筆が進まなかったので嘘だ!!
なので前半、とある漫画の若干パロ回です。
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ある日の暇な日。
夏にしては風が心地よく絶好の運動日和に若者五人は公園を走っていた。
爽やかに汗を流す若者たち。
「ゼェゼェ……」
「コヒュゥ…」
傍から見れば青春だろう。
呼吸が乱れ、顔が死んでいるので爽やかというのはやや語弊があるかもしれないが。
「もう、無理……っ」
「さっさと…倒れなさいよ…」
「くっ、……なぜ、俺がこんな事を」
1人、また1人と倒れ込み、最後に立っているのはショートカットの少女…千紗だけとなった。
千紗は息を整えながらゆっくりと振り向き、倒れた伊織や和人に手を差し伸べ笑顔でこう告げた。
「私の勝ち」
敗者たちは涙ながらに差し出された手に向かって…
それぞれ1000円を差し出した。
そう、運動賭博である。爽やかなんてモノは欠片もなく人間の欲、醜さを凝縮したような内容で1種目1000円。 5人居るので勝者は4000円のプラスになるのだ。
「くそ、おかしいだろ!? なんで千紗の方が俺達より体力があるんだ!?」
「お店の手伝いしてるから」
ふんす、と胸を張る千紗に体力が回復してない四人は息も絶え絶え状態で芝生に転がり文句を垂れ流している。負け犬の遠吠えというやつだ。
「というか私が一番不利でしょう! 単なる女子大生よ!?」
「私もただの女子大生だけど…」
「安心しろ、耕平はそれ以下だ」
「ヒュゥ…ヒュゥ…」
「ここまで体力がないといっそ清々しいな」
とは言え、懸垂に始まり腕立てからの耐久ジョギングと続けてやっている為、伊織に俺はかなり体力の消耗が激しい。
ちなみに懸垂は伊織、腕立ては俺が僅差で勝っているので今のところ収支はプラスだ。
桜子と耕平は横並びでドベである。
「次は桜子が決めていいぞ。勝てる種目を選ぶんだな」
「大体なんで私がアンタたちに付き合って挙句にお金を払わなきゃならないのよ」
「事の始まりはうちの梓さんの一言だった…」
「伊織は元々だったけど和人と耕平はいい感じに引き締まって筋肉ついてきたよね〜」
「なんだかんだ体力使いますしね」
「耕平は筋肉ついても貧弱だけどな」
「フッ、バカを言うな北原。 俺は直にギャルゲの主人公として相応しい知能と運動神経を持つ男になる」
「色々手遅れだろ」
「ちーちゃんも結構脱いだら凄いんだよ?」
「梓さん!?」
「まさか。 千紗に…というか同年代の中じゃ俺が一番なのは揺るぎないですよ」
「むっ…聞き捨てならないな伊織。俺だって最近は結構動けるんだぞ。昔は剣道もしてたしな」
「ふっ、武器を持たなければ肉体に勝てない弱者め」
「肉体でもその他でも劣っている耕平には関係ない話だろ」
ガン飛ばし合う野郎三人に千紗は呆れ顔で梓さんは梓さんでやれやれー!とノリノリ。止める者は居らず、唯一の救いといえば筋肉お化けの先輩方が居なかったことぐらいだ。
「よぉし、だったら賭けようじゃねーか!」
「いいな、誰が一番か分からせてやる」
「愚かな。 お前らが俺に勝てるものか」
「「いや、お前のその自信はどこからくるんだよ」」
「こんにちは〜…ってアンタらなんでそんなに盛り上がってるのよ………なんで無言でにじり寄ってくるの。 ちょっと、ねぇ!?」
「なっ、大した理由じゃないだろ」
「大した理由じゃないのに私は付き合わされてるのね」
「ぶ、毒島様? なんで俺の顔を掴んでるんですかね」
「次の勝負は握力勝負にしましょ」
メキメキと顔の骨が軋む音が…
「ぎゃぁぁぁぁぁ!?」
「か、和人の顔が…!」
「奴はゴリラゴリラゴリラなのではないか?」
「アンタらも受けてみたい?」
「「毒島様の勝ちでいいです」」
俺が顔を抑えて蹲っているのを他所に千紗も含めて1000円札を差し出している。問答無用で桜子の勝ちか…いやとんでもなく強い握力だったけどさ…怒りの力じゃないかアレ…!
