お酒を飲みながら読むの推奨。
ダイビングシーンの描写ハチャメチャに少ないけど原作も少ないからいいよね!?
お気に入り祝300越えヾ(*‘ω‘ )ノ
「料理の順番を決めるクジ引いてー」
そんな梓さんの声でリビングにぞろぞろとメンバーが集まっていく。 人数が奇数の為に何処か一つだけ三人になるが基本は二人一組になるようだ。
伊織は依然として様子がおかしいうえに今は必死に何かを願っている。なんなんだアイツ。
「ん、3番ですね」
「俺たちと一緒か。桐ヶ谷ならば大丈夫だろう…ケバ子は分からんが」
「…練習中だし」
互いに何を作るか話し合っていると背後から
深追いは止めておこう。 その手の話題を振ったら必ず俺にも戻ってくる。
「そういや耕平達はなんで愛菜の事をケバ子って呼ぶんだ?」
「悪鬼の如くケバいからだ」
「い、今はケバくないでしょっ!!」
常人枠だと思っていたコイツもヤバい人間だったのかと和人が距離を置くと愛菜は半泣きになりながら追いかけ回してくる。 くだらない事ながらも楽しくて少し困ってしまう。
少し手間が掛かるものの為に俺たちの出番が来る前に仕込みだけさせてもらいリビングで寛いでいると耕平はアニメを見始め、何の気なしに愛菜も共に三人で見る事になったのだが…
【魔法少女ららこになぁれっ☆】
ふむ、確かに少し面白い気がする。
「面白い…? え、耕平泣いてるの!?」
一人号泣していた。いや今フツーに変身しただけだが?
そうこうしていると不意にスマホが着信する。
電話、しかもこの登録音は…!?
【アスナ】
ドドドドドドドドドドドド…!!!
出るか? いや、しかし…でも久しぶりにバカ達の声じゃなくてアスナの声を聴きたい…。
リビングは騒がし過ぎるのでお茶を取りに行った愛菜の後を着いて行くようにキッチンの方へと向かい通話を押す。
『あ、キリトくん!? もうずっと連絡つかないから心配したんだよ!?』
「わ、悪いアスナ…結構忙しくて…」
『もう…でも声が聴けて安心したかな? 前と変わらずだから良かったよ』
ごめんアスナ。君の知っているキリトはある意味死んだ。
『今は沖縄に居るんだってね。どう、そっちは』
「あぁ、天気も良くて過ごしやす……待て、なんで沖縄に居るって知ってるんだ? 伝えてなかったはずだけど」
『久しぶりに休みだったからキリトくんの下宿先に少し行ってみたんだ。そしたら今沖縄にいる…って』
ヒュッ…と一瞬呼吸の仕方を忘れて固まった。
考えろ和人、Grand Blue の部屋には何も無いはずだ。 寧ろまともに部屋ですごした回数も少ないから比較的安全…
「ご、ごめんなアスナ? わざわざ来てくれてたのか…」
キッチンに辿り着くと愛菜が影に隠れるように座り込んでいて俺にも隠れるようにハンドシグナルを送って来て、何が何だか分からないが促されるままに隠れる。
「本気なの?」
「あぁ、本気だ。俺も…(ダイビングが)好きになってるからな」
!?
まさか伊織…やっぱり千紗の事を…?
表情が読めない以上、言葉で判断するしかないがこの会話は…
『キリトくん?』
アスナの声が電話越しに聴こえるが既に気が気ではない。 どちらかと言うと伊織と千紗の関係が進展するか気になってしまう。
「そっか、嬉しい」
愛菜が号泣しながらヨロヨロとリビングへ戻っていく。 俺も場所を移そう。
「ご、ごめんアスナ。少しとんでもない事が起きてて…」
『大丈夫なの!?』
「あ、俺が当事者ってわけじゃ…「和人、シャワー空いたから…ってありゃ、お電話中だったかごめんごめん」 梓さん?!」
廊下で電話をかけていたら背後から緩く抱きつかれた。 甘い香りが…ってマズイ!?
