興味ある?」

 

キラーンと目を輝かせながら躙り寄る姿を見ると千紗に迫る奈々華さんに近いものを覚え、やっぱり姉妹なんだなと認識する。

 

「そして俺が直葉ちゃんの本当のお兄ちゃ…カペッ!?」

 

「お、お兄ちゃん!? その人、首が変な方向を向いてるよ!?」

 

「コイツは今村耕平でALOではららこ。 耕平は首をこうやって回すのが特技なんだ」

 

「そうそう、耕平は色んな特技があってな。腕の関節がこっちに曲がったり…」

 

和人と伊織が揃って耕平を折り畳んでいく。

伊織が協力する理由はただ一つ。万が一、伊織の妹である栞ちゃんがここに訪れた際、和人が手助けをするという条件で結ばれた言わば妹協定である。

 

「それで私が浜岡梓っ」

 

ブルン…と効果音が聞こえてきそうなそれを揺らして()()姿()で現れた梓さんに天を仰ぐ。 あれほど言ったのにどうして…っ!

 

「ええ!? な、なんでそんな格好…」

 

「いやー暑くてさ?」

 

「お、お兄ちゃん達見たらダメっ!」

 

「今俺をお兄ちゃんと読んだか!?」

 

ちっ、耕平が気を取り戻したか。

 

「大丈夫大丈夫。私たちダイビングサークルだからさ? お互いのこういう格好結構見なれているんだよね。 下着も水着も似たようなものでしょ?」

 

「いや全然違うと思うんですけど…っ」

 

「直葉ちゃんは可愛いなぁ…ふふ、それじゃあ直葉ちゃんも水着になってみれば…「おっと、そこまでです梓さん!」えー、伊織のけちー」

 

水着が恥ずかしくなければ下着も恥ずかしくない、という考えを聞いて理にかなってるな…なんて思った時点で和人は後戻り出来ない位置まで辿り着いている。

それにしても伊織が全力で止めに入ったのはどういうことなのだろうか?

 

「す、スグも一緒にダイビングしてみようぜ?」

 

「え、いいの?」

 

「もちろん良いですよね?」

 

首がちぎれんばかりに縦に振っているのは千紗だ。

 

「んー、明後日の方がいいかも」

 

「そりゃまたどうしてですか奈々華さん」

 

「今日の夕方から天気が少し荒れ模様みたいだから」

 

なるほど…となると気になるのは

 

「スグはこっちにいつ頃まで居れるんだ?」

 

「えっと…明明後日までかな? 一応着替えとかも持ってきたし」

 

明明後日…?

くるりと背後を振り向くと笑顔でサムズアップしているPaBの面々。 おっと、これは誤魔化しが効かなくなるかもしれないな…でも帰れなんて言えないし。

 

「それじゃあ直葉ちゃんは和人くんと同じ部屋で寝泊まりでいいかな?」

 

「ふぇ!? お、お兄ちゃんと同じ部屋は…えで、でも仕方ないのかな…」

 

流石に大学生、高校生ぐらいになってまで兄妹で寝るのは抵抗があるだろう。とはいえ、千紗の部屋というのと千紗には申し訳ないし…横で無言で決めポーズをしている耕平は伊織が処刑してくれてるから問題ないとして…

 

「伊織、少しの間お前の部屋で寝かせてくれよ」

 

「いいぞ。布団はあるし」

 

俺が別の場所で眠ればいいか。それに伊織の部屋…というか離れならば夜中に飲んでてもバレないだろう。そしてなぜ梓さんは爛々とした瞳でこちらを見つめているのだろうか。

 

「しかし今日はどうする? 」

 

「大学を見学させるのは危険だな。 あのクズ達がほっつき歩いている可能性も捨てきれない」

 

何処までも邪魔をする奴らだ野島以下クズ達…

 

「飲むか?」

 

「飲んじゃう?」

 