「…不毛な戦いじゃない?」
「やめろ千紗。梓さんの一件もあるがその実、あまりにも暇だったから始めたくだらない遊びなんだ」
「そうだぞ千紗。耕平から金を巻き上げれるチャンスなんだ」
「ノリが悪いわね。 ここは男共から毟り取るぐらいの勢いでやりなさいよ」
文句を垂れながらも何だかんだで乗り気な奴らである。というか桜子も乙矢くん関係なしに最近はよくGrand Blueに来るというか伊織や俺達と飲んでるというか…千紗との関係も特段悪いことは無く、今はこの場に居ない愛菜の代わりと言ってはなんだが同じ女子同士絡むことは多いようだ。
「えーと伊織と俺、千紗に桜子はお題目を出したし次は耕平の番だな」
「お前が俺たちに勝てるモノなんてあるのか?」
「いいかスポーツは何も運動だけではない。 今やゲームだってeスポーツというジャンルで…「ゲームだったら和人がぶっちぎりだろ」 …いいかスポーツは何も運動だけではない」
1度目を無かったことにして同じフレーズを2度言い始めたぞ。
「つまり競い合うことが出来ればそれはスポーツと言えるのではないか」
「耕平の癖に一理あることを」
「「「一理もない」」」
スポーツは一定のルールに則って勝敗を競う身体活動だ。 確かに今の世の中はeスポーツとかも立派なスポーツの部類に入るが……耕平の事だ、ららこクイズとか言いかねない。
「そこでだ、俺たちはPaBの一員。 最終戦はPaBらしく酒で決めよう」
「なるほどそれは一理あるな」
「全くだ耕平の癖に」
「桐ヶ谷くんも伊織も飲みたいだけじゃ…」
「でも確かに運動の後のタダ酒は美味しいかもしれないわね」
何だかんだと最終戦に乗り気な四人はジャージ姿のまま朝っぱらから何処かで飲もうとしている。
俺がここに来て四ヶ月程。ゲームで知り合ったわけじゃない友人が何人も出来、アルコールに対する異常な耐性を会得し、賭け事、人を蹴落す心構えにダイビングと得る物が沢山あった。
もっとも、人としての尊厳やら羞恥やらは失ったのでアスナに何を言われるかわかったものでは無いが…最悪、伊織と耕平を差し出そう。
「…うーん、あまり店が開いてないな」
「昼前だしね」
「開いてたとしても長時間飲むのははばかられる」
「となればいつも通りGrand Blueで飲むか」
「今日はお客さん来てるし…」
そう言えば奈々華さんが朝言ってたっけ…今日は何組かお客が来てるって。
「あ、伊織の部屋でいいだろ」
「豚小屋?」
「おい桜子。それはどういう意味だ」
「ごめんなさい……豚に失礼よね」
「よーし、その喧嘩受けて立とう」
「んじゃ、酒買って帰らないとな」
ダラダラと運動によって疲労が蓄積した身体を引き摺りながら公園を後にする五人。今夜は荒れそうだ。
案の定、荒れに荒れた。
「北原、アンタはね……クズなのよ。クズ」
「桜子さんの言う通り」
「あんたも大変ねこんな彼氏持って」
酒盛りを開始して早…………早……何時間だ…? 日が暮れているし…あれ、いつの間に店側で飲み始めたんだ?
頭が痛い…っ。
二日酔いが当日に来るってどういう事だ……っ
「和人、大丈夫か?」
「寿先輩…?」
「頭が痛いのか。二日酔いには迎え酒だ! 飲め!飲め!」
差し出されたショットグラスを一気に煽り喉に流し込む…効くなぁ…………っ
しかし舌が潤い、先程までの喋ることが億劫な程の感覚は消え去ったのでよろよろと伊織たちの元へと歩いていく。どうにも何かで盛り上がっているようだ。
「おい和人、お前からも桜子に言ってやれよ。 お前レベルの女は沢山いる…って! つーか、女装した俺と和人にすら負けてるんだし」
「そのお口、まーだお酒が足りないようねぇ!」
「はっ、そんな度数の低い酒を飲んでるだけのお前には言われたくありませんー!」
「で、結局なんでそんな話になったんだ」
「和人に彼女が居るって前の飲み会の時話しただろ? 桜子より美人だって教えてやったら有り得ないってよ」
「だって桐ヶ谷よ? こんな奴に私以上に美人な彼女? 笑わせてくれるわね」
「桜子以上? 違うぞ伊織」
「ほら、見なさい北原。 本人だって違うって…「桜子なんて足元にも及ばない程の美人だ」 あぁん?」
「出た出た和人の惚気……」
「そんなに言うなら見せてみなさいよあんたのその彼女。 現実にいるのなら写真の1枚でもあるんでしょう?」
勝ち誇ったような言い方をしてくる桜子に俺はテーブルに置いてあったスマホを弄りアスナとのツーショットを探す。 どうせだアスナがとびきり美人に見える写真を見せ付けてやる。
酔いが回りすぎて正常な判断ができなくなっている和人なのだがそんなことは後に立っても覚えていないのであまり関係の無いことだが。
「どうだ、美人だろ」
スマホに映したのは背後からアスナが俺を抱きしめている所のツーショット。さすがに撮った時は恥ずかしかったけどこれが一番美人に見える。
