ぐらんぶる〜もう1人の少年を添えて〜   作:夢見969

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今回はそこそこ書き溜めてたので早かった……!
ゲストキャラが今回次回と出ますが少しふわふわしてるので原作また読んできます。

感想お待ちしております。


無人島へ行こう!

研究室の手伝いも終わりようやく日常を取り戻しバイトに勤しんでいた俺が休憩に入るとスマホに伊織から通知が来ていた。

 

内容は明日、2泊3日無人島キャンプに行ける人を募集。

楽しそうだが8人集まらないといけないらしく、現時点では伊織、奈々華さん、梓さん、俺も暇だから入れると4人…あと4人か。

 

「あ、桐ヶ谷さん。お疲れ様です!」

 

「あぁ、お疲れ様乙矢くん。…そうだ乙矢くん、明日と明後日空いてるか?」

 

「えっと…はい。シフトも入ってないですし空いてますよ!」

 

「伊織達が無人島キャンプに行けるメンツを探しててさ。乙矢くんさえ良かったら一緒に行かないか?」

 

「北原さんがですか! もちろん行かせていただきます!」

 

伊織にメッセを飛ばしておこう。

 

「それじゃあ詳しい内容は夜に送っておくな」

 

「はい! 楽しみにしてますね!」

 

なんてことを話したのが昨日のことで…そして翌日、無人島キャンプ当日。

港には伊織、俺、乙矢くん、寿先輩、時田先輩、千紗に奈々華さん、梓さんが集結していた。これで既に8人居るのだがあと二人来る予定となっている。

 

「おはよう桐ヶ谷、北原」

 

「桜子!? なぜお前が…!!」

 

「俺が呼んだ。 大勢の方が楽しいだろ」

 

「仕方ないからお呼ばれしてやったわ。 ま、暇だったし乙矢くんも居るし」

 

「おはようございます、桜子さん!」

 

「おはよ乙矢くん」

 

バイトの時、ふと思い立ったので声をかけてみたら少し考えた様子もあったが一つ返事で参加を了承していた。

まぁ、別に険悪な仲でもなくバイト仲間で一人声を掛けないのもアレだろう。 に、しても乙矢くんが居るのに猫を被らなくなったのは何かあったのだろうか。

 

「よう」

 

「耕平? なんか大事な用事があるんじゃなかったのか?」

 

「確かにあったが梓さんからKAYA様が参加すると聞いてな」

 

「摩耶さんが?」

 

梓さんの方をチラリと見ると満面の笑みで親指を立てていた。マジか。

 

「耕平くん水樹カヤだよー(裏声)」

 

「殺意の湧く声真似はやめろ北原ァァァァ!!!」

 

伊織は来ないと判断したのか耕平にアホな事をやっている。確かに常人ならば嘘だと判断するが梓さんの友人だしな摩耶さん。 なんなら俺も連絡先知ってるけど。

 

「ごめーん、お待たせー!」

 

「大丈夫大丈夫! ギリギリセーフだよ摩耶」

 

「そう? 良かったー。 あ、和人くん久しぶり」

 

「えぇ、お久しぶりです摩耶さん」

 

「え、まさか本当に!?」

 

「あの人って耕平くんが好きな声優だっけ」

 

「あぁ、アイツが信仰している声優だ」

 

伊織が驚き、桜子も信じられないといった目で聞いてくるのだが肝心の耕平は梓さんに膝まづいて頭を垂れている。

 

「生涯変わらぬ忠誠を貴女に…!」

 

「大袈裟だねぇ耕平は」

 

いや、それはマジのやつですよ梓さん。

 

「揃ったようだし乗りましょ?」

 

「うん、そうだね! みんな荷物積んでー」

 

これは色々と…大変なキャンプになりそうだ。

 

船の上では嘘をついた伊織の背中に千紗が座ってたり、千紗と伊織が付き合ってると聞いた乙矢くんが目を輝かせて伊織のいい所を語ったりしていたのだが伊織にいい所なんてあったのか?

 

着いたのは木々が多く、心地よい風が吹き目の前は海の最高のロケーションだった。

ここでキャンプ…は確かに胸が躍るな…!

