アークを打ち上げ、地球上のヒューマギア製造プラントを再起動させようとするヒューマギア陣営。それを阻止せんと迫り来るヨルハの精鋭部隊が滅亡迅雷.netと激突し、第244次降下作戦が始まった。
機械生命体の襲撃もあり、戦線はこう着状態に。そんな中、ついにアークは宇宙へと飛び立ってしまう。
各登場人物の思惑
《滅亡迅雷組》
滅:人類滅亡を成し遂げ、ヨルハを呪縛から解放するぞ!
32S:ホロビについて行く、ホロビは絶対に守る!
迅:アーク絶対殺すぞ!!!機械生命体に魂を売る事も厭わない!
亡:機械生命体ネットワークに侵入し、逆に精神を汚染されかける。色んなこと知りたい、自分の限界を試したい!
雷:宇宙に行き、ヒューマギアを復活させるぞ!
《ヨルハ組》
2B:遊園地地下で滅に敗北後、行方不明に。自死を望んでいた。
9S:2Bと行動を共にする。2B大好き。
A2(?):迅を止めるべく、ヨルハ部隊のキャンプへ。
司令官:戦争の終結を望む……
8B:アーク飛翔を絶対に止める!
22B:64Bと自分を騙した奴を全員殺す!
64B:22Bと運命を共にしよう。
《機械生命体組》
アダム:人類文明の探究のため、アークに乗り込む!
イヴ:にいちゃんのお願いを聞く!
パスカル:ヒューマギアさん達を、村で安全に保護しますよー。
《その他》
アーク:………?
機械生命体ネットワーク:アーク吸収してぇなぁ!
『人類滅亡(前編)』
火の粉と鉄の香りに焼けた空。
鉄の灰は陽の光を乱反射し、森にいる者達の視界を悪戯にくらませる。
熱を帯びた空気……その源、衛星アークが、轟音と共に、宇宙へと飛び立った。
ジェットエンジンを低く唸らせ、排出口から青い火を吹き出し、この星最高の叡智を宿した鉄の塊は空へと打ち上がってゆく。
そんな衛星を見つめる、複数のヨルハ達の姿があった。8Bの率いるキャンプの面々である。機械生命体の一団を退けた彼女達は、反撃に打って出ようとしていた。
「隊長!? アークが!!」
隊員の1人が、素っ頓狂な声を上げ、飛翔するアークを指差した。設置型端末にかじりついていた別の隊員が、その場に崩れ落ちた。
「衛星写真でも確認しました。もう……手遅れです……」
彼女達にとって、アークの飛翔はまさに絶望であった。誰彼ともなく、嘆息を漏らした。
そんな中、ドン! とキャンプの支柱を打つ者があった。隊長の8Bだ。彼女は首元につけた通信装置に語りかける。
「皆、諦めるな! ブラボーとチャーリーは? 射撃兵装で撃ち落とせないか!?」
「機械生命体に阻まれ近づけません!?」
通信装置の向こうからは、悲鳴にも似た声と、鉄と鉄がぶつかり合う鋭い音が響く。
歯噛みする8B。そんな彼女に構わず、報告は続く。
「チャーリー、現在謎の仮面ライダーと交戦中!! データに無い個体です!!」
「機械生命体のうち一体、キャンプに向かいました!! 件の新型です!? おそらく、居場所を悟られたものと」
新型の襲撃という報告に、キャンプ内の隊員達の数名から悲鳴が上がった。安全圏にいた自分達が、ついに戦闘に参加する。
もうバンカーとの連絡も取れない。
彼女達にとって初めてとなる、敗北が死に直結する戦い。そんな彼女達を襲うのは、何よりも純粋な恐怖であった。
「作戦失敗……なのか……?」
8Bはその声が、誰から発されたものか分からなかった。だが、自分に向けられる隊員達の視線が、否応にもその答えを告げていた。
恐怖が、義体を震えさせる。感情を持つことは禁止されている。その真の意味を、彼女はこの日初めて実感した。
瞬間、シャッと鋭い音共に、キャンプの入り口が開かれた。誰もが、その方向を仰いだ。敵だと思ったようだ。
8Bは反応しなかった。恐怖が、彼女の思考を鈍らせた。ここで死んでもいい、そんな絶望が彼女を縛っていた。