「はぁー! ホント、後で和人は埋めようぜ耕平」
「なんだまた惚気けているのか? 埋めよう」
「別にいいだろ……彼女の自慢ぐらいしたいんだよ」
「はぁ!? これが桐ヶ谷の彼女?! レンカノじゃないの!?」
失礼なことを言うな桜子。
「なるほどその発想はなかった」
「だけど直葉ちゃんとかも知っていたよねアスナさんのこと」
「流石にレンタル彼女を家族には紹介しないだろ。漫画の1本ぐらい書けそうなネタになるぞ」
耕平、千紗、伊織と次々に口を開くが実際にこの三人は未だアスナに会ったことはない。それでも存在を認めてくれているのが分かると信頼されてると実感する。
「……いや、写真の角度の問題ね」
「そこまで認めない気か桜子」
「醜いな」
「流石毒島」
などとある意味賞賛を送っていると俺達と同じように下着姿になった桜子が素っ裸の和人のスマホを取り上げ背後から抱きつき(腕で首を締め上げながら)、アスナとのツーショットと同じような角度で写真を撮った。
「ふっ、どんなものよ」
「和人が気絶してるんだが」
「あ、でも桜子さん綺麗だよ」
「でっしょぉ?」
ポイッ、と興味を失ったとばかりに和人とスマホを放り投げて飲みに戻る桜子と他3人。
そんなスマホに通知が浮かんでいる事には誰一人、ついぞ気がつくことは無かった。
【画像を送信しました】
§
深夜一時頃。
やる事もやってさて寝ようと思ってた時にアスナから電話がかかってきた。珍しい時間にかかってきたなーと思いながら通話を押すと啜り泣くような声が最初に聞こえる。
「アスナ…? どうしたのよアンタ、泣いてるの!?」
「リズ…、キリトくんが……」
キリト、と聞こえた時点であー、また寂しい病が発症したのかななんて思ってしまうのはいい加減許して欲しい。最近は也を潜めていたけど溜まりに溜まって爆発することもあるのは分かるけど何もこんな時間じゃなくても……
「キリトくんが浮気してるかも……」
「はぁ?」
思っていたこととは全然違って、絶対にありえない事を言われたらこんな反応になってしまうのは仕方ないだろう。
珪子や詩乃だって同じリアクションをするだろうし、というか浮気する程度のアレならあたしやアリスがやってるわ!!!
「そんな訳ないでしょう…」
「だ、だってキリトくんの端末から写真が送られてきて…」
「どんな写真よ」
「は、はだ、裸で抱き着いてて……」
裸、裸ねぇ…あーうん。
「大丈夫よ。だいたい浮気だったらこっそりとするものでしょーが。 わざわざアスナに写真なんて送らないって」
それにしてもキリトに抱きつくなんて誰だろうか。 千紗ちゃんや愛菜ちゃんはそんな感じはしなかったし、女装した北原とかあたり? いやぁ、ないわぁ…
「そんなに心配なら会いに行ってみればいいじゃない。 きっと喜ぶ…喜ぶわよ?」
「なんで一瞬言い淀んだの!?」
喜ぶとは思うけど今のキリトが自分を見られてどう思うかは分からない。
結局、珪子や詩乃と話し合ってキリトのあの痴態に関してはアスナに言わない事にした。 というか、こっそり会いに行ったのがバレたらこっちまで危ない気がするから直葉ちゃんやアリスも黙っているのでアスナだけ会っていないし何も知らないのよね…
「そもそも最近どうなの? アイツと一緒に向こうに行くって決まってても今はやる事そんなにないでしょ」
「私だけ何もしないわけにもいかないから色々勉強してるのよ…キリトくんも頑張ってるから忙しいんだろうし」
酒に溺れて海に潜って忙しいとか言えないわね。
「大学が夏休みの間はこっちに帰ってくるんじゃない?」
「う、うん…帰ってくるとは聞いてるけど」
「それならその時に色々とっちめてやりましょ!」
少しは納得してくれたのか、それとも落ち着いたのか先程までの焦った感じは無くなった。
まったくキリトは何をやっているんだか…
「あ、因みにアスナ? その写真って見せてもらえる?」
「えっと、うん……大丈夫……大丈夫……」
よっぽどショックなようね…。昔のアスナなら多分電話をかけてくるよりも先にあいつの場所に突っ込んでいってたわね。 丸くなってよかった。
「とりあえず、浮気なんて絶対有り得ないんだから今日は寝なさいっ。 アイツがアスナ以外を好きになるなんて有り得ないんだから」
「ありがとう、リズ…。 うん、おやすみ…」
通話が切れ、代わりに件の写真が送られてきたので見てみると見た事のない女がキリトに抱きついていた。
確かにそういう関係に見えるけど。
「二人とも顔も耳も真っ赤にして…これはアレね。あそこの飲み会ね」
体験した身からすれば何となくどうしてこうなったか分かる。かくいう自分も脱いでたと2人から教えてもらったし……思い出せないけど恥ずかしい。
ま、この子については北原にでも連絡をとって教えてもらいますか。