気付いたらVTUBERを強要されていたおっさんJC 〜お空に監禁されて仕方なく〜 作:二三一〇
「今日お招きのゲストはこの方々!」
「あ。えと。あるてま所属バーチャルミャーチューバー、終理永歌です」
「おはよー……」
おっと、眠たげな声はともかくもう一人の方が自己紹介していない。本当に稀なことなので是非ともご紹介しておかないと!
「あの、にわセンパイ。自己紹介してないですよ?」
「あ? ああ……そっか。自分のトコだと勘違いしてた」
あるてま随一の自由人、箱庭にわさん。自分の箱のイベントすら平気でブッちぎり、他のライバーとのコラボもわりと簡単に逃げ出す無軌道ぶりは広く知られている。
にわちゃん、キチャー♪
コラボ最初から居るの珍しw
だいたい遅刻、来ない事もざらだからね
コメントで『ゴメン、ちょっと移動中』とか書き込んだのは草
コメント欄でもあるように、彼女はとても神出鬼没。あるてまスタッフも追いきれてないので既に匙を投げられてるという噂だ。
自身の配信では遅刻は無いもののそのスタイルも無軌道。最短十分から最長二時間くらいのその配信はいつもゲリラ的に始まる。おそらくマネージャーとかへの報告も適当にしてる。それでもあるてま内では屈指のチャンネル登録数を誇るのだ。
「今日はどちらにいらっしゃいますか?」
「ペテルゴフって所みたい。綺麗な宮殿が雪化粧しててすごい幻想的だねー」
うげ。夏の宮殿とかサンクトペテルブルクかよ。冬のこの時期に行くとか正気か? だいたい氷点下だぞ、その辺り。
「す、すごい寒そうですねー アハハ」
「まだ日が出てるからマシなんだけど、日が落ちたら本当に動けないくらい寒いよ〜?」
「ひええ……わ、私にはぜったいムリですぅ」
あ、永歌さんがキャラ崩壊して素が出てる。もっとも、コレは大した問題じゃない。不思議系お姉さんというキャラは既に崩壊してちらほらと残念系お姉さんという周知がなされているのだ。むしろそうなってからの方が伸びが良くなっていたりするので本人としては不本意なようだけど。
「しかしま、なんでそんな所に?」
「旅するんならその土地のこと知りたいじゃない? 上辺の観光はもうやり飽きたからその土地の事とか知りたくてね〜」
そういや夏の暑い盛りにキリマンジャロとか行ってたな、この人。でも思ったより暑くなくてがっかりしてた事思い出した。八月くらいだとあの辺一番過ごしやすい時期だもんね。
「にしても、表で配信するのはやめましょうよ」
「着の身着のまま気の向くまま。コレ、座右の銘だよ?」
基本スマホでの配信をしている彼女のスタイルはまさに無軌道かつ縦横無尽。配信可能な国から写真やビデオを使った観光案内のような配信は箱の中の民には堪らないものとなっている。旅の様子を流す配信者というのは一定の人気があり、それをVtuberとして行う箱庭にわは彼らのカリスマなのである。
「へっくち。ちょっと寒ぅ。かなり厚着してきたのに」
「ちゃんと目出し帽とか着けてます? 靴下二枚履いてますか?」
「よみちゃんと違って随分世話焼きだね〜、なでくんは」
「その辺の寒さ舐めてると指先コロリとか普通にあるんですからね?」
日本で言えば網走やらの辺りに近い気温になる。時々現地人がTシャツ一枚で歩いてたりするけど、絶対に真似しちゃいかん。アレは鍛えぬいたプロだから出来るんだからね。
なんとおそロシア(笑)
オイミャコンに比べたらまだ温かいなw
バルト海だもん。そりゃ寒いよなぁ……
冬場Tシャツニキはどこでも居るな草
「今回の衣装みたくもっこもこだからへーきだよ」
「
「ありがと、えーかちゃん。そういう君も新衣装いいじゃないか。神秘的ですごくいいよ」
「ちょ、ちょっと恥ずかしいですけどね。なんか女神様っぱくて」
「そんなことないですよ。綺麗です、永歌さん」
「あ、ありがとうございます。奏くん」
にわさんの新衣装は越冬隊のようなボアたっぷりのコート姿。分厚いブーツはともかくだけどなぜか絶対領域だけはあるという……本当にこの恰好だと膝がやられるな(笑) 自由奔放な彼女らしさがよく出ている。
対して永歌の新衣装はゾロっとしたローブなのは変わらないけど色が全く正反対。白と青のグラデーションのローブで幾何学的なマークが緑のラインで刻まれていて、頭にはさらに透明なブーケまである。これは確かに女神様だなぁ。
にわちゃん新衣装カワイイ!
