推しを養うから起業するしVにもなる   作:模芋

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一話だけだと寂しいので余った勢いで書いた


【丸いやつ埋まると終わるあれ】私と推しと対戦会!【西月ノゾミ/七色ことね】

 配信が始まり左右に分かれて二人の姿が映る。

 

「――と同じ名前で大丈夫?」

 

 映された一人は黒い短髪と黒いノースリーブの女性。

 良く言えばシンプル、悪く言えば無課金アバターの色違い版のような姿。

 

「書籍とか配信とかで名前使いまわしてたし、今更変えるのは駄目でしょ」

 

「そっかー」

 

 もう一人はキツネの耳を付けた金髪女性の白い着物姿。

 キツネ耳は先が黒くなっており一目でキツネと分かるように意図されたもの。

 また服も着物の袖は萌え袖と呼ばれる長くしっかりとついている。

 一言で言えば技術的な手間が別物。

 

 なお補足すると、声はやや高めだが確かに男性のものである。

 

「自己紹介配信も終わってるし」

 

「そっかー」

 

 無課金感ある姿の西月ノゾミは赤べこの如く頷き続けた。

 

コメント:ん?

コメント:配信始まってるぞ

コメント:そっかー

コメント:開幕推し同調オタク

コメント:ことねさんの地声助かる

コメント:気付いてない?

 

 環境にもよるし例外もあるが――

 個人の配信というのは各種設定を一度したら使いまわすことが多い。

 設定によるが、配信の準備が整った後は配信関連の情報が勝手に流れたりもする。

 つまり、俗にいう事故である。

 

「それと配信始まってるんで、さっさと紹介入りましょう」

 

「え?あっ本当だ!いっけなーい☆」

 

コメント:ねこかぶるな

コメント:媚びるだけ無駄定期

コメント:もう本性全員にばれてるぞ

 

 無課金ガワのオタクは見なかったことにした。

 

「今回やるのは!丸増やして埋めてたまに減って埋まったら終わりの有名なあれ!」

 

 わかったわからないすっとぼけなどのコメントが入り乱れるのを流しつつ続ける。

 裏では、ぶにょ、という感じのを始めとした一部には聞き慣れた効果音が鳴る。

 

「正解は、こちら!」

 

 無駄な溜めをした後、正解発表の台詞と共に画面が切り替わる。

 そこには黄色い面に縦横の線が引かれた図。

 

「囲碁です!」

 

コメント:知 っ て た

コメント:ズコー

コメント:なんでや!

 

「効果音は、私が裏でとことんをやってただけでーす」

 

 知らない人の為に一応補足しよう。

 

 真面目にゲームをしながら通話もしてコメントの流れを拾う。

 この同時進行を完璧にやることは難しい。

 軽い作業をしながら素で会話をしてコメントが動いているのを横目で見る。

 この程度なら難易度は落ちる。

 七色ことねは後者である。

 


 

 囲碁は最初ににぎりというので先手を決めるんですけれどもね。

 ネットだと大体勝手に決まる感じですよね。

 まあ服を見ればこっちが黒で先手なのは間違いありませんが。

 

コメント:無課金が何か言ってる

コメント:ゲームはいつだって課金の味方

コメント:対局どこ使ってる?

 

 誰が無課金じゃい!社長やぞ!自分にかけるぐらいなら推しに回すわ!

 

「囲碁で使ってる場所とかは配信ページに情報載ってますね」

 

 はいその通りです。

 興味のある方や参加されたい方はそちらからどうぞ。

 適当なタイミングで入れ替わります。

 入れ替わりますが、最初の対局は私とことねさんです。

 いやー推しと対局できるとは、なんて神企画なんだ。

 

「社長」

 

 はい。

 

「言ってて悲しくなりませんか」

 

 なりません。

 

コメント:神企画(発案自分)

コメント:ならんのか

コメント:なりません(鋼の意思)

コメント:強火オタクの本領

コメント:やはり社長呼びはツッコミの前兆

 

 これ延々と進まないやつなんでさっさと始めましょう。

 さくさく進めたいので持ち時間無し秒読み10秒で設定します。

 雑に見積もって一局が小学校の授業1コマ分ぐらいに収まるはずのペースです。

 この後対局される方もこれで統一お願いします。

 

「先手貰えたので初手天元でいきますね」

 

コメント:超早碁じゃん

コメント:白に黒持たれてて草

コメント:チェスなら白が先手だから

コメント:また天元か

 

 ことねさんの天元とか普通に研究済みですよ。

 天元を軸に地を広げる守りを重視した打ち方ですね。

 相手が広い地を作ろうとしたら飛び込み天元に繋ぐ攻撃もセットになっています。

 ですのでまずこっちを先に――

 って待ってその手知らない何それ分からないこっち?こっちなの?

 

コメント:安定の推しに弱いオタク

コメント:社長は将棋寄りだから

コメント:対局者の解説助かる(助かってない)

コメント:先人が思いついてもあえてやらなかったの見本

コメント:オチを用意しないと死ぬ芸人の鑑

 

「配信的においしいことになってるのは割と羨ましいですね」

 

 知らんが!?

 分からん殺すなら良いが殺されるの不本意だが!?

 戦うのが好きなんじゃなく勝つのが好きなんだが!?

 というかなんだよ10秒って時間全く足りんぞ!

 

「それこそ知らんし」

 

コメント:研究とは何だったのか

コメント:勝負内容も持ち時間も自分で決めたんだよなぁ

コメント:相手の考えてる時間使えば最大20秒あるぞ

コメント:知らんし(無慈悲)

コメント:この温度差よ

 

 ぐえー無理、投了で。

 ありがとうございました。

 

「ありがとうございました」

 

 まあ今回負けたけど普段リアルでやる分には勝ち越してるし!

 負けを大きめに見積もっても実質五分!

 

コメント:五分?

コメント:対局内容が勝ち越せる人のそれではない

コメント:前回の配信でもボロ負けしてませんでした?

コメント:もしかして 接待

 

「お互い感覚派で対局環境が打ち方に影響するから、多分それですね」




読み飛ばしても良い補足

西月ノゾミ配信のお約束
 彼女の配信には幾つかのお約束があり今回の導入も該当。
 紛らわしい表現を使い有名な別ゲーを連想させた上でバラすというパターン。
 以前の囲碁は「お互い陣地を広げて自分の色が広かったら勝ち」とか言った。

七色ことねのアバター
 元々七色ことねは性別不詳のネット声優として活動していた。
 その過去から「両生類」と「両声類」をかけて蛙あたりになる予定だった。
 が、社長の「貢ぐため起業」にプログラマーが「現代の妲己かよ」と発言。
 そこから全員で悪乗りし最終的に狐っ子路線になった。
 七色ことねが声を使い分けることと狐が化けることにもひっかかっている。


複数人出てくる回はフォントの使い分けで処理したい
したいけど大人数になっても見分けられるようなやり方がわからない
ので詳しい方
参考までに紛らわしくないフォント選びのコツとか教えてもらえませんか
何でもはしません
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