『…キリトくん? 今女の人の声が…それに和人って…』
電話越しから感じる凄まじい圧と冷気に背筋が凍る。あらぬ誤解を与えてしまったと和人は慌てて否定しようとするもこういう時、慌てた方が余計怪しいと前に誰かから聴いた気がする。
どうしたものかと固まっていると梓さんが横から電話をかっさらった。
「もしもし浜岡梓です。 ん、明日奈ちゃんか。 うんうん、梓って呼んでくれて構わないから…そうそう和人はサークルのメンバーで…」
なんだか話が弾んでいるようだけれど…
「ほい和人」
「え!? あ、アスナさん…?」
『ごめんねキリトくんっ! 変な誤解しちゃったみたいで…サークル活動頑張ってね!』
丸く収まってる…一体何を言ったんだ梓さん…
そのまま料理番が来るまでの短い間だが世間話をして電話を切ると梓さんはニコニコ笑顔でこちらを見つめていた。
「ごめんね変なタイミングで話しかけちゃってさ」
「いえ、むしろ誤解を解いてくれて助かったと言いますか…何言ったんですか?」
「内緒っ」
後が怖ぇ!!
「あ、後で明日奈ちゃんの写真でも見せてよね」
ヒラヒラと手を振りながらリビングに戻る梓さん。アレが大人の余裕ってやつなのか…? 少なくともクラインよりは大人っぽく見える。
さて、いよいよ俺達の料理番になったんだが愛菜は先程のショックのせいか目が虚ろなのは分かる。 何故か耕平まで頭を抱えていた。
「おい、大丈夫か? 調子悪いなら俺だけで作るけど…」
「気にするな桐ヶ谷…俺は北原の性癖について考えを改めていただけだ」
マジで何があったんだ。
パッと見、他のメンバーはツマミ系のモノばかり作っているようだったし一人ぐらい主食を作ってもいいだろうと簡単パエリアを作る事にした。
元より料理が出来ないわけではなかったがこの先は料理を作る機会が増えると見越してアスナに少しずつ教わっていた。 教えてくれって言った時、凄く嫌そうな顔されたけど。
UWではユージオと飯を作ってたし凄く今更ではあるのだが。
耕平も横で野菜を切り始め、愛菜は和人と耕平を眺めて項垂れている。
「ふ、2人とも料理出来るんだ」
「ららこたんのキャラ弁を作る為に勉強した」
「腕のいい先生が居るもんでな」
そんなこんなで調理は恙無く(愛菜はフライパンを燃やしたが)終わり食卓には色取りの料理が並んでいる。みんな上手なんだな、愛菜を除いて。
そして伊織を中心に変な空気まで漂っている。
まさか千紗と伊織がな…
明日は試験当日だからと今晩は皆、アルコールを入れずに就寝することとなった。
和人も昨日もよく眠れたから大丈夫と言ってソファで寝ていたのだが夜中外から声が聴こえてきた為に目が覚め、ふと目を窓際に向けると般若のような形相をした女が立っていた。
「…ヒィ!?」
あまりの不意打ちの出来事で情けない声を上げてしまうがすぐさま飛び起きて距離を置く。 不法侵入だってら取り押さえなければ……って、ん?
「愛菜…?」
「和人…伊織と千紗が……!」
「あの二人がどうかしたのか…?」
「外で如何わしいことを…」
………何かと勘違いしてるんだな。 あのゴミを見るような目で伊織を見ていた千紗が、仮に本当に伊織を好きになっていたとしてもこんな皆が泊まっている貸別荘の外でなんて。
有り得ない有り得ない、と窓から外をチラリと覗くと千紗が一人で立っていた。 ほら、やっぱり…なんて思うも伊織はどこ行った?という疑問がすぐに湧いてくる。
視線を下に落とすと千紗の足は伊織の頭を踏んでいた。
正確には頭を踏んで這い上がろうとする伊織を無理やりプールに沈めていた。
「ダメだ千紗!? いくらバカでも殺人を犯すほどのモノじゃないだろ!!」
「桐ヶ谷くん?」
「か、和人…にケバ子!? 貴様ら何故ここに…」
抗うように浮き上がってくる伊織を尚も踏みつけ沈めようとする千紗。人殺しなんてダメだ…!
