賽は勝手に投げられる。   作:胡椒こしょこしょ

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オリジナル小説は初めてなので初投稿です。


こどおじ、転生する。

昼下がり、カーテンを閉め切った陰気な部屋で男がPCと向き合っていた。

顔を真っ赤にして肩を震わせており、その様子は心なしか湧き上がる激情を押さえているかのようだった。

そして何を思ったか喚きだす。

 

「なにがこどおじwwだっ!馬鹿にしやがって!!確かに俺は実家暮らしだけどなぁ!バイトで家に金入れてっから社会の屑じゃねぇんだよぉお!!!社会の屑はテメェだろうがヒキニートがよぉ!!」

 

見ているのは某掲示板サイト。

自身の書き込みを引用して『こどおじwww顔真っ赤にして言ってそうwwww』と書き込まれ、それを見て発狂していたのだった。

男は成人済みであるにも関わらず、就職せずにバイトをしている。

そしてなによりも実家の子供部屋で暮らしている。

所謂子供部屋おじさんなのだ。

 

人間、図星を突かれれば激昂するものだ。

机を叩きながらも喚き反論するも、スレバトルにはきっちり負ける。

 

「ぐぅぎぎいいいいいいい!!!!があああああああ!!!!」

 

まるで理性の欠片もない獣のような唸り声を上げながら歯ぎしりするこどおじ。

机の隅に置いてあるエロ同人誌を怒りのままになぎ倒して床にぶちまけると、はぁはぁと疲れからか息を吐く。

.....喉が渇いた。

 

今の時刻は親は仕事でいない。

だからこそ部屋から出て階段を下りた。

家族はこどおじを見かけると正規就職しろだの、正社員になれだの、父さんのコネで紹介してやるだのうるさいのだ。

いつの間にか家族の不在を狙って居間に降りるのが習慣になった。

降りると冷蔵庫を開ける。

烏龍茶を取り出すとコップに注いで一気に呷る。

 

そして自分の朝食がないと分かると舌打ちをした。

 

「あのババア....作っとけや、使えねぇなぁ。」

 

ぺっと台所の床に唾を吐くと、烏龍茶を冷蔵庫に仕舞って、朝飯を食べに行こうと思う。

正直バイト以外で外に出るのは面倒くさい。

だが腹が減ると動けなくなるのだから仕方ないのだ。

今日はがっつり食べたいなぁ....。

そうだ、拉麺時郎に行こう。

 

そう思い、自室に上がり外行きの服を着る。

油べちゃべちゃの不健康この上ない拉麺を食べたら、家に帰ってFPSで俺の長年培った美技を全国に見せつけてやる。

レスバで負けた日はこの生活に限るのだ。

 

外に行く用意を済ますと玄関へ行き、外へ出る。

外は天気が悪く、雨が降っていないにも関わらずゴロゴロと雷が鳴っている。

 

「クソみたいな天気だな....。」

 

空を見上げてぼそりと呟くと歩き出す。

辺りは空が厚い雲に覆われているだけあって涼しい風が頬を撫でる。

デブには嬉しい気候条件だ。

デブは日差しの中歩くだけでジリジリとスリップダメージを受けてしまうのだ。

デブは常日頃から他の人よりもそういうハンデを抱えて生きているのだから、デブ=縛りプレイ、よって普通の人よりも強いってはっきり分かんだね。

 

そうして横断歩道の前で赤信号が緑に変わるのを待っている。

なんだ今日はやけに遅いなぁ....。

そう思っていると.........。

 

目の前が真っ白に光った。

 

 

 

 

 

「.....んん?アレ、なんで寝てんだ。俺?」

 

こどおじはさっきまで信号を待っていたにも関わらず、地面に寝そべっている状況に首を傾げる。

そして辺りを見渡した。

辺りにはまるで星空のように暗く黒い中に星のような物が天井に散らばっている。

そして尚且つ目の前には....

