いつも感想ありがとうございます。本当に励みになってるので毎日投稿しちゃってる次第です。ストック有りません助けて。
「おーす」
「ビール買ってきたぞ」
「有難く思え」
日も沈んだある日の夜。 アパートの二階にある山本(クズ)の家にやって来た和人、伊織、耕平らは珍しく服を着ている。
「おせーぞお前ら」
「焼き鳥冷めちまうだろ」
三人が来るのを待っていたのか山本(童貞)と野島は一応食い物には手を出していないようだった。
「さっきまで三人とも二日酔いでな」
「今八時だぞ…そんな時間まで二日酔いって」
「日が昇りかけてたもんな」
「六次会までだったか?」
袋に入ったビールを各々取り出して乾杯を交し飲み始める。一缶、二缶ほど空けてから山本(諦め)が哀愁を漂わせた表情をして他の四人に問いかけた。
「なぜ俺に彼女ができ「顔が悪い」「性格が悪い」「生き様が悪い」「出会いがないんじゃないか?」桐ヶ谷、お前だけは優しいんだな…っ!!」
「おいおい和人。こういうのはハッキリ言ってやるのが友人の務めだろ」
「山本に出会いがあったら俺にだってあるはずだ!」
「桐ヶ谷、優しさは時に人を傷付けるぞ」
伊織、野島、耕平は好き勝手に言っているが山本(バカ)は泣き喚いている。
「大体、伊織達の学部って女子が少ないんだろ? それなら仕方ないと思うんだが…」
「まぁ、それもそうだな」
「140:3の割合だしな。ははは…! そうだよなぁ北原ぁ!」
どこからかスコップを取り出して伊織の首に突き付ける山本(修羅)はそれはそれは恐ろしい顔をしている。
「
「よろしい」
「許す」
「え、千紗と伊織って付き合ってたのか?」
初耳なんだが…とビールを飲みながら訊ねると知らなかったのか? と他のメンバーは伊織をガシガシと蹴りながら肯定し、その伊織は首がねじ切れそうなほど縦に横に首を振っていた。
あ、あー…少し事情がある感じなのか。
「桐ヶ谷はそういう話ないのか?」
「いや、俺は…」
居る → 裏山に行って埋められる or 女の子を紹介しろ
居ない → 伊織が万が一アスナにあった場合、死
ダラダラと止まらない汗を噴き出させながら発言が止まると耕平が間髪入れずに言葉を挟んだ。
「桐ヶ谷には愛する妹が居るだろう」
「へぇ、妹が居るのか。写真とかあるのか?」
少し待てと、アスナが写っていない写真を探し出し直葉と二人で撮った写真を見せる。
「おぉ、めちゃくちゃ可愛いじゃねーか!」
「お、これがリーファちゃんなのか? 確かに可愛いな」
「今日から桐ヶ谷の事を義兄さんと呼ばせてもら…」
ドサッと山本(死体)が床に転がる。
何事かと写真を見ていた野島と伊織。それと写真とにらめっこをするように見つめていた耕平が顔を上げると和人が満面の笑顔で立っていた。
「さ、続き飲もうぜ?」
「「「お、おう」」」
大人しく飲み続ける空間に三人は冷や汗を流しているなか和人も気がついた事があった。
「そういえば藤原と御手洗は?」
「藤原は誘い忘れてた。 御手洗は最近付き合い悪いんだよなぁ」
「彼女でも出来てたりしてな」
「そんなまさか。 でもまあ顔はいいからなっ!」
「もし万が一彼女が居たらどうするよ」
「俺はアイツを信じてるぜ。まだクラスに馴染めていなかった俺に最初に声をかけてくれたのが御手洗だったんだ…そのおかげで野島やお前たちとも飲み会が出来ている…」
「山本…、御手洗も誘おうぜ?」
「おぉ、そうだ今から電話しよう!」
あっはっはっ! と笑うメンバーにほのぼのとする和人だが直ぐにこのメンツのクズさを再認識することになる。伊織が電話をかけそれを笑顔で見守っている面々。
「なるほど30分か…ふむふむ…キサマ女とヤッてるな」
「「「……ッ!!!」」」
「…タイミング悪い時に電話かけちまったな?」
「あぁそれなら付き合い悪いのも頷ける」
「全くそれならそうと言えばいいものを」
「なるほどなあ…」
「焼き討ちに行くぞ」
「奴の家を知る者は」
「俺が」
「良くやった今村後で褒美をやろう」
やっぱりコイツらはクズだな。
「いいか! 絶対に奴に本懐を遂げさせるな!!」
「もちろんだ! 俺達は仲間だからなぁ!」
「人の幸せを見過ごせるかよ!」
セメント袋やらなんやら大量の器材を持って部屋を出ていく連中を止める術など無くなあなあで着いて行く羽目になった和人は様々な嫌がらせを見る事になった。
御手洗宅の前に辿り着くとインターホンを鳴らし…
「御手洗さーん、AV200本詰め合わせセットのお届けでーす!」
ゴトゴト…郵便受けから次々にAVを投入していく様は傍から見れば鬼畜の所業。
「いいのか山本?」
「お前の秘蔵のAVを…」
「構わないさ。俺の不幸でやつの幸せを潰せるのなら」
「いっそ清々しいな」
「やってる事はゲス以下なのに…!」
その後もメッセージアプリで名前を変えて送ったりなんだりする連中を冷めた目で見ている和人と耕平はノリで着いてきたがそろそろ帰ってもいい頃合いかと帰ろうとしたのだが…
「優おにいちゃん!」
いけない。そのフレーズは耕平に効く!!
