気付いたらVTUBERを強要されていたおっさんJC 〜お空に監禁されて仕方なく〜   作:二三一〇

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 ハーメルンでは初めてで、VTUBERも初心者です。どうぞよろしくお願いします。

【美少女になってちやほやされて人生イージーモードで生きたい!】の二次創作になりますが、そちらに対してはリスペクト、という形で関わらせていくつもりです。




01 第一回配信……?

「あ〜、こんにちはー……」

 

 スピーカーから流れる声はとても愛らしい声だ。

 なのにその声色はえらくローテンションであり……あからさまにやりたくない空気を感じさせた。

 

 その声に反応するようにチャットの画面には次々と書き込みがなされる。

 

 こんにちわー

 初回挨拶からテンション低すぎて草

 あれっ? もしかしてやりたくない?

 こんなのを楽しみに待ってたのか、ワイw

 

 画面に映る少女は、たしかにやりたくなさそうに眉をひそめ、顔も俯いている。

 

 見た目が可愛いのは当たり前。

 彼女は仮想の存在、バーチャルミャーチューバーなのである。

 

「いや、やりたくないに決まってるよ。だって、監禁されて出られないんだよ? 配信しろって言われても納得なんて出来るわけないわ」

 

 え……監禁?

 事案発生て、マ?

 すぱしーばの闇は深い……

 やっぱ、あるてま戻るわ

 

 危険なワードにリスナーの側も若干引いたようだ。

 

「え、ひゃうっ? チョッ、イタ、いたいって!」

 

 おお?

 いきなりセンシティブ!

 ちょw なにしてんの

 

 画面の少女が何やら身悶えする。

 チャットの勢いが速くなる。

 

「ごめん、ゴメンナサイ! やめて下さい!」

 

 監禁されて、おしおきとか……ゴクリ

 あれっ? レーティング大丈夫、これ?

 なお、映像は変わりません(笑)

 ……公式設定とは一体w

 

 画面の中で苦痛に悶える少女の公式設定は、こんな感じだ。

 

 

 

「姫乃(ヒメノ)古詠未(コヨミ)。明るく好奇心旺盛な中学生風女子。(中学生とは言ってない)好きなものはカラオケ。(歌が上手いとは言ってない)ゲームはテレビゲームよりはボードゲーム派。(得意とは言ってない)子供の頃に異世界の国に行ったと公言するやや夢見がちな少女。『本人のコメント:竜とか妖精とか本当に見たの。みんなは信じてくれるよね!』」

 

 

 

 ややエキセントリックながら、そこに監禁やらおしおきやらの単語は一つとしてない。

 

「うう……ふう。アイリス、少しは手加減しろよ。うわぅっ! あ、わ、分かった! 言わないから、やめてやめて!」

 

 ……言葉の荒い少女が調きょ……ゲフンゲフン

 何をされてるのか、すげぇ気になる<●><●>

 いや、本当にコレ大丈夫? 通報した方がいいの?

 さすがにガチ犯罪とは思いたくないなぁ

 もっと捗る音声クレメンス

 

 興味を引く者、心配する者のコメントがずらずらと並ぶ。

 

「あ、通報とかはマジ勘弁。これ以上痛めつけられたら堪らないよ」

 

 ようやく痛みが収まったようで、画面の少女はそう言ってくる。

 とても嫌そうな表情を作り、さらに言葉を続ける。

 

「あらためまして、新人ミャーチューバー、古詠未ッス。暇人たちよ、こんにちわー」

 

 態度悪っ

 設定ミリしらかよ

 ダメな奴じゃねえ?

 可愛い声で適当な挨拶。俺には刺さったw

 

「あ? もっと丁寧に喋れ? そんな無茶な……敬語なんて会社の面接の時に使ったきりだよ」

 

 はい、アウトーッ

 中学生風女子。(中学生とは言ってない)

 もう、社会人なんだね……

 これが社会の闇か……

 

「あうっ! だ、だから、やめれって……うあっ!」

 

 またおしおきされてる……

 運営が近くでやってるのか。電流かな?

 これ、芸人枠じゃないか?

 捗るから、モットヤレ

 

 どうにも何かを話す度におしおきされていて一向に進んでいない。

 チャットもそれに気付いたか、進行はよとのコメントが増える。

 

「あ、はい。えーと、第一回ということで、マロを食べろとの指示が来てます。えーと、マロ? ああ、マシュマロ作ってあるんだ」

 

 つぶやいたーもあるけど……この感じだと作ったのは運営か

 プロフも公開情報と同じだし、そうだろうな

 事前準備全部されて、逃げようなくて草

 監禁されてて逃げられない(物理)

 

「いや、上手いこと言わないでよ。コホン。あ〜、それでは」

 

 

 はじめまして。

 古詠未さんは異世界からの帰還者らしいですが、どんなところに行っていたのですか?