 

「お目覚めか....山田隆志。」

 

高層ビルくらいの大きさはあるような白髪の仙人のような風貌のジジイが立っていた。

えーと、これは......。

 

「夢か.....。」

 

そう呟くと再度寝そべろうとする。

 

「待て。寝るな。」

 

そう言うとジジイが隆志に手を翳す。

すると隆志の体がまるで主導権を失ったかのように動けなくなり、瞼も閉じなくなる。

 

「は!?えっ、どうなってんのこれ!目が閉じないんだけど!!おい何したんだよ!!瞼閉じなくなったらドライアイになるだろ!!やっていること拷問と変わりねぇぞコレ!!」

 

ジジイに対して怒鳴る。

しかしジジイはどこ吹く風。

隆志を見下ろしつつ口を開いて隆志の言葉に返事する。

 

「何をしたもなにも貴様に寝られると困るのだ。

貴様に話せなければならないことがあるからな。」

 

話せなければならないこと....?

ていうかそんなことよりも。

 

「お前誰だよっ!なんかでかいしよぉ!!」

 

隆志が再度神様に喚く。

すると神はまた隆志の言葉に答えた。

 

「私は神だ.....。」

 

「うっはwマジで神とか言う奴おるんやなwwアイタタタタwwwwww」

 

神と名乗るジジイの言葉を嘲笑する隆志。

そんな隆志を見てイラついたのか、眉根を顰めて腕を上げる。

すると隆志の体が勢いよく空へと上昇する。

舌を見るとさっきまで自分が居た場所が遥か下に見える。

 

「ちょっ、待って待って待って!クッソ怖い怖い怖い!!俺高い所無理なんだって!悪かったから!馬鹿にしてたの謝るから!!!」

 

そう言うと体がゆっくりと下に降りていく。

しばらくして地面に足がついた。

....いやー、やっぱ人は地面に足が付いてないとダメだな。

改めてそう思う隆志。

 

すると神は言葉を接いだ。

 

「分かってもらえたか?」

 

「あぁ...うん。もうわかったわ....わかりました。」

 

言葉を吐くが再度神が目つきを鋭くした為、言葉尻を訂正する。

相手が強いと分かるとすぐに機嫌を取りに行く。

隆志の生来の気質であった。

 

「それでは本題に入るぞ山田隆志、貴様は死んだ。

私が誤って神雷を落としてしまってな。

だからこそお前を異世界で生き返らせる。

いいな?」

 

....は?

ちょっと待って、待って。

いや俺死んだの?

マジで!?

あと異世界!?急すぎんだろ!!

 

「...どうした、山田隆志。

異世界で生き返らせると言ったら貴様のようなクz....元の世界で不満を抱いていた人間であるならもうちょっと喜ぶものだぞ。」

 

おい今コイツクズって言おうとしただろ。

というかさ、その前に。

 

「ま、マジで俺死んだの?

ていうか神雷間違えて落としたってなに?」

 

俺が聞くと、若干神は目を逸らしつつも言葉を紡ぐ。

 

「....神とは悠久の時を生きる存在。

つまりは暇なのだ。

暇つぶしに下界のどっかの木とかを狙い撃とうとしたら手が滑ってお前を撃ち抜いてしまってな。」

 

「普通にお前のクソどうでもいいミスじゃねぇか!!

神雷とか御大層な名前の物を下界にそんなゲームする感じで撃つんじゃねぇよ!!」

 

道理であの時、雨なんか降ってないのに雷の音が激しく聞こえていたのか。

神を指さして怒鳴る。

すると神はめんどくさそうに答える。

 

「いや悪かったよ、うん。

だから私が貴様を異世界に送ってやろうと言っているのだ。

それで丸く済ませてくれんか。」

 

丸く済ませるぅ~?

なに言ってんだコイツ!

絶対そんなんじゃ済まさんぞ!

ていうか一番丸く済む方法は元の世界に生き返らせることだろ!!

異世界なんか行かなくても俺には実家があるんだよ!

楽に今まで暮らしてきたんだ!急に死んだから他所移すわとか言われても納得できるか!!

