ぐらんぶる〜もう1人の少年を添えて〜   作:夢見969

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やたら時間かかった割にこれでいいのか?ってなりました。
次回は毒島、和人メインです。


栗拾いってなんだ?

「パラオかー、私も行きたいなぁ…でもこれから色々あって更に忙しくなりそうだし…」

 

と、言いながら笑顔で敵性MOBを撃破するのはナナさんこと水樹カヤ(飯田摩耶)。

なんでナナさんとALOでクエストをやっているのかと言うと、何でも欲しいイベントアイテムがある。しかし一人でやるとイベント終了まで間に合わない。そこで確実に暇、かつ人手として申し分のない和人に白羽の矢が立った。

時刻はド深夜。 PaBの飲み会が終わり寝ていたところ電話が鳴ったのだが…酔っ払って寝惚けている状態で超有名声優からの電話は心臓への負担が凄まじかった。

 

「忙しく?」

 

「あ、うん。私事だけどね。 これはオフレコで頼むよっ」

 

「言いませんよ。というかカヤさんと知り合いなんて誰にも言えないし信じて貰えないですからね」

 

「それもそっか!」

 

ケラケラと笑いながらも器用に羽を動かし飛び食虫植物っぽいMOBの触手を回避しながら狩り尽くす姿はなんというか怖い。

 

「ん、よしよしドロップ品も揃った! 助かったよキリトくん。こんな時間までごめんね? 明日早かったりしない?」

 

「いえいえ、これぐらいしか手伝えることないですし。 明日は休み………あ、みんなで栗拾い行くんだった」

 

何故栗拾いに行く事になったかと言うとだ、伊織の実家である北原旅館の近くには大きな栗の木があり毎年この時期になると栗ご飯を作って食べていたという。 その時に語られた作り方は実際こちらの食欲を誘うもので凄かった。

まぁ人間、長年してきた習慣が急になくなると異常に寂しくなったりするものなので分からなくもない。

 

「え、栗拾い!? いいなぁ、私も行きたかったよ」

 

「いや貴女が来たら連れの一人が死ぬんで勘弁してください…」

 

耕平が惨たらしい最期を迎えてしまう。

とりあえずそんな当たり障りのない話をしながらナナさんと安全圏まで移動すると待ち構えていたかのようにひとつの影がキリトの腹部に突撃し、勢いのままキリトを巻き込んで転がっていった。

 

「パパ! こんな時間まで起きてるなんて明日遅れたらどうするんですかっ」

 

「ゆ、ユイ!? いやこれはやむにやまれぬ事情というか…ナナさんの手伝いをしてだな…」

 

「明日は私も連れて行って貰うんですっ。しっかり寝てください」

 

「ユイちゃん、ごめんね? キリトくんを呼び出したの私なんだ」

 

「ナナさんは悪くありません。パパは最近不摂生が祟って頭がおかしくなっているので」

 

「ユイ? 色々と言ってくれるのは俺としても嬉しいけれど頭がおかしいってのは頂けないからな? な?」

 

ユイにまでそう言われてしまうとは俺はそろそろヤバいのかもしれない…少しは生活に気を使わなければ。

 

「ナナさんすみません。 今日はここら辺で止めます…」

 

「大丈夫大丈夫。アイテムも集まったし! むしろありがとうねっ。 ユイちゃんも今度遊ぼうね」

 

「はいっ! それではパパ、明日の朝モーニングコールするのでちゃんと起きてくださいね」

 

 

 

 

 

 

 

なんてことがあったのが今から6時間前のこと。

 

「と、言うわけで伊織があまりにもウザイので栗拾いに来たぞ」

 

「もう少し言い方とかありません? 有難いですけど」

 

「あまりにもウザかったからな」

 

「あぁ、人が村中ゆりかのサインが届いて喜びに満ちていたというのに貴様の顔を見たら掃き溜めを見た気分だった」

 

「お前らも言い方に限度ってものがあるからな? 栗を服の中にねじ込むぞ」

 

「「なら脱げばいい」」

 

「脱ぐな!!」

 

耕平と一緒に愛菜からお叱りを受けたので元凶の伊織を睨みながら事務局の方から借りた栗拾いセットを身に付ける。まぁ、あまりにも落ち込んでいた伊織の様子を見捨てられないのは分かるし、それを見た千紗がわざわざ栗拾いツアーを企画してくれたので先輩方たちと来たという訳だ。

ユイはアリスがダイビングする時に使用した通信プローブを改造に改造を重ねて作ったディスプレイ付きの端末に居る。

音声も出るのでユイの表情を見て会話することが出来るレベルになっている。 先輩達様々である。

 

「伊織がこれ以上鬱陶しくならないように皆くれぐれも励んでくれ」

 