「伊織、梓さんストップ! 直葉ちゃんが一人困るだけでしょ! いや、昨日の夜は私が…ゴニョゴニョ…」

 

思い返せばダイビングしているか飲むかしてないな本当に…

スグも参加出来るようなこと……

 

「王様ゲームでもする? 奈々華たちも一緒に」

 

「エッチな命令はあり「ウチの妹にしたらお前を埋める。次いでに耕平も野良犬に食わせる」エッチな命令はなしの方向で!!」

 

えー!ぶーぶー!と声を上げる梓さんに直葉は普通そこでブーイングするのは男の人の方なのでは…? と思うも口を噤んだ。

 

「千紗もやるよな?」

 

「…まぁ、直葉ちゃんもやるなら」

 

それじゃあと伊織はいつの間に用意したのか割り箸を握り締め高らかに叫ぶ。

 

「王様ァゲェェェェェェム!!!!!!」

 

「「「「「「イェェェェェェ!!!!!!」」」」」」

 

「え、な、何このテンション!?」

 

「ごめんね直葉ちゃん。いつもなの」

 

「はいはーい、みんな引いて引いてー。 手に持った? それじゃいくぞー! せーの!」

 

「「「「「王様だーれだ!」」」」」

 

各々手に握った箸を見つめる。

残念ながら王様ではない。

 

「あ、私ね」

 

奈々華さんが笑顔で赤の印が付いた箸を見せると少し考える素振りをしてから命令が下される。

 

「それじゃあ6番が右隣の人にお姉ちゃん大好きっ! って言うこと」

 

「なるほど、千紗。早く行ってこいよ」

 

「いや、私9番だよ?」

 

和人6番。

 

「…………………」

 

和人の右隣。 耕平。

 

ダッ!!←和人と耕平が走る音。

 

「おっと、逃がさないぞぉ二人共」

 

「王様の命令は…絶対だろぉ?」

 

時田先輩と寿先輩に羽交い締めにされる両者。

 

「お兄ちゃん大好き………」

 

「オロロロロロロ…」

 

もう嫌だ……トラウマになってしまう。

 

「2回戦行くぞ!」

 

「「「「「「王様だーれだ!」」」」」」

 

…ザワザワと誰が王様なのか皆がざわめくと直葉がスっと手を挙げた。

 

「あの、私…です!」

 

「直葉ちゃん遠慮なしに命令していいからねっ! 特にアイツらには」

 

愛菜がノリノリで言うがアイツらの中に含まれているのは一体誰なのだろうか?

うーん、と考えている直葉は少しすると思いついたようで王様の箸を掲げながら言う。

 

「7番の人が隠し事を1つ言う! なんてどうですか?」

 

俺は3番だ…セーフ。 いやここのメンバーの隠し事は少し気になるし結構いい命令なんじゃないか? 7番は誰だ? と皆がキョロキョロすると耕平が沈痛な面持ちで手を挙げた。またお前かよ!

 

「あ、耕平さんですか? それじゃあお願いします!」

 

「わかった隠し事だな…? 俺は実はこう見えて…オタクなんだ」

 

「ブフッゥ!?」

 

どっからどう見てもオタクだよお前は…!

口元を抑えて笑いを堪える和人と直葉に周りは兄妹だなぁ、と感想を覚えていると不意にGrand Blueの電話が鳴り響いたので奈々華さんだけゲームを抜けて電話を取りに行った。

 

ゲームが続く最中、奈々華さんはメモにペンを走らせる。

 

「はい、はい…3名ですね? はい、当日お待ちしておりますっ」

 

走り書きされたメモに記された名前を知るはずも無く、和人は王様ゲームに興じており彼の危機はまだ続くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

そして2日後。

直葉的には帰宅する前日であり待ちに待ったダイビングの日なのだが…

朝食を食べるために伊織を叩き起しテーブルへ向かうと豪勢な、これぞ和食の朝食。というべき品々が並んでいた。

 

「あ、おはようございます和人さん」

 

「ん、おはよう」

 

「おはようございます兄様」

 

「おー…おはよう栞…」

 

二人して寝ぼけ眼を擦りながら着席し飯を食べようかという所で手が止まった。

誰だあの子? いや、伊織の事を兄様って言ったということは…彼女が妹の栞ちゃんか?

