「瑞鶴も随分成長したわね」弓道場で鍛錬をしていた赤城が加賀に言う。
「ええ、エンタープライズにけがのひとつでもさせるんじゃないかと思っていたし、また、そうなれば溜飲も少しは下がると期待してしまっていたのに・・」
「そのときはどうするつもりだったのかしら?」
「もちろん対応を一任した私の責任。あの子では責任が取れないわ」
「まあ、加賀さんらしくもない。『瑞鶴
「・・加賀さんのいじわる」加賀は顔を赤らめながら下を向いた。
赤城は、そんな加賀を見てニコニコしながら「・・あの戦争で私たちを破ったエンタープライズが目の前に現れ、彼女と向き合うことで瑞鶴の成長が促された。彼女に感謝しなくちゃね」と言うと、加賀はうなずきながらも心なしか寂しそうであった。
その後しばらく経つと、赤城と加賀は、演習で本気で戦っても一歩も引かなくなった瑞鶴や、それに奮起した翔鶴に頼もしさと密かな脅威を抱くようになる。
エンタープライズたちは歓迎会やら表敬訪問など全ての日程を終え、アメリカへ帰国しようとしていた。
鎮守府も当初エンタープライズに対しては恐怖心が大半を占めていたが、瑞鶴をはじめとする空母たちが明確にエンタープライズを信頼して打ち解けようとする態度を取ったことや、好奇心に満ち、純粋ながら大きな勇気を持つ駆逐艦がエンタープライズの護衛についてきた駆逐艦と打ち解け、その駆逐艦を通じて、鬼か悪魔の化身のようにすら思っていたエンタープライズも実は、喜怒哀楽を抱えた同じ艦娘だという至極当たり前のことが伝わると、次第にエンタープライズと会話を交わす艦娘も増え、マイナスの感情も同時に減る結果となった。
「・・ズイカク、帰ったらまたしばらく会えないわね」エンタープライズは寂しそうに言った。
「仕方ないよ。今は西部諸国を助けないと。でも、いずれ私たちが太平洋を文字通り平和の海に戻したら、あなたたちと協力して深海棲艦からこの星を守る」瑞鶴は答える。
「西方海域に来られる日が来たら、是非あなたが来て」
「ええ、西部諸国の艦娘たちとも一緒に西方海域も解放しよう」
「その日まで元気でね」
「エンタープライズも」
「大丈夫、だって私たちには・・」と言いながらエンタープライズは瑞鶴の方に顔を向ける。視線の合った2人は満面の笑顔になり、声をそろえて言う「・・『幸運の女神がついているんだから』」と。
終