気付いたらVTUBERを強要されていたおっさんJC 〜お空に監禁されて仕方なく〜 作:二三一〇
東二局
十六夜桜花 23000
神夜姫咲夜 31000
夏波結 23000
朱音アルマ 23000
『ポンじゃ』
『神夜姫選手、東をポン!』
『ダブ東で二翻。他家は苦しいですね』
『ポ、ポンです!』
『ありゃ、ドラ鳴かせちまったか』
『夏波選手、アルマ選手の八筒をポン。これで結選手はドラ三確定!』
結さんはこの時九筒を切ってたけど、後から二枚引いてきて涙目だった。麻雀あるある。でも手牌に対子が多いから対々和狙いも出来る。
『その三筒、チーだ』
『筒子の二三四を晒して、十六夜桜花が聴牌』
『タンヤオ形に見せての筒子の混一色です』
結さんの八筒明刻、河の九筒二枚と筒子の上の方への警戒が薄くなっている所に六九筒待ち。タンヤオなら九筒は無いと振り込むケースは意外とある。混一色ドラ一自風牌の四翻と満貫級である。
『ツモ。ダブ東、1000オールじゃ』
『神夜姫選手、一萬をツモった!』
『親なら安くても和了るのは当たり前です。連荘は親の特権ですから』
十六夜桜花 22000
神夜姫咲夜 34000
夏波結 22000
朱音アルマ 22000
東二局一本場
『その北、ポン』
『オタ風の北を一鳴きしました神夜姫選手』
『後付ありですからね。対子の東がありますので先に固めたのでしょう』
『やれやれ、暴風が始まったか? 西、ポンだ』
『飛ばされるなよ?』
『アルマ選手、自風の西をポン』
『普通の麻雀なら無理には鳴かないですよね。このルール本当に点が伸びない仕様ですね』
自風は攻防に便利な牌だ。自分以外には使えない事が多いので安牌として切りやすい。
アルマ選手の手は順子多めの平和形。もっと伸びる手なのにこのルールでは勿体ないな。
『おっと、神夜姫選手。東を引いてきました! なんてヒキでしょう!』
『……連続でダブ東とか、あり得ない』
『ちっちっちっ。こよみん、そこは『なかなかの偶然ですね』と言わなきゃ』
『な、なかなかの偶然ですね?』
『はいっ! ありがとうございます!』
『……ええ?』
後から知ったが、原○和と並べた切り抜き動画が上げられていたそうだ。タイトルは『同じセリフでの格差社会(笑)』だそうだ。
俺はその日、黒い焔が燃え上がるのを自覚した。
『当たらなければどうと言うことはない!』
『十六夜選手、某赤い人の名台詞を言いながら現物の三筒を切る。セコい!』
『あのですね、河から判断するのは難しいので致し方ないかと』
『おっと、ゴメンねこよみん。ねー様を悪く言ったつもりはないんだよ〜?』
『べ、別にねー様を擁護した訳じゃないんですけど!』
『ツンデレテンプレありがとうございます!』
『だから、さっきからなに言ってるんですか? きりんさん!?』
これも後ほど切り抜かれてたりする。
つまり彼女は、切り抜きやすい状況を作り出していたのだ。
これがプロのVtuberというものか。
来宮きりんに本当の意味の戦慄を覚えた瞬間だった。
それはともかく。
この局はこれで終わる。
朱音アルマがそれで和了るからだ。
『ロン!』
『なっ……』
『注意力散漫だぞ? 敵は他にも居るんだ』
『おっと、アルマ選手の和了役ですが、見慣れないものがありますね?』
『
朱音アルマ ドラ {7}
{①②四赤五六789⑤⑤} {西横西西} ロン {③}
三色通貫は一気通貫を三種の数牌で繋げる役で二翻、食い下がり一翻。花龍、西、ドラ一、赤五一。7700の一本場で8000となる。
『よく知ってるね? なるほど、解説に招かれたのも頷ける』
『コヤツ、この役が好きでの。卓を囲むと必ずやるのじゃよ』
『牌が寄ってくるんだから仕方ないだろ?』
牌が寄ってくるときたか。
朱音アルマも、尋常ならざる奴かもしれない。ていうか、三色通貫あるとは思わなかった。後でローカル役も確認しておこう。
十六夜桜花 14000
神夜姫咲夜 34000
夏波結 22000
朱音アルマ 30000
東三局
『東三局、親は夏波選手になります。この濃いメンツ相手にどこまで善戦できるのか? そして、十六夜選手はドベを回避出来るのかっ?』
『最下位にならない、というのは端的に言えば最下位を別の人にすれば良いわけです。つまり、三位の夏波選手をまくればいいわけです』
実況席の声を聞いて、元気づくねー様。ちなみに原因の二人はニヤニヤしてやがる。
『夏波結。あなたに恨みは無いがここは狙わせてもらう』
『お、お手柔らかにね?』
十六夜桜花に答えたあと、こちらの視線に気付いて愛想笑いをしてくる結さん。その瞳に良からぬ考えをしているのが透けて見えた。