「他にも1組、2組お客さんが来ているらしいので迷惑にならないようにな」

 

「「「「「はーい」」」」」

 

「嬉しいけど敵しかいねぇ…」

 

【伊織さん、沢山見つけましょうね】

 

「ユイちゃんだけが俺の味方だ…!」

 

「ユイに手を出したらタダじゃおかないぞ」

 

「あぁ、俺の妹…ゴハァ…!?」

 

耕平を叩きのめしたので早速栗拾いを開始したのだが…これがなかなか見付からない。

 

【パパ、あっちの木の下とかどうですか?】

 

「お、あるかもしれないなっ!」

 

「仲のいい親子だな。和人達」

 

「あぁ、協力したかいがあるってもんだ」

 

寿と時田は満足そうに裸で腕組みをしており、伊織は素足で栗のイガを踏んで悶絶している。あまり栗を見つけることは出来ていないがこういう野外活動も楽しいものだ。次はアスナとユイと三人で来てみようか。

 

【あの、ひとつ聞きたいんですが…パパ達は何故裸なのですか?】

 

ユイの純粋な質問に男たちは首を傾げ顔を見合せた。栗拾いを開始した時点では服を着ていたのは確かなのだが気がついた時点で裸だったのだ。あれは、温泉を見つけた辺りだろうか?

 

「ユイ、急に服がなくなったんだ」

 

【バグでしょうか?】

 

「バグかもな」

 

頭の。

 

それ以上、裸については言及することは無く栗拾いに精を出していたのだがここでまたしてもユイが一つの事案に気がついた。

 

【大変ですパパ! 耕平さんの姿が先程から見えません!】

 

なんだ、そんな事か。

少なくとも温泉に入った時点では居たはずなのでその後にはぐれたのだろう。チラリと伊織や先輩たちの方に視線を配ると首を横に振っていた為、知らないようだ。でもまぁ耕平ならば全裸で山に放り込まれても生還する確率の方が高いと思われる。

しかし万が一があったら……?

 

「ん? なんだ耕平、そんな所に居たのか」

 

和人が考え込みそうになった時、伊織が林の奥から顔を覗かせている耕平を見つけていた。

 

「お、おう…!」

 

「……貴様、なぜ服を着ている?」

 

「え゛!?」

 

「いや、その前に本当に耕平か?」

 

「も、もちろんだ…!」

 

顔は耕平なんだが…どうにもオタクっぽさや雰囲気が違うし常に目が泳いでるのは怪しい。

とりあえずスピリタスでも飲ませてみせようか?

 

【パパ、この人耕平さんではありません! 先程まで観測していたバイタルと大いに違いますっ】

 

「どのへんがどう違うんだ?」

 

【耕平さんやパパ達より凄く健康的です!】

 

「伊織、捕らえろ」

 

「既に」

 

耕平もどきを羽交い締めにして捕らえたのでやっぱりスピリタスでも飲ませてみよう。

泥酔すればベラベラと喋るだろうし。

 

「ご、ごめん! 言い出せなかったことは謝るからそれは止めてくれないかな!? ほら、パラオで会った池越です!」

 

「「池越……あぁ…」」

 

寿先輩、時田先輩は首を傾げるがパラオに行った面々なら分かるだろう。

ジャギーズ事務所のアイドルで髪を染めれば耕平に瓜二つな人物。

 

「池越さんがなんでまたこの山に? 撮影ですか?」

 

「そ、そうなんだ…実はこの山で撮影をしていたんだけど少し席を外していた間にスタッフが居なくなっていて…人を探して歩いていたらパラオで見かけたキミたちが居て…」

 

「なるほど。 耕平のフリなんてしなくても良かったのに」

 

「プロデューサーにキャラが薄いと言われてね…キミたちと行動したらキャラというものが分かるかと…」

 

「池越さん、世の中には知らなくていいキャラもあるんです」

 

「えぇ、ここの面々を知れば知るほどろくな人間になりません」

 

本当に、数ヶ月前の俺を返して欲しい。

 

「待てよ? 池越さんと一緒に来ていたスタッフが居なくなって…こっちは耕平が居なくなって…不味いのでは」

 

とやかく言っても仕方ないのだが耕平が再びテレビ撮影に出ているとしたら池越さんの地位が非常に不味い。

池越さんと先輩方を連れて森の中を駆け抜けると人影が見えてきた。スタッフ達か、それとも他のお客さんか…!

