気付いたらVTUBERを強要されていたおっさんJC 〜お空に監禁されて仕方なく〜   作:二三一〇

16 / 59
 配信回です。気が付くとまだ雑談と料理しかしていない(笑)


15 詠唱は簡単には止められない

「十八時半を回りました。皆さん、こんよみー、姫乃古詠未です」

 

 こんよみー

 こんよみ、おいちゃん疲れたよ……

 まだ暑いもんな

 古詠未ちゃん、元気だね

 

「それはもう。先日業界の先輩方と食事に行きまして、たっぷり美味しいご飯を食べましたからね♪」

 

 裏山w

 マジか、ねー様と食事会なん?

 聞いてない 十六夜桜花

 いたわ、ねー様(笑)

 桜花様もよう見るな

 

「あ、ねー様。おはようございます。もう課題は終わりましたか? ご自分の配信前に終わらせてくださいね」

 

 はい…… 十六夜桜花

 すでに上下関係が構築されていたw

 まあ、桜花さまゲーム配信メインだからね。絶対テッペン超えるだろ

 

「ねー様の配信も楽しみにしてます」

 

 凸してもいいんだよ 十六夜桜花

 凸しろと強要するねー様すこ

 デレデレやんけw

 

「黙って見てます。リスナーさん置いてきぼりにするだろうし。さて、それでは始めますね」

 

 

 この時間帯は、一般的なリスナーである二十代から三十代までの人たちの帰宅時間帯である。にも関わらず視聴してくれる人たちは少ないけど増えてはきている。

 

 チャンネル登録数はあれから増えに増えて、今では一万人を突破した。

 嬉しいやら恥ずかしいやら。

 

「今日はまたしてもコラボ雑談です。告知してなかったのは、急に決まったからなので。ごめんなさい」

 

 それも聞いてない 十六夜桜花

 主張するなー、ねー様

 いちいちリアクションしてて草

 義妹に虫が寄り付かないように警戒してるんだね

 愛が重い

 

「今日のお相手はこちらのお二人」

「オトばんわ、戸羽乙葉です」

「紅蓮の炎に(いだ)かれろっ! 漆黒の闇より来たりし暗黒を纏いし者、我王神太刀推参っ」

 

 パチンッ

 

「あれっ? ノイズ入った……ちょっと待って、今設定を確認するよ」

「慌てないでいいよ?」

「賓客として遇しておるのだから、否も応もない」

 

 ……配線は問題ないし、アプリも正常に動いてるし。なんだろ? 帯域とかだと手が出ないし、今は安定してるからまあいいか。

 

 ねー様の盗○器とかだったりw

 家を知らないから出来ないんだょぉっ 十六夜桜花

 知ってたらやるのかと聞いたら即答しそう

 桜花さま、少し落着こうね ヨシヨシ

 浮気現場を押さえるため……?

 桜花さん……? 夏波結

 ゆいままきたっ

 保護者ですね、早く連れて行ってw

 

「結さん、こんばんは。先日はお世話になりました」

 

 うん、こんばんわ。 夏波結

 お、先日?

 さっきの話かな?

 あるてま勢とよく絡むね

 まあ、黒音古参やし

 でも、黒猫とは絡まない……ムリか

 コミュ障拗らせた陰猫やからね

 NTRされたって黒猫騒いでたけど

 こよみんだったか草

 

「いや、寝取ってないし! 風聞! 風評被害! あいって

 

 なぜか、おしおきされた(笑)

 アイリス的には良くない言葉なのかな?

 どうでもいい、もっとやれw

 だ、大丈夫? 夏波結

 ああ……イイ声だね 十六夜桜花

 二人の反応が対照的で草

 ねー様、心配してやれよぉっ

 これはママの勝ちですね、はい

 

「おい、なんだこの茶番……我、帰っていいか?」

「まぁまぁ。古詠未さん、そろそろ進行しませんか?」

「あ、はい。ごめんなさい」

 

 おしおき受けたのに、謝るなんて理不尽だなぁ。

 

「全くだぞ、異世界よりの帰還者よ。世界を渡る者として同類と考えてはおるが、不敬がすぎれば我は帰るのみだ」

「あ、ハイ。さーせん♪」

「我の扱い、軽くない?」

 

 こよみんもよー見とる

 我王くん、少し嬉しそうだもんね

 漆黒の闇より出でし魔王……プ

 

「ええい、進行! 早くせんか!」

 

 照れ隠しのために少し上ずった声で我王くんが言う。思わず口元がニヤけてしまうのは、女の子との絡みに慣れてない所がまだまだ残っているからだ。

 あるてまのみんなはイジりたいと常々思っているらしいけど、キャラが立ちすぎていて合わせるのが難しいそうだ。

 