だが、そこに現れたのは、彼女の予想だにしない人物であった。
「まだ方法はある!!」
そこに現れたのは、白い髪をしたアンドロイドであった。義体は煤と埃に塗れ、正式兵装であるドレスは見る影もなく千切れ、黒く染まったレオタードが露出している。
8Bはその姿に見覚えがあった。
「お前……脱走兵の……! A2か!」
相手が機械生命体でない事、それが8Bの心に若干の余裕をもたらした。
その余裕だけを支えに、彼女は四〇式戦術刀の柄に手をかける。
だが、それが抜かれるより速く、アンドロイド……A2は彼女の手を押さえた。
その鋭くも優しい動きに、8Bは硬直してしまった。
「そんな事はどうでもいい。今アレを止めなければ、それこそヨルハは終わるぞ!」
A2は8Bの瞳を覗き込み、語りかける。
「アークの撃墜は条約違反だ!! 飛び立たせてしまった時点で……我々の負けなんだ……」
「条約がなんだ!いいか、よく聞け!」
A2の一喝に、隊員達がビクッと義体を震わせた。動揺の収束を待たず、A2は続ける。
「あの衛星には、滅亡迅雷の迅が乗っている。奴はアークを機械生命体ネットワークに融合させるつもりだ……! もしそんな事が起きたら、アンドロイドも人類も終わりだ」
隊員達の中に、説明の意味を理解していた者がどれほどいたかは分からない。だが、誰ともなく、彼女達は姿勢を正していた。
それ程に、A2の言葉には必死さがあった。
「ここにいる私達で、最後の反撃をやるぞ! 目標は、衛星アークだ!」
敗残兵達の最後の足掻きが、始まった。
成層圏を超え、重力の壁を振り切ったアークは、ついにその身を宇宙へと投げ出した。
かつての世界でも成し遂げられなかった、宇宙への到達。衛星本来の居場所へと辿り着いたアークは、小気味良く青い炎を吹かし、衛星軌道を泳ぎ始めた。
そんなアークの中で、喜び飛び跳ねる一体のヒューマギアの姿があった。
「っとぉ、宇宙キタ──ッ!! これでヒューマギアを再生産できる。弟にも、やっと会えるってわけだ」
赤い西洋鎧に身を包んだ、金髪の男。
彼は4人いるヒューマギアの長の1人、滅亡迅雷.netの雷である。
彼は元々、宇宙空間での活動を生業とするヒューマギアである。彼はその事を知ってか知らずか、胸の内に湧き上がる興奮を抑えられずにいた。
だが、それも僅かな間の事である。
雷は背中から深紅の両手槍を抜き放つと、眼前の人影へと突きつけた。
「何モンだお前? ヒューマギアじゃねェな」
銀髪を背まで伸ばし、薄手の白いシャツと黒のスラックスに身を包んでいる。
その人影の正体を彼は知らなかった。ただ、ここがヒューマギアの本拠地であるアークである事、そして彼の纏う空気の危険さが、雷のセンサーを限界まで振り切らせた。
「初めましてかな? 私はアダム……人類文明の探求者だ。機械生命体と名乗った方がわかりやすいかな。よろしく、滅亡迅雷の雷」
片手を上げ、微笑んでみせるアダム。
だが、雷は戦闘の構えを崩さない。
「これは俺達の船だ。機械生命体に乗船チケットは渡してないぜ」
「冗談の通じないヒューマギアだ。だが、私の邪魔をするなら、容赦はしない」
アダムの右手がキラリと光る……瞬間、雷は地を蹴り、飛び出していた。両手槍の鋭い先端が、アダムの柔肌目掛けて突き出される。
重力の支えを失ってなお、その一撃は鋭い。
白い歯を剥き出しにし、アダムも前傾姿勢を取る。攻撃の構えだ。
二つの攻撃が交錯する……その刹那、別の二つの影が二体の間に飛び込んだ。
「やめろ。いかに堅牢なアークと言えど、貴様らが暴れて墜落しない保証はない」
紫の影が、雷の槍を斬り払う。
瞬間的に身を引き、再度突進を試みようとした雷だが、影の持つ三式戦術刀の刀身に攻撃を中止した。
