気付いたらVTUBERを強要されていたおっさんJC 〜お空に監禁されて仕方なく〜   作:二三一〇

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 ご都合展開が目白押しです。

 だが、それがいい。

 という方はそのまま宜しくお願いします。



29 こよみ無双

「よすんだ、古詠未。周りから狙われている」

 

 部屋の影、壁の向こう、天井や床からも、監視されている。当然、壁抜き用の銃だろう。

 拉致してきた以上、俺を殺すために配置されてる訳じゃない。となると。

 

「京介さん、ちょっと」

 

 ちょいちょいと手で呼ぶ。彼はなんだか辛そうな面持ちでこちらを見下ろしていた。

 

「済まない、こんな結果に……」

「謝罪はいいのでちょっとしゃがんで下さい」

「……ん、ああ」

 

 別離の言葉でもかけると思ったのだろうか? 奴はニヤニヤとこちらを眺めている。両手を京介の首に回し少し瞳を潤ませると、京介もそう察したのだろう。目を閉じて俺の抱擁を避ける事はしなかった。

 

 男ってチョロくね?

 

「お返し♪」

「え?」

 

 回した腕の袖を持って、くいっ。袖車締めであっという間に京介が落ちた、物理的に(笑)

 変なワンピースに着替えさせられてたから楽だった。ゴトリと、京介が床に落ちるので、掴んで仰向けにしておく。まあ、気道確保しておけば大丈夫だろ、鍛えてるみたいだし。

 

「……? 今のは、魔法か?」

「何でも魔法に見えてんのか? ただの技、技術だよ」

 

 振り返り、そう言う。

 しかしやりにくいな、この服。お誕生日の子供かよ。ひらひらでフリルいっぱい、本当にお姫様扱いかっての。

 

「君のような子供が、スリーブチョーク? そんな事が……」

「なんでもやりようだよ? それより先に聞きたい。すぱしーばの職員は生きてるのか?」

 

 この顔だと凄んでも効果は全くないらしい。奴はニヤけ顔を歪ませて得意げに語る。

 

「ああ、もちろん。ただ、素直に話をしてくれなくてね。少々手荒に扱ってしまった」

「連れてこい」

「あ? はは、さすがはお姫様だな。人を顎で使うのが上手い。おい、連れてこい」

 

 そう言うと、影に潜んでた奴が二人、居なくなった。別にどうこうするつもりはないけど、職員が来るまでは自重するか。

 

「待ってる間に、少しいいかね?」

「ご期待にそえるかどうかは分からないけど?」

「ふむ……では、すぱしーばとはなんだね? ロシア潜入員からの報告では、ズドラーストヴィチェの一部が日本法人として独立とあったが」

「……詳しい事はこっちも知らされてない。ほら、子供だし」

 

 そう言ってやると、少し苛ついたようだ。けど、実際にすぱしーばという会社に関して俺の知る事はあまりにも少ない。

 むしろこっちが聞きたいくらいだ。

 

「君の本名は殿田莉姫(レキ)。日本人男性、殿田暦の娘とある。母の欄は空白。母上は誰かね? 亡くなったのか、存命中か、何人なのか?」

「知らないー。自分、赤ん坊の頃の記憶とか憶えてんの?」

 

 まあ、実際母親なんていない。あえて言えば実家の母だが、そんな事を教える必要はない。

 実家の話題は出来るだけしないようにしてるのだ。殺されるからね、親父に。

 

「では、父親だ。ズドラーストヴィチェに海外赴任とあるな。前職のHLインテグリティーでも海外赴任が多いようだが?」

「便利使いされてただけだよ。あそこの専務、人遣いが荒いんだよって……親父が文句言ってたっけ」

 

 アブな。つい、おっさんの愚痴言うとこだった。その辺は普通に情報が残ってるのか。やっぱり暦状態の話題は避けるべきかな?

 

「ふむ……では、質問を変えようか。君はなぜ魔法が使えるのかね?」

 

 ま、そうなるよな。

 

 でもさ、それは俺も知らんのだ。

 アイリス達の言うように歌ったらそうなっただけの話であって、俺が望んで使える類のモノじゃないんだよ。

 

『使えるわよ?』

 

 え? そうなの?