 

「なんかワクワクしてくるな和人!」

 

「あぁ、めちゃくちゃ楽しそうだ!」

 

「BBQとかやっちゃうか!?」

 

「ははっ、お客さん。すみませんが先にテントを建てましょう」

 

「おっと、そうだった」

 

ついつい楽しそうで先走ってしまった。

船の荷物も全部運ばないといけないしやる事は山積みだ。 男勢で女性陣の荷物も運び出し、寿先輩が水樹カヤと一緒の船に乗ったという事象故に過呼吸起こして干からびた耕平を担いできた。

 

「………これエアポンプで治りますかね」

 

「耕平だしな…」

 

「どうだろうか」

 

「一応やってみるか」

 

気を取り戻した耕平と伊織と共にテントの設営を始める。 思い返したらこいつ摩耶さんの存在に感動して挨拶してないんじゃないか?

 

「耕平、いい加減挨拶ぐらいした方がいいんじゃないか?」

 

「何を馬鹿な」

 

「いや折角の機会だからいいだろ」

 

「俺があの人の生声を聴いたら自我が崩壊するくらい分かるだろ」

 

「「お前にとってあの人なんなの」」

 

と、まぁテントを建てていると女性陣の姿を見失ったのだが水着にでも着替えてるのだろうか。

 

「……はっ!? 耕平、想像するな深呼吸だ!」

 

「落ち着け、落ち着くんだ耕平!」

 

「すぅ……はぁ…すぅ………」

 

女性陣のテントの方を見ると若干影のような感じで動きが見えるが耕平の意識をあそこから反らせば死は免れるであろう。

 

「ぁん♡ もう梓ったら変な声出ちゃったじゃない」

 

「摩耶のおっぱい久々〜」

 

耕平が倒れて顔色が土と同じ色になっていた。

 

「先輩! 耕平が、耕平が!!」

 

「どうした!?」

 

「見たことの無い顔色になってるぞ!?」

 

「死ぬな耕平!!」

 

そんなこんなあってテントの設営は先輩たちと終え水着に着替えて(水着を着ている ここ重要)浜にいる女性陣と合流する。 耕平も何とか死地から帰ってきたのでよかったがこれから摩耶さんの水着姿を見たら本当にあの世に行くんじゃないか?

 

「おまたせしました」

 

「あ、みんな。ちゃんと水着なんだね」

 

「ははは、最初ぐらいはな」

 

「………?」

 

言葉の意味が分からない、と桜子が指を指すが俺は首を横に振り目を逸らす。

一方、伊織は梓さんと顔を寄せあってなんかよく分からないことをしてるし。

 

「それにしても桜子はこの光景を見ても何とも思わないんだな」

 

ついさっきまで水着を着ていたはずの先輩が裸だったりするのに女の子らしい反応もせずただただ真顔で日焼け止めを肌に塗ってる。

 

「今更でしょ。ほら、見てる暇があるなら日焼け止め塗るの手伝いなさい」

 

「乙矢くんに塗ってもらえよ」

 

「誘われたからバカンスをしに来ただけでラブロマンスとかしに来たわけじゃないのよ」

 

「なんなんだお前」

 

「まぁ、私の事はいいわよ。 それより摩耶さん大丈夫なの? 一人でどこか行ったみたいだけど」

 

「なんだってそれは本当か毒島!?」

 

「どこから出てきたのよアンタ。あと桜子と呼びなさい」

 

「えぇい、そんなことよりKAYA様はどこだ!?」

 

「摩耶なら砂浜歩いてくるって言ってたよ〜」

 

梓さんが言う通り、少し離れたところを歩いている摩耶さんの背中が見えた。 「KAYA様のお背中…!!」とか耕平が一瞬崩れかけるが摩耶さんが誰かに話しかけられ始め耕平から黒いオーラが滲み出始める。

 

「ナンパかしら」

 

「摩耶さん美人だしな」

 

「ナンパ…だと……?」

 

「落ち着け単細胞」

 

「和人の言う通りだ狂人」

 