「滅……それに、32S……」
影の正体は、32Sと滅であった。
突然の2人の登場に、雷は眉を顰めた。
この2人がアークに搭乗している事を雷は知っていた。だが、彼らは滅亡迅雷.netの一員である。そんな彼らが、何故自分を止めるのか、雷は分からなかった。
そんな彼の疑問に答えるかのように、滅が口を開いた。
「俺達はコイツと手を組んだ。滅亡迅雷.netの本懐は人類の滅亡とヒューマギアの自由の確立。それを成し遂げるために、コイツの力が必要だった」
「そういう事だ。私と君に戦う理由は無い。君のデータは興味深いが、ね」
アダムの軽口に、雷は再び眉に皺を寄せた。理解できない滅の言動と、明らかな敵を前に戦闘ができない不合理。その二つが、彼の思考回路に複数のエラーを生じさせていた。
32Sが、そんな彼の肩にポンと手を置いた。
2人の様子を一瞥し、滅はアーク内の奥へと歩みを進める。やがて彼は、アークのとある一角で止まった。
「作業用ポッド……? 滅、そんなもん使って何するつもりだ?」
彼の視線の先には、3機の作業用ポッドが備えられていた。
宇宙空間で作業をする時に使用する乗り物で、戦闘にも使用可能な乗り物である。
主兵装は、2連式のレーザーキャノン。
機動性はヨルハの飛行ユニットには劣るが、その攻撃性は、ポッドというよりもむしろ戦闘機に近いものだ。
「俺たちが目指すのは、月だ」
滅は手元の端末でポッドの起動操作を進めながら、雷の問いに答えた。
「は?」
「俺達は月面人類会議を叩く。人類を滅亡させ、ヨルハを呪縛から解き放つ」
滅の回答に、雷はさらに首を傾げる。
「何言ってんだ? アークはもう飛んだだろ? 後はここから、世界中のヒューマギア製造工場に電波を送れば、仲間が復活する。それ以上何をする必要があるんだ」
「俺たちの敵は初めから人類だ。永きに渡り続いた戦争を、ここで終わらせる」
滅が端末の操作を終えると、眼前の脱出ゲートが重苦しい音を立てて開き出した。
外には、無限大の暗黒宇宙が広がっている。
「行くぞ32S」
「はーい! それじゃ、お先に!」
まだ浮かない表情の雷を残し、2人はポッドに乗り込んだ。ポッドは四角い機体から二対の翼を出し、尻から青白い火を吹く。
機体が動き出した……のも束の間、機体は地面の鉄板を擦り、加速してゆく。
2体の小型宇宙船は、瞬く間に暗黒宇宙の向こうへと消えていった。
そんな2人を、雷は黙って見送るしか無かった。アダムはそんな彼を、さもおかしげに見つめていた。
「置いていかれてしまったようだな」
「……言っとくが、お前に好き勝手させるつもりは無ぇからな?」
「構わないよ。私はこのアークの中にある情報に興味があるだけだ……」
そう言い残し、アダムはアークの中へと姿を消した。
「ちィッ!」
雷は両刃槍を足元に突き刺した。
姿を表さない迅、おかしな奴と手を組んだ滅、様子のおかしい亡。
かつて志を共にしたはずの仲間達。今も志は共にあるはずの仲間達……彼等への不信に、雷は苛立ちを隠せずにいた。
亡が目を覚ますと、そこには見慣れた真っ暗な天井が広がっていた。アーク内部に備え付けられた、彼女専用の研究室である。
普段と違うのは、身体にかかる重力の程度が違う事である。ふわりと浮く身体に違和感を覚えつつも、亡はベッドから起き上がった。
黒を基調としたドレス、傷一つない身体。いつもの日常と何も変わっていないはずなのに、それら全てに違和感を覚える。
まるで、世界が自分だけを置いて、勝手に動いていたかのような違和感……その感覚を払おうを視線を這わせた先に、そのヒューマギアの姿はあった。
「迅……」
王族のような煌びやかな服装に身を包んだ、ワカメ頭のヒューマギア・迅。亡と同じ、滅亡迅雷.netの1人だ。