 脳内に響くアイリスは、この状況でも緊迫してないようだ。俺もそうだが、コイツもなかなかに強心臓……あ、無いのかな? お花だし。

 

『失礼な。こよみさんを信じてるからよ?』

 

 信頼に足る事はしてないと思うが、まあいいか。それで、どうやりゃいいの?

 

『唱術は基本として広範囲に影響を及ぼすために唄という形を使うのだけど、ごく狭い範囲に効果を出すには単音節から数節の詠唱で事足りるわ』

 

 そうなんだ。でも、その唄? を覚えていないし。

 

『基本的な唱術は、使おうと思えば思い出せる筈よ? 治す、とか攻撃、とかのイメージから出てくるからそれをなぞれば使えるの』

 

 意外と安易に使えるのか。

 この辺の事は教えるわけにはいかんな。

 

『教えても使えないわよ。素質が無いし。こよみさんは特殊な処理が施してあるけど、本来は唄も覚える必要あるし』

 

 そういやそうか。誰でも使えるんなら、奴もこんな事はしないよな。で、その当人は俺が長考に入っているのでイラついていた。

 

「答えられないのかね? それではお仲間に聞いてみようか」

 

 ドアからさっきいなくなった奴らが戻ってきた。そして、連れていた人間を投げ捨てる様に床へ置いた。

 

「……」

 

 見たところ、男性のようだ。プリムラやダマスケナだったらどうしようとか思ってたけど、そうでなくて一安心。

 

 あらためて見ると、なかなかにエゲツない尋問をしたようだ。ぱっと見で右手の爪が全部無いとか、頬が膨れてるのでしこたま殴られたか、歯でも抜かれたか。手足の骨は大丈夫そうだが鎖骨が折られているのか、腕の動きがかなり良くない。

 

 とりあえず炎症を抑える為の投薬くらいはしているみたいだが、役に立ってないのか熱に浮かされているようだ。

 

「こ、……こよみ、さま……」

 

 そんな彼がこっちを確認したのか、か細く声を出した。俺は近くに行くと、側に座り様子を窺う。

 

 あいにくと、名前を覚えている人ではない。あんな会社でも百人以上いるので全員は覚えてない。

 

「サンプルとして多少痛めつけておいたよ。さあ、その御業を以て、彼を助けてあげ給え」

 

 サディストである事を隠そうともしないコイツにムカッ腹が立つが、それは後回しだ。

 

「……いけ、ません……私などに……」

「気にすんな」

 

 にかっと笑ってやると、唄を歌い始める。

 

「♪ るーぅてぁあ、とぅれふ、ぇえらとぅぅあー……」

 

 酷い有様をすべて治す。そう思うと浮かび上がったのはかなり長めの歌詞だ。

 それを間違えないように歌う。アカペラなのでちゃんといけるのか自信はなかったが、そのイメージも一緒に伝わってくる。

 

 俗な言い方だが、カラオケのようなものだ。

 

『ちょっとちょっとこよみさん。その術って最高レベルの奴なんだけど』

 

 アイリスが焦ったように言う。

 きちんと治したいという思いから出てきたのがこれなのだから、俺は悪くない。

 

 一通り歌い終わると、体力がごっそり抜かれたような気分になった。まあ……運動には申し分ないけど。

 

 目を開けて見ると、倒れていた彼の身体はほぼ元通りになっていた。破れた服とか、付いた血糊とかはそのままだけどな。

 

「……おお、まさか、これほどとは……」

 

 奴が目を見開いて驚愕している。驚いているのは彼の方もだ。いや、まあ俺もだけどね。

 

「もうしわけ…ありません……」

「君だけじゃない。プリムラやダマスケナがなっても同じようにするよ」

 

 まあ、あの二人にやったらボコすけどな。

 あ、でも今からボコすけどね。

 

 ともかく彼が起きているのはマズいので寝かしておこう。頭側に回り、膝に抱くような形にして。

 

「ちょっと眠っててな」

 

 そう言うと、首に腕を回して頸動脈をクイッと押す。うっと呻いて、彼が落ちるので同じように気道を確保して寝かせた。

 

「そ、それも魔法、かね?」

「あ? 節穴か。ただの関節技(サブミッション)だよ」

「いや、君みたいな子供が……」

 