 

「なんであんたら裸なの!!」

 

「ちっケバ子か!」

 

「舌打ちされた!?」

 

【愛菜さん、実は耕平さんそっくりな池越さんと出会ったのですが耕平さんが代わりに行方不明でして、もしかしたらテレビスタッフさん達と一緒に居るかもしれないんです!】

 

わかりやすい説明をユイがしてくれたので和人と伊織、池越は首を縦に振るだけで済んだ。

ユイが居ると助かるなぁ…

 

「ユイちゃんが居るのに桐ヶ谷くんは脱いだんだ…」

 

「末期ね…」

 

「違う、温泉を見つけて入ってたらいつの間にか服が無くなったんだ」

 

「だからって裸で山の中を歩くな!! 池越さん、すみません…ウチのバカたちがご迷惑を…」

 

「いやいや、彼らのおかげでキャラってものが分かるかもしれないからドンと来いだよ!」

 

「それは…その、止めておいた方が…」

 

「大丈─ヒュン─ぶっ…?」

 

何かが、彼の顔横を高速で飛び血の一筋を描いて背後の木へと突き刺さった。

 

栗だ。

 

投擲した下手人は耕平だった何か。

その迫力はフロアボスも後退りするだろう凄まじさだ。 俺も出来るならこの状態の耕平とは向かい合いたくない。

 

「何か──言い残すことは─あるか─」

 

「入れ替わったりしてすまない!!」

 

「どちらかと言えば耕平が謝るべきなんじゃ…」

 

「何をそんなに怒っているの耕平?」

 

池越さんの謝罪。愛菜は呆れた目で耕平を眺め、梓さんはいつもの笑顔を見せながら豹変している耕平に事情を聞いたのだがアレは余程やばい事情だろう。

 

「声優との結婚、断じて許さん…!!!」

 

「「池越さん逃げろぉおおおお!!!」」

 

寿先輩、時田先輩、伊織と俺で抱きつき動きを止めようとするも尚も動きが止まることなく少しずつだが前へ前へと進む。

なんだこのSTR!?

 

伊織とか俺が殺られるならばまだいいが池越さんが締められるのは非常に不味い。

使いたくない手段だがやるしか無い…!

 

「ユイ、頼む!」

 

【耕平お兄ちゃんやめて下さい!】

 

ビタッ……と、耕平の動きが止まった瞬間を逃さず愛菜が慌てて持ってきた縄でぐるぐる巻きにして吊り上げた。

危ない、山に血の紅葉が舞うところだった。

 

 

 

「それでは第一回! 死刑争奪 イガ栗バレーボールゥゥゥゥ!!!!!!」

 

「「「「「「YEAHHHHHHH!!!!!」」」」」」

 

「ルールは簡単。イガ栗を使ったバレーボール! 25点先取で死刑権利をゲット出来る!」

 

「よかろう!」

 

「よくないよ!?」

 

慌てる池越さんを他所にコートの設営が行われ、チーム分けすらも終わった。耕平&和人、池越&伊織という塩梅で公平なゲームになるよう握手が交わされる。

 

「サーブ権は耕平達からでいいぞ」

 

「本当にやるのかい!?」

 

「あんなモノをサーブしたら手の方が先に壊れますから大丈夫ですって」

 

「あぁ、なるほ「くたばれぇえええ!!!」 打ってきたぁ!?」

 

伊織の予想とは裏腹に怒りで痛覚すら無と返している耕平は続けざまにポイントを重ねていく。その姿はまるで一流アスリートの如き。

 

【パパも頑張ってください!】

 

「よし、次のサーブは任せろ」

 

「いいか、奴の頭を狙え」

 

池越さんに恨みはないがユイにかっこいい所を見せるためだ。

 

掌にイガが刺さることも気にせずサーブを打ちまくる耕平と和人を前に池越は地を這うように逃げ惑い、気が付けばマッチポイントにまで達していた。

死刑を獲得するために耕平が最後のサーブを放とうとした瞬間、先程まで死にかけていた池越の目に火が灯る。

 

「俺は確かに村中ゆりかさんと結婚する!!」

 

「どうした、腹を括ったか!!」

 

「それは、俺が結婚できたということは! 同じ顔のキミ(耕平)も声優との結婚が出来るという未来を示したんだッ!!!」

 

池越さん渾身の叫びに耕平は崩れ落ち、血を流しすぎたのでそのまま起き上がることはなかった。

また無益な戦いをしたものだなぁ………

 

 

 

 

 

 

 

後日。

ユイの発言。

 

「ユイちゃん、キリトくんとの栗拾い楽しかった?」

 

【はいっ! 沢山見つけることが出来ましたっ。今度は三人で行きたいってパパも言ってました】

 

「ふふ、よかったぁ…。そうだね三人で行こっか」

 

【あ、でも突然裸になってしまうかもしれないので気を付けないと…】

 

「うん?」

 

【イガ栗バレーボールはとても見ていてハラハラしました!】

 

「…………はい?」




先日言っていたバカテス×五等分の花嫁 1話を上げました。
もし宜しければそちらもどうぞ。
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