お世話になっております。何でも屋秘書の手嶋でございます。   作:虹捜索隊

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クセ強めの強制イベントはこちらでございます

 

 

「おはようございまーす。」

 

なんかここにも慣れてきちゃったな。

 

もう結構な人の秘書を経験したし。

 

今日は確か、脳味噌っぽいのちょっと見えてる人造人間のグラッドさんだったよね。

 

 

グラッドさんの部屋は........と。

 

 

《グラッドさんの部屋》

 

いやかわいいな!

 

 

コンコン

 

 

「グラッドさん?起きてますか?今日は9時からの予定ですよ?」

 

 

 

 

 

あれ?

 

返事がない、ただの.......おっと危ない危ない。

 

 

「グラッドさーん?」

 

 

 

 

寝てるのかなぁ?

まぁでも起こさないと。遅刻はできないし。

 

 

 

キィィ

 

「グラッドさーん、失礼しま......」

 

 

 

うわっ!!目の前に立って.......

 

「手嶋さん。あなたは《夢》について考えたことはありますか?」

 

 

お、この人造人間もクセ強めの強制イベントキャラだったか。

 

 

「いえ、ありませんが。」

 

 

「《夢》というのは、人が寝ている間に体験する異世界。」

 

 

ほぅ。

 

「言わば、睡眠の間に訪れるもの。」

 

「それが夢。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、そうだよ。

 

なに勿体ぶって、格式高そうに言ってんのかと思っちゃったよ。

 

 

めちゃくちゃ深そうな川だと思ってダイブしたら、くるぶしまでしかなくて、叩きつけられた感覚だよ。

 

 

「では手嶋さん、行きましょうか。」

 

「今日も迷える仔羊たちに、この人造人間である私、グラッドが光明を照らして差し上げましょう。」

 

 

あー、意識高い系人造人間かぁ。

 

 

 

「では、今日は9時からお悩み相談会がありますので、30分後に出発しましょう。」

 

 

 

 

ブーーーン

 

 

「手嶋さん、あなたは人造人間とは何か考えたことありますか?」

 

 

ちょっと今運転中なんで黙ってもらっていいですか?

 

「いえ、ないです。」

 

 

どうせ、

人の叡智を結集させ作られた生命の禁忌を侵す存在、言わば人工的に作られた人間です。

 

とか言うんでしょ?

 

 

「人造人間とは......」

 

「人の叡智を結集させ作られた生命の禁忌を侵す存在......」

 

「言わば人工的に作られた人間です。」

 

 

怖ぇわ!一緒じゃん!

 

そしてあっさ!!!人造人間考えあっさ!!!

 

私が今一瞬で考えた適当な定義と一言一句一致しちゃったよ!

 

 

こんな人にお悩み相談なんてできるんだろうか.....

 

いやでも、今すごい人気らしいし......

 

バカバカしくなって悩みなんてどうでも良くなるんだろうか?

 

 

「グラッドさん、今日のお悩み相談の相手、私聞かされてないんですが.....」

 

「今日はJKです。今日はというか毎回ですが。」

 

「JK!!?」

 

 

 

 

〜お悩み相談ブース〜

 

 

なにあれ?

あのアラビアンなテントみたいなのが相談ブース?

なんか胡散臭い占いみたいなんだけど.......

 

 

「でも、まだ始まってもないのにすごい行列だ......」

 

 

「それでは行ってきますね、手嶋さん。」

 

 

「迷える仔羊の皆さん。ようこそいらっしゃいました。お悩み相談へ。」

 

「皆さんは《悩み》について考えたことはありますか?」

 

また始まったよ。

 

 

「悩みとは、自身の人生での苦痛や切なさ、葛藤。」

 

「言わば、自身を悩ましていることなのです。」

 

そこは《悩む》以外の言葉で定義しろよ。

それ反則だろ。

 

 

「キャーー、グラッドさんヤバくない!?」

 

なんでそこで湧くの?

 

 

「では、まず一人目の仔羊、中へどうぞ。」

 

 

「失礼します!北高校3年の野宮宮乃です!」

 

「ではお悩みをどうぞ。」

 

「最近彼氏が冷たくって.....倦怠期かなって......」

 

いきなりゴリゴリの女の子事情じゃん!

大丈夫なの?グラッドさん!

 

 

「倦怠......」

 

「野宮さん、あなたはこの《倦怠》という感情について考えたことがありますか?」

 

 

「倦怠って、飽きたり、嫌になったりすることじゃ.....?」

 

 

「違います。」

 

いや、そうだよ。

 

「私もつい最近までそう思っていました。」

 

お?これはいい話にいく感じなの?

 

「《倦怠》とは好意の裏返しである感情。」

 

おぉ!?