そんな事はさせるわけにはいかない。
俺は会場にマイクを繋げて語りかける。
『ねー様、いいですか?』
『! こ、古詠未っ!? すまないっ 不甲斐ない姉を許してくれ!』
『許しません!』
『そ、そんな……』
『体裁を繕うとか、弱者を狙うとか。違うでしょう! あなたはいつも、勝つ事を考えていたはずだ』
周りの雑音が消えていく。
おれと、十六夜桜花。そしてその成り行きを見守る人しか、感じない。
だから、恥ずかしげもなく言い切る。
『自力で、勝つんです。あなたにはそれが出来る! 僕のねー様なんだから』
こんな恥ずかしいことは……言いたくなかったのだけど。
『ふふ……、まさか義妹に諭されるとは。こんなに嬉しいことはないっ!』
ふあっはっはっは、と高笑いをする桜花ねー様……少し頭おかしくなったんじゃないかと心配になったりしたけど、どうやらそこまではいかなかったらしい。一頻り笑うと不敵な笑みを浮かべて、彼女は宣う。
『そういう事だ。この
『ふむ……口の端では
『行動で示してみな』
睨み合う三人だが、桜花ねー様が視線をそらし結さんに向き直る。そして、頭を下げた。
『みっともない真似をする所だった。済まなかった、夏波結』
『……ううん。そんな事、ないよ? 私も……』
『え?』
『体裁とか、考えてたし。うん、良くないよね。私も頑張るから、ちゃんと勝とうね! 桜花さん』
『あ、ああ。望むところだ』
結さんに自爆チョンボをさせまいと、ねー様に発破をかけたわけだけど……。なんだか、結さんにもかかったようだ。
それまで冴えない表情の多かった結さんだけど、いつものように笑ってこちらを見てくれる。
神夜姫とアルマは、少しは楽しめるかと笑みを浮かべている。こちらは余裕ありそう。
『さあ、話も纏まった所で試合再開です!』
『ポン!』
『三筒をポン? この巡目で?』
『ふむぅ?』
『夏波選手、皆に首を傾げられつつ三筒を鳴いた』
『僕も、ですけどね』
親の三巡目、タンヤオや染め手に見えると思う。ただし、それは誤りだ。一筒の対子と北の対子がある。さらに言えば二筒はすでに暗刻だ。
夏波結 ドラ {6}
{①①②②②④68北北} {③③横③} ツモ {7}
『四筒を切り出しますが、これ役無しじゃないですか?』
『一筒で三連刻というのがあります。しかし索子落としで混一色や清一色に行った方が伸びるので……あまりいい鳴きとは言えません』
普通の麻雀なら鳴かないし、このルールでも勿体ない。しかし、どうもそうではなかった。
『ロン。三連刻、ドラ一。5800です』
『……? お主、なぜ三筒を鳴いた?』
『揃ってるのが見えたから、つい』
『ふむう……?』
夏波結 ドラ {6}
{①①②②②678北北} {③③横③} ロン {①}
結さんが素人らしい返答をする。
神夜姫も早い巡目とタンヤオならとふんでの一筒切りだ。彼女にとっては交通事故のようなものかもしれない。
しかし、三連刻を狙ったかのような手作りは謎だ。鳴くにしても普通は索子は落として染める。又は他の役牌が来るまで待つ。
鳴かなきゃ和了れないルールゆえの特殊性なのかもしれないけど……
十六夜桜花 14000
神夜姫咲夜 28200
夏波結 27800
朱音アルマ 30000
東三局一本場
『夏波選手の三連刻が決まり、一本場』
『親は順当にタンヤオでいいでしょう。赤五筒があるので悪くはないです』
『対して神夜姫選手、アルマ選手の所は萬子多めですかね? 十六夜選手は自風の西の対子以外はあまり良くはなさそうですが』
『それでも戦うのが麻雀です』
『至極ごもっともw』
結さんは字牌を一つも引いてこない。引きがいいな。
『ポン』
『夏波選手、アルマ選手の八索をポン』
『ポンだ』
『今度は十六夜選手、九索をポン!』
『自風を後に付けるつもりですね。しかし点差を考えるとこれだけではなんとも不安です』
それでも、進む姿勢は悪くない。ドラの白を二枚引き込んで自風、ドラ二の形まで持っていった。
『神夜姫選手とアルマ選手、お互い四萬と六萬を二枚ずつ抱え込んでます』
『シャボ待ちでお互いの当り牌を握り込んでるとは。周りの二人もいい迷惑です』
『西、ポンだ』
『ここで十六夜選手、念願の自風をポン』
『萬子の赤五を切った? ねー様、強気!』
『ふぬぅ……チーか』
『神夜姫選手、聴牌を崩して、鳴いた! 萬子の四五六を晒して、一萬を切る』
『あれっ? 全員テンパイしてる』
十六夜桜花 ドラ {白}
{八九①②③白白} {西横西西} {9横99}
神夜姫咲夜
