あとえげつないほどお気に入りとかが伸びていて皆さんアルコールキメすぎでは…?と戦慄しています…
本当、感想とかめちゃくちゃ嬉しくてありがとうございました!
【成田国際空港】
「
「アドバンス取るためにバイトしに行くんだし仕方ないだろ。 グアム経由で行くんだっけか」
「そうだな。理由はどうであれアメリカに足を踏み入れる訳だ…耕平、ポルノ規制とかで引っ掛かるなよ」
「バカめ。俺がそんな物を持っていると思うか?」
「向こうは規制厳しいらしいもんね」
「「「「はははははっ!!」」」」
朗らかに笑い合う皆。しかし耕平はカバンをしっかりと抱きしめて凄まじい形相でこちらを睨みつけていた。
「フーッ!!! フーッ!!!」
「お前は何を持っていこうとしてるんだ…」
「早く鞄の中身を出せ。飛行機が間に合わん」
泣き喚く耕平を伊織と二人で締め上げ、鞄の中に入っていた本の数々を処分し飛行機へ。全く…こっちは朝早くから大変だったってのに。
「出国する前でよかった…」
「あっちでトラブルになるのはゴメンだからな…」
「俺たちまで同罪になるのは勘弁だ…」
「ほほう、そこまで言うのなら北原…お前はグアムでエロ本を見付けても買わないんだな?」
「当たり前だろう…」
【グアム国際空港】
「フーッ!!! フーッ!!!」
「桐ヶ谷、手伝え」
「あぁ、気を失わない程度にシメる」
考えが丸わかりな伊織の顔面に耕平と千紗が一撃をぶち込み、和人がジャーマンでトドメを刺して飛行機内へと連れ込んだ。
あまりにも手が掛るヤツらだ…
機内で弁当を食べたり、パラオの観光ガイドを読んだり、朝早かったので寝たりなんだりしているとようやく、パラオ・コロールへと到着した。
【パラオ・コロール】
「ようやく着いたな…」
「こんな時間か…」
「やけに疲れた…」
「グアム経由は時間がかかるから…」
空港到着ロビーを通り、軽く外を眺めると日は既に沈み時間も夜を迎えていた。 スーツケースを転がし、早く現地の酒を飲んでみたいな…と思いながらこの後の日程を千紗に聞いてみる。
「この後どうするんだ」
「誰かが迎えに来てくれる…らしいよ?」
「あれじゃないか? ドルフィン…ってボード持ってるし」
伊織が気が付いたのは出口付近で分かりやすくボードを構えている人影。案内があるのは助かる。長旅の後に自力で移動となると疲れるし…
「今年の夏は盛り沢山だったなぁ…」
「研究室でピザ食って1週間ほど監禁されたり」
「カヤ様と無人島に行ったり!」
「伊織の実家に行ったし、桐ヶ谷くんのご家族にも会ったし」
「…直葉ちゃんに挨拶してないんだが?」
「耕平、気絶していたしな」
「エギルさんのお店はまた行きてぇもんだ」
「新しくPaB式ってメニュー作るって言ってたね…」
エギルの店で急性アルコール中毒が起きなければいいのだが…
「楽しそうなお話ですね」
そう呟いたのはボードを持っていた人物。
女性だ。
「そんな楽しい話じゃないんですけどね」
「いえ、楽しそうですよ」
女性は掲げていたボードを下ろし、目深に被っていた麦わら帽子を脱ぐと艶やかな髪がサラリと現れ、眉を吊り上げながらドヤっとした表情が見えた。
「私が居なかった時の話が、ね」
「「「ケバ子ぉぉぉ!?」」」
「愛菜!?」
愛菜は実家に手伝いで帰っていたはずだ!?
何故パラオに!?
