ぐらんぶる〜もう1人の少年を添えて〜   作:夢見969

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SSSS.DYNAZENON が終わってしまい、よもゆめ優生思想に取り憑かれています。
この話を書き終えるまでにSSSS.DYNAZENONのクロスオーバーSSが4話書き上げました。
違うんです。許してください。

DYNAZENONの方も後ほどあげます。

そう言えば連載して1年経ってました。初期から呼んでいただいてる皆様、本当にありがとうございます。


実家に行こう! 北原旅館!

さて、伊織が栞ちゃんに土下座してパスポートをねだっている姿を写真に収め、PaBの連絡グループへと送信したので和人は温泉に向かうことにした。

 

それにしても立派な旅館だ。

ご両親も穏やかそうな人だったし妹もしっかりしてるし…やはり伊織は自然と橋の下辺りにPOPしたんじゃないか?

などと馬鹿なことを考えていたら遅れて伊織、耕平が風呂へと入ってきた。

 

「聞いてくれよ和人」

 

「妹に土下座してた話か?」

 

「違ぇよ!? あの電車で会った外国人たちがウチに泊まりに来ている」

 

「へぇ、そりゃまた。 偶然もあったものだな」

 

「そしてコイツは北原旅館の見取り図を落としたらしい」

 

「へぇ、そりゃまた。バカも極めたものだな」

 

………もしその見取り図をあの外国人達が拾ったら…?

 

「恐らく奴らは栞の部屋に向かうだろう。そこを颯爽と俺が助けてパスポートを返してもらう算段だ」

 

「「この外道め…!!」」

 

自らの家族を贄に使うとは人としてゲスもいいところと和人、耕平は吐き捨てる。

 

「というかさ、栞ちゃんもそうだが千紗も狙われるんじゃないか? アイツらの様子からすると」

 

「そうだ、古手川はどうするつもりだ?」

 

「安心しろ、こういうこともあろうかと千紗風のウィッグを作ってきた」

 

「お前が着るんだよな。 なぁ、そう言ってくれ伊織」

 

「これを和人に着せる」

 

畜生…ッ!! と風呂場で項垂れる和人。

普通に考えて用意されていても着なければ良いだけなのだが、女装に慣れた弊害なのか拒否をするという選択肢が完全に消え失せているのである。

ノロノロと脱衣場に戻り三人揃って身体を拭いていると和人はふと思った。

 

「というかさ、本当に栞ちゃんの所にヤツらが来るのか?」

 

「あぁ、宵街きららが好きならば栞ちゃんに興味が無いはずがない」

 

「宵街きらら?」

 

説明しよう。

宵街きららとは女将で園児にして前世の妹な『青色スプリング』の妹キャラで栞ちゃんに、千紗にも少し似ている凄いキャラなのだ。

 

「属性盛り過ぎだろ」

 

「大きなギルドの副長で料理もできて美人で閃光なんて二つ名がついてるお前の彼女に比べたら属性は少ないだろ」

 

「……………はっ、それもそうだな」

 

衣服を着ようと籠に手を伸ばすと「きらら」と書かれたスモックが入っていた。 なるほど、これが宵街きららの衣装か。

じゃなくて!!

 

「おい伊織(バカ)これはいったいどう言う…」

 

女装ならまだしもこんな格好をするだなんて聞いてない! と伊織に問いただそうと視線を向けると全く同じ衣装を伊織も持っていた。

 

「古手川も似ているが年齢がな」

 

「おいちょっと待て」

 

「俺たちの着替えがおかしいのにツッコめ」

 

「着てきた服は?」

 

「どこにも見当たらん。和人のは洗濯機にぶち込んだからここにはない」

 

「やっぱりお前が犯人かよ!」

 

「やれやれ、ならそれを着るしかないだろう」

 

「「絶対に嫌だ」」

 

伊織はどうでもいいが、なんで俺まで着ないといけないんだ。 耕平の旅館浴衣を剥ぎ取ろうと軽く顎に一撃を入れていると、北原父が浴衣を片手に更衣室から出ようとしているのが目に入った。

 

「何しているんだねマイダディ」

 

「外国人のお客さんがな。 栞に『これ(スモック)』を着て欲しいと言っていたんだが、栞は嫌がってな。だから同じ遺伝子を持つお前が着れば大丈夫だと」

 

なるほど、この人も中々にヤバい人だな!?