 このくだり、さっきもやったよね? 年取るとこういうのやるよなー。

 御託を並べてる所で悪いが、素早くダッシュして低い姿勢からの正拳を食らわす。

 ぐにょりといった嫌な感触に顔をしかめる。

 

「おごぉあ……!?」

 

 Nとか抜かす奴の金的を打ち抜いてやった。

 我ながらイヤな絵面だな。成人男性の股間に手を埋める中学生とか、字面だとなんか卑猥だし。

 

 奴が前のめりになって倒れる前に、近くの一人に足払い。姿勢が低くなった所に喉へ向けての掌底。

 喉仏の辺りに当たったからヤバいかもしれんが、今はもう一人を殲滅せんと。

 

「このっ」

「つっ」

 

 もう一人が前蹴りを放ってきた。やっぱ素人さんではない。けど、足らないな。姿勢を低くして避けつつ軸足の脛と足の甲との間に蹴りを打つ。

 

 この部分、大抵は防御が薄い。まあ、関節だからね。力が無いので粉砕とはいかず、痛めた程度か。

 男は上から掴みかかってこようとする。

 体重のある人間の押さえ込みはいつだって強い。

 

「ほい」

 

 なら、掴まれなければいい。

 軸足にタックルするように動き、体勢を崩す。前蹴りした足はまだ安定していないので、つんのめるように転ぶ。

 

 そのタイミングで、持っていた足の踵と足先を持って勢いよく曲げる。グギリッという音と共に足は正しい方向から九十度曲がった形になった。

 

「ぐわっ?」

「はい♪」

 

 男がダガーナイフを取ろうとしたので、その手を掴み小指を折る。この辺、躊躇うとこっちがヤバいので遠慮なくやる。

 

「ぐおっ……このっ!」

「まだ戦意あるの? すごい♪」

 

 わざと可愛く言ってみた。

 反対側なのでナイフは取れない。だから、上体を浮かせて上に乗ってる優位を無くそうとしている。ならば。

 

「ぎゅー♡」

 

 背後から抱きついてのチョークスリーパー。

 あっという間に静かになった。でも、少しそのままにしておく。気絶したフリとかする奴もいるからね。

 

『相変わらず、エゲツない……』

「身体ちっこい分、動きやすいよな。筋力に頼らない制圧術、あると思います!」

『いや、無いでしょ?』

 

 アイリスとの会話をする余裕は出たけど、配置されてる奴らはどうしよう。乱闘が起こってもこちらに来ない所を見ると、Nの奴からの直接指示なんだろうけど。アレが昏倒する声は聞いてるはずだし。まさか無差別に撃ってはこないだろうけど、こっちに突入してくる可能性はあるだろう。

 

『それは、なんとなるかもよ?』

 

 アイリスがそう言うと、周りから悲鳴が聴こえた。銃撃の音も多少はしたけど、すぐに静まる。……なに?

 

「こよみさまーっ! 何処にいますか?」

「フェティダ? なんでこんな所に……」

 

 すると、フェティダとその他、すぱしーばの連中が事務所になだれ込んできた。各々、手には何やら楽器のような物を持っているから、緊迫した場面なのになぜかほっこりする。

 

 まあ、彼らには武器なんだろうけどな。

 

 都合良すぎだろ? と思っていたら、アイリスが種明かしをしてくれた。

 

『さっき治癒術を使ったでしょ? アレを観測してたと思うの。それにしても早かったけどね』

 

 そういや、Nの奴がそんな事言ってたか。それをフェティダに伝えると、周りの奴が散らばって機材などを調べ始めた。当のフェティダは俺との会話を優先した。

 

「ご無事でようございました……」

「んな、大袈裟な」

 

 フェティダは涙交じりにそんな事を言うときつく抱きしめてきた。

 お、おう……意外と豊かな膨らみといい香り。女の人ってな、なんでこんないい匂いさせてるのかね? 体臭対策とか無粋な事は、ここではナシな。

 

「アイリス様もご無事ですね?」

「頭ン中で元気だよ」

 

 文句を言うアイリスを無視して、フェティダの話を聞く事にする。あ、当然、身体は離してもらうよ? こっちが落ち着かないもの。

 