{二三四六②③④567} {横赤五四六}
夏波結
{23344③④赤⑤⑧⑧} {88横8}
朱音アルマ
{二二二四四六六⑥⑦⑧} {横345}
神夜姫とアルマは待ちが悪い上にお互い握っていると考えているらしい。こうなると俄然有利なのは二五索待ちの結さん。だが、ここで彼女がツモったのは七萬。
『ロン! 自風牌、チャンタ、ドラ二。7700の8000』
『あちゃあ〜。ダメだったか』
『夏波選手、七萬を無雑作に振ったー』
『親なら突っ張るでしょうね、仕方ないです』
十六夜桜花 ドラ {白}
{八九①②③白白} {西横西西} {9横99} ロン {七}
十六夜桜花 22000
神夜姫咲夜 28200
夏波結 19800
朱音アルマ 30000
東四局
『さてCグループもオーラス。』
『予想以上に接戦でびっくりです』
『このままトップを行かせてもらう』
『やらせるものかね? 妾の本気、見せてやろうぞ』
『今まで本気じゃなかったとか、負け惜しみにしか聞こえんぞ?』
『ふふ、楽しみにしておれ』
『あはは……』
『結ちゃんだけ浮いてますね!』
『頑張って下さい』
いや本当に。
そして対局が始まるとすぐに異変が現れる。
『ふむ』
『手牌に中暗刻のあるアルマ選手、東を切る』
『役牌のみで一向聴。親ですし』
『ポンっ』
『おっと、夏波選手東をポン!』
『タンヤオの方が伸びそうですが、ルール的には正しいですね』
『ポンじゃな』
『今度は神夜姫選手。アルマ選手の一索をポンっ』
『九索、一萬の対子に自風の暗刻……チャンタか』
『カンッ』
『十六夜選手、神夜姫選手の南をカン!』
『自風ですけど……ナニコレ、展開速い……』
そしてここまで河に一牌も無い(笑)
ちなみにドラは三筒と六索になっている。
『忙しないのう』
『神夜姫選手、六索切り』
『! チーです』
『夏波選手、赤五七を倒して二筒切り』
『大胆な捨て牌に即座に対応しました』
『いいな、ソレ。チー』
『今度はアルマ選手が一三筒を倒して九筒を切る』
『本当に呼び寄せてる感じですね、アルマ選手』
怒涛の展開だが、アルマはすでに張っている。
朱音アルマ ドラ {③} {6}
{四五六7899中中中} {横②①③}
残念だが今回は
僅かな気配を察知したか、それまでの鳴き合戦が嘘のように止まった。
そして、呆気なく終わることになる。
『カンじゃ』
『神夜姫選手、ツモの一索を加カン!』
ここで、まさかの横槍が入る。
鋭き穂先が、月の姫を抉った。
『ロンです!』
『な……?』
『?』
『槍カン、だと』
夏波結 ドラ {③} {6}
{六七八23③③} {東横東東} {横6赤57} ロン {1}
『夏波選手の槍カン、場風、ドラ三、赤五一の六翻! 跳満直撃ー!』
『うお……
『すげえ。あたしも初めて見たよ』
『な、なんということじゃ……わらわは初戦敗退とか……』
『まあ……ドベにはならずに済んだが』
三者三様の反応だが、コメント欄はえらい勢いで加速している。『すごい、ゆいまま!』、『かっけえ、しびれるぅ』、『このまま雀プロかな?』などなど。
見ていた参加者も驚きは隠せないようだ。
『ゆ、結っ 凄いっ! 鬼強だ、にゃ!』
『ありがとう。燦の分まで、頑張るからねっ』
黒猫と嬉しそうに会話する結さん。
微笑ましい光景に、頬が緩む。
『こら。なに、浸ってるの〜、まだ仕事は終わってないのよ?』
『あ、すみません』
素直に謝ると、きりんさんは頷いて言葉を続ける。
『さて、予選Cグループのトップ通過は夏波結さんに決まりましたー。夏波選手、何かコメントお願いします!』
『あ、はい……頑張ったから、キミも頑張ってね』
その視線は、実況席へと向けられていた。
それは、つまり。
『……ああ。僕もすぐに、そっちへ行くから! 待っててね、結さん』
『……うん♪』
俺の言葉に、彼女は笑顔だけで応えてくれた。
『あ〜あ、負けた負けた』
『有り得ぬ……こんな』
『加カンとかしないで振ってれば満貫止まりだったのに』
『ふぐ……アルマがイジメる……』
『助かったのだが……釈然としないな』
『負けたんだから、そりゃそうさ。』
『そうか……ボクは、負けたんだな……』
『あんたたち、早くはけなさい。シッシッ』
十六夜桜花 22000
神夜姫咲夜 16200
夏波結 31800
朱音アルマ 30000
Cグループ トップ 夏波結
ローカル役がいくつか出てます。
世間一般では通用しないのも多いので、卓を囲むときはきちんと確認してね!
なお、この対戦で使っている麻雀ゲームは、かわいいアバターのいないオリジナルです(笑)