 

「伊織はスモックでいいんでその浴衣を俺に貸してくれませんか!?」

 

「ん? 構わないよ」

 

北原父の手から浴衣をかっさらい、伊織に捕まる前に腕を通した。 パンツはないがそんなの今更だ…と和人は一息付き、先程気絶させた耕平を引き摺りながら北原親子を更衣室に放置して外へと出た。

 

「あ、お風呂ゆっくり入れましたか?」

 

「あぁ、凄く良かった。 疲れが取れた感じするよ」

 

それは良かったです。ふふ。とハンカチ片手に笑う栞ちゃんの後ろには恐らく薬か何かで眠らされたであろう外国人二人が椅子にもたれかかっていた。 まさか!?

 

「ダメですよ。和人兄様」

 

カクン…と、和人のカラダが崩れ落ち、気絶した耕平の身体に重なるように倒れた。

 

目が覚めたのは晩飯の時間になってから。

伊織と耕平に蹴り起こされ、痛む身体を動かしながらなんとか卓に付くと刺身や天ぷらなどの料理が運ばれてきた。

美味そうだ…

 

「伊織はこんなものを食べて育ったのか」

 

「立派なものを食ってこんなクズになるとはな」

 

「贅沢者」

 

「バカ言うな。食えても期限ギリギリの余り物だけだ」

 

「乾いたお刺身とか食べ飽きましたね…」

 

伊織と栞ちゃんは遠い目をしながら食事を口に運んでいく。 旅館の子はそれはそれで大変なのか。

 

「栞が大きくなってからはコイツが作ってたけどな」

 

(栞ちゃん)の手料理か……ァ!」

 

「面倒だから殺気立つな。和人はどうなんだ?」

 

「ウチは当番制だな。親は仕事で居ないことが多かったし…まぁ俺も二年ほど起きてなかったからごく最近の話になるけど」

 

(直葉ちゃん)の手料理か……ァ!」

 

「面倒くさ…」

 

千紗がボソッと呟きながら刺身を摘んでいる。

 

「そんなに言うなら帰りに弁当でも作ってもらえばいいだろ」

 

「いいのか栞ちゃん!?」

 

「それくらいでしたら。千紗姉様と和人兄様にも」

 

「なんだか申し訳ないな」

 

「うん、無理しなくていいんだよ?」

 

バカな兄の提案に答えようとしてくれていると考えるとなんて可愛そうで健気な妹なんだ…と涙が流れる。その兄は無関心にビールを注いでいた。

はっ倒してやろうか。

 

「いいんです。嬉しいんですよ? 旅館で疲れを癒し、帰りの電車で楽しそうに千紗姉様が私のおにぎりを手に取り、今村先輩が私手作りの卵焼きを食べて、和人兄様が旅館での出来事を思い出しながら唐揚げを味わい、兄様が私手作りのパスポートを手に笑顔になる…私、そういうのが凄く嬉しいんです」

 

「栞ちゃん…っ」

 

「なぜお前が兄様呼ばわりされている桐ヶ谷?」

 

「日頃の行いだろ」

 

「いや、俺のパスポート偽造されてなかった?」

 

そういえば栞ちゃん、いつの間に着物から浴衣に着替えたのだろうか?

そしていつの間に俺は千紗みたいな格好になったんだろうか。

 

何の気なしに食事を楽しんでいたが和人は伊織が用意していた千紗ウィッグを装備していた。薄く化粧もしてある。

 

「浴衣姿、似合ってるね栞ちゃん」

 

「うん、可愛い」

 

「どうですか、兄様?」

 

褒められて嬉しいのか実の兄に浴衣姿を見せるよう少し手を開いて微笑む栞。

それに対して伊織はしっかりと眺めて『色気がねぇな』と感想を覚えていた。

 

「とりあえず一枚脱いでくれ」

 

「実の妹に何を…」

 

「兄妹では普通のことだろう? なぁ、桐ヶ谷」

 

「今すぐお前を警察に突き出してやろうか?」

 

こいつはスグに近付けちゃ絶対ダメだ。

 

「ところで兄様。栞はどこで寝たらいいですか?」

 

「あ〜それは…「耕平兄様の布団で一緒にゴヘァ?!」 和人、悪いけど処分してきてもらえるか?」

 

「山に埋めてくる」

 

「千紗と一緒の部屋じゃダメか?」

 

「私は別にいいけど…? さっき警察も来ていたみたいだし栞ちゃん1人じゃ心配」

 

「頼んだぞ千紗。 いざとなったらこの偽千紗(和人)を差し出すんだ」

 

千紗が危ない目に合わないように俺が犠牲になるのはやぶさかでないが伊織の命令だと無性に腹が立つな…

 

「アノ、先ホドは失礼しましタ」

 

鈴のような綺麗な声が聞こえ、そちらに視線を送ると電車の中で出会った外国人の女性が酒瓶をお盆に乗せてやって来た。

 

「えっと……?」

 

「あの外国人のツレでカリーナというらしい」

 

「カリーナでス。 ツレが申し訳ありまセン」

 