「実家に帰っていたんじゃ!?」
「帰ってたわ! 来る日も来る日も家の手伝い…っ! そっちも皆、過酷な労働をしてるかと思えば皆でキャンプ!? 写真を見たら沢山人いるし!」
「カヤ様に出会えて最高だった」
「その後はPaBで納涼祭なんてしてるし!」
「酷い納涼祭だったな…未だに内容を思い出せない」
「次は伊織の実家!!」
「いい温泉だったよ」
「最後は和人の実家!!」
「面白い店に行ったぞ」
「挙句にパラオってどういうつもりよ!!!!」
要するに自分が居なかった時に楽しそうにやっていたこちらが羨ましかったようだ。 なんだかんだ桜子とか乙矢くんとかが普通に居るようになっていたから…大変申し訳ないがすっかり忘れていた。
「私が居ない間に楽しい思い出作らないで…って言ったのに…!」
「楽しかったか?」
「苦労が多かったような…」
崖から落ちるわ、記憶は飛ぶわ。
変な外国人たちと死闘を演じる羽目になったし…
「それよりケバ子。聞きたい事があるんだが」
「あぁ、ケバ子。大切なことだ」
「伊織と耕平と同じなのは癪だが俺もある」
「…いや、あのそれよりも私からどうしてもしたい質問があるんだけれど」
至極真面目な顔をして俺たちを見つめる愛菜に皆が首を傾げた。
どうしてもしたい質問…? そんなものがあるのか…? 顔を見合わせる俺と伊織に愛菜は溜息をつく。
「その美人な人は誰!?」
愛菜が指を指したのは千紗の横に立つ女性。
スタイルがよく顔立ちは整っており長く伸ばした髪は柔らかく、風に綺麗に靡く。
女性の名は「結城 明日奈」。 つまるところ和人の彼女である。
「「「明日奈さんだけど?」」」
「私の知らないところで仲良く!?」
伊織、耕平、千紗は何を言っているんだ?と首を傾げながら愛菜を見つめており、愛菜からしてみれば疎外感が半端ない。
「え、えっと…結城明日奈です。キリトくんがいつもお世話になってます」
「…えぇ…はい…いつもお世話してます…吉原愛菜です…」
「おい、愛菜。 俺がいつお前に世話されたんだよ」
「何時もでしょ!?」
愛菜に世話になったことなんてないと思うんだが…
「キリトくん、私からもいいかな?」
「どうしたアスナ」
「ここは何処?」
「パラオ」
「なんでかな!?」
「バイト兼旅行だけれど…」
「ごめんねキリトくん。少し理解が間に合わないかな…! 私、そもそも皆さんとは初めましての筈なんだけれど…っ」
「「「
「説明、してもらえるよね?」
ニッコリと微笑んだアスナの表情を見るのは久しぶりだけれど冷や汗が止まらず、いつの間にか空港のロビーで正座をしてきた。
§
時は今朝まで戻る。
今日は3ヶ月ぶりにキリトくんとのデートだ。
大好きなキリトと会える為か、昨夜から落ち着きがない明日奈は何を着てデートに行くかすこぶる悩んでいた。
久しぶりに会うから可愛いと思われたいし、綺麗だって言われたい。 女の子としての感覚はいつまで経っても無くなるものでは無い。
「その服、いいんじゃないかしら」
「これ? うーん、確かにそうか…も……ってお母さん!?」
「あらどうしたの? あの人とデートなのでしょう?」
「そ、そうなんだけれど…」
母親にデートに着ていく服で悩んでいる姿を見られるのは中々に恥ずかしかった。
「このポーチ、持っていきなさい」
「え、これお母さんの…でしょう?」
「えぇ、私が初めて貴女のお父さんと出かけた時に持っていったモノよ。 だいぶ古いもの…だけれどあまり古めかしくないでしょう?」
手渡されたポーチは母の言うような年代を感じさせず、綺麗なモノで確かにこれを持つのだったら先程母が選んでくれた服が合いそうだ。
「…いいの?」
「えぇ、良かったら使いなさい」
「……ありがとう、お母さん」
受け取ったポーチを大事そうに一度抱きしめて微笑む姿を母の京子は嬉しそうに眺め、一拍置いて軽くパンっと手を叩いた。
「早く着替えて行きなさい。 待ち合わせに遅れてしまうわ」
「あ、もうこんな時間!?」
大慌てで着替え、髪を整えメイクをしていく。