「しかし何者でしょう? 主要国家の首脳陣には大体根回ししてありますが……小国の諜報部でしょうか?」

「こっちの世界は民間企業が国の下請けすんだよ。荒事や非合法、表沙汰に出来ない仕事なんかをぶん投げるんだ。責任問題にならないように、しかも思う通りに動かそうとしてな」

「……少々甘かったようですね」

「今回の件は一部の諜報員の小遣い稼ぎみたいだったけどな。魔法の絡んだ先進技術だけでもすぱしーばは注目される筈だ。いずれ、大事になると思うぞ?」

 

 他の社員たちは倒れている奴等を拘束したり、落としていた社員と京介の介抱をしている。別の奴が入ってきて、全て制圧したと報告していた。

 

 戻ってない工作員の追跡とかは任せてしまおう。差し当たっての問題だが、京介だ。

 

「フェティダ。記憶の消去とか出来るか?」

「……出来なくはありませんが」

「相葉京介の記憶を操作してほしい。出来れば、昔の記憶も」

 

 Vtuberをしていた時の楽しそうな声を、俺は何度も聞いている。短い付き合いだけどそれくらいは分かる。もしこの稼業を続けていたら……京介はいつか命を落とす事になる。

 

 それは、あまり好ましくない。

 気のおけない男性Vtuberなんて少ないんだから。

 

「消すだけなら可能です。ですが、整合性を保ったままとなると私では……」

 

 どうやらまともな人間としては生きられなくなるようだ。まあ、あいつらはそれでもいいけど……京介までそうなるのは、少し気がひける。

 

『それなら私がやりましょう』

「え? アイリス、お前出来るの?」

 

 いきなりアイリスが口を挟んできたので驚いたけど。でも、こいつも向こうの存在だから魔法は使えるんだ。

 

『本当はあんまりやりたくないんだけど、ね』

「京介のためだ。我慢してくれ」

『あなたも嫌な目に合うんだけど?』

「は?」

 

 まさかここで分離とか言わんよな。

 そう思っていたらフェティダがNの奴を含めて全員部屋から放り出した。当然、社員達も。

 

「……?」

 

 

 

 ──そして、準備が整った時に。

 俺は果てしなく後悔していた。

 

 

「……なあ。やっぱやめねえ?」

『彼にアシを洗わせたいんでしょ? 私だって恥ずかしいんだから///』

 

 上半身裸になった京介が横になっていて。

 俺はその上に馬乗りに乗っている。

 何故か、下着姿で。

 

『余計な物が多いとそれだけ邪魔されるのよ。本当は裸の方がいいんだけど、さすがにそれは、私も……ヤダし』

「いや、まぁそうだが……仕方ない。ちゃっちゃとやろう」

 

 ちなみにフェティダは、動画を撮ろうとしていたので追い出した。夜の倉庫の事務所に、男女二人が密室……キーワードだけでもすごくヤバいな。

 

『額を合わせるように……そう』

 

 アイリスの指示どおりに額を合わせる。

 京介の日本人のわりに彫りの深い顔が間近にあって、少し緊張する。今は少女の身体のせいか、やたらと気になる。

 

『いいわ、同調がうまくいってる……そのまま頭を空っぽにしてて。私が唄うから』

 

 京介の頭を抱えたまま、歌が奏でられる。

 そして、そのまま……意識は深く沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『この度は、大変ご迷惑をおかけしました』

 『本当ですわよ。いきなり煙幕かまして逃げるとか。忍者ですの? それより、なんで古詠未を連れ去ったのかの弁明はどうなってますの!』

 

 

 すぱしーば枠で緊急で配信された謝罪会見。

 あの事件からは三時間半後だから、すでに二十二時。

 じいやさんや警護の人共々、すぱしーばの人間に眠らされていた神代のお嬢様にも同席してもらっての配信になった。

 

 剣幕としてはかなりマジなのだが、言ってる事が現実味が無いのでいまいち姫穣も乗れてない感じだ。まあ、煙玉で身を隠すとかありえんもの。仕方ない。

 

 『古詠未が可愛すぎるのがよくない』

 『ふあっ?』

 『同意します。ですがそれでは答えになってませんわ! 動機ではなく、何をしていたのかを聞いてますのっ! 古詠未、あなたも何かおっしゃいな! ナニもされてませんよねっ?』