「俺に任せろ。ミックスボイスという発声法を見せてやる」
涙ながらにやる事なのか!?
とまあ、男達の飲み会は色々あったのだがここからが本題。
見事にフラれた御手洗を迎えて始まった二次会も終わり、伊織が寝泊まりしている離れで三次会を3人で行おうとしていたのだが部屋に入るなり耕平は扉の前にバリケードを造り、和人は床に押さえつけられていた。
「な、何をするんだ伊織!?」
「いやいや、何ってなぁ? 裏切り者を始末するだけだ」
「安心しろ。妹さんは耕平お兄ちゃんが面倒を見るからな」
「何のことを…っていうかまだ言うか耕平!!」
ジタバタ暴れる和人に伊織は微笑み顔を寄せる。
「お前の彼女アスナさんについて聞かせてもらおうか」
何故こいつがアスナを!?
「梓さんから昨日の夜聞いてな」
梓サーーーーン!!!
「随分と美人なようじゃないか。そんな美人とどう出会ったか教えてもらおう」
「わ、わかった話すから上から退け!?」
仕方ないとか命拾いしたなとか呟きながら上から避ける伊織とバリケードを造り終えた耕平にビールを手渡しながら部屋の壁にもたれ掛かる。仕方ない、何れは言うつもりだったし…どうなるかは分からないが。
ため息一つ落としてポツリポツリと語り出す。
「俺はSAO事件に巻き込まれた一人なんだ。恋人のアスナもな」
「開き直って恋人とか普通に言葉にしたぞこいつ」
「やっぱり今から埋めに行こうぜ」
「落ち着けよ!? まだ語り始めだ!本にすれば1ページ目だ!」
ちっ、と舌打ちをして二人はスコップをしまって腰を下ろす。こいつらマジでヤバい。
「えーと二人はSAO事件についてどこまで知っている? 情報統制はあったけど調べれば沢山出てくると思うが」
「俺はあらましは知っている。そこのバカは知らないだろう」
「うっせぇ! でもヤバい事件だなって事しかニュース見て思わなかったな。ゲームで死んだら現実でも死ぬ…ってぐらいか」
「まぁ、そこを知ってるならいい。 出会った当初はゲームなんてほとんどやった事のない女の子だったんだ。 最初のうちは少し縁があって一緒に行動する事が多くてさ。ボス攻略もな」
ティルネル号に乗って一緒に戦ったりもしたな…なんて懐かしい事を思いながら当時のボス戦の話をすると二人は驚いた顔で酒を飲む手も止まっている。
「死ぬかも知れない戦いを…わざわざしていたのか?」
「まぁ…クリアしないと帰れないっていうからな。それでまぁ一年程たった頃には彼女はSAO内でトップのギルドの副団長になっていた」
「団長が和人でしたって話か」
「まさか。俺はソロプレイヤーだったよ」
「ん? それじゃあ接点なんてほぼ無いんじゃないか」
まぁ、それもそうなんだが…攻略会議とかではしょっちゅう顔を合わせて喧嘩してたんだよなぁ。
そこから大雑把にだけど74層に至るまでの話をしていった。所々彼らの琴線に触れるものがあったのか、詳しく教えてくれ…なんて言われたこともあった。
「まぁ色々ありまして…それで付き合ったきかっけというか…話さないとダメか?」
「「ここまで聞いたんだから話続けろ」」
「…殺されかけたんだよ。俺もアスナも」
「モンスターにか?」
「人にだ」
それを聞いて二人は再び固まる。