「あのクラスの美人ならナンパ程度あしらえるで………耕平くんは?」

 

「「は!?」」

 

ついさっきまで俺と桜子、伊織の近くに立っていた筈の耕平が凄まじい勢いで駆け出していくのが見えた。

 

「お久しぶりです、KAYAさん。まさかこんな所でお会いするとは」

 

「あ、久しぶりっ。キミがいるってことは…」

 

「えぇ、あっちのテントに…ヒュッ!?」

 

何やら親しげに話しているイケメンの首に凄まじい速度で手を回しそのまま砂浜へと叩きつける強烈な一撃。 なんて綺麗なネックスローなんだ…じゃなくて!!?

 

「成敗…」

 

「何やってるのよアンタ!?」

 

「大丈夫ですか!?」

 

「お前、ただのファンだったらどうするんだ!?」

 

「いや今のは間違いなくナンパだった」

 

「その根拠も無く断言する自信は何処からくるんだ!?」

 

「がはっ…な、なんなんですか…」

 

「すみませんコイツも悪気があったわけじゃ「今トドメをくれてやる」ダメだ悪気しかねぇ!? 和人、桜子、止めるのを手伝え」

 

「仕方ないわね…」

 

暴れる耕平を俺が羽交い締め、桜子がアイアンクローで奴を潰すと地面に叩きつけられた男性がヨロヨロと起き上がった。

20代後半ぐらい、身長は俺よりも大きく170の後半だろうか。引き締まった体つきに肩口まで伸びた黒髪、そして顔が整ったイケメンである。

まさか摩耶さんの…?

 

「ダーリンどうしたの…ってKAYAさんだ」

 

なんて考えていると小柄な女性がふらつきながら立ち上がったイケメンの尻を蹴り飛ばして海の中へと転がっていった。哀れすぎる…

しかし、現れた女性…どこかで見たことあるような。

 

「久しぶりっ。まさかこんな所で会うなんてね」

 

「2人ともこんな時期にお休み貰えるなんてねー」

 

和やかな雰囲気で話し込んでいる二人を他所に、海へ転がっていった男は若干溺れてるし小柄な女性の後ろには180ぐらいあるんじゃないか?って感じの女性が全く隠れていないが隠れるようにしてこちらの様子を伺っていた。

 

「摩耶さんの知り合いみたいだったな。耕平、後でちゃんと謝っておけよ」

 

「KAYA様と言葉を交わす時点で万死に値する」

 

「その理論だと俺達も漏れなく死罪なんだが……って伊織? さっきからどうした黙り込んで」

 

「いつも不細工な顔が余計ブサイクになってるわね」

 

「か、か……!!!」

 

伊織がいつも通り壊れている。

 

「あ、みんなに紹介するね。 お仕事で仲良くなったシンガーソングライターの神崎エルザちゃんだよ」

 

「「「神崎エルザ!?」」」

 

「ホントだ見た事ある人だなと思ってたけど」

 

「それであっちにいるのが香蓮ちゃんで海に転がっていったのがダーリン。あと一人はテントの方でご飯の準備してるんだー」

 

なんだか急に有名人が出てきてたぞ…

 

「」

 

「桐ヶ谷、北原が息をしていないわ」

 

「伊織!? お前まで耕平になるな!! 戻ってこい!!」

 

スパァン!! スパァン!! と奴の頬に平手打ちをかますがどこか焦点が定まっていない。

 

「伊織ってエルザさんのファンだったからね」

 

千紗が未だ惚けてる伊織の頭を軽くバットでぶっ叩き(どこから持ってきたんだバット)、ようやく伊織は現世に戻ってきた。

 

「は!? なんか寺が見えた!?」

 

「寺? 何言ってるんだお前は」

 

「今日はちょっとアレだけど明日、そっちさえ良ければ一緒にレクリエーションでもしない?」

 

突然の申し出に伊織は再び倒れ、耕平は摩耶さんの前で臨戦態勢。ダーリンと呼ばれていた男はこめかみを軽く抑えながら足早に何処かへ走っていった。

 

「どうしたんだ和人。そちらの女性は?」

 

「先輩! えっと、神崎エルザさん。摩耶さんの知り合いで…明日一緒にレクリエーションをしませんか?ってお誘いを受けました」

 

「俺達は構わないぞ。 今夜はすこしあれだが」

 

「私達も用意があるから明日がいいの」

 

「それじゃあエルザちゃん、明日楽しみにしてるね?」

 

「うんうん、楽しみにしてて? 用意はダーリンがしておくから……ええ、楽しみましょうねKAYAさん。そしてキリトくん」

 

ゾワッと、全身にとんでもない悪寒が駆け巡った。

なんで神崎エルザが俺の名前を知ってるんだ…?