 苦労話などありましたら教えて下さい。 

 

マシュマロ

❏〟

 

 

 

「あー……俺はさあ、あいてっ! バッカいきなりなんだって……ええ? じゃあ、僕は……」

 

 俺って言ったら怒られたらしい

 正直ボクっ子は萎えるんだが……

 わい、どっちも嗜むので問題ナシ

 ↑上級者がいるぞ

 

「僕がいたのは、みんなと同じ世界だよ? むしろ今のほうが異世界だよ……なんでこんな所に閉じ込められてんだよ……」

 

 某アニメの司令官のように手を組んで、うなだれる少女。その目には光がない。

 

 レ○プ目キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

 イイナ……エエナ

 言ってる内容は怖いけどな

 

「いい機会だから言っておくけど、僕はこんな事やりたくはないんだよ。おかしいな……どうしてこうなった」

 

 あれ、マジに事案発生なの?

 詳しく知らないから何とも出来ん。話してカモン

 

 リスナーの方も、落胆する彼女に少し気になり始めたようだ。彼女はぽつぽつと話を始める。

 

 

 

「僕は普通の会社員だったんだよ。まあ、統合とか株式化とかで苦労はしたけどさ」

 

 もしかしてわりと上級?

 それだけで判断できるワケない

 まだ話してるからw

 少女が、会社員……?

 

「仕事を終えて一杯ひっかけて……黒猫さんの配信見ながら寛いでたの」

 

 余所のライバー見てて草

 しれっと飲んでてw

 つか、すぱしーばってこの子以外おらんw

 そやったなぁ……立ち上げメンバーなのになぁ(嘆息)

 黒猫、良いよな

 毎度楽しみだわ、あの炎上芸w

 最近てぇてぇが増えて嬉しい

 ゆいまま以外にもコラボ増えたし……成長したな(後方腕組み勢)

 

 チャットはあるてまの二期生、黒猫燦の話が出てからはそちらの話題にシフトしている。

 本来は適度なところでやめるのがマナーではあるが、配信主がこれではやめようもない。

 

「……かわいいよねぇ、僕も最初から見てたけどさ。なんというか、頑張れって応援したくなるんだよ」

 

 分かり過ぎる

 古参勢か。やらかし具合はひどかったけどな

 

「僕もあまり人付き合いは得意じゃなくてさ。言ってる事がいちいち刺さってさぁ」

 

 それも分かる

 アレは明確に拗らせすぎだが

 

「先輩とか、友人とかと接していく事で成長していく姿が……なんともまぶしくてさ。だから応援してたんだよねー」

 

 落差は激しいほど面白いものな

 最初→ゴミクズ。今→二期生トップだもんな

 ゴミクズ扱いイクナイ

 

「ゴミクズとかやめなよ? 強い言葉を遣うと弱く見えるよ?」

 

 唐突に藍染w

 立派にこちら側だな

 他所で言うことではない(断言)

 スマソ 暫くROMるわ

 

「別に怒ってるわけじゃないよ? ただ、好きな人の事を考えて欲しかっただけだから」

 

 そう言って力なく微笑む古詠未。

 

 お、おう(照)

 笑うと可愛いなぁ

 ふむ、続けて

 ズキューンw

 

 たしかに少女の微笑む姿はなかなかに魅力的だったようで、好意的なコメントが増えていく。

 彼女はそれはあまり気にしたようでなく、言葉を続けようとする。だが、妨害する輩がいたようだ。

 

「黒猫愛を語ってる場合じゃない? ひぎっ? 分かったから、おしおきはやめれ!

 

 ダメ出しされて草

 隣に運営の誰か居るのかな?

 さっきアイリスとか言ってたけど……なに、てぇてぇ?

 

「そんな生易しいモンじゃないよ。鬼だよ、魔王だよ。……あいてっ!

 

 撃たずば撃たれまいに

 唐突に交戦してて草

 鳴く前に撃たれてるんだよなぁ……

 

 どうやら隣に誰かいるのは確定なようだ。

 仕方なく、話を再開する古詠未。

 

「配信見てたらいつものように寝落ちしそうになってたから……落ちる前にスパチャ投げてさ。んでベッドに横になったんだ。んで、目が覚めたらここにいたってわけ」

 

 スパチャ勢乙。時々いきなり投げる奴いるけど、そんな理由か

 ゲーム配信だと拾えない事多いよな

 

「とは言っても、最初は気付かなかったんだ。買い物しようと表に出ようとしたら、玄関の先が無くてさ」

 

 は?

 ドッキリ企画かな?