 

「言わば、時間が経つにつれ退屈に思い、嫌悪感を抱くこと。」

 

やっぱりかーーー!

ちょっとでも期待した私がバカだった!

 

だからそうなんだって!!

その子が言った《倦怠》をそれっぽく言い換えたのがあなたの言ったことなんだって!

 

「なるほど.....その考えはなかったです。」

 

あったよ!あなたが最初に導き出した答えだったよ!

 

 

「ありがとうございました!」

 

 

 

「では、次の迷える仔羊、中へどうぞ。」

 

グラッドさんの仕事楽勝すぎるでしょ!

 

 

「花咲と言います。高2です。」

 

「私、先週付き合ってほしいと告白されたんですが......」

 

「その、たかし君って言って、すごくかっこよくて勉強もできて、スポーツ万能で本当に嬉しいんですけど......」

 

いいなぁ.......青春だなぁ.......

私も勉強漬けじゃなくて、そういうことしたかったよ。

 

 

「でも実は親友の亜美がたかしくんのことをすごい好きで......三角関係になっちゃって......」

 

「どうすれば.......」

 

 

「花咲さん、あなたは《三角関係》という言葉について考えたことはありますか?」

 

「あなた、たかし君、そして亜美さん。」

 

「あなたたちは立場の違う好意という線で結ばれている。」

 

もういいって。

どうせ、三角なのです、って言うんでしょ?

 

「言わば、トライアングルなのです。」

 

変えてきやがった!

当てれなかったのがなぜか悔しい!

 

「わかりました、そういうことなんですね.....」

 

あなた本当にわかってる?

翻訳されただけで、なにも解決してないんだよ?

 

「吹っ切れました、ありがとうございます!」

 

なんだこれ!!

 

 

ちょっと......外の空気吸ってこよう........

 

「あれ?」

 

さっきの一人目の......?

「マジうけるでしょ?」

 

「うん、あたしが思った倦怠をそのまんま返してきたの!」

 

 

あ、そのまんま返してたの気づいてたんだ。

 

 

「うん、うん、そうだね、こんなに楽しく話したの久々だね。」

 

「そっか、ごめん、部活で忙しかったの気づいてあげれなくて、勝手に倦怠期とか言って......」

 

 

電話彼氏さんかな?

なんか解決したみたい。

 

 

あ、二人目の子も電話してる。

 

「あ、亜美?」

 

「うん、あたし実はたかし君に告白されたんだ。」

 

「で、今流行りの相談行ってみたんだけど.....」

 

「噂どおりバカバカしくってさ!」

 

あれ?バカバカしいって定評なの?

 

「なんかもう色々吹っ切れちゃった。」

 

「あたし、断るよ。亜美との仲を壊したくない。」

 

 

なんかうまい具合に解決していってる。

 

 

 

 

〜4時間後〜

 

 

「今日はお疲れ様でした、グラッドさん。では帰りましょう。」

 

 

 

ブーーーン

 

 

 

グラッドさんってただ同じことをそれっぽく返してるだけなのに、なんで悩みを解決できるんだろう?

 

 

「それは、相手の思っていることをより強固にするためです。」

 

 

「え?」

 

声出てた?

 

 

「声には出ていませんよ、危ないので運転中は前を向いてください。」

 

 

「な、なんで.....!?」

 

「私は相手が何かを考えるときに脳から発せられる微弱な電気信号を感知することができるのです。」

 

 

それって私の考えが手にとるようにわかるってこと?

 

「つまり、あなたの考えが手にとるようにわかるってこと、なのです。」

 

 

「あなたは私の回答をバカバカしいと思いませんでしたか?」

 

「笑いのネタにしようと思いませんでしたか?」

 

「それを悩みの解消に使ってもられば私は人造人間として満足なのです。」

 

 

グラッドさんめっちゃ深い人だったーーーーー!

 

 

「あなたの考えを読むのは楽しかったですよ。」

 

「あなたはそうやっていちいちツッコミを入れているのですね。」

 

「ぐっ、、」

 

「明日は確か、ボンタの秘書で付くんでしたね?」

 

「ボンタの考えは中々にひねくれていますから気をつけてくださいね。」

 

「クセ強めの強制イベントキャラで、めちゃくちゃ深そうな川だと思ってダイブしたらくるぶしまでしかなくて叩きつけられた感覚を抱かせるような、アラビアンなテントみたいなのが相談ブースでなんか胡散臭い占いみたいことをしていて、脳味噌っぽいのが見えてる秘書が運転中に黙ることもできない人造人間の老婆心ですから、聞き流してください。」

 

 

グラッドさん執念もめちゃくちゃ深い人だったーーーーー!

 

 

 

 

〜続く〜

 

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