「こ、これは…プールにサイフを落としてだな」
「嘘だぁ!」
「実はダイビングの練習なんだ!」
「「嘘だぁ!!」」
「正直に言ったんだが!?」
ダイビングの練習でどうして頭を踏まれる必要性があるんだ。と思っていたんだが、どうにも実技の調子が悪かった伊織は千紗に頼んでマスククリアの練習をするから浮かび上がらないように頭を踏んでくれと頼んでいたらしい。
「それならそう言えよ。俺達だって手伝ったのに」
「お前らに嗤われるのが癪だからなぁ!」
耕平ならまだしも俺がそこまで疑われるとは…
「言ってくれたら手伝ったのに…」
「マジか! 助かる」
「それなら俺はリビングで耕平が降りて来ないか見張ってるよ。こっちに三人居ても手が余るだろ?」
「アイツにだけはバレたくないから任せたぞ和人」
わかったわかった、と和人はリビングに戻ると先程まで寝ていたソファに腰を沈める。
彼処まで真剣に練習しようとしているんだ、伊織はやっぱりダイビングに強く惹かれてるんだな、と思いついつい笑ってしまう。
沖縄から帰ったら伊織達をALOに誘ってみるか…あの世界ならではの風景や空を飛ぶ感覚も知って欲しいし…耕平以外はアミュスフィアを持っていないし用意しないとな。
思い立ったが吉日とばかりに深夜でありながら菊岡さんに、無理は承知でアミュスフィア少し融通してくれないかといった内容を送ったところ二つ返事でOKのメールが届いた。
というかこんな時間まで仕事しているのかあの人。
まぁ、これで伊織と千紗、愛菜の分は何とかなりそうだな。
そう言えばALOの水中ってどうなってるんだ…?
昔、リーファと追い詰められた所はでかいモンスターが居てアレだったけど、調べてみる価値はあるな。もしかしたらあちらの世界の水の中も面白い発見があるかもしれない。
「あ、桐ヶ谷くん」
「千紗? 終わったのか?」
「うん、もう少ししたら上がるから寝ていいってさ」
「そっか…明日も早いし…ふぁ…寝るよ…」
千紗と愛菜が部屋へと戻って行くのを見送ると俺も再びソファへ横になる。 明日は実技試験だ…上手くいくといいな。
翌日、伊織は熱を出した。
俺たち三人は頭を抱えた。 最後まで見ていればと。
「今日の実習はさすがに無理だな。 伊織のヤツは寝かせておくとしよう」
「和人達は自分のライセンス取得に集中してね? 伊織はあたしが見ておくから」
「了解です」
「はーい」
「和人、気に病むことは無い。 取得のチャンスは幾らでもあるからな。伊織も直ぐにお前たちと一緒に潜れるさ」
「…はい」
それから数時間、昨日習ったことを実践し特にミス無くライセンス取得をすることが出来た。
海の中はやっぱり綺麗で明日のボートダイビングが俄然楽しみになった。
千紗が写真を撮っていたので後で貰ってユイに見せてあげたいな。と耕平達と話しながら別荘に戻るとベロベロになった梓さんと意識なく、尻にネギがぶっ刺さった伊織がお出迎えしてくれた。
「先に祝杯を上げていたようだな」
「すっかり治ったようで何よりだ」
「酒は百薬の長っていいますからね。特に伊織には効くんじゃないですか」
4日目の朝は飛行機での移動だった。
宮古島は同じ県内でもかなり距離があり本島よりも台湾の方が近いらしい。
そりゃ遠いわけだ…
スパァン!と小気味がいい音が響くと伊織と耕平が張り倒されていた。どうやらビールを開けようとしていたらしい…最早無意識レベルに刷り込まれてるなコイツら。
「桐ヶ谷くんはよく耐えたね」
「手にビールの缶を持ってたけどね」
鞄にそっと戻したの迄バレている…
何とか誤魔化しているとPaBの他の先輩方が車を回してくれていた。これでボート乗り場まで連れていってくれるらしい。
「わざわざ来てもらってすみません」
「いいってことよ。今年の有望新人たちも居るからな」
「俺たちは先に着いてたしな」
「いつ頃こっちに…?」
「昨日の晩だ。 朝からダイビングをするから前日入りをしないとな」
「「「なるほど」」」
思い返せば他の先輩方が潜っているところを見たことが無いかもしれない。 まぁこっちはライセンスを持っていなかったわけだし当然といえば当然なのだが。
「てっきりオトーリが楽しみで前乗りしてきたのかと」
「宮古島式の一気飲みか」
「そんなヒデぇ飲み方する連中なんているもんか」
えぇと、なになにオトーリとは…
・親になった人が「口上」を述べて一気飲み!
・その後、全員が順に一気飲み!
・最後に親が一気飲み!
・親が「後口上」を述べて次の親に交代
・これを人数分繰り返す!
なるほど地獄って言うのはここの事か。
海辺の店へ車を停めるとでかでかと看板が立っており
【PaB関係者お断り!】
何やったんだこの人ら!?
