気付いたらVTUBERを強要されていたおっさんJC 〜お空に監禁されて仕方なく〜 作:二三一〇
設定でもこれは守らないとね。
ただし人以外は別とする(笑)
「いらっしゃい、スナック来宮へ。ここは人生の迷い子が訪れる場所……て、なんでこんなに人がいるんですか?」
「ママさん若いねー」
「そりゃJKですからね。そうじゃなくて。ここは迷える子羊や仔猫のための相談窓口ですよ? 普通にお酒呑まれても困りますってw」
今日の来宮きりんさんの配信は、『スナック来宮で呑むぞ』となっていた。オンライン呑み会というのはあるてまではなかったのだが、今回初めて開催という事になったのだ。
あるてまは意外と成人枠が少ない。相葉京介の謹慎明けを待ったのも、実はそのためだったりするらしい。
ちなみにきりんさんはJK設定のため飲めないので辛いと愚痴をこぼしていたそうだ。
「ともかく、自己紹介して下さい」
「あー、また会ったなぁ客人〜。朱音アルマだ」
「こんあいば。飲み会なので電車で来たよ。相葉京介です」
「今宵も全く無礼講よな、神夜姫咲夜じゃ」
「はじまりはじまり……世良祭です。ふふ♪」
「……祭ちゃん、ひょっとして飲んでる?」
「うふふ……わたしは年齢不詳……だからお酒飲んでも平気」
「くあ〜、誰よJK設定のスナックのママなんかにしたの! わたしかっ!」
「セルフ突っ込み速えな。飲んじまえばいいじゃないかよ」
「いえ、わたしはJK! わたしは清楚枠! 模範となるべき存在なのです! うぐぐ……」
「我らと違って人とは面倒じゃからなぁ」
きりんさんがすごく悔しそうに言っている。みんな飲んでるからやっぱり飲みたいのだろう。
期せずして一期生だけになっているが、二期生にも声はかけたらしい。だが、設定上ダメな人、元々ダメな人が多いのだ。さらに都合のつかない人もいたのでこんな感じになったそうだ。
今回は三期生は全員自主的に辞退だそうだ。園崎さんとかアドミラルさんとか気になるのがいるけど、まあ仕方ないか。
「当店はアルコールの類は扱ってませんので、皆さん持ち込みでお願いしてます。ちなみにおつまみも自分で用意してね♡」
「この店、よく潰れねぇよな?」
「風俗店じゃないからいいんです! さ、各々飲んでるお酒とおつまみを言っていってね」
そういや、昔行った酒場で持ち込みでいいか? って聞いたら「一杯飲ませたらいいぜ」って答えたマスターがいたな。それもまあ、いい思い出だ。
持ち込みOKの良心的な店スナック来宮
良心的というか経営放棄w
場代だけ払うシステムなのかな?
いや、ママに貢物として一杯ずつ献上するんだよ。
「( ゚д゚)ハッ! ひらめいた!」
「いや、アカンだろJK」
「うーうー……私、農○100%りんごジュース、おつまみは柿ピー」
「ほんとにジュースかの? 横に焼酎とか置いとらんか?」
「置いてませんよっ ストッパー役なんですから」
全員潰れて配信が終わらないという事を防ぐためなのか。きりんさん、ご愁傷さま。
と言って実は……
実は……
じ・つ・は・〜
キリンサンハ オサケナンカ ノマナイヨ
「そうそう。オサケナンカ ノマナイヨ」
「なんでカタコトやねん。草生える」
「イジるのはこの辺にしておくかの。妾は純米大吟醸、鳳凰○田の五割磨き。つまみはいかくんに缶詰の焼き鳥じゃな」
「完全におっさんスタイルだな。私は最初は一番搾りの中瓶。これ終わったらベルモットビアンコに行く予定。おつまみは、生ハムに6Pチーズ」
「……えっと、アルマから頂いたきるしゅゔぁっさー……あと、チーズのクラッカーと……コンビニのコロッケ」
「はぁっ? おま、それ、お菓子造り用って言ったよな? 40度くらい有るんだぞ?」
「……美味しいよ? コテン」
祭さん、可愛いけど……大丈夫だろうか? すでに呂律が回ってない気もする。
「俺はオールド○ーのスーペリア。頂き物でこの機会に開けようと思って」
「おう、スーペリアか。渋いトコいくなと思ったら贈り物か。良い趣味してる」
アルマさん、褒めてくれてありがとう。
