強者の軌跡-before come Sanraku   作:リン(4030)

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天音永遠様お誕生日おめでとうございます!


ペンシルゴン編-プロローグ

――――私は今日もまた、あそこに通う。いつものように、いつもの私じゃないように…

 

 

 

 

満月の夜に1人、光る苔が辺りを照らす洞窟の中を歩いていた。そこは花や木々が生い茂って樹海となり、自ら光を放つ苔が幻想的な風景を生み出している。――そのエリアの名は千紫万紅の樹海窟。

そしてその樹海を進むのは「廃人狩り(ジャイアントキリング)」として名を馳せている女だった。彼女は鼻歌を歌いながら森の中を進んでいく。本来この森は安全ではなく様々な昆虫(モンスター)がいて通ろうとするものの行方を阻むのだが、彼女の足を止めるようなことは出来ずこの場は彼女の通り道であった。

 

しかし、彼女は先に進もうとせず、さりとて(サードレマ)に戻る様子もなかった。彼女は一見何もない場所の何の変哲もない()()()()()苔に触れた。――すると、その苔はボロボロと崩れ去り一本の道が出来た。

 

その道の先はあの樹海にはなかった種類の赤い花が一面にひろがる花畑だった。花の名前を多少知っているならその花の名前も分かっただろう。

彼岸花。死を暗喩するものとしてたびたび用いられている花の名前だ。

洞窟の天井で見えなかった空はここでは顔を見せていて、巨大な満月が彼岸花を照らしていてここがこの世でないどこかのような印象を与える…。

 

彼女、廃人狩り(ジャイアントキリング)はその花畑をロングブーツで遠慮なく踏み歩き、その先の一つの枯れ木の前で立ち止まった。

 

「セッちゃん、1ヶ月ぶり」

 

「久しぶりね、アーサー・ペンシルゴン」

 

アーサー・ペンシルゴンはその木の下にいる女性に話しかけた。その女性はショートボブの髪の半透明で、一目で生者ではないとわかるものだった。ペンシルゴンは女性に笑いながら近づき、

 

「いやぁ、君の恋人強いね、15人で挑んだけど負けちゃったよ」

 

そう言いながら先日の負けっぷりを半透明の女性――「遠き日のセツナ」に語っていく。ペンシルゴンの話していることはユニークモンスター「墓守のウェザエモン」によるプレイヤー15人の蹂躙だった。

軽戦士は一刀両断、重戦士は雷に撃たれて黒焦げになり、魔法使いやバッファー、デバッファーは雲でまとめて薙ぎ払われた。その上召喚された(足の生えたダンプカー)によって戦線はめちゃくちゃ、その(ダンプカー)ウェザエモン(公式TAS)が合体して圧倒的火力により全滅。

そんな話をペンシルゴンが二重も三重も大げさにしており相当グロテスクな内容になっている。セツナはその話を眉を歪めずに聞いたいたが…。

 

「…ウェザエモンは本当に強くてね、正直勝ち目が見えないんだ。セッちゃん何か彼の弱点とか、戦いに有利になりそうな情報はないかい?」

 

「………彼は私の恋人。とあることで私が死んで、その原因が自分にあるって自分を責めているのよ。それで私の墓の墓守なんて…」

 

ペンシルゴンがこの質問をするとセツナの返事は毎回このような内容だった。まるで彼についてこれ以上話す事はないかのように。

 

 

「…………ユニークモンスターに対抗しようと思ったらユニーク級の何かが欲しいなぁ。となるとあの噂を探ってみるか……またねセッちゃん、次の満月の夜に」

 

「ちょっと待って、アーサー・ペンシルゴン。ねぇ、あなたどうして彼に挑もうとするの?」

 

前回も前々回も同じように負けたというのにそれでも何故挑むのか、セツナは不思議に感じた。

 

「…なんでって。セッちゃん。あなたからの依頼よこれ」

 

「そうだけど……。あなた達は不滅かもしれない。でも勝ち目のないような相手にどうして何度も挑めるの…?」

 

「……うーん、私が開拓者だからだよ」

 

「…開拓者だから?」

 

「そう!私たちは開拓者だからウェザエモンに挑むんだよ!」

 

何かを誤魔化すような、あまり説得力のないペンシルゴンの言葉を聞いたセツナは納得がいかない顔をしていたが、ひとまず矛を納めた。

 

「彼のことを知っていて、彼を眠らせてあげれるのはあなた達だけだものね。お願い彼を墓守の役割から解放してあげて」

 

『ユニークシナリオEX「此岸より彼岸へ愛を込めて」を開始しますか?』

 

「任せてよセッちゃん。私達があの野郎を張り倒してみせるよ」

 

ペンシルゴンはそう言って3回目となるのこのクエストの「はい」を押したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




第1回目はペンシルゴンの過去編を書いてみます。鉛筆のあの外道さとか戦闘シーンできるのかとか、不安でいっぱいですがガンバリマス!
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