信じられないのだろう。
「居たんだよSAOにはわざと人を殺す集団がな。 俺が殺されかけて…それをアスナが助けてくれたんだが…そいつは隙をついてアスナを殺そうとしたんだ。 その時、俺が…そいつの命を奪った」
シン…とした部屋の中で口を閉ざした。
言う必要はなかったのかもしれない。 黙っていれば良かったのかもしれない。
それでもこの2人には…隠し事は作りたくなかったというのも事実なのだ。
「吊り橋効果か」
「それだ」
ピンと来たような顔で呟く耕平に伊織は指を差して納得する。
「つまり俺も女の子がピンチの時に駆けつければ…」
「北原には無理だろう。桐ヶ谷だから出来たという点もある」
「え、っと…それだけか?」
「あん? 何がだよ」
「いやいや、今凄い重要なこと俺は言ったつもりなんだぞ!?」
「俺にはよくわかんねーよ。ついこの前までVRMMOなんてやった事なかったし」
「北原と同じなのは癪だがそうだな。俺にもわからん」
なんの事だ?と首を傾げる二人につい和人は声が大きくなって詰め寄る。
「だから俺は人を…!」
「知らんと言っている。少なくとも俺達の前に居るのは酒が、ゲームが、海が好きなバカしか居ないぞ」
「そうだな。 今のお前は桐ヶ谷和人だろ」
あぁ、そうか。
きっと誰かを
同じSAOのメンバーは和人を攻めることは無い。 ユージオやアリス、ロニエやティーゼもまた違うだろう。
それを目の前の二人は何のことは無いと、知らないと言ってくれたのだ。
自然と頬に涙が流れる。
ここに居ていいのかと安堵をしてしまった。
次の瞬間には再び床に組み伏せられている和人。
「まぁ、彼女が居ることを許す…とは言ってないがなァ?」
「もちろん、どれだけドラマティックで素敵な恋愛であろうと俺達は他人の幸せを許さない」
「は? いや、ちょっと待て…今はほら少し珍しくシリアスな展開から絆されるいい瞬間だったんじゃ…ごふぁ!?」
口の中に可燃性の液体が並々と注がれていく。
あ、これはヤバ…
翌日、本当に頭だけ出して砂浜に埋められている和人を発見した千紗はだいぶパニックを起こしたらしい。
和人の大暴露&処刑日から更に数日後のこと。間には青女祭があったのだが特に語りたいことは無い。 というか女装とか思い出したくないのでここでは語らない。
さて、本日の伊織だがどうやら妹から届いた手紙に返事をどうするか悩んでいるらしい。
「栞ちゃんへのお返事は書けた?」
「いやぁ、今回は返事はしないでおこうと思いまして」
「あらどうして?」
「便りが無いのは元気な証拠といいますし」
「でも家族の現状を知りたいと思うでしょ?」
「それはそうなんですが…」
伊織が背後を振り向けば全裸! 全裸! 全裸!である。
昼間っから酒を飲み干し衣服を脱ぎ捨てどんちゃん騒ぎをするサークルの面々。自分も普段はその中の一人なのだ。それを妹や家族に伝える? 否である。
「でも千紗ちゃんもう書いちゃってるよ」
嘘を書けば千紗の手紙でバレる。しかし本当のことを書けば最悪実家に強制送還!
当たり障りのないことを書くしかない!
【拝啓 栞へ こっちももうすぐ夏です。 伊織より 】
「本文は?」
書けるわけがない!