 

 

 

 

 

 

先輩たちと女性陣が火起こしをしているので残りの男勢は魚も食べたいということで釣り糸を海に垂らしている。

 

「まさか神崎エルザさんが居るなんて思いませんでしたね!」

 

「俺はよく分からないがKAYA様のお知り合いならば失礼のないようにしなければ」

 

「出会い頭にそのエルザさんのダーリンを成敗したけどな」

 

「神崎エルザに彼氏が居るなんて……」

 

北原(バカ)は散々人の事を普段から言っておいてこのザマか。まぁ、俺もKAYA様にそんな事があったら死を選ぶが」

 

「私がどうかしたの?」

 

あ、耕平にクリティカル。

 

「カ、カカカカカ!!!!??」

 

「わ、面白い動きっ。と、そう言えばそうだった今更だけどキミが伊織君だよね?」

 

「あ、はい」

 

「お二人は初対面なんですか?」

 

「ん、一応…青女祭で会ってはいるんだけどね」

 

「俺と伊織は女装していたしな」

 

「そうそう素顔では初めましてだね。和人くんは顔がそのままだからすぐ分かったけど」

 

「それは褒められてないですね」

 

「どんな出会いだったんですか…」

 

一刻も忘れ去りデータも消し去りたい。アルゴにあのムッツリを探し出さなければ……

 

「それでキミが耕平君だ」

 

「KAYA様が俺の名を………………っ!!!!」

 

「いちいち感動するな鬱陶しい」

 

「よっぽどファンなんですね」

 

「ありがと、でももうちょっとフランクに接してもらえると嬉しいな……あっちみたいに」

 

「摩耶さん、それはダメだ!!」

 

ALOでナナと名乗って耕平と普段一緒に居ることを知らせてしまえば、耕平の自我が崩壊して廃人になってしまう!

 

「…………補陀落?」

 

よかった、あれは馬鹿なことを考えている顔だ。

 

「おい耕平、こんな機会もう二度とないのかもしれないんだぞ? 話さなきゃ勿体ない意外のなにものでもないだろ」

 

「確かにそうだが……万が一嫌われたらと思うと」

 

「それなら俺に任せろ。なんとかしてやる」

 

「北原……?」

 

「貸し一つだぞ」

 

「命を懸けて返そう!!」

 

またロクでもないことになりそうなので乙矢くんと少し遠巻きに釣りをしながら眺める事にした。

釣れませんねー、なんてほのぼのしている乙矢くんはアスナやユイを除けばこの世界に舞い降りた唯一の天使なんじゃないか?と錯覚してしまいそうだ。

 

 

「キリトくん?」 「パパ?」

 

 

違う。違うからな!?

 

「どうしたんですか桐ヶ谷さん!?」

 

「な、なんでもない……」

 

危なく変な方向に行くところだった……随分とバカになった和人が項垂れていると伊織が摩耶さんにこそこそと何かを伝えようとしていた。

まぁ、さっきの耕平の件で妙案が浮かんだんだろうな。

 

「摩耶さん、耕平の奴なんですけどね? 少し前に摩耶さんの妹さんを家に連れ込もうとしたことが」

 

「えっ」

 

「耕平、お前……ガッ!?」

 

「ゴヘァ!?」

 

「遺言を聞こうか」

 

血の滴るバットを振り被りながら狙いを定めている耕平。なんで俺まで…!