珍しく、本当に珍しく母が準備を手伝ってくれたのが凄く嬉しくてデート前から明日奈の気分は高揚していた。
「気をつけて行ってくるのよ」
「うん、分かったよ。いってきます」
「いってらっしゃい」
家を出て、電車に乗って…彼が待つ場所に辿り着くと笑顔で、彼が迎えてくれた。
「アスナ、久しぶり」
「久しぶり、キリトくんっ」
「その、なんだ…今日の服装…似合ってるな」
「ありがとう。この服ね、お母さんが選んでくれたの」
「そうだったのか…流石…って言うべきか。 …早速だけれど行こうか」
ぎゅっ、と握られた手は三ヶ月前に比べて少し逞しくなった気がした。
「キリトくん、少し筋肉ついた?」
「ん、まぁ下宿先の手伝いをしてたら自然にな」
「ダイビングショップだったよね? そっかぁ…私もいつか一緒にダイビングしたいな」
「俺もアスナと一緒に海に潜りたいよ」
「ふふ、嬉しい。 向こうではちゃんと食べてる? 大学の人とは仲良くできてる?」
「あぁ、下宿先で作ったり…作ってもらったりしてちゃんと食べてるよ。大学の人も…全部さらけ出せるぐらいは仲良くなったさ」
「良かった。キリトくん人付き合い苦手だから」
「そんな事ないって。 伊織と耕平…って二人とはいつも一緒に居るぐらいさ」
「本当? 意外だなぁ…」
くすくすと笑いながら彼に手を引かれて歩くのは本当に幸せだ。 それにしても一体何処に行くのだろうか?
話すのが楽しすぎてすっかり周りの風景を見ていなかった……ここは、空港…?
「和人! 遅せぇぞ!」
「悪い、アスナを迎えに行ってたんだよ」
「ったく…」
背が高い黒髪の男の子がキリトくんにスーツケースを手渡した。
「
「アドバンス取るためにバイトしに行くんだし仕方ないだろ。 グアム経由で行くんだっけか」
「そうだな。理由はどうであれアメリカに足を踏み入れる訳だ…耕平、ポルノ規制とかで引っ掛かるなよ」
「バカめ。俺がそんな物を持っていると思うか?」
「向こうは規制厳しいらしいもんね」
「「「「はははははっ!!」」」」
楽しそうに(見える)話している四人を眺め、よく分からないままキリトに手を引かれてアスナもゲートへと向かう羽目になる。 この人達を見送るって訳じゃないよね…?
「これアスナのチケット。 パスポートはポーチに入ってるはずだ」
「え? キリトくん?」
「よし、行こうか」
「ちょっとキリトくん?」
§
「という訳だ」
「「どういう訳!?」」
「おかしい、全然伝わってない…」
「和人…お前…」
「なるほどな」
「桐ヶ谷くんらしいね」
伊織と耕平、千紗には伝わったらしい。周波数が合っているのだろうか?
いや、それよりも明日奈にみんなを紹介するのが先か。何だかんだと飛行機の中でも紹介していなかったし。
「要は俺はアスナと海外旅行がしたかったのと、俺の友達…? に会って欲しかったんだよ。改めて紹介するな? これが北原伊織、こっちが今村耕平。 そして古手川千紗だ」
「「「初めまして」」」
「あ、どうもキリトくんが…」
頭をペコペコと下げあっている四人は傍から見てると凄い絵面だった。
「でもパスポートとかなんでポーチに…」
「京子さんにお願いしておいた」
「お母さんもグルだったのね…っ!?」
京子さんが色々と手伝ってくれたおかげでアスナに一切悟らせずに準備が出来た。
パスポートの用意から水着や着替えまで京子さんがスーツケースに詰め込み、荷物だけ先にパラオへと送ってくれているのでアスナはポーチ一つで旅行に来ることが出来ている。
「と、とりあえず明日奈さんも一緒に行くんですよね? 移動しよう…だから和人、正座はやめて…目立つから…!」
愛菜に襟首を掴まれ引き攣られる形でハイエースされた和人。 車の運転手はバイト先「ドルフィン」の店員であるジョンさんである程度の日本語は分かるらしい。
「はぁ…キリトくん…私怒ってるんだからね?」
「面目ない…」
「サプライズは…嬉しかったし会えたのも凄く良かったけど…」
……これで怒られるのはまぁ仕方ないとはいえ…飲酒してることについても怒られるんだろうなぁ…
……アスナはアルコールに強いんだろうか?
