コードギアス 反逆のルルーシュ Request C.C.   作:グリムゼン

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お付き合いいただければ幸いです。


第五十八話 前を向き目を凝らせ 悪意がそこにある

「えっ?」

「エルさん、ではないのですか?」

 

突拍子のないナナリーの発言

でも、これでわかってしまったことがたくさんある。

 

以前、ルルーシュが一回だけ僕の事をエルって言った。

さらに今、ナナリーまでも僕の事をエルだと確信して言った。

そして僕自身はナナリーに会うのは初めてだ。

この事から、僕は今後ギアスで子供時代のルルーシュとナナリーがいた時代に飛ぶことが確定した。

確定してしまったんだ。

そしてなんでかはわからないけど、僕は自分自身の事をエルと言っている。

僕自身の事だからうっかりとか、もしくはここで聞いたからエルと言わないと歴史が変わるからだと。

未来の僕自身は、どうなるかはわからない。でも過去を変えることはできても歴史の修正点は、必ずそれを変えてしまう。それなら僕自身はどうなるんだろうか?考えなかったわけじゃない。

だって、過去には僕っていう存在自体なかったんだから。

C.C.のおかげか、それともCの世界のおかげか。ギアスのおかげ、それか呪いか。

 

「・・・覚えてた?」

「もちろんです。一回しかお会いした事はなかったですけど、とても楽しかったですから」

「そっか、忘れてると思ってた」

「一期一会ですよね。あの時のエルさんもそういう意味で言ったんだろうなって」

 

自分の事だけど、知らないって言えたらどれだけ楽だろうね。

 

「あのときのナナリーと今のナナリーじゃあ違うことが多くてね」

「目も見えず、歩けもしない。ずっとどなたかに支えられて生きてきましたから」

「ルルーシュとスザク?」

「スザクさんとは、しばらく会えていませんでした。お兄様がずっと私のそばに」

「そっか」

「はい」

「大人になった?」

「どうでしょう?エルさんはどう思いますか?」

「あの時よりはって言ったほうがいいかな。お嬢様」

「まぁ、怖い。でもきっと変わったんでしょうね」

「そうだね」

「あの・・・」

「あ、ナナリー」

「はい」

「僕がエルだってこと、ルルーシュには内緒にしておいてくれないか?」

「えっ?なぜですか?」

「忘れてるみたいなんだ。ルルーシュ。僕の事」

「そう、なんですか?」

「うん。また機会があったら思い出すだろうから、今はエイスって言ってくれると嬉しいな」

「エイスさん」

「今は、僕の名前だから」

「・・・わかりました。でも、もしお兄様が思い出してくださったなら」

「話していいよ。その時には。もちろんナナリーがそう思った時でも」

「はい」

 

先の事は知っているし知らない。

過去の歴史は大きく変わった。

なにより僕たちがいるから。

本当に、知らないって突っぱねられたらどれだけ楽だろう。

所詮は僕ができることなんてたかが知れてる。

でも、そうするんだ。僕たちは僕たちだ。曲げられる生き方なんて自分じゃない。

 

 

「おはようナナリー!あれ?エイス?来てたんだ!」

 

物思いにふけってると、会長が来た。

元気そうでよかった。

 

「あ、会長。お久しぶりです」

「なによ、ナナリーと一緒にいちゃついてたの?」

「いちゃ?!」

 

ん?なんで、ナナリーは変な声あげたんだ?

 

「ルルーシュに頼まれたんですよ。一緒にいてくれって」

「そのルルーシュからは特に言われてなかったんだけど?」

「サプライズ好きの会長としては、驚きがあったほうがいいんじゃないの?」

「それはそうなんだけどね、なんかこう、自分の思うとおりになった方が面白いじゃない?」

「せめて中等部のナナリーを巻き込むタイプのいじりはやめた方がいいと思うよ」

「それは無理ね、今日のスタートの合図はナナリーがやることになってるから」

「遅かったか・・・」

「というわけで、ナナリーは連れていくわ。それとも、エイスが合図をやる?」

「・・・遠慮します」

「自分の身を挺して、友人の妹を救う!とか思わないの?」

「動揺するでしょうに、特に学園のみんなが」

「あの、えっと」

「それじゃあまたね、あ、学園祭楽しんで!また後で会いましょう!」

「えーっ!!!」

「車椅子押すのはそこまで早くなくていいと思うんだけど!!」

「だーいじょーぶー!!!」

 

1人お祭り娘の名は伊達じゃないか。

さて、僕も楽しみに行くとしようか、未来は確定で不確定。僕たちがいる限りはね。

 

 

 

 

「さて、どうしたものか。あいつは会場がどうとか言っていたし、リートはまだナナリーとだろう。

マオはルルーシュが離れたことが分かったはずだからそろそろ来ても・・・」

「セレスさん!」

「ん?おや、久しぶりだな。あれから進んだか?」

「はい!」

「そうかそうか、すまんな、今日は紹介状を持ってくるのを忘れてしまって」

「いえ、いいんです。でも、セレスさんが必要としてくれるなら」

「そうか、そういってくれると嬉しいよ。期待しているからな」

「っ!はいっ!それじゃあ失礼します!」

「ああ、またな」

 