 

「って栞!? どうしてここに…手紙はしっかり返しただろ!?」

 

「はい、ですので全て嘘と確信してここに来ました」

 

どれだけ信用されてないんだ自分の家族に。

 

「あ、お兄ちゃんおはよう。 今朝は全部、栞ちゃんが作ってくれたんだよ。私より料理できて…悔しいけど」

 

「私は実家が旅館なものですから…直葉さんだって直ぐにこれぐらい作れるようになりますよ」

 

礼儀正しく料理も出来て人当たりも良い…か。

 

「なあ伊織」

 

「なんだよ和人」

 

「お前実は橋の下で拾われてきたとかじゃないのか?」

 

「正真正銘こいつの兄ですけど!?」

 

にしては全然似てないが。

 

「とりあえず皆様ご飯を食べませんか? 冷えてしまっては勿体ないですから」

 

奈々華さんや千紗、登志夫さんも席に着きみんな揃うといただきます…と手を合わせて食べ始める。

うん、味噌汁が普段の酒で疲れている五臓六腑に染み渡る。美味しい。

 

「こんなに美味いと実家が恋しくなるだろ伊織」

 

「ははは、おふくろの味ってやつですか」

 

登志夫さんに勧められて伊織も味噌汁を啜る。

ほっ、と一息ついて笑顔で言葉を漏らした。

 

「どんな味だっけなぁ…」

 

「「酷い記憶力…」」

 

「お、お兄ちゃんはアスナさんの手料理の味とか忘れてないよね?」

 

「当たり前だろ…?」

 

………………うん。大丈夫だと思う。

そう言えば、妹と言えば一番煩くしそうな耕平が見当たらないな。

キョロキョロと視線を動かしていると千紗がクイッと指を店の入口に向けている。

 

「ふsYゅるrrrrrrurrru」

 

そちらを見ると既に時田先輩、寿先輩に簀巻きにされている邪神がいた。

仕事が早いことで…

 

 

 

 

 

「どんな味だっけなぁ…」

 

このバカどうしてくれよう…

 

私、北原栞は別に兄が好きでもなんでもない。

ただ彼に実家の旅館を継がせる為にこうしてわざわざ伊豆までやってきて甲斐甲斐しく、実家から持ち寄った味噌まで使って朝食を振舞っている。

だと言うのにこのバカ()は味の記憶を失っていた。ホームシックという概念すらどこかに置き忘れてきたんですか貴方は。

 

「今日は兄様の部屋の片付けでもしましょうか」

 

「んなもん必要ないって」

 

「そんな事仰らないで下さい。兄様の身の回りの世話をしたいんです」

 

なんて出来た妹なんでしょう。こんな妹が居る実家に帰りたくなりますよね?

 

「和人が片付けてくれたしな」

 

は?

 

「あのな、お前少しは自分でやれよ」

 

「持つべきものは友だな」

 

桐ヶ谷和人さん…どうにも以前手紙と同封しておいた兎人形カメラで監視をしていた様子によれば兄はこの男ともう一人と普段から共に行動をしているようだった。

よくもまあ…あのバカに付き合っていられる。

 

「そう言えば兄様! 先日兄様の部屋をお掃除していたらこんなものが出て来ましたよ」

 

スっと取り出した兄秘蔵のエロ本を皆に見せつけるように掲げる。これを見ればこの家に居辛くなるはずだ。

 

「おー悪いな」

 

「お前そういうのはちゃんと隠しとけよな」

 

「あ、あわわわ…!?」

 

まさかのノーリアクション!? 千紗姉様も奈々華姉様も無反応ですか…!?