 今どきそんなレベルのドッキリ、やらないわ

 

「うち、マンションだから廊下の筈なのに、何故か何もなくて、周り見たら大空だったわけさ。何か悪い物食ったかなって不思議に思ったけど、昨日の夕飯カロリーメイドだし」

 

 夕飯に……シリアルバーとは一体

 なみだがでてきた……

 お嬢ちゃん、苦労してるんだね

 みんな飯の方ばかり気にしてて草

 

「いや、いつもはちゃんと作るよ? 食うよ? でも夜半過ぎだし、まーいっかーってなるだろ?」

 

 それで済むのは女子だけじゃいw

 太るし身体にも良くないと知っていてもやめられんw

 

「まあ、いいか。で、そんな訳で途方に暮れてたらスマホに着信があってさ。知らない番号だし普段なら出ないけど……こんな状況だとか出ざるを得ないじゃん?」

 

 同意を求められても理解不能

 そんな状況になってみたいわw

 知らん番号出るのって勇気いるよなぁ

 

「そしたら、なんか出てきたんだよ。画面が光って、気づいたらそこから鉢植えが出てきたんだよっ」

 

 うん、意味分からんw

 出てくるのは美少女が定番だろっ しっかりしろ!

 親方っ 空から女の子がぁ!

 定番を外してくる、使えない

 そもそもなんで鉢植え?

 

 色々と文句が出てくるが、反論の余地は無さそうだ。意味が分からないのはこちらも同じだ。

 

「スマホから出てくるだけでも驚きなのに、そいつは喋ってきたんだ。『私と契約してバーチャルミャーチューバーになってよ』って!」

 

 Q○えかよ(笑)

 あれは怪生物だけど喋りそうだが……花は喋らんよなぁ……

 お花と話す美少女……あると思いますw

 

「正直言って、勘弁してほしいんだけど……アイリスの言う事聞かないと戻れないとか言われたら選択肢無いじゃん? あ、その鉢植えの花の名前ね、アイリスって」

 

 アイリス……植物界被子植物単子葉類キジカクシ目アヤメ科アヤメ属

 解説ニキ乙。だから何だと言う話だがw

 

「そんな訳で苦労話は現在進行形。どこに行ってたかの話だけど……僕のいる部屋はそのままなんだ。何にも変わらずにね。でも、外は高度何メートルかも分からない大空なんで……空としか言えないなぁ」

 

 (アイリス)と紡ぐ、空の物語w

 誰がうまいこと言えと言った草

 真面目なのか不真面目なのか、よく分からん子やなぁ

 言ってる内容は荒唐無稽だけど嘘言ってるようにも聞こえん……演技派?

 この界隈、ある程度キャラ作るのは当たり前だからな。異世界行くとかとかワリと普通だろ

 悪魔とか犬とか前世大福とか……まあ何でもありだもんw

 

 

 

 

 

 

 

 

 第一回ということもあって、この後しばらくしてから配信は終了した。

 

 

 それを見届けて、俺はようやく息をつく事が出来た。

 

 

 横から声がかけられる。

 この部屋には、俺以外の人はいない。

 話しかけてきたのは、俺の横に鎮座している鉢植えだ。

 

 

『お疲れさま、こよみさん』

 

 

 青から白へと綺麗なグラデーションをしたアヤメのような花である。

 くねくねと動く鉢植えの花に向かって、俺は毒づいた。

 

 

『お疲れさまじゃないよ……何だってこんな事させられたんだよ。まるでネカマじゃないか』

 

 

 

 こいつは物理的に喋っている。

 念波とか心の中にとかではなく、空気を振動させて話していた。

 口もないのにどうやって発声しているのか、甚だ疑問である。

 

『あら、私が付いてる時は正真正銘女の子よ? 胸触って確認したのも知ってるんだから♪』

「ばっ……それはほら、いちおう確認しておかないとなぁ」

 

 俺はドギマギとしながら言い訳のような事を言う。

 いや、言い訳なのは自覚しているけど。

 

 いや、本当に。

 どうしてこうなった?

 

 

 

 

 

 

 

 ──慣れ親しんだ部屋の中に突如現れた変な花。

 その部屋は大空にポツンと浮いたような状態にあって、外界との接点は殆ど無い。

 

『バーチャルミャーチューバーになって、チャンネル登録百万人を突破すること。これが達成出来たら、あなたを外界に戻す事が出来るの』

「なんでだよ……」

『あなたの身体を形造るには、多くの人の心の力が必要なの。今の私の力では、ここに匿っておくくらいしか出来ないから……』

 

 

 なぜ、こんな事態になったのか。

 なぜ、この花がそんな事を望むのか。

 いろいろな疑問がある。

 

 

 一つだけ分かっている事は。

 

 

 俺の人生は、とっくに別の方向へ加速しているという事だけだ。

 

 




 特殊タグとか使いこなす煉瓦ママしゅごい……

追記。
 頑張って特殊タグ使ってみたよ。
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