 

「もうそういう異世界とか良いからさっさと元の世界に甦らせろや!」

 

すると神はまた目を逸らす。

 

「....死んだ人間をその世界に甦らせることは出来ないのだ。

そういう決まりでな。

本当に申し訳ない。」

 

なにその規則。

えぇ...マジかよぉ。

異世界とか実家に比べたら明らかにハードモードだろ。

実家なら母親が冷蔵庫に物資を補給して風呂洗っててくれて洗濯物もしててくれて、バイト代さえ収めておけば強く言われることもなく快適に好き勝手暮らしていける。

それに比べて異世界はどうだ。

魔王とか居るようなファンタジーであれ、異能物学園系であれ、自分の力で衣食住を確保して生きていかなければいけなくなる。

もうこれ端的に言ってゴミだろ。

 

しかも元の世界にあった娯楽がある可能性はかなり低いだろう。

FPSで雑魚相手に神エイムしたり、掲示板でキッズをボロカスに扱き下ろすことが出来なくなってしまうのだ。

しかもファンタジー世界だった場合、下半身の分身を慰めるネタを手に入れることすら至難であろう。

 

「お、おい...マジかよ。

そんなのねぇよ。あんまりだぁ.....。」

 

隆志は目の前に現実に打ちひしがれるように頭を押さえて項垂れる。

するとそんな隆志を見兼ねてか神は二の句を継いだ。

 

「まぁ私のミスで異世界送りになるお前が哀れでないと言えば嘘になる。

よって特典を授けよう。」

 

ん?今特典って言ったよね?

特典をもらえるなら話が変わってきますねぇ....。

 

特典といえば異世界物でよくある異世界に行く前にもらえるチートみたいな物だ。

それは怪力や魔力などのステータス的な物から、ニコポやナデポ、催眠などの精神的に作用するような物から聖剣、魔剣などのアイテムなどの色々な種類がある。

これは実家なんか比べ物にならないほどの天国ですわ!

イージーモードまっしぐらで草。

 

せっかくもらうなら催眠とかのR18方面の特典が良いわ!

催眠種付けおじさんになって貢がせまくって楽して暮らしてやんよwwww

うはw夢が広がりんぐwww

 

「じゃあ催眠能力くだしあwwwオナシャースwwwww」

 

半笑いの舐め腐った態度で神に言うと神は首を傾げる。

は?なに首傾げてんだこのジジイ?さっさとよこせよなぁ。

 

「なぜ貴様に選択権があると思っているんだ?」

 

....へ?

えっ、おかしいんやんか。

毎回ほら主人公がこの特典くれーって言ったら神がいいよって感じでほいほい渡すとかそんな感じじゃないんか?

 

「あの....異世界に行くのは俺なんだから俺に選択権があってしかるべきじゃ.....。」

 

そう言うと神は口を開く。

 

「....特典についてはお前たちには選択権は与えられていない。

そういう規則なのだ。」

 

マジかよ....。

さっきから規則ばっかじゃねぇかよお前ん所よぉ!!

責任者出て来いやぁ!!

そうは思うものの、直接口には出さない。

目の前の神よりも上の存在が居たとしたらそんなのに喧嘩を売ったらどうなるか分かった物ではないからだ。

 

「じゃあアンタの独断で決めんの?マジでおもしれぇなそれ。」

 

皮肉交じりに言うと神は自慢げな表情でどこからともなく箱を出す。

 

「決めるのは...私ではない。

.....くじが決める。」

 

えっ、コイツ神様なのに運任せで決めんの?

それってなんかおかしくない?

しかし隆志の疑問など知ったことではないと言わんばかりに楽し気に箱に手を突っ込んでわしゃわしゃと動かしている。

 

「なにが出るかな~なにが出るかな~。」

 

それ昔に放送されていたごきげんYO!のサイコロ振る時の掛け声じゃねぇか。

てか人の特典決めんの軽っ!?

もっと慎重に決めろや今後の俺の新生活に密接に関わる重要な問題だろうが!!

 

神は一通り箱の中を弄ると腕を箱から勢いよく出す。

そして取り出した紙を広げると目を通す。

運命の瞬間....。

そして神は視線をくじから上げると口を開いた。

 

「.....えーと、お前の特典は...『運命のサイコロ』だな。」

 

「は?運命のサイコロ?」

 

なんだ運命のサイコロって。

城之内君の新規カードかな?

