お世話になっております。何でも屋秘書の手嶋でございます。 作:虹捜索隊
「おはようございま〜す……」
扉を開くとカウンターに甲冑を着た巨漢が座っていた。
「うわ!ドグラゾロンさん!」
寿命縮むわ……
「お、お早いですね。」
「ウム。」
何かコーヒーとか出した方がいいのかな?
「これを飲め。」
先越されてたーーー!
なにかの体液、もといスムージーだ!
「これはリラックス効果があり緊張がほぐれる。」
「吾輩が始めて戦に出た時も緊張したものだ。」
「千奈に付いていけば間違いない。」
あれ?これもしかして今日の護衛任務心配してくれてる?
この人魔王なのに天使だ。
「であろう?千奈よ。」
「うん」
ん?観葉植物から女の子の声がしたような。
今観葉植物が瞬きしたような、、
「お前が……手嶋か……」
意味もわからないまま大声を上げてしまった。
「うあぁぁぁぁぁ……ぁ………」
が、あれ?声が出ない……?
「まだみんな寝てる……静かに……」
喉のところに針刺さってる。なにこれ暗殺!?
死ぬの?
「心配するな、声帯を麻痺させているだけだ。」
なんなの?魔王様気遣い凄すぎて私の心読めてんじゃないの?
てか千奈って、、この人と一緒に?
またやばそうな人だよ……
だって目の奥くすんでる感じするもん。
それでいつになったら喋れるの?これ。
「わたし……基本……スケジュール見ない……」
「仕事……忘れる…よく社長に……怒られる……」
「手嶋…よろしく……」
ボーーーン
ゲホッゲホッ
煙?
「千奈はひとしきり喋ると煙幕で姿を隠し、また擬態するのだ。」
「そ……うなん……ですね。」
そうなんですねじゃねえよ!なんでだよ!
それより声戻ってきた!よかった〜
「では織田さん、1時間後に出ますので駐車場に…」
「現地で……」
「え?」
「千奈は現地集合で、と言いたいようだ。」
いや、癖強いなぁ。
魔王通訳なかったらなかなか厳しいよ?
てか私一人でヤクザのところ行かなきゃいけないの?
「大丈夫かなぁ〜」
ドグラゾロンスムージー飲んで気合入れるか!
〜2時間後〜
ここがヤクザの六田組……
「ごめんくださぁい……」
ガラガラッ
「おたくぁ、どちらさんで?」
「はひっ」
いかつすぎ!むりむりむりむり!
帰りたい!
「私本日依頼を受けております織田千奈の秘書ですけれども……」
「秘書ぉ?なんで用心棒に秘書がいんだよ!?てめぇ梶川のとこの者だろ!」
おっしゃる通りです!
普通用心棒に秘書いません!
ゴリッ
ゴリゴリッ
ん?
あれ?石の灯篭が動いて、、こっちに来てる?
ゴリゴリゴリゴリッ
「これ……私の……秘書……手嶋………」
「そうでしたか、すいやせんでしたぁ!!」
「腕落とします!!」
いやせめて小指にしろよ!
「痛みで……ショック死しないように……氷で……冷やして」
ナチュラルにアドバイスしてんじゃねぇよ!
「いや、でも待てよ。腕片方しかなかったらカニ剥けねぇじゃねえか!」
なんの話だ!!
「この戦争が終われば北海道に慰安旅行だからなぁ」
なんなの?
ヤクザの小指落とす系は業務の一環じゃないの?
旅行みたいなプライベートな理由でやめれるの!?
てかそんなワークライフバランス進んでるの!?
いや許すよ!許すけどさ!
まぁ、旅行先では金だけ落とせよ!
あれ?上手いこと言っちゃった?
「まぁお入りくだせぇ。親父んとこへ。」
こっからだよ……
ガラガラッ
「失礼しま、、す」
この人が組長さん?なんかふつうのおじさんに見えるけど。
「入ってください。遠慮はいりません。」
なんか思ってたのと……違う?
「よくおいでくださいました。あの織田千奈先生に用心棒をしていただけるとは。」
「社長が……決めたこと……」
「社長にもまたよろしくお伝えください。」
「では早速本題へ。」
「今回ですが、半年前にうちから離反した梶川組がおそらく今日襲撃に来ます。」
「なぜなんです?」
「先代のふんどしが関係しています。」
帰っていいですか?
「我が六田組は12代と幕末前から長く続いております。」
「そして初代がはいていたふんどしを代々履いてきたのです。」
汚ねぇ!!
「だから……少し……臭うのか……」
織田さぁん!ダメだよ!