「シャーリー」

「マオ君!」

「お招きありがとう」

「ごめんね、迎えに出ればよかったんだけど」

「気にしないで、ルルーシュが待ってたから」

「そっか~」

「ルルーシュとあれから話した?」

「えっ!?どうして?」

「なんだか嬉しそうだからさ。僕たちと会う時よりちょっぴり笑顔だし」

「そ、そんなことないよ。学園祭が始まるからそれで、だよ」

「そういうことにしておくよ」

「そういうこともなにもないよ!なにもないからね!あ、あと準備があるからまた後で!」

「うん、またね」

 

 

 

 

「皆さん、お待たせいたしました!」

 

「これよりトウキョウ租界でいっちばんオープンなアッシュフォード学園の学園祭を始めまーす!」

 

「スタートの合図はこの一声から!」

 

 

 

「にゃー!」

 

 

 

 

平和だね。

僕も生まれてくる場所が違えばここの輪に入れたのかな。

どうだろう。きっと素敵なんだろうね。

だけど、冗談じゃない。

C.C.のいない世界なんてまっぴらごめんだね。

ギアスをもらってようがもらってなかろうが、それは変わらない。

リートのいない世界なんてまっぴらごめんだね。

過去にリートがいなかったとしても今の僕はそう思う。

 

「おい、お前」

「ん?」

「世界一のピザというのはどこで食べられるんだ?」

「あっ」

「マオ」

「C.C.」

「・・・お前が来ているということは『私』もきているのか?」

「・・・そうだよ」

「あの時はお前に辛く当たったな」

「1回目?それとも2回目?」

「・・・両方だ」

「気にしてない」

「何?」

「気にしてないよ。言ったでしょ?僕は君も好きなんだ」

「『も』か。成長したな。それに比べて・・・」

「僕は・・・そんなC.C.見たくないな」

「えっ?」

「2回目の時、C.C.が元気なくなった時、僕が一生懸命励ましたよね。嘘だと思う?本気で心配したんだよ?やさしかったC.C.も好きだけど、僕は元気なC.C.の方が好きだな」

「お前に励まされたのは・・・これで2回目か」

「それに、鏡じゃないよ」

「何?」

「鏡じゃない。C.C.はC.C.だ」

「・・・そうか、お前はそう思うのか」

「思うも何も、それが本当でしょ?」

「そうだな、時代を生きるお前がそう思うなら、そうなのだろうな」

「C.C.だって、生きてるでしょ」

「そうかもな」

「C.C.!」

「ん?」

「ルルーシュ」

「なぜこんなところに、お前、カメラもある中で外に出てくるな」

 

あ、やっぱり無断だったんだ。

にしても・・・来た方向からしてそこまで走ってないように見えるけど・・・

ルルーシュって結構体力ないのかな?

そんなことを知るためにギアスをかけ続けているわけではないんだけどなー

でもC.C.との話も終わったみたいだし、そろそろ戻ろうかな

 

「それじゃあねC.C.」

「ああ・・・マオ」

「何?」

「またな」

「うん」

 

向こうから来たってことはC.C.はあっちかな?

歩いてみよう。せっかくだし。C.C.にはピザがあるしね。

 

 

ピザのチラシをもらってあたりをぶらついていたら、いい匂いがしてきていた。

学園祭とはいえ、やはりお昼時はおなかが空くな。

金をかけているだけあって、世間一般のチープさなんてかけらもない。

まぁ方向性が間違っているともいえるか。お祭り好きな生徒会長さまの影響か。

 

「あら?C.C.・・・さん?」

「おや、また間違えられたか。ナナリー」

「あ、ヴィエルさんですか。すみません、何度も」

「私と間違えるのもしかたない。気にするな」

「エ、エイスさんも、その、間違えたりとかするんですか?」

「エイスとは長い付き合いだ。間違えたりしない。話も済んだのだろう?かわいかったぞ?」

「うぅ、直接言われるとやっぱり恥ずかしいですね」

「ナナリー様、こちらにいらっしゃると通行の妨げに」

「あ、そうですね。ヴィエルさん、こちらに」

「そうだな」

 

咲世子がいたな。

相変わらず気配を消すのがうまいことだ。

ん?こいつは・・・いかん。目の前が見えていないのか。

 

「おい、危ないぞ」

「すみません、大丈夫ですか?」

「いえ、こちらこそ・・・」

「あっ?ナナリー」

「えっ、まさかその声」

 

周囲が意識を向けていないだけましだな。

ユーフェミアはこのタイミングで来ていたのか。

あいつのギアスはおおよその事はわかるが、細かい部分は覚えていないといけない。

しばらく読んでいなかったな、もう一度さらってみるか。

 

