インフィニット・ストラトス 転生者はSTRIKE 作:バルバトスルプスレクス
六話 見学と決意と…
「俺のターン、ドロー! スケール1の星読みの魔術師とスケール8の時読みの魔術師でペンデュラムスケールをセッティング。 手札から、ブラック・マジシャン、二体のブラック・マジシャン・ガールをペンデュラム召喚!」
「甘いなカナード! 俺の場には銀河眼の光子竜がいるんだぜ?」
「それがどうしたんだよ、いぃちかくぅん! レベル6のブラック・マジシャン・ガール二体で、オーバーレイ! 混沌の魔導が、魔導士の弟子を強くする…エクシーズ召喚! いでよ、マジマジ☆マジシャンギャル! 更に、魔法カードワン・フォー・ワンを発動! 手札のダンディライアンをコストにレベル1モンスターのエフェクト・ヴェーラーを特殊召喚! 墓地に送られたダンディライアンの効果、自分の場に綿毛トークン二体を出現させる。 レベル1綿毛トークンにレベル1エフェクト・ヴェーラーをチューニング! 集いし銀河の道を、音速を越えて駆け抜ける閃光となれ…シンクロ召喚、走り出せフォーミュラ・シンクロン! フォーミュラ・シンクロンの効果で一枚ドロー! ここで永続トラップ発動、エンジェル・リフトでエフェクト・ヴェーラーを蘇生! レベル7のブラック・マジシャンに、レベル1のエフェクト・ヴェーラーをチューニング! 集いし夜空の輝きが、新たな命を紡ぎだす…閃光の道を行け! シンクロ召喚、輝けスターダスト・ドラゴン! ラストだ、レベル8スターダスト・ドラゴンにレベル2のフォーミュラ・シンクロンをチューニング! クリアマインド! 集いし願いの星々が、希望に変わり流星となる…アクセルシンクロ! 輝け、シューティング・スター・ドラゴン!!」
「だ、だけど…」
「マジマジ☆マジシャンギャルの効果発動! オーバーレイユニットを一つ取り除き手札一枚を除外することで、お前の墓地のモンスターのコントロールを得る。 俺の手に堕ちろ、銀河眼の光子竜! ついでにシューティング・スターの効果、俺はデッキトップから五枚のカードをめくり、互いにそれを確認してチューナーモンスターの数だけシューティング・スターはその分攻撃可能!」
「んなっ?!」
「一枚目、チューナーモンスター、ジャンク・シンクロン! 二枚目、魔法カード、死者転生! 三枚目、チューナーモンスター、デブリ・ドラゴン! 四枚目、罠カード、緊急同調! 五枚目、Theトリッキー! バトル、俺の手に堕ちた銀河眼でお前の銀河眼を攻撃! ここで銀河眼の効果、戦闘時に俺とお前の銀河眼を除外。 マジマジ☆マジシャンギャルとシューティング・スターでダイレクトアタック!」
「……また、負けた!」
「………一体何をしているんだ、お前たちは」
夏休みに入ったIS学園。この日、一夏の自宅では一夏とカナードがカードゲームに興じていた。それを脇で箒と簪、シャルロットが観覧していたのだ。
「何って…遊戯王OCG」
「カナードから『遊戯王ZEXAL』見せてもらったけど、俺に声がそっくりな奴がいてさ、何かやりたくなったんだけど……かれこれ十連敗」
「…さっきも『遊戯王5D's』のZ-ONE戦みたいなシューティング・クェーサー出してた」
「僕も見てみようかな、遊戯王」
今回一夏の自宅に集まった理由。それはカナードの自宅である『大和生物機械技術研究所』の見学の許可が出たので、集合場所として一夏の自宅に決まった。因みにセシリア、鈴音、ラウラの三人は少し遅れて合流する。それをカナード達が聞いたのはカナードと一夏がゲームをする前だ。
少しして鈴音たちが一夏の家に到着する。遅れた理由は、セシリアに原因があった。道中でディスカウントショップの前を通りかかった瞬間、興味が惹かれたかと思うと移動させるのが面倒な事になるほどの買い物を始めたようだ。
その時ラウラに三十回程苦言を受けてやっと会計に。その時の金額が鈴音にとって信じられないほどのものだったらしい。購入した物は殆ど学園の自室か実家の方に郵送したらしい。
「んじゃ、全員揃ったところで行きますか」
そのカナードの一声に、一夏達はその後を付いて行く。
◇
一夏の自宅から電車で二駅隣の郊外地域、駅を出ると市街地とはまた違う風景が見える。木々が多いのだ。あるのは昔懐かし駄菓子屋が一件と、その奥にカナードの実家である『大和生物機械技術研究所』があるだけだ。
真っ直ぐ研究所に向かう前に駄菓子屋によるカナード。それについて行く一夏と箒と鈴音そして簪の背を、残ったセシリア達が呆然とした目で見ていた。
「きなこ棒三つ」
「俺、ヨーグル八つ!」