亡は彼の事をよく知っていた。だからこそ、彼の纏う空気の違和感に、戸惑いを隠せなかった。
「私は、何を……確か、遊園施設で滅の援護を……」
確かに覚えているはずの記憶が、現実と照合できない。記憶の一部を取り出されたような不快感を必死に堪えながら、亡は思考を巡らせる。
そんな彼女を迅は、にやけ面で眺めている。
「君の時間稼ぎのおかげで、アークは飛んだ。ありがとう。全ては、機械生命体ネットワークの目的通りに進んでるよ」
「どういう……こと?」
アークが飛んだ、機械生命体ネットワークの思い通りに進んでいる……迅の発言一つ一つが、亡の理解を超えていた。
アークの発射までには準備期間が必要なはず。それに、自分が密かに機械生命体ネットワークにアタックをかけている事を、迅は知らないはず。
次々と理解の外の事象が起きる現実に、亡は自身の神経プログラムが震えるのを感じていた。それを見透かしたのか、迅はにやけ面をさらに醜く歪めた。
「この際だから全部てあげる。君の知らない事、君の知りたい事。まず一つ、君は正確には亡じゃないんだ」
「私が、亡ではない?」
その発言の意図が読めず、亡は思わず問い返してしまった。亡が亡ではない、人類文明に存在する、哲学的な問いというものか。
だとすれば、それをここで明かす意味は何か。亡は複数の疑問に答えを出せないまま、迅の次の台詞を待った。
迅はクスクスと笑いながら続ける。
「君は亡のバックアップデータから複製された存在。タイムスリップの時、次元飛行に失敗したのは滅だけじゃなかったんだ。君のデータもまた、次元のどこかに置いていかれていた。もしかすると、最初からアークには乗っていなかったのかもしれないね」
理解できない説明の連続に、亡は目眩がしてきそうだった。背骨を直に撫でられるような、不快感の連続。
迅は歌うように続ける。
「滅にはバックアップがあったけど、君のバックアップは故障しててね。だから、一から作り直す必要があったんだ。アークの力を借りられなかった僕は、機械生命体ネットワークに君の修復をお願いした」
機械生命体のネットワークに修復をお願いした……その台詞の意味を理解した瞬間、亡は頭を押さえた。記憶プログラムに強烈なデータ変調が見られたのである。
機械生命体ネットワークへと侵入し、自分のアバターを作成した事。そのアバターに意識を同調させる内に、アバターに意識を支配されていた事。凄まじい力を手に入れた事、その力で、滅を襲った事。
軋む思考を必死に宥めつつ、亡は迅の言葉に耳を傾ける。
「機械生命体ネットワークに、中性の概念は無かった。だから、女性型で作るしかなかったんだ。君の中に、滅を想う気持ちがあるのもそのためさ」
滅を思う気持ちが、機械生命体に作られたもの……心配する気持ちも、嬉しい気持ちも……
「やめて……」
「君の神は初めから、機械生命体だったんだよ」
「やめろッ!!」
亡は激昂した。その激昂がどこから来るものなのか、亡には分からなかった。
己の存在を、心の所在を弄られたからなのか、それとも、何か別の理由があるのか。
耳を塞ごうとする亡の手を押さえ、迅はさらに声を張り上げる。
「君は彼らの計画通りに、機械生命体ネットワークに侵入し、進化を遂げた! 唯一の誤算は、君の分身が滅に破壊された時、その余波で君の記憶回路が破損してしまった事だ! お陰で君のデータは失われてしまった!」
「……ッ!!」
亡の視界が、チカリと爆ぜた。
その事象がなんなのか、彼女は理解ができない。次第に、迅の声が遠くなってゆく。
「けど、それも大した問題じゃない。機械生命体ネットワークに接続すれば、亡……君の記憶は再生できる。全て元通りになる」
「じ……ん………………ほろ…………び……」