 

「一回……嫌われたら楽になるかと思って……」

 

「そんなに殴ったら……俺のHPがゼロになるぜ…………」

 

「潔く死ね」

 

 

 

 

さて夜になってBBQもたらふく食べて満足した頃合。

 

「そろそろ何かゲームでもしようじゃないか!」

 

「そうね〜普段やらないようなやつがいいかも。伊織、何かない〜?」

 

「何か……うーん、野球挙も王様ゲームも普段やってるし…和人は何かあるか?」

 

「そういう手のゲームは俺にはからきしだな」

 

「……あ、いいのありますよ」

 

「ほんと桜子ちゃん? どんなのかな」

 

うんうん頭を抱えながら悩んでいると桜子が手を挙げて奈々華さんが楽しそうに説明を促した。 ヤツが手を挙げるなんて珍しい。

 

「ロシアンマリーゲームっていうやつなんですけど」

 

 

ロシアンマリーゲーム

 

・トマトジュースと一つだけタバスコ入り激辛ブラッディマリーを用意する。

 

・各々罰ゲームを紙に書きシャッフルした後に1枚罰ゲームを引く。

 

・皆で一斉に飲み誰がハズレを飲んだかを当てる。

 

・当てられた人は選ばれた罰ゲームを行う。

 

 

「っていうやつだけれど」

 

「俺たちにピッタリだな」

 

「ここは桜子ちゃんが言うそのゲームをしてみよう。 トマトジュースもブラッディマリーもないから水と(スピリタス)でやるか」

 

「寿先輩ストップ!? それだと誰がハズレを引いたか分かる前にぶっ倒れる人が出ますから!?」

 

「それじゃあウーロン茶とウィスキーで」

 

まぁ、それぐらいならなんとか……

乙矢くんは未成年故にアルコールが飲めないので時田先輩と二人で進行役だ。

罰ゲームを各々書き込んでいき箱へと入れていく。

 

「罰ゲームかぁ…」

 

「奈々華は何か決めた? 私は決めたよー」

 

「あ、決まったなら僕が回収しますねっ」

 

「そうそう質問なんだけどさ」

 

「「いやらしいのはどこまでOK?」」

 

「え゛っ!? た、多分全面的にNGかと」

 

「少しもダメ?」

 

「5秒だけとか!」

 

奈々華さん、梓さん? それは俺たち男子のセリフだと思うんですが。

いや、俺はアスナ以外に興味はないんだけどな? ほら男として言わないといけないことってあるだろ?

 

「皆さんグラスは持ちましたか? それでは1回戦行きますよー!」

 

「ロシアンマリー・ゲーム!」

 

「「「「「「YEAHHHHHHHH!!!!!!」」」」」」

 

【右隣の人に愛の告白♡ ※全力で愛を込めて】

 

俺の右隣は…梓さんか。 正直アスナにバレたらリアルでスターリィ・ティアを受けそうだからハズレを引いてもバレないようにしないとな…。

それで俺に告白するのは誰だ?

 

ふと、首を向けると汗を全身から噴き出している耕平が居た。

 

様子のおかしい耕平を見て、俺だってお前から告白なんて受けたくないわ!と言いたくなったが奴の理由はさらにその奥だった。

摩耶さんが耕平の横に座っている、その状況だけで奴は壊れそうだと言うのに罰ゲームで摩耶さんが選ばれれば……摩耶さんが耕平に愛の告白をすることになる。

 

死体が出来上がる!?

 

「せーの!」

 

時田先輩の音頭で皆がグラスを傾ける。

 

「「「「「「「ハズレはだーれだ!」」」」」」」

 

頼む、俺でもいいから摩耶さんがハズレでないように……!!

 

顔を上げると口を抑えて震えている千紗が居たので指を指した。

わかり易すぎるが今は助かったよ千紗…

 

「あのね、ずっとずっと前から━━━そしてこれから先も、大好きだからね」

 

あんなこと言われたいな。と、思っていたら千紗の告白を受けた奈々華さんが大号泣していた。

前から思っていたんだが奈々華さんって千紗の事になるとかなり危うい人間なのでは?