「水あめ! 水あめありますか?!」
「アタシまいう棒チーズ味とめんたい味!」
「…私も同じの!」
普段見ない簪の暴走を眺め、セシリア達はカナード達が魅入ってしまう駄菓子と言うものを物珍しく見ていた。ヨーロッパ諸国でも日本の駄菓子は有名なのか、次第に興味を抱きはじめる。
やがて満足したカナードは一夏達を連れて目的地ヘと向かって、舗装された道を道なりに進んでいく。
◇
『大和生物機械技術研究所』のロビーでカナードは受付嬢にIDパスを提示する。それを確認した受付嬢はカナードに話し掛ける。
「お帰りなさいカナード研究員。 確か本日はお友達の見学でしたね」
「事前に打ち合わせたコースで行きます」
「はい、気を付けていってらっしゃい」
受付嬢に見送られた一夏達はカナード案内の下、社会科見学の名の下に研究所内を歩きはじめた。
◇
「まずはここ、生物研究部門。 ここでは野菜の品種改良、及び生き物のDNAの根幹とかを研究しているんだ。 将来的には地球全土で様々な野菜が出来るような夢を、彼等は掲げているんだ」
最初に案内されたその場所。カナード達は研究員達を通路のガラス窓から見下ろせていた。
よくメディアで見る二重螺旋、白衣や割烹着で顕微鏡を覗き込む研究員達等を一夏達は見ていた。やっている事は畑違いではあるものの、興味を十分に引いていた。
次のフロアは複数のモニターに様々な動物が映し出されていた。その姿は教科書でしか見たこと無いものばかりだ。
「ここじゃ絶滅動物復活のプロジェクトをしているんだ。 先月辺りに学会で出して、先週辺りニュースでもやってたから知ってる奴もいるだろう?」
「存じておりますわ。 ですがカナードさん、この研究にはそれなりに批判もあったはずですよね?」
「確か…命云々の話だったよな……? 俺もこの間そのニュースをチラッとだけだったけど見た事はある」
「…この研究は命を弄ぶのに等しいってある団体が抗議していた……」
「まぁ……な、色々とあるんだ…。 じゃあ次のフロアに案内すっぞ」
◇
続いてカナードが案内するのは彼の専門の部所。機械関係のフロアだ。
最初に訪れたのはISに似て非なるものだ。一見それっぽく見えるのだが、完全に違っていた。装着して動かしているのは女性ではなく男性。見る限りでは
「こいつは男性でも扱えるISの代わりだ。 用途は災害救助、物資運搬と色々とあるけどいまんところ研究段階で、あのプロトタイプが限界だけど…その内ISに本格的に代わるだろうぜ? まだ実用化は難しいけどな」
カナードはそう言って一夏達に話した。聞いている方は如何にカナードの生家が凄いかを実感した。
続いては研究員らしき人物が誰もいない区画。あるとすれば工具や機材、そして『触るな危険』と書かれた貼紙が貼ってある鉄の箱。その他にパソコンが数台置かれており、デスクトップの画面には『K-Y』と表示されている。これらを見て勘の良いシャルロットと簪が言った。
「もしかしてここって……」
「…カナードの研究エリア……?」
「ビンゴ! ざっつらいと!!」
指を弾いて御機嫌なカナードは待機中のストライクをパソコンに繋いでキィを叩きながら、一夏達に見易いように投影ディスプレイを表示した。
「ここが俺の研究室なんだ。 寝泊まりする部屋は別だけど、ストライクの設計とかはここでしたんだ。武装の
「……驚きましたわ、今のまままでカナードさんがここの研究員だと………にわかに信じられませんでしたが」
「これ見せられちゃあ嫌でも信じちゃうわ…」
「流石我が弟だな」
セシリア、鈴音、ラウラの順で彼女達は思った事を素直に言った。一夏と箒はセシリア戦前に知ったが、今回改めてこの事実に驚いていた。
表示されているストライクの武装が細かく表示されており、今の一夏達には理解し難いようだ。
「ストライクは単体でどんな状況でも対応できる事を目指した機体で、皆も知っている通り
長い髪を纏め上げながら一夏達に解説をする。それを聞いている方は納得したり畏れを持ったりと様々な反応をする。自分達と歳がそうも変わらないカナードが、一夏達にはとても特殊に思えた。それでいて細かな狂気さが、伺えた。
ふと、カナードが何かに気が付いて壁に掛けている時計に目をやった。連れられて一夏達も同じ方を見ると、時刻は十二時に差し掛かる所だった。時間が経つのは速いモノだと一夏はしみじみ思った。
「こんな時間か……おぅ、飯食ってくか?」
「良いのか、カナード?!」
「あぁ。 ついでだけどな」
◇
大和生物機械技術研究所の一角に、大和一家が居住する区画がある。そこのダイニングにて、一夏達とカナードの両親がテーブルを囲んでいた。