「あの、えっと」

「お茶しませんか?咲世子さん」

「はい、かしこまりました」

「すみません、ヴィエルさん。実は」

「かまわないさ。私とよりよりおいしいお茶が飲めるだろう」

「そんなことは」

「気を使うな。まだ、お前は甘えてていいんだぞ、じゃあな」

「あ、はい・・・」

 

辛い目にあわせてしまう。

それも私たちのエゴ。

悲しみくれることは許されない。同情などもっての他。

一時の感情に身をゆだねなければ私たちの私たちとしての物はなくなってしまうだろう。

その一時の感情にこそ私たちがあるのだから。

私たち以外の存在が、泣いて、悲しんで、嘆いてくれる。

代わりと言っては何だが、私たちはそれを抱いて私たちのエゴを通す。

世界を敵にしようが、万人を敵にしようが、そんなことはどうでもいい。

悪魔は、そんな些細なこと、気にもしない。

だからこそ、私たちはその名を冠する。

代償は、踏み倒す。踏み倒して、さらに先に進んでやる。だから・・・

 

 

「「「あ」」」

「偶然かな?」

「いいや、引き合わせだろう」

「僕たちはこうでないとね」

 

偶然アッシュフォード学園を一望できる屋上に僕たち三人は来ていた。

屋上には僕たち以外誰もいない。

カメラも、今はピザの方向を向いている。

 

「なんとかと高いところは」

「マオ、それ以上は言うなよ」

「これ以上に高いところに泊ってるからなおのことだね」

「ところでリート。ナナリーとはどうだった?」

「ああ、その事なら後で話すよ。僕のギアスにも関わってくるし」

「そうか、からかえる種があったらおもしろかったんだがな」

「早々にからかってもらうのも勘弁してねC.C.」

「あ、僕、C.C.に会ったよ」

「そうか、少しは変わっていたか?私は」

「多分ね。ルルーシュの影響とか、僕もほんのちょっと」

「おっと、シャーリーからだ」

 

『エイス君?今どこ?』

「屋上、シャーリーのいる場所から真っ正面」

『あ、いたいた!ピザもう少しで出来上がるから、楽しみに待ってて』

「うん、あっ」

 

少し強い風が吹いた。

帽子がこっちの方に飛んできた。

 

「これは?」

「ユーフェミアのだな」

「シャーリー?」

『すっごい風。あ、ユー』

「しーっ!!!」

『えっ?!』

「今言ったらパニックになっちゃうよ!デモ一歩手前の感じに!」

『あっ!ホントだ・・・ルルとナナちゃんと話してるのを邪魔しちゃいけないよね』

「それに、今ガニメデでピザまわしてるのはスザクだから。失敗しちゃうって」

『それもそうだね・・・あ、私もそっちに行っていい?』

「いいよ、特に問題なかったら」

『うん、分かった!』

 

「未来を一つ変えることができたか?」

「そうだね、でもピザだよ?」

「ピザは偉大だろう」

「でも、C.C.が言っていた巨大ピザができない未来は壊せたんじゃない?」

「そうだなマオ。あとでいただくとしようか」

 

後にも先にも、成功例はなかった巨大ピザ

これも、一つの可能性って言っていいのかな?

スザクも無事にピザを広げてこれから焼き上げに入る。

具材もガニメデで。よくやるよ。本当に。

 

「ユーフェミア様っ!?」

「えっ!?」

 

 

所詮、そうなる。

リートが居て、私がいる。

この未来は変えられない。

 

 

「大切な発表があります」

 

 

可能性という言葉はすばらしい。

 

 

「神聖ブリタニア帝国エリア11副総督ユーフェミアです」

 

 

可能性は無限大に広がる。

 

 

「今日はわたくしから皆様にお伝えしたいことがあります」

 

 

しかし、未来を知っているからこそその可能性の拡張はありえない。

 

 

「わたくし、ユーフェミア・リ・ブリタニアは」

 

 

受け入れられるはずがない。

 

 

「富士山周辺に」

 

 

元より私たちは壊変者。

 

 

「行政特区日本を設立することを宣言いたします」

 

 

だが、必ずしも壊すことを是とするわけじゃない。

 

 

「この行政特区日本ではイレブンは日本人という名前を取り戻すことになります」

 

 

通り過ぎなければいけない過去もある。

 

 

「イレブンへの規制ならびに、ブリタニア人の特権は、特区日本には存在しません」

 

 

ここに集約しているんだ。私たちのエゴは。

 

 

「ブリタニア人にも、イレブンにも、平等の世界なのです」

 

 

なら、私たちなりのエゴをここで一本通すとしよう。

 

 

 

 

 

 

――――――――――行政特区日本を、始める前から終わらせる

          成立など、させてやるものか

          たとえどれだけの日本人が悲しみにくれようと

          

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          スザク、あなたに会えて

 

 

 

 

 

          さぁ、もういちど、もういちどだ

 

 

 

 

 

          つらくかなしいげんじつをプレゼントしよう

          




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