永歌様もステキー♪
ところで奏くんも新衣装だね? 学ランイイネッ
メガネショタ(;´Д`)ハァハァ 姫乃 古詠未 ✓
こよみん……
お前同年代だからショタじゃねえだろ? しっかりしろっ!
ええ…… 黒猫 燦 ✓
黒猫がドン引きとか草生えるw
これはハーブ生えますわねぇ リース=エル=リスリット ✓
「
どうしてこうなった、と言うしかない。ある意味血を分けた娘よりも濃い絆だと思っていたのだが、そんな子がショタに走るとか悪夢である。いちおう奏を演じている時は『花梨』という女の子形態なのだから、対応にものすごく困るのだ。……いや、おっさん状態でも困るけどねw
「たしかに眼鏡ショタいいですねぇ……」
「よく分かんないけど、いいですねぇ♪」
「ノリで同意しない方がいいですよ」
「私だって意味は知ってるよ? なでくんにxxしたいって事でしょ?」
「おわっとぉっ!」
しっかり言いおった(笑)
にわちゃんパないッスw
奏君真っ赤なのに二人はいい笑顔w
これはひどい草
女の子ばっかりという
「ありがたや、ありがたや……」
「なにいってんですか? 永歌さん?」
「いや、ショタやBLが認知されていってるから」
「腐れ過ぎですよね?」
正直、いかがなものかと思います。
「なでくんのファンアート、いっぱい投稿してたもんね〜 『尾張栄華』ちゃん♪」
「にわセンパイ、なんでその名前をっ!?」
にわさんの目がジト目になってて笑う。対して永歌さんはグルグルになってたりする。『尾張栄華』というのは同人作家さんの名前だ。いわゆる『腐女子』向けのジャンルで活動している中堅に入るかどうかという感じなのだとか。
ちなみにこの情報元は莉姫だったりする。アイツはもう戻れないかもしれない(笑)
「ぬふふ♪ こう見えても先生の本は毎回買ってますからね〜」
「ふっ、ふひっ?」
濃すぎる乙女たちだのう……w
奏くんが引いてるのがわかりみ
ファンアートがだいたいBL向けなのはそーいう……
あ、なるほど。理解した。特定した。
はえーよw
後でまとめるw
「まとめないでぇー」
永歌さんのややか細い悲鳴が聴こえる。これで少しはファンアート投稿も収まるかな? 多いときは日に五枚も投稿してきてビックリしたからね。まあ、ほぼニートだろうから無理はしてないだろうけど。程々にしておいてほしい。
「あ、そうだ。実はもう一人、ゲストがいるんだー」
「えっ?」
事前の打ち合わせではそんな話は無かったけど。こっちの動揺も知らずに話を続けるにわさん。
「ほら。知らない仲でもないんでしょ?」
「あ……や、やっぱり話さなきゃダメかい?」
どこかで聞いたことのある男性の声がした。なんだ、向こうでオフコラしてるならこっちには分からない筈だよね。
「え……この方……?」
「ほーら。せっかくの機会なんだし。ちゃんと話しなよ」
「わ、分かってるよ。あー……か、奏くんだよね?」
その声と同時ににわさんの配信の方では動画が貼られた。そこに映っていたのは。
「うそ……?」
おっさん状態の『俺』が、こちらに話しかけていたのだ。
久しぶりに書いてみました。オリジナル様はコミカライズのお話があるそうで、とても楽しみでございます♪