それは俺からの贈り物だったりする。この身体になるようになってから飲酒はなるべく控えている。目に届くところにあると迂闊に飲みそうなので二、三本京介にあげたのだ。
もちろん、この会合の話を聞いてからね。
「京介さん、出来ましたよ」
「ああ、いまツマミが出来た……これなんだ? すげぇ美味そうな匂いするぞ」
「牛フィレ肉のコンフィですね。こっちのは家で揚げてきたそら豆のさつま揚げです」
「え、なに京介くんトコ誰かいるの?」
「あ、はい。適当でいいと言ったら送り付けてきましてね」
「どうも、二期生の戸羽乙葉です」
「およ? じゃあ、いま二人はオフコラ中?」
「そうなります。乙葉の方では配信してるようですよ」
「……聴いただけでも旨そうじゃな? これ、京介。絵を出してたもれ」
「あー、はい。こんなもんで」
「ガチでレストランで出てくるのじゃん! あー、美味しそう♪」
「料理人付きとは、やるなぁ」
「……なんだが、急に侘しくなってきたのう……」
「おいしそう……」
「祭ちゃん、平気? ちょっと飲むペース早くない?」
「だいじょぶ、だいじょぶ……ふふっ」
おお、旨そうだね。
ちなみに戸羽くんを送り付けたのは俺だったりする。良いところのお肉を包んで渡したら、ホクホク顔で行ってくれた。
京介は一人暮らしだし、まあ野郎なら問題ないだろ。本来は俺がお邪魔したかったけど……プリムラに怒られたから自重した。
「素晴らしい出来ですね」
「戸羽くんは本当に飲み込み早いなぁ。プリムラのレシピであっという間に自分のものにしちゃうもんな」
モニターを覗き込んできたプリムラにそう答える。今日は俺は配信が無いので、プリムラとダマスケナも配信を見ながら食後の団欒をしていた。
「だんな様のも美味しいよ?」
そら豆のさつま揚げを食べながら缶を傾けながらダマスケナが褒めてくれた。……旨そうに飲むなぁ。……ドライはあんま好きじゃないんだけど、爽快感はあるんだよなぁ……
ちなみにコンフィのレシピはプリムラだけど、そら豆のさつま揚げは俺のだ。すりおろし生姜をちょっと加えてるので、風味が良い。こっちでも作って食べてるけど評判は良いみたいだ。
「シンプルで奥深い味わいです」
プリムラは、頬を染めながら飲んでいる。ちなみに彼女は横浜○ール醸造所のペールエール。冷蔵庫から出してちょっと置いた物を開けるという拘りの飲み方をしてる。繊細なプリムラらしい。
「俺も一口飲みたい……」
「この国の法ではいけません。そちらで我慢して下さいませ」
「……むぅ」
コップの中のジンジャーエールは、プリムラのお手製だ。わりと面倒なんだよね、これ。
市販品のモノより甘くないし、きちんと生姜の辛味もあるので俺はこれが大好きである。
でも、出来ればモスコミュールとかシャンデーガフで飲みたい。
寝る前に飲もう。うん。
『子供の身体だと影響出やすいからねぇ……まあ、今日は分離するからいいんじゃない? 私も飲みたいし』
アイリスの許可も出たし、お楽しみは寝る前にとっておこう。さて、配信に専念しようか。
コメントを見ると飲み会モードの大人共が書き込んでたり、スパチャ投げたり。かなりカオスな様相だね。
乙葉くん、マジ嫁に来ない?
これ自分で作れるのか……
くそう……今生が学生でなければ 我王 神太刀 ✓
あ、我王さん、オッスオッスw
いつでも見てるな我王
つか京介んトコに集りゃいいのに
乙葉くん居るんだしな
呼ばれてもいないのにいけるか 我王 神太刀 ✓
ま、そやね
そんな陽キャのわけはないw
こっそり見ていた我王くんがイジられてる。
まあ、その気持ちも分かるよな。
お前、なんで来たの? とかマジ顔で言われたら立ち直れんもの。
おい、なんかきりんさんがログアウトしたぞ?
祭ちゃんのリアルママに連絡したんだと思われ
あー、祭ちゃん、動かないねぇw
配信三十分でリタイア草
いやキルシュヴァッサー強えから
祭先輩、大丈夫? 黒猫 燦 ✓
お、黒猫はっけん!
猫ちゃん、飲み会とか興味あるん?
こっちはお泊まり会なんで 黒猫 燦 ✓
マジで!?
そっちも配信して!
さ、参加メンバーは?