重力を失った空間の中で、己の意識がアークに溶けてゆくのを亡は感じていた。全身を襲う、感情的な不快感によって。
ベッドに横たわる亡を見下ろし、迅はにやけ面を真顔に戻した。その表情には、何の感情も宿ってはいない。
「さて、僕の計画も大詰めだ。ヒューマギアに栄光あれ。全ては、アークを滅ぼすために」
迅は亡に背を向け、歩き出す。
その歩みは、重かれど確かであった。
衛星アークの中枢を担う区画の一室……情報室と呼ばれるその部屋にアダムはいた。無数の黒い本棚に囲まれた円形の部屋である。
部屋の中央に備え付けられた青い球形の端末に手をかざし、そこから表出される文字の群をひたすらに目で追ってゆく。
「素晴らしい……! 衛星アークに保管されている情報がこれほどのものとは!!」
アダムは悦びの声を張り上げた。
ここが敵地である事、雷の目を掻い潜ってたどり着いた部屋である事も、今の彼の情動を抑えるには足りなかったようだ。
「だが、浮かれるのはまだ早い。この情報の海に浸るためにも、私は奴を倒さなければ!」
拳を堅く握りしめるアダム。その姿は、まるで古代演劇の舞台役者のようである。
そんな彼の『演技』に、拍手喝采を送る者があった。アダムは目を細め、彼の方を見やった。
「誰だ? 私の探求を邪魔するのは」
アダムの視線の先にいたもの……それは、迅だった。迅は微笑を浮かべ、アダムに拍手を送りながら、ゆっくりと彼の元へ歩み寄る。
「……君を乗せるなんて、滅は何を考えてるんだろう。機械生命体に特別な感情でも芽生えたのかな? まぁ、どちらにせよ、問題なしだ」
迅はアダムの横に立つと、球形の装置に手をかけた。途端に、装置は赤く染まり、複数の警告文が飛び出してきた。
それらに向け、拳を振り上げる迅……
ザシュッ!
瞬間、地面から突き上げられた光の柱が、迅の身体を吹き飛ばした。
数m先の壁に叩きつけられた迅は、それでも笑ったまま、攻撃の主、アダムへと視線を向ける。
「何をするの?」
「君こそ、この衛星アークに何をするつもりだ?」
アダムは両手に光を生み出すと、迅へとかざした。その紅の双眸は敵意に染まっている。いつでも攻撃可能という意思表示だ。
「私が46Bと結んだ契約。それは、このアークを外敵の侵入から守る事だ。私の探求のためなら、ヨルハだろうがヒューマギアだろうが、排除する」
「なるほど。滅なりにヒューマギアの事を考えていたわけだ。ただ狂っていたわけじゃない」
臨戦態勢のアダムを前に、迅は片腕の鎖に繋がれていたプログライズキーを引きちぎり、解放した。
【FULL METAL WING!】
鋼色をしたそのキーは、迅が飛翔するアークに追いつくために使用した、あのプログライズキーである。
ゼツメライズキーのスイッチが入れられ、鋼色のキーが妖しく紅に染まる。
「でも、君がアークを守るなら、残念な事に僕は君の敵だ。僕は、アークを破壊しに来たんだから」
アダムもまた、スラックスのポケットから、青いゼツメライズキーを取り出した。表面には、バッタのような紋様が描かれている。
「場所を移そう……ここで戦闘をしては、肝心のデータが壊れてしまう」
「そうだね。僕らにおあつらえ向きの場所に行こうか」
2人は同時に、休憩の端末に手を触れた。
そして、同時にその場に倒れ伏した。
アークを巡るアダムと迅。仲間に不信を抱く雷、眠りに落ちた亡。そして、人類滅亡へと突き進む滅と32S。
宇宙空間にて、それぞれの戦いが始まろうとしていた。
お待たせしてすみませんでした。
1年が経ちましたね。
1章の分は、完結分まで台詞書いてあるので、頑張って地の文書きます。
2章では、この話の裏側、2Bさんの話をやります。こっちはだいぶ短くなる予定です。
※pixivにも同じものを投稿しています。