 それでもコラボの回数は増えていってる。その一助になればとの思いもある。今回の突発コラボもその一環ではある。

 

 まあ、実際はあるてまの男性ミャーチューバーと会話をしてみたいと湊さんと姫穣に頼んだ結果だ。メンツとしては喜ばしい二人である。

 この二人と話す事に意味があるとすれば、それは俺の癒やしである。

 

 いや、正直言うとかなりしんどいのだ。

 

 年頃の娘さんとわいわいやりながらの毎日。

 今までの環境と差があり過ぎる。

 ほんの少し前まで日がな一日PCの画面か、営業のおっさん共との仕事という名の舌戦をしていた人間には辛すぎる。

 

 端的に換言すると、『野郎と気のおけない会話がしたい』……端的じゃないな、コレ。

 

 当然のように二人には俺の事は女の子にしか見えてないので無理だとは思うが、男女分け隔てのない戸羽に我が道を行く我王なら対して問題にはならない気がする。

 

「配信中もマシュマロ受け付けてますので、戸羽さんや我王くんに質問がある方もどしどし送ってくだせぇ」

「待ってますよー」

「ふん、まあ答えてやらんでもないからな」

「では、最初のマシュマロはこちら」

 

 

 こんよみです。

古詠未ちゃん、桜花様の義妹(スール)になっちゃいましたね。私は桜花様との今後の関係が気になります。信頼できる姉妹関係で済むのか、それともイクとこまで行ってしまうのか。気になって夜も八時間しか眠れません。

古詠未ちゃんはどう考えていますか? 

 

マシュマロ

❏〟

 

「いったいっ!」

「大丈夫ですか?」

「こやつは配信当初から何度も食らっておるからな。大したことはあるまい」

「……あ、ありがとうございます。見ててくれたんですね」

「お、おう……まあ、気になる存在ではあったからな!」

「ふふふ、我王くんも若いですねぇ」

「乙葉ぁっ、我を軽んずるかっ」

「いえいえ、暴虐さにおいては追随を許さぬ漆黒の王にそんな事は」

「……ふん、ならば許そう」

 

 やはり我王くんはVtuberとしては真面目だ。この姿勢は見習わないと。

 

「けど、この質問は僕たちには答えづらいですね」

「そうだな。おい、古詠未。その辺はどうなのだ?」

「え、いや特には。まだ会った事も無いのにイクとこまでとか無いですよ?」

 

 がーん…… 十六夜桜花

 ショック受けてる桜花様カワイソス

 そっか、まだオフコラボ無いんだよね

 それならこよみんの貞操も安心w

 

「ねー様? そんなつもりだったんですか?」

 

 いやいや、そんな邪な考えは……無い、よ? 十六夜桜花

 はっきり答えない草

 そこは断言せんとなぁ

 

「まあ、古詠未さんは可愛いですからね」

「そうだな、それは認めよう」

「ありがとうござ……あれ? ねー様?」

 

 なんかDisRoadの会話チャットに着信があった。いわゆる凸という状態かな?

 

『戸羽、我王! 古詠未に変な真似するなよっ? もしもプツンッ……』

「あ、はい。なんか混線してたみたいですね?」

 

 桜花ねー様をミュートして、と。

 さすがに何度も来られると面倒だし。

 

「お、おい。いいのか義妹として」

「ねー様は少しアレなので、このくらいでちょうどいいかと」

「愛のカタチは人それぞれ。いいのですよ」

 

 あっさり切りおった(笑)

 全部喋らせてあげてよぉw

 うえーん 十六夜桜花

 ねー様、もう少し落着こうね

 なんだかゲストがもう一人いるみたいだねw

 

 うむ。だが、せっかくの男祭りを邪魔させるわけにはいかん。ここは毅然としてねー様を排除しよう。

 

「では、気を取り直して次のマロ。これは配信してから来たホヤホヤですね」

 

 

 

 こんよみ、おとばんわ、紅蓮のry

皆さんは普段はどうしていますか?昼間の行動なんかはどうなさっているのでしょうか。ちなみに僕は学生なので学校と部活がメインです。 

 

マシュマロ

❏〟

 

 