いえ、直葉さんだけは反応致してますが…ごめんなさい直葉さん、バカな兄を持つ者同士、貴女を辱めるつもりはなかったのですが…!

 

「伊織、そういうものはちゃんと隠しておかないとサークルのメンツに取られるぞ」

 

伯父様まで…!

 

何か手はないかと探っているとタイミングよく兄が水を零して自分にかけてしまった。

 

「はい、ふきん」

 

「伊織くん大丈夫? お風呂入ってきたらどうかな」

 

「うーん、そうしますかね…寝汗もかいたし」

 

ここだ、兄を連れ戻し実家を連れ戻す為ならば過度なブラコンでさえ演じきってみせます!

 

「栞も御一緒してお背中を流します」

 

「あらいいわね」

 

いいわねぇ!!!??

 

「お、お兄ちゃんと一緒にお風呂…お風呂…」

 

「どしたんだスグ?」

 

あぁ!?直葉さん申し訳ありません…!?

きっと彼女は純粋なブラコンなのでしょう。それをイタズラに煽ってしまう形で巻き込んでしまいました。

当の兄である和人さんはウチの愚兄と同じ顔で朝食を頬張っているが。

 

「さてと…私は支度してくるね」

 

「お、手伝うよ」

 

「? 今日は何かあるんですか」

 

お皿を片付けそそくさと店から出ていく和人さんと千紗姉様を不思議に思い奈々華姉様に聞いてみる。

 

「うん、伊織くんのライセンス講習の続きだよ」

 

 

 

てっきり形骸化した飲み会団体かと思っていましたが本当にダイビングサークルだったとは。

何とか言い訳をしてダイビングを肯定することを逃れました。肯定してしまえば兄の新しい居場所を認めてしまいますから。

 

「直葉さんは…和人さんと行かなくてよかったのですか?」

 

「2本目からは一緒に行くよっ。 最初はここで待機してるんだ」

 

「なるほど」

 

「…栞ちゃんってお兄ちゃんが大好きなんだね?」

 

不意にそんなことを言ってきました。

別に好きという訳ではありませんが、アレがいないと実家を継ぐことになってしまいますので…

 

「不安だよね。お兄ちゃんが目の前から居なくなるって」

 

「…はい?」

 

「私のお兄ちゃんね。一度帰ってこないんじゃないかってことがあったんだ」

 

「家出、でしょうか?」

 

訊ねると彼女は首を振る。 と、なれば帰ってこないは比喩的なもの…?

 

「SAO事件って知ってる?」

 

「はい、一万人もの人がゲームからログアウトが出来なくなってしまった事件…ですよね?」

 

「そう。 お兄ちゃんそれに巻き込まれて二年間ずっと病院のベッドで寝ていたんだ」

 

そう言えば兄も昔、それが買えなかった…と騒いでいた事があったような…あの時は結局買えなかったおかげで命拾い出来たようだった。

 

「それまで色々あって私、お兄ちゃんとあまり仲良くできてなくて…でもその事件でお兄ちゃんが居なくなりそうって思った時からかな? 凄く、凄くお兄ちゃんと話したくなったんだ」

 

「………それはどうしてですか?」

 

「失いそうになって初めて意地を張ってたって分かったのかもしれない」

 

「……私は兄様を大切に思っているので」

 

「ふふ、そっか…ねぇ栞ちゃん。 さっきは断ってたけどさ…一緒に海に行こう? お兄ちゃんが見ている世界を見てみるのって楽しいんだよ」

 

自然と手を握られ歩き出してしまう。

兄が見ているものを見たいからでは無い。このお姉さんに、直葉さんに誘われたから…




まだ先の話なんですけど無人島編で一人SAOキャラを投入しますがメイン所ではないですけどいいよね???
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