「耕平…、抑えろ。 寮に着いたらアイツを殺す…」
「あぁ…それにケバ子の肥大化した胸の件もある…!」
前の方では伊織と耕平が千紗と並んで座っている愛菜の胸を見る。
数週間前に別れた時よりも明らかに大きく、そして下にズレていた。
(((ズレてるぅぅぅう!!!)))
(盛るならちゃんと盛れェ!!)
(詰めが甘いんだよケバ子ォ!)
(頼む千紗、気が付いてくれ…!!)
「キリトくん、なんで愛菜ちゃんの胸を見てるのかな?」
「ヘェァ!? いや、誤解だアスナ!?」
和人が明日奈にシメ上げられている中、千紗はパラオの話をしていた。
「パラオって親日らしくて結構日本語が根付いてるんだって」
「ソダヨー 。マタアシタートカ、サムイネートカネー」
「へぇ、そうなんですかぁ!」
「私も少し聞いたことがあるんだ。乾杯はツカレナオースで伝わってるらしくて他にも──」
「──ブラのことチチバンドとか…ね」
((ナイスだ千紗!!!))
「へぇ、そうなんだ」
愛菜は何事も無かったかのようにズレたパッドを元の位置に戻して微笑む。 この時点で漸く和人が何を気にしていたのかに気が付いた明日奈は軽く和人の頬を叩くことで許した。
和人は内心腑に落ちてないものの甘んじてそれを受けたのは自らへの戒めか、それとも今後のために先に罰を受けたのか。
それから暫く車に揺られていると見えてきたのは立派な寮。 寮というか最早家である。
「ここが私たちの暮らす臨時の寮」
「マジか!」
「スゲェ!!」
「沖縄の別荘みたいだな」
送ってくれたジョンさんを手振って見送り、和人達は早速荷物を持って中へと入る。
寮の中はロフトがあったり、立派なシャワールームがあったり風景の良いテラスや焦げ付いた鍋や何かよく分からない物体が出来上がっているキッチンが有った。
「ち、違うの! 折角、みんなが来るから何か食べれるもの用意しておこうって思ったんだけどね!? なんかよく分からないうちにこんな事になっていて!?」
「「「よくやった!!」」」
「へ?」
三人が指さしたのは地元の缶ビール。
「流石ケバ子だ」
「俺たちのことをよくわかっている」
「持つべきものは友人だな!」
「で、でもキッチンは…」
「ケバ子らしいから大丈夫!」
「失礼な!?」
とりあえず乾杯だー!! と騒ぎながらリビングに集合すると各々缶ビールを片手に向かい合うと伊織が改めて!と音頭を取り始めた。
「伊豆大1年 北原伊織です! 和人には何時も迷惑かけられてます!」(カシュッ
「同じく1年 今村耕平。 桐ヶ谷には何時も手を焼いています」(カシュッ
「伊豆大1年 古手川千紗です。 桐ヶ谷くんにはお店の手伝いとかしてもらってます」(カシュッ
「青女1年 吉原愛菜です。 和人は気を利かせてくれるけど基本バカです」(カシュッ
「「「「どうぞよろしくお願いします!」」」」
「…みんな俺の友達だ。アスナ」(カシュッ
「初めまして、結城明日奈です。 いつもキリトくんがお世話に……キリトくんなんで自然にビールを開けてるの!?」
しまった…流れで!?
「未成年飲酒はダメだよキリトくん!」
ササッ!!とみんな顔を逸らした。そりゃそうだ、アスナだって9月に二十歳になるのだから俺たち皆未成年だ。
「アスナ…許してくれ」
「で、でも…」
「明日奈さんだって飲んだことぐらいあるでしょう!?」
「あぁそうだ、間違いない。貴女は飲んだことがあるはずだ!!」
「わ、ワインとか飲んでそうですよね」
「…そうそう! お嬢様って感じだし?!」
何を慌てだしたのか全員がフォローに入り始めた。もうここまで来てしまったら共犯者に落とした方が早い。
「う、うぅ……もう、知らないからね!!」(カシュッ
「「「「「「乾杯!!!!!!」」」」」」
どうしても、どうしてもアスナさんがキリトくんに甘々になってしまう…
まぁ、まだ全裸になってないからいいよ…ね?