 

「あの子、わかり易すぎね」

 

「まぁ元々あまり飲むタイプじゃないからな。桜子だってそうだろ」

 

「はっ、私を甘く見ないことね!」

 

 

「残高溶解! 海面蒸発! 不思議なステッキの一振で魔法少女ららこになぁれっ☆」

 

 

「かわいい〜!」「もう1回!もう1回!」

「ギャーハッハッハッハッ!!」「ブフッ…ニ、ニアッテルゾ」

 

なんて言ってた後の3回戦では息巻いていた桜子が即落ちしたので動画に取っておいた。

 

「くっ、その動画消しなさい!」

 

「断らせてもらう」

 

悔しそうにする桜子に対して和人は長い髪をかき上げ、スカートを翻しながら不敵に笑う。

 

「その姿だってちゃんと撮ってあるんだから!」

 

「今更女装がどうした」

 

2回戦でハズレを引いて摩耶さんプレゼンツ! フリフリゴスロリキリコちゃんになっている和人だが羞恥の心は死にふんぞり返っている。

 

バイトに肝試し、青女祭と遡ればここに来てからしょっちゅう女装をしてる気がしなくもないがそもそもの始まりはGGOのアバターだよなぁ…顔の作りはほぼそのままだったし。

 

その後もゲームは回数を重ね、伊織がケバいメイクをしたり耕平が一気飲みをしたり梓さんが先輩達と踊ったりとかなり楽しい時間を過ごしたのだが、

 

「海への愛が私を酔わせただけでお酒に酔ったわけじゃない!!!」

 

千紗がベロベロに酔っ払ったのでゲームはやめてここからは普通に飲むこととなった。

海に飛び込んだ千紗は服を着替える為にテントに、伊織はスピリタスを取りにテントに……ん? 2人ともテントって事は。

 

「落ち着け千紗! これは事故だ!!」

 

「ソノ記憶ト命ヲ置イテイケ」

 

「記憶を奪えば命は不要では!?」

 

考える間もなく二人は物凄い勢いで林の中へと走り出して行った。

 

「はぁ…少し暗いし探してくるか。 耕平、悪いけど先輩達に言っておいてくれ」

 

「任せろ。KAYA様は死んでも守る」

 

「せめて話をちゃんと伝えてくれよ?」

 

スタスタと二人が消えた林の方へと向かうと案の定というか視界は悪かった。こっちが迷子にならないようにしないとな…

 

「やっと二人きりになれたね」

 

「…ッ!?」

 

突然の気配に飛び下がり声がした辺りをライトで照らすと白い服、艶やかな黒い髪を靡かせて微笑む神崎エルザ(悪魔)がそこに居た。

 

「……神崎エルザ……あんた、何者だ?」

 

「そういうキミはキリトくんでしょ? SAOをクリアしちゃった黒の剣士さん」

 

「…帰還者か?」

 

「SAO失敗者(ルーザー)ってところかな?」

 

「失敗者…?」

 

「そう、ゲーム開始日に事情があってあの世界に行けなかった失敗者。 死を知ることが出来なかった失敗者」

 

「……その失敗者さんが俺に何か用か」

 

「いやぁ、その昔ベータテストをしていた時に『俺よりレベルが2つも低いのに、そこまでやれば立派なもんだ。ここのボスは譲るよ、いつかタメになったらまたやろうぜ』とか言ってきた人にキミが似てる…っていう理由と死銃事件のBoBでキミとシノンちゃんの戦いを見て興味をずっと持っていたんだよね」

 

…………前半の理由は覚えがあるようなないような……ほら、当時の俺って14歳でアバターはそこそこ気合いの入ってたイケメンにしてたし気が大きくなってたから言ったかもしれない。

しかし、後半部分のシノンと共闘していたのが俺だってなんで分かったんだ…?

 

「女装したキリトくん、アバターにそっくりだから」

 

「女装したままだった……っ!」

 

まぁ、昼にあった時からキリトってバレてたみたいだし調べあげたんだろう。どこからか。

 

「興味があったから接触してきた……だけじゃないんだろうエルザさん」

 

「そうそう、お誘いにね。 キリトくんSJ(スクワットジャム)に参加して私と殺し合わない?」

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