「まぁ、それはそれとして…お前らもいよいよダイバーデビューか」
「それなんですけど伊織が実は昨日熱を出しまして…」
「マジか…じゃあ伊織はライセンス取れなかったのか」
「お恥ずかしい…」
あははは、と笑う伊織だがやはりどこか寂しそうで…少し居た堪れない気持ちになってしまう。まだコイツらとはひと月程の付き合いだけれど、それでも一日一日で考えるとSAO当時のメンバーよりも長い付き合いかもしれない。 もちろん一緒に住んでいるからというのもあるのだろうけど…だからこそ本当に好きなことを出来なかった伊織の姿を見ると心が痛んでしまう。
各々荷物を持ち船へと乗り込むと直ぐにダイビングポイントへと船は動いた。
風を切り、波を掻き分けながら船は進んでいく。昨日も体験したがこれは本当に心地がいい。
いつかアスナも連れてきて一緒にダイビング…なんて楽しそうだな。
「おぉ!! スピードがすげぇ!」
少し憂いた様子だった伊織も今は興奮して海を見ている。
まぁ耕平はそんな伊織を煽っているがいつもと同じように敢えて接しているのだろう。
「初心者がはしゃぎやがって。なんなら初心者君に船上のマナーを教えてやろうか?」
「あぁん!?」
…わざと煽ってるんだよな? そこまで性根が腐ってるとは思いたくないぞ…?
「それでお前はどうするんだ? 最大深度17mだとライセンスがないとだめだろ」
「あぁ、それなら1本目 2本目は体験ダイビングの人たちと一緒に混ぜてもらうことになった」
船に同乗している海外の方がグッとサムズアップしながらHAHAHAHA!! と笑っていた。
向こうに留学したらあんな感じの人達と付き合っていくんだよな…不安だ。
「3本目はどうするんだ?」
「俺は船の上で待機だな」
むぅ、そうか…と耕平と和人が眉を顰めるが伊織は気にするなよと言い、体験ダイビングの人達と奈々華さんの元へと向かって行った。
仕方ない、こっちも準備をするか。
タンクやウェイトの確認を済ませ海へと入り、ゆっくりと耳抜きをしながら潜水を開始する。
昨日も潜ったがなんて綺麗なんだろう…と月並みな言葉が出てくる。
岩場の影から見える魚達を眺めていると奈々華さんがハンドシグナルで上を示す。
見上げればウミガメが親子で泳いでいてなんと一緒に泳ぐことまで出来た。
1本目はウミガメを見る事ができ、体験ダイビングで見ることが出来なかった伊織に寿先輩が写真を見せていた。
2本目も幻想的な光の差込みがある世界を泳ぎ、沖縄特有の生態系まで見ることができて今まで自分が生き見てきた世界の狭さを改めて思い知らされた。
少し上の方に伊織たち体験ダイビングの人たちが泳いでいる。 彼処ではまた違う景色なのだろう。
船に上がるとみんなで弁当を頬張りながら海の中で見てきたものについて語り合っているが伊織は一人デッキで休んでいるらしい…少し様子を見ようと和人は腰を上げたが、それよりも早く千紗がデッキの方へと向かって行ったのを見て苦笑し耕平達と共に3本目に挑むのだった。
日も落ち夕暮れ。
本日のボートダイビングが終了し皆疲れきって寝ている。 あぁ、この幸せは今までの生活では得がたいモノだ…願わくば、愛する人たちと共に…
「さて、みんな聞いてくれ。皆も知っての通り宮古島に来た理由の八割を占めるオトーリ体験だが…」
「予定していた店が何故か臨時休業になった為、断念する運びとなった」
エェェェエエエエウソダロォォォォオオオオオオオオオオオオオ!
そんな叫びが居酒屋に響くも伊織を初めとする1年組は胸を撫で下ろした。
終わりのない世界線から逃れることが出来たと和人、耕平はにこやかに握手を交わす。
「だが折角宮古島まできたんだ、せめて俺たちなりのオトーリをやってみようじゃないか!」
ダッ!!!←和人、伊織、耕平が走る音
ヒュバッ! ズルッ!? ←先輩がサンオイルをぶちまけ3人が転ぶ音
ドン!!←為す術なく床に取り押さえられた3人
「おいおい、そうはしゃぐなよ一年坊共」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「さあ、始めようか」
ところ変わって「Grand Blue」。
「お届け物でーす」
「はいよー…お、和人に届け物か。 随分重いな…部屋に置いといてやるか」
帰ってくるまであと1日。
そして地獄のオトーリが今始まる。