和人ならば何とか上手い誤魔化し方を知っているのではないかと考える。 主に彼女への言い訳とか。
ちらり、と視線を送ると裸の彼が気が付きスタスタと歩いてよってきた。
「どうした?」
「実はカクカクシカジカ」
「なるほど、この現状を知られないように伝える手紙か」
「よく今の説明で分かるね…」
最近言葉を聞かなくてもコイツらが何を言いたいか分かってしまう自分が怖い。
「とりあえず前略で始めてみたらどうだ?」
「なるほど!」
【前略 中略 後略】
「「「………」」」
カリカリとペンを走らせた千紗を取り押さえる伊織に奈々華さんは苦笑し、お題を出してみては? と言ったので和人が3つほど上げてくれた。
「サークル活動」
【栞へ 俺はPeak a Booというダイビングサークルに入っている。 ここの皆は紳士的で、飾らない自分を表現する方法を教えてくれた】
「学校の勉強」
【大学の勉強は今まで勉学と全く違って驚いている。テストの内容はどれも難しいが皆が努力を重ねている。今や俺たちは専門知識と技術を用いるスペシャリストだ】
「私生活」
【私生活については問題が無さすぎて書くことがないぐらいだ。規則正しい生活を送り、不衛生な服は着ていないし時には刺激のある毎日を過ごせている】
「凄いな全く嘘はついていないのに全部が嘘に塗れている手紙なんて」
「伊織、本当にこれを出すの?」
和人は畏怖の視線を、千紗は呆れの視線を伊織に向けるも彼はやりきった感を出して席を立つ。
「あぁ。これで心置き無く…あっちに交ざってこられる。行くぞ和人!」
「お、もちろんだ!」
2人で駆けだす。男の祭りの中へ。
「うっしゃー! かんぱーい!!」
「お、伊織来たな!」
「和人も戻ってきた!」
「遅かったなぁ!」
「「「「「かんぱーーーい!!!!」」」」」
どんちゃん騒ぎをしながら今日も日が沈んでいく。
日が沈めばもちろんこの場にいないメンバーも用事を終えて集まってくる。みんなの乱癡気騒ぎ、生まれも違えば育ちも違う人間たちが衣服纏わず心も体もさらけ出している。
「おー、今日もやってるねー!」
「本当に…もう、私も知らないからね!!」
梓さんは野球挙をしている中央へ。
愛菜もウーロン茶(PaB式)を飲み干して衣服を投げ捨てて参戦し始めた。
千紗は頭を抱えているもまぁ、悪くない顔をしている。 していてほしい。
「くそぉ! 和人、あとは任せた…っ梓さんの…梓さんの下着を剥ぎ取ってこい!」
「あぁ、任された」
片手に持ったスピリタスを呷り拳を構えながら梓さんの目の前に立つ。
梓さんは初手にパーを出す確率が非常に高い。
今俺の目の前に居るのはレイドボスだ。
PaBのメンバー全員がフルアタックして
「アウトォ!!」
「セーフっ!」
「「「「「よよいの!!!」」」」」
「やっと着いたー!」
本当はお昼ぐらいに着くはずだったのに突然、部活の後輩達が送迎会をしたいと言い出したので断るのも罰が悪く少しだけ顔を出すことにしたのだがこんな時間になってしまった。
でも、遅い時間の方がお兄ちゃんは絶対に家に居るだろうし…アスナさんは会えなかったみたいだけど。
あ、お店の人には迷惑かけちゃわないかな…たしか何かのお店に下宿してるって聞いたし。
「ダイビングショップ…Grand Blue……お兄ちゃんダイビングサークルに入ったの!? 嘘ぉ!?」
あのお兄ちゃんがアウトドア系に!?
ないない、有り得ないって…
お店のドアに手をかけると中から賑やかな声が聞こえてくる。パーティでもしてるのかな?
「すみませーん。こんばんはー…」
「「「「「よよいの!!!」」」」」
そこには、先日ゲームの中で久しぶりに出会うことが出来たお兄ちゃんが。
久しぶりに
「「よいッ!!!!!!」」
パンツひとつで下着姿の女の人とジャンケンをしている愛する兄がそこに居た。
「か、勝った!? 和人が勝ったぞ!!?」
「「「「「うぉおおおぉぉおおおおお!!!!!!!」」」」」
「あちゃー負けちゃった…でもまだ一枚あるからねーん?」
女の人はブラを外し一応、片腕で隠しているもののどこか余裕そうな笑みで拳を構える。
「ふっ、勿論ここで止めますなんて言われてもはいそーですか。って通しませんよ。俺の拳には皆の想いが乗ってますからね」
「和人いけぇ!!」
「お前に全てをかける!!」
「それでこそ俺達の後輩だー!」
「「「「「和人! 和人! 和人! 和人!」」」」」
「お兄ちゃん…」
「いらっしゃ……あれ…?」
女の人が店に入ってきた私に気が付き近寄ってくるがその脇を抜けて部屋の中心でバカ騒ぎをしている兄らしきものへ近寄る。
カバンから竹刀を取り出し構える。
「お兄ちゃんの……!」
「ん? お、おまスグ…!?」
人だかりは左右に別れて兄への一本道が出来上がる。
「お兄ちゃんのバカぁぁぁぁぁ!!!」
渾身の一撃が頭へ吸い込まれるように入り彼は床へと落ちた。