私とゆいママ、それにお母さん。なので、配信はナシ(ΦωΦ) 黒猫 燦 ✓
うわああぁあ〜、見てぇ〜www
黒猫さんとこはお泊まり会か……イイね。
俺もおっさんなので、そういうキャッキャウフフなイベントは興味ある。まあ、多分に幻想なのは理解してるけど……その言葉の
それはそれとして。
俺もキルシュは飲んだことないけど、かなり強いと聞いてる。祭さん、大丈夫だろうか?
「あらあら……それじゃまたね」
「すいません、おば様……ふう。これで一安心」
「お疲れ。早くも出番とはね」
「誰かさんが強いお酒渡すからでしょ?」
「お菓子造り用だって言ったんだよ? アレそのまま飲むとか思わないよ」
どうやらただ眠ったらしい。一安心。
彼女がログアウトして、残るは三人。
いや、デスゲームじゃないか。
きりんさんが居ない間に、会話には戸羽くんが参入していた。
「実はこのお肉、古詠未さんの差し入れでしてね」
「そうだったのか」
「ろくな物食べてないって言ってたの、気にしてましたよ? 台所とかはきれいだったけどゴミはちゃんと捨てましょうね」
「お前、お袋か?」
「古詠未さんからチェックシート貰ってるので」
「お袋はあっちだったか……」
いや、おかんではないよ?
気分的には一人暮らしの息子を思う父親のそれかな?
いやだって、さあ。すぱしーばの連中に聞いたらどう考えても安アパートなんだもん。バイトも表向きの仕事だから適当に選んだっぽいのだし。
裏稼業の収入無くなったら、たぶんヤバいと思うんだよ。
せめて身体くらいは労って欲しいじゃん?
こよみん……まさか
これがバブみというものか
こよママてぇてぇ
中学生に養われる……なんかミナギッテキタ
違ぇよ、そんなんじゃねえよっ!
あ、そんな事言うとそれっぽく聞こえるな。
「作ってきたのは冷蔵庫に入ってますので。何日かは大丈夫でしょう」
「毎日コンビニ弁当だとゴミばかりでるからなぁ。助かる」
「今回はギブアンドテイクなので気にしないで下さい」
戸羽くんへのギブは、お肉の残りで作ったしぐれ煮。久々に自分で作ったけど、ご飯によく合う味に仕上がった。
こっちを京介に渡しても良かったんだけど、戸羽くん自体が『コンフィ作ってみたかった』という話を聞いていたのでどっちでもいいかな、と。
「なんかー、和やかッスね。男子組」
「我らもオフコラにすべきじゃったの。あの童も呼んでの」
「あー、いいね。今度企画してみるか」
「うーん、通るかな? 設定的にアタシがいるのもスレスレな気がするんだけど(笑)」
「設定言うたらアカンやろ? ふふっ」
「こよみん、見てるかな? おーい、どうかな?」
む、こっちに話題が振られている……これはコメント送るべきか? いや、でも、この雰囲気を壊すのもなぁ……
お食事会なら、いいですよ? 姫乃 古詠未
いた(笑)
こよみんもよう見とるw
しっかり見てて草
古詠未ちゃん、何飲んでるの? ストゼロ?
手作りジンジャーエールッスw 姫乃 古詠未
プリムラに怒られるってw 姫乃 古詠未
ストゼロとか言うなって、笑うだろ(笑)
あの人の配信もすげえ面白いよなー。
「やっぱ見てた(笑)」
「まあ、落としどころはその辺よな。後は日程じゃが……ま、追々決めるかの」
「配信中に予定決めるとか斬新すぎるな」
「古詠未、ありがとうな」
「もぐもぐ……このしぐれ煮も美味しいですね。京介さんにあげるのやめようかな?」
「それは差し入れじゃないのか?」
「これは僕の報酬なので。味見で持ってきただけですw」
「ぬう……そっちも美味そうなのに」
「妾から見たらお主らの所業こそ拷問じゃよ……ああ、嫁が欲しいのう」
「婿じゃなくて草」
「アルマ、ツッコミがコメントみたいだよー? かなり回ってきてるのかな?」
「まだ、半分くらいだし……まだイケる」
「妾もまだまだじゃ。この程度で脱落するほどやわではないぞよ?」
愉しげな会話が続き、コメントやスパチャも流れていく。
ダマスケナの笑い声に、プリムラの穏やかな微笑み。アイリスも花唄を歌うほどにご機嫌だ。
たまにはこんな日があっても、いいよね?
飲み会の配信は実は野郎の方が好きです。
オンライン飲み会とかやってみたいけど、揃えてる人意外と少ないよね……