「僕は三年なので受験勉強漬けです」

「いや、そんなリアルな話とか……」

「我王くん、キャラ変わってますよ?」

「ちょ、ちょっと取り乱しただけである!」

「学部はどこを狙ってますか?」

「僕は人の観察が好きなので文化人類学を志望しています」

「ふ、ふーん……」

「乙葉さんはよくVtuberなんてやる気になりましたね? 受験、お忙しいでしょうに」

「忙しいから、ですよ。息抜きも出来ないのは辛いので。趣味の料理や裁縫の話とか出来ればいいかな、的な感じでした」

「なるほど〜。世知辛いッスね〜」

「おかげさまで、今は楽しい毎日です」

 

 日がな一日勉強漬けの毎日という、かつての自分が通った道を思い出す。なんだか監禁されてVtuberを始めさせられた自分と被る気がした。

 

「乙葉さんは料理がご趣味だとか。今度、そちらの配信にお邪魔しても宜しいですか?」

「それはもちろん。アーカイブで見ましたけどなかなかな包丁捌きでしたね」

「あ、ありがとうございますっ」

 

 お、こよみん声が上ずった

 優しいお兄さんに当てられちゃったかぁーw

 ……とば。てめえ…… 十六夜桜花

 キャラ崩壊待ったなしw

 声なくてよかったね、ねー様

 すごい低い声出してそう。逆に聞きたい

 

 誉められて嬉しいのは当たり前なんだが。

 しかし外野はそこに何かあると考えるようだ。

 まあ、その方が面白いんだろうね。

 

「では、我王くんはどうですか?」

「今生では我も学生の身分でな。毎日下らぬ勉強に明け暮れておるわ」

「得意な科目とかありますか?」

「強いて言えば現代文か。我は自らの古き言葉を覚えておるからな。今生での言葉を学ぶのは面白い」

「そういえば、即興詠唱が得意と伺ってます」

「うむ。聞きたいか? しょうがないなぁ!」

「僕はちょっとお茶を飲んできますね」

 

 さらっと退席したぞ、乙葉w

 同期故に対処は心得ているな

 そのフリはしちゃダメだ、こよみん

 

 とはいえ、コラボに呼んだのに相手が気持ちよく帰って頂かないとホストとしては失格だ。

 ここは彼の詠唱を聞かねばならない。

 

 それに、俺だって男である。

 厨ニの心は理解できるが、それを公言するのは世間体があって難しい。全力全開でかましてくれる(おとこ)がいるなら、黙ってみているくらいなんてことはない。

 

 

「夜より深き闇の果てに燃える地獄の業火よ。我が求めに応じて今世に顕現せよ。我の名は漆黒の闇の王にして、地獄よりの帰還者なり。我の命により生きとし生けるもの全てを灰燼に帰し、魂すらも砕き、存在すらも残さぬよう燃やし尽くせ……」

 

「おおっ」

 

 恥ずかしげもなく高らかに唱えるその声に、俺のテンションが上がっていた。

 

 古詠未ちゃん、喜んでる?

 意外だ……

 いや、心はおっさんと言っていたし

 ちなおっさんだが、厨ニはムリ

 学生時代の自分を見るようでツライ

 あれ? ノイズ?

 

 そこで俺は気が付いた。

 webカメラの前に小さな火の玉が出来ていたのだ。音声にもパチパチとノイズが乗っている。

 

『こよみさん、マズいですっ! 配信を切って下さい!』

「えっ? いきなり終われって……」

『このままじゃ発動します! 被害が出ますよ?』

「えー、とちょっと早いですが今日はこの辺でお別れです! ばいありー!!」

 

 ばいありー

 我王君まだ喋ってるけどw

 ぶった切りこそ、我王のあしらい方よ

 黒猫にも切られてたよな……

 我王カワイソス

 こよみん、おつかれー♪

 ばいありー

 

 

 

 

 

 

 タブを閉じて、配信を止める。

 すると、目の前に出来ていた火の玉もかき消えるように無くなり、ノイズは当然のように静まった。

 

 

「……なんなの、コレ」

『通信にのせている魔力に、彼の術式が干渉したようですね。攻撃呪文を遠隔で発動とか、並の術者じゃないですよ』

「えっ?」

 

 何だかアイリスが変な事を言っている。

 

 それはつまり。

 

『我王神太刀は天才的な術者です。本人に自覚は無いようですが』

 

 

 ……良かったね。我王くん。

 

 君はれっきとした魔術師だったよ。

 

 

 

 

「おいっ、また途中で切られたぞ!」

「ある意味、君へのお約束なのかもしれませんね」

「信じてたのにっ!」

「無理でしょうねえ」

「ぬうぅ……」

 

 あの後こんな会話をしていたらしい。

 ほんと、ゴメンね(__)

 

 




 話してる最中に配信が切られるのがお約束になりつつある我王君でした。……ひでぇw
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。