「一応毎日ふんどし専門クリーニング屋で洗っているんですが………」
誰か何か喋って。
なんの時間なんだこれは。
「て、てめぇ親父が臭えってのか!」
いや、そのフォローは一番ダメだから!
なんの匂いかわかんないんだからさ
あっしが屁こきました☆てへっ
とか言っときゃいいのよ!
「やめねぇか!確かに最近加齢臭と共にアソコの臭いも気になってんだ!」
気になっとんのかい。
じゃあ組長あんただよ。
「で、今も履いておりますので私を狙いに来るのでないかと思っております。」
「脱いで保管しておくというのはどうでしょうか?」
履くから狙われるんじゃん。
「いえ、それはできません。なぜなら、、」
「おめぇ!その間親父はフルチンじゃねえか!」
なんでだよ!
ほかのふんどしなりパンツ履けよ!
「馬鹿野郎!お嬢さん方の前で下品なこと言うんじゃねぇ!」
「フルチンフルチンってなぁ、てめえがフルチンフルチンいうからお嬢さん方困ってんじゃねえか!フルチンとなんてご縁のないお方たちだろうが!!」
いやあなたその馬鹿野郎の5倍言ってるんですけどね。
「すいやせん!もう二度とフルチンとは言いません!」
今のはカウントされないんだよね?大丈夫だよね?
「つまりこれを脱ぐ、ということはビビっているということになります。」
「ですのでそれだけは絶対にできません。」
「まぁ……わかった……相手は……死んでも大丈夫……?」
「できれば殺さないで頂きたい。」
「今は敵でも昔は同じ釜の飯を食った仲間です。」
「わかった……」
ナイス組長!
よかった〜!人が死ぬところなんか見たくないよ。
「では秘書さんはこちらで待機してください。」
これ私いる〜?
絶対いらないじゃん!
〜6時間後〜
もうあれから6時間も経ったけど……
「織田さん大丈夫かな、、?」
「大丈夫……」
肘置きが喋っ……!!
声を上げて0.1秒くらいでわかった。これは織田さんだ。
でもわかっていても止めることはできない。
「うあぁぁぁ…ぁ……」
やられた!麻酔針だ!
「叫ぶと……組員……来る……」
そっか、今緊張状態ピークなのに、大声で叫んだりしたら……
「ん……?」
織田さん?
「敵来た……」
ボーーーーン
織田さん、無駄な煙幕やめて!
てか来たって、今のタイミング!?
「来たぞー!!」
「おめぇら、チャカ持って来い!!」
パン パン パン
ダダダダダダダ
ぐぁぁぁぁ
殺さないでほしいって言ってたのにあんたたち拳銃使ってんのかい!
ってあれ?静かになった。
「終わった……」
「!!!!!!!」
織田さん!
掛け軸からの登場もやめて!!
てか早っ!
え?何人来たの?抗争じゃないの?
「あ…声…直ってきた……」
「織田さん、これ抗争じゃぁ……」
「うん、抗争……70人くらいいた……」
え?
「全員やっつけたんですか?」
「みんな…脳震盪……殺してないよ……」
逆にすごいよ。
ん?あれは?
あの重装備は?
なんか近づいてくる。
「織田先生、ありがとうございました。」
組長防弾チョッキとヘルメットつけてんじゃん。
「おかげでふんどしも伝統も守れました。」
特に下半身の辺り要塞みたいになってんじゃん!
いや、組長めっちゃビビってる!
「先生のおかげです。どうもありがとうございました。」
〜翌日〜
カランカラン
「おはようございま〜す。」
「昨日は大丈夫だったか?」
「ドグラゾロンさーーーん!」
もはや魔王がお父さんの暖かさを出してるよ。
「土産……さっき組員……持ってきた。」
織田さん、どこ?笑
「机の上のやつですね、皆さん分に分けます。」
ガサガサッ
ん?
何でも屋宛て?
「織田さん、手紙入ってますよ!」
相手の頭と話し合って統合することにいたしました。
ふんどしとボクサーをローテーションで使うことを妥協策とし、これからは新生六梶組として張っていきますので、またよろしくおねがいいたします。
六梶組初代 粉度 志太郎
伝統は!?
てかふんど したろうてなんなの!?
ふざけてんの?
「そうか……グスッ」
え?織田さん泣いてんの?
感動したの!?
「おはよう!手嶋さんありがとね。で、今日も早速行ってもらうから。」
「社長!おはようございます!今日は特に聞いてないんですが誰です?」
「大盗賊だよ。」
大盗賊って言っても今日よりもやばい現場にはならないでしょ。
「今日は昨日より危ないから、防弾チョッキ着ていってね。」
うそだーーーーーーーーー!
〜続く〜