「その他の二人は何処に?」

 

「確カ写真がどうノ…トカ言っテました。松ノ間二居ると思いマス」

 

ざっと二人は立ち上がって和人の両腕をつかみ引き摺るように食事処を後にする。

 

「おい、なんで俺まで」

 

「ヤツらを完璧に沈めるにはお前が必要なんだ」

 

「あぁ、お前しかいないんだ和人」

 

真剣な表情をしながら和人の肩を掴む伊織と耕平の様子に和人もゆっくりと頷き、立ち上がった。

 

「わかった。俺に出来ることならやらせてもらう」

 

そして数分後、部屋に乗り込んだ俺たちは栞ちゃんや千紗の写真をフィギュアや抱き枕に貼り付けている外国人二人に対し、俺たちは酒を取りだし勝負をしかけた。

 

「ハッ、坊やたちまだ飲み足りないか?」

 

「チェイサー有りの勝負にしようぜ」

 

「オイオイ、大和魂は二次元に置いてきたか!? ジャパニーズゥ!?」

 

と、ゲラゲラ煽っていた外国人のお二人はチェイサーと思い、我々が用意した水(可燃性)を煽った瞬間沈黙した。

 

「お前達の酒がチェイサーでこっち(スピリタス)が酒なんだよォ!」

 

酒、やはり酒は全てを解決する。

 

「はっ、口程にもねぇ!」

 

「…しかしまぁこんなにする程、アニメのキャラが好きなんだな」

 

「サークル仲間で日本に旅行に来るほどだしな…」

 

サークル仲間で、なぁ………ん?

 

「なぁ、耕平。もしお前が同好の士と旅行に来るとしたらやっぱり仲間内だよな?」

 

「まぁ、そうだな。興味が無いやつを誘っても面白くはないだろう……ん?」

 

「なんだ、どうした和人、耕平」

 

「いやな? コイツらと同じサークルのあのカリーナって女も……同じなんじゃないか?」

 

「………!!!! そうか、そうじゃなければこんなヤツらと一緒にいる必要が無い!!」

 

「あぁ、こんなのと一緒にいるなんて罰ゲームもいい所だ」

 

「お前、今すぐ俺と伊織と千紗に土下座しておけよ」

 

とりあえずコイツらに聞いてみるかと眠っている二人を叩き起こす。

スピリタスのせいでぐでんぐでんになってるが…まぁ、大丈夫だろう。

 

「和人、翻訳頼む。カリーナについて聞きたいことがある」

 

「英語でだけどな…あー『私はカリーナにとても興味があります』」

 

「「!?」」

 

「彼女は日本の何が好きなんだ」

 

「『彼女は日本人のどんな所を好きになってくれますか?』」

 

「「oh......!!」」

 

「栞と千紗に危険はないか?」

 

「『私の家族と仲良くなれるでしょうか?』」

 

「「Supporting international marriage of students」」

 

…ん?

 

「桐ヶ谷、ヤツらはなんて言ってるんだ?」

 

「俺たちは学生の国際結婚も応援するってさ」

 

「なんでそうなった!? お前の英語おかしいんじゃないか!?」

 

勉強してきた通りに喋ったつもりだが…やっぱりまだまだだな俺も。

もう少し話してみると彼らは『青色スプリング』というゲームのシーンを栞ちゃんと千紗で再現したいとの事だった。

…青スプなぁ?

端末を開き軽く調べてみるとしっかりと『R18』と出てきた。エロゲーかよ!!!

 

「エロゲーじゃねぇか!!」

 

「「「それがどうした?」」」

 

「おい和人。妹を持つ仲間として手伝え」

 

「そうだな…ヤツらはともかくやっぱり耕平はここで始末しておくべきか」

 

ゴキンッ…!!と指を鳴らし、俺と伊織は始末するべく動いたのであった。

 

 

 

 

 

 

カリーナ、栞、千紗が松の間に入ると千紗の外見をした和人がスモックを着て写真を撮られ、PCの画面に写ったイラストに似ているポーズを決めている。

 

「…何してるの?」

 

「千紗。いや、こいつらがお前にこういう写真を撮らせろって言いよる所を俺が止めていたんだぞ?」

 

「…私の格好で?」

 

「………千紗さん? その拳は…」

 

「…………もうこんな時間だし桐ヶ谷くん。寝ないとね」

 

「永遠の眠りてき……なッ!!?」

 

強烈な一撃が和人の鳩尾を抉り抜き、彼の体が宙に数瞬浮いたあとドサッと畳の上に落ちたのであった。

ちなみに伊織はカリーナに求婚したと勘違いされ、挙句結婚しようと言われたので栞ちゃんにパスポートを押し付けられ翌日には家を追い出されるのである。

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