 『リース様、発音おかしい! 僕はなんともないよ? 京介さんがドライブしたいって言うから』

 『ド、ドライブ? あなた、古詠未を拉致ってドライブに行っていたの?』

 『あの音が聴こえてしまったからね。世界の果てを駆け巡る、あの音が』

 『ぶふっ! 懐かしいっ』

 『なにを言ってますの、古詠未!?』

 

 納得している訳はないのだけど、いちおうそういう事にしておいてもらうようにお願いをしておいた。後日、京介とのドライブの様子を配信で流すとの話にもなっている。当然、この配信が終わってから撮りに行くんだけど、ね。

 

 それにしても、ウ○ナ知ってるとか京介もなかなかやるな。

 

 京介、やべぇw

 あの音が、聞こえちゃったのかぁ……

 じゃあ、ちかたないネw

 おい、このネタ分かる連中多過ぎね?

 京介非難してた奴等が軒並み仕方ないとか(笑)

 いざ、逝かん! 世界の果てに(笑)

 

 なんだかコメントも流れも良くなったな。炎上騒ぎもこれでなんとかごまかせるかな?

 

 『と、ともかく。今度はわたくしがドライブに連れて行って差し上げますわ。そうだ、夏波さんもお呼びしましょうか?』

 『えっ? ほんとう? 嬉しいよ、リース様!』

 『少し引っかかりますが、まあいいでしょう』

 『良かったな』

 『うん! 京介さんも、今日は楽しかったよ♪ ありがとう』

 

 

 

 

 勢いだけで謝罪配信を終わらせた。

 被害を受けた俺が何でもないという限り、噂とかはそのうち消えていくだろう。実際に何もされてないし。むしろしたのはこっちの方だ。

 

 神代姫穣にぺこぺこと謝る京介。その過去を勝手に改竄したのだ。俺の都合で。

 

 そんなわけで彼には負い目がある。姫穣に問い詰められるのを放ってはおけないので助けに行くか。

 

「神代さん、京介兄ちゃんいじめちゃダメだよ?」

「こ、これはイジメではなくて。節度の話ですわ」

「いや、これは俺の落ち度だし。実際に神代さんにも迷惑をかけたみたいだし」

 

 ちなみに殺しそうな視線を飛ばしてるのはじいやさんだったりする。あの人、殺意高えな……もっとも、姫穣の手前、何もしてこない。後で監視させた方がいいかフェティダと検討しよう。相変わらず姫穣大好き過ぎる人だ。

 

 姫穣本人は、本当に俺の事を心配していたらしい。随分丸くなったなぁと思ったけど、「あの人に申し訳ない」との声を聞いてなんとなく察した。

 

 ……気をつけないと殺されるのは殿田暦の方かも知れないな。くわばらくわばら。

 

 

 あるてまのマネージャーの方はフェティダ達に丸投げしてある。とりま、面白くしようとした意欲の暴走という形で落とす方向だ。

 

 ただ、この後、一週間の謹慎が京介には科せられるらしい。その程度で済めば御の字、かな。

 

「古詠未……いや、莉姫か」

「莉姫でオナシャス。オフモードだし、こっちのが気楽なんで」

 

 つい、そんな感じに返事をしてしまった。

 ヤバ、京介には猫被ってたっけ。

 

「素はそんな感じなんだな」

「あー……はい。少し口悪くてすんません」

「別に気にはしない。いや、気のおけない仲間と見てくれて嬉しい、かな」

 

 少し照れ臭そうに笑う。

 裏の稼業の事をすっぱり忘れた彼には、こういう笑顔の方が似合う。

 

「さ、それより深夜のドライブ、行きますよ! とりま環状線から攻めて下さい」

「いや、実はな……オレ、車持ってなくてさ」

「……は?」

 

 

 

 

 

 ──仕方ないので俺の車を使ってのドライブ撮影に相成ったとさ。小型商用バンだから、こういうのには向かないんだけど……まあ、しゃあない。

 

 このせいで、『相葉京介の愛車は平成1☓年モデルのハイ○ット』と喧伝されてしまった。

 

 スマヌ……スマヌ

 

 

 




 ハイ○ットに京介の切り貼りをしたコラ絵とか、学生服はだけたあの立ち絵に顔だけ貼ったコラとか、いっぱい作られそうですね(笑)
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