第14話 The Gears of Fate
「ん?」
始まりは唐突だった。
「なんだろうこれ…」
少女は剣型のキーホルダーのようなものを拾った。拾ってしまった。
「誰かの落としものかな?」
運命の歯車は動き出した。
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「あ、あれ…?」
歩く人、流れる水、落ちる木の葉。そのすべてが何の前触れもなく停止した。
「夢、なのかな…?」
しかし少女は動いていた。まるで自分だけ世界から取り残されたかのように。
「なにが起きてるの、これ…」
その風景はさながら一枚の絵画のようだ。
美しく、儚く、そして恐ろしい。
「へぇ、あなたの持ってるそれ、もしかして宝具?」
「ッ!?」
少女の背後から突如女性の声が響いた。
その女性は滑らかな金髪を揺らしている、が、その顔は人間と呼ぶのが憚られるほどに整いすぎている。
「あ、あなたは…?」
「私はあなたとおしゃべりしに来たわけじゃないの。さっさとそれを渡して、存在の力を喰わせなさい」
「アハハハ!いっただっきまーす!」
「なっ、あっ…!」
いつの間にか少女の後ろにはどこかで見たマスコットキャラクターのような巨大な人形が立っていた。
人形はその大きな右手で、少女の細い体が悲鳴を上げるほどに握りしめる。
痛い。体がミシミシと音を立てている。鉛筆のようにぽっきりへし折られてしまいそうだ。
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ。
まだ死にたくない。
やりたいことだってたくさんある。おいしいごはんを目いっぱい食べたい。友達と一緒に歩きたい。好きな人と手をつなぎたい。
死ねない。
まだ、死ねない。
「死ねない…私は…!」
その時、世界は黒紅に染まった。
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『な、なんじゃこりゃあああああああ!』
「「「…え?」」」
な、なんだこれはいったい何があった!?
寝落ちしたら体が縮んでしまっていたってやつかこれは!?うっそだろおい勘弁してくれよいつからここは名探偵の世界になったんだそもそもここって探偵殺しの世界じゃん証拠も死体もでないしってちょっとまって囲まれてる!?
「く、黒紅の炎…あなたまさか、“郡剄の長蟒”ヤマタノオロチ!?」
そうです、わたすがヤマタノオロチです。…ジャナーイ!
やっぱり君ら燐子だろてことはここはこの世だな、良かった。また変なとこに飛ばされたのかと思った…って安心してる場合じゃねえ!?なんで俺フレイムヘイズになってるんだ!?
落ち着け、俺、『因果の殄滅』落とした。この子、持ってる。『因果の殄滅』、教授の作品。
…またおまえかダンタリオン!あの野郎『討滅の獄』入れやがったな!?
「たとえ強大な紅世の王でも、契約したてならどうとでもなるわ。やってしまいなさい!」
「はーい!」
金髪の人形が巨大な人形を嗾ける。
待って待って!この子初心者!戦えるわけが…。やるしかないか!
『バックステップだ、下がれ!』
「え、え!?」
『いいから早く!』
「は、はい!」
急いで後ろに飛び退く少女。その体からは想像できない速度だった。
セーフ!セーフ!大丈夫だ、まだあわてるような時間じゃない。諦めなければ試合終了じゃないんだ!メイビー!
「ええッ!?」
『驚くのは後だ!今は目の前のあれをどうにかするんだ!』
「でもどうやって!?」
とりあえず対処法を考えないと。このままではこの子がやられてしまう。
ここでこの子が殺されれば俺はすぐにでも自由になるだろうが、目の前で死にそうになってる奴を見殺しにできるほど俺は非情にはなれない。
『いいか、一度しか言わないからよく聞け!お前の体には力が巡っているはずだ!それを炎の形にするようにイメージするんだ!』
「え、えっと…こ、これでいいんですか?」
少女の手には黒紅色の炎が浮かんだ。
よし!一発成功!
『いいぞ!それを相手にぶつけるんだ!』
「はいっ!」
ヨガファイアー!命を燃やせ!
もちろんこんな大雑把な一撃が当たるとは思っていない。作戦は簡単。
『今だ逃げるぞ!』
「え、あ、はい!」
三十六計逃げるに如かず。
毛色変わったと思った?残念いつものシニカケキャスターでした!最近は飲んでる処方箋が合わなくて死にそうです!
星のおじさま様、高評価ありがとうございます!