ユーレンと静子はカナードの招いた客たちを歓迎していた。それもそのはず。カナードは今日まで自宅であるここには友人を誰一人として招いたことは無く、やっと今日招いてくれたことに感動していた。
「学園では息子が世話になっているね。 私が大和生物機械技術研究所所長、ユーレン・大和。 祖母が日本人だよ」
「母の静子です。 カナードが友達を連れて来るのを楽しみにしていたわ。 遠慮しないでいっぱい食べてってね」
「ま、そんな所だ。 一夏に皆、飯終ったら俺の部屋で待っていてくれ。 シャルロットと四人で少し大切な話があるんだ……って、ちょっと簪さん、怖い、怖いからその眼差しやめて。 俺のハート壊れちゃうから止めて。 あとシャルロット何頬赤らめてんの? そして一夏達も父さんらも変な想像やめてよ、いやマジで」
ややあって昼食後。カナードの瞳を見て、ユーレンと静子は急に目の色を変えた。
二人は事前にカナードからシャルロットについての連絡を受けていた。デュノア社の傀儡にされているシャルロットを、研究所に何とかして引き入れられないかと言う事を。カナードは最悪な状況を想定し、シャルロットはこの空気に緊張していた。
「……デュノア社の事だったな、カナード」
「というよりも、彼女の事だ。 前に連絡した通りだ」
「お母さんが亡くなって……辛かったでしょう?」
「…はい」
「……で、どうなんだ父さん」
シャルロットのこれからを決める答えを、カナードはユーレンに求めた。が、返答はすぐに返っては来ない。仮にもシャルロットはフランスの代表候補でデュノア社に所属している。一研究機関がそう易々と、引き抜きが出来にくい。
同じ女性の立場にある静子が、ユーレンに変わって自分なりの答えを出した。
「シャルロットさんの事だけども、
「……シャルロットの対価…第三世代の技術って事?」
「そうなるな」
ユーレンが肯定する。
「向こうからしたら…」
「わざわざ僕を出す必要も…」
「無かったと思うだろうな。 が、ここで第三世代ISに携わっているのは、カナードお前だ。 どうにかして奴さんと連絡を取れるようにしてみる」
「そしたら俺の出番かい父さん?」
今度は無言で首肯する。話し合いの場は大人達が用意することは決まった。後はシャルロットの意志だ。
当の本人は、出された緑茶の水面をしばらく眺め、迷っていた。母国に戻れば国家反逆罪に問われるかもしれないが、ここに来るとなれば唯一の肉親である父とは永遠に会えない気がした。あった回数が少ない肉親との偽った幸せを選ぶか、それともこんな自分を温かく迎えてくれる人たちとの幸せを選ぶかを、彼女は迷っていた。
そんな彼女を見て、カナードはシャルロットの肩に優しく手を置く。
「シャルロット、良い言葉を教えてあげる。 『遠くの親戚より近くの他人』と『生みの親より育ての親』……詳しい意味は忘れたが、まぁそんな所だ」
「カナード……。 ありがとう、僕はもう迷わない……僕は!」
◇
それから数分経って、カナードはシャルロットと共に自室にいた。先に居た一夏達は、カナードの所有していた映像ディスクを鑑賞していた。因みに、現在彼らが見ているのは『仮面ライダー The Next』で、現在エンディングのスタッフロール。この先の結末を、カナード一人だけ知っていたが、敢えて教えなかった。
「あれ、まだ続きが……」
訝しげに画面を見やる一夏達だったが、次の瞬間、画面内でホラー度が高い展開が起きたのだった。
「知ってるか、『The Next』って十五歳以上モノ何だぜ?」
「それ早く教えなさいよ!」
「知るか、アンタらが先に見たんでしょうが。 気を取り直して次こっちのシリーズ……『ぼくらのウォーゲーム』『デジモンタイフーン/黄金のデジメンタル』『ディアボロモンの逆襲』等のデジモン劇場版シリーズの一挙鑑賞会!!」
「流石アニメ大国ニッポン……クラリッサが熱中するわけだ」
カナードの燃え上がりを見てラウラがポツリと呟いた。
この時、シャルロットの顔はどこか吹っ切れていた。既に彼女の答えは出していた。その変化に、この部屋に居る全員は気が付いていたのだった。
夏休みは始まったばかり。カナードのアニメ特撮布教はますます過熱していくのだった。
続く
因みに、鈴音とセシリアのプール戦闘回は出ません。が、次回は一夏&箒ペアとカナード&誰かのダブルデート回です
ここでアンケート。
次回のカナードのデート相手は次の内誰でしょうか。
1.シャルロット
2.簪
3.ラウラ
4.楯無
5.のほほんさんこと本音
お答えは換装欄にて