名前的にアイテムのような気がするが....。

隆志が首を傾げていると神は口を開いた。

 

「名前だけでは分からないだろう。

こうすれば分かるだろう。」

 

すると手元に紙切れが出現する。

それを見ると、ロシアの文字で何か書いてあった。

しかしこんなもの分かるわけ.....。

 

<外国語(ロシア語) DDB<=1>

 

なにこれ?

頭の中でこのような文字列と共に100面ダイスを振る情景が浮かぶ。

えっ、もしかしてサイコロはサイコロでもアイテムじゃなくて脳内で振る感じのサイコロなの?

そして.....。

 

<結果......1D100<=1→18:失敗>

 

結果は失敗していた。

失敗してるやないかい。

ていうかこれもしかして文字面的に成功してたら読めてたのか?

ロシア語なんか習ったことないのに?

....マジで?すごくねこれ。

 

「特典『運命のサイコロ』。

お前の行動は全てサイコロによって決定されることになる。

まぁ言うならお前の下界で言うところのTRPGのキャラのように自分がなったと考えればわかりやすいだろう。」

 

はえ~、TRPGのキャラかぁ。

...ん?TRPGのキャラ?

行動の全てをサイコロによって縛られるというのはつまり日頃の行動も全て運ゲーになると言うことに他ならなくないか?

成功するならまだしも、クリティカルなら最高である。

しかし失敗することもあるし、最悪ファンブル....致命的失敗もあり得るのだ。

致命的失敗がTRPGで出る時、大体出したキャラクターは危機的状況に陥るなどペナルティがあるのが普通だ。

それが日常生活でいつも起こりうるのだ。

....これまずいゾ。

戦闘中とかならまだしも、どうでもいいようなところで致命的な失敗なんか出た日には目も当てられない。

これやり直しにしてもらえねぇかなぁ。

 

「あ、あの~もう1回くじ引き直してもらえませんかねぇ....。」

 

「よーしそれでは異世界に送るぞ。」

 

そう言うと隆志の体が浮かび上がる。

高い所苦手って言っただろ。

ていうか話聞いてくれよな~頼むよ~。

 

隆志は神に特典の引き直しを冀うも神はもはや特典を変える気などそうそうないようで無視して転移しようとする。

体がジェット気流に吹かれるように風を受け始める。

ちょっ、目が開けられな....おま、やめろやっ!!

 

「お、おいっ!...話を聞け!特典を決めなおっ...ふげっ!!」

 

口にさっき読めなかったロシア語の紙が飛んできて張り付く。

ちょっ息が出来な....。

 

「幸いその世界における人間の公用語は知識ロールで成功すれば理解できるから安心しなさい。では次の人生も楽しんでくれたまえ。」

 

その言葉を最後に意識がまるで目の前の風景が加速して光で目を開いていられなくなる。

あのジジイ....特典決めた辺りで面倒くさくなってさっさと異世界に送ろうとしやがったな。

なんだよ現実のお役所仕事かよ(偏見)

神様がそんな所まで世俗に染まってるなんて世も末だな。

そう思うのを最後に意識が途切れてしまった。

 

 

 

 

頬に硬い感触と埃っぽいザラザラとした感触を感じる。

目を開けるとザラザラとした石製の床に寝そべっていると分かる。

ゆっくりと起き上がるとそこは石造りの壁とむき出しの岩肌がパッチワークのように繋がっている通路の中、薄暗くじめじめと湿気た空気が辺りを漂っていて壁の一部には苔やカビ、キノコなどが自生している。

そして通路の先は暗く見通すことが出来ない。

その様はまるでファンタジーのダンジョンのようであった。

 

隆志は周囲の状況を見渡すと心の内を思わず吐露してしまう。

 

「....ここ、どこ?」

 

隆志の呟きは暗い路地の中でどこからか聞こえる水音などの環境音に紛れて消えていった....。




今回はまだ転生したばっかりなので銀髪褐色ロリエルフやお子様パンツを出せていません。
これから出していきます!

またダイスの結果についてですが、実際に自分で振って出しているのでとんでもない出目が出てしまう可能性があります。
そうなると必然的に展開について逐一考えないといけなくなるので1つ1つの投稿が遅くなってしまうかもしれません。

ただ貰った要素を詰め込んで書いているので頑張って書き上げたいと思います。
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