同級生のメリー、ノトブルガ、ティアの三人が人間ではないという事実に衝撃を受けたゆかりちゃん。
しかしそれでもしっかりと受け止めたあたりかなり強靭な精神力の持ち主だと思う。
『それに当たって、みんなにはこの子を育ててもらいたい。例の燐子の主にも目を付けられただろうから、巻き込まれるのは必至だし』
「まあ、それもそうですよね」
「フレイムヘイズになったんだから当然と言えば当然だよね」
教授のせいとはいえ、せっかく契約したのに死なれては困る。こうなったら一流のフレイムヘイズになるように鍛えてやる。
ただ猶予が一年あるかないかと言うのがネックだな。
一年であのサブラクと張り合ってもらうことになるのか…最悪俺が擬似顕現して戦うべきか…。この子にまで『悪食』を使わせるわけにはいかないし…。
「それにしても、ローさん契約してからしゃべり方変わりました?」
「前はもっと軽い感じだったのにねー?」
『そうか?今でも十分軽いと思うんだが』
うーむ、自分ではそこん所はよくわからないな。こういうのは第三者の方が察しやすいのだろうか?
『喋り方の話はおいておこう。まずは体術から始めるべきべきだと思うんだが』
「じゃあ私の出番ですね?」
『俺はこんななりだから教えられないしな。頼むぞノトブルガ』
「…やっぱりしゃべり方変わりましたよね」
自覚はございませんね!
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「初めてにしては…」
『上出来だろうな』
「いや、ボコボコにされておいてそういわれてもね…」
芝の生えた広い庭に転がっているゆかりちゃん。わかる。その気持ちはすごくわかる。だけど君が初心者にしては強いのもまた事実なんだ。納得してくれ。
「でもこれなら毎日鍛錬すれば一人前のフレイムヘイズになると思いますよ?」
『そうか』
できることなら住み込みで教わってほしいんだけど…あ、そうだ。
『ゆかり、お前さんの家に同居人はいるか?出来ることならこのまま俺の家で鍛錬を積んでほしいんだが』
「学校からも近いし、大丈夫だけど…家から荷物とってきていい?服とか教科書とか持ってこなきゃならないし」
確かにそれは重要な案件だな、うん。
『それなら構わないぞ』
「人手がいるなら手伝うよ?」
はっきり言って引っ越しになるから、フレイムヘイズの筋力があっても手が足りないかもしれない。いい判断だ、ノトブルガ。
「ありがと、お願いするね」
友達の力は得難いものだから、こういう時には存分に頼りな。
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とあるマンションの一室。一人暮らしにしてはやたら広い気がしないでもないが、ここがゆかりちゃんの自宅である。
「あ、ノトブルガちゃん。この人預かっておいてね。下着とか見られたくないし」
「オッケー」
現在俺はデフォルトされた蛇のネックレス型だったのに趣味じゃないからと言う理由でキーホルダーにされた神器になっている。
ちなみにこの状態でもなぜか戦闘ができる。おそらくは教授がやらかして不完全な契約になったのだろう。自在法で援護ができるのはありがたいが、次あったら一発ぶちかますのは確定だな。
「ねえ、ローさん」
『なんだ?』
「これって…」
ノトブルガが手に取った写真には幼い頃のゆかりちゃんと思しき人物が一人写っている。
本来フレイムヘイズは『運命と言う名の器』を契約した王に捧げるため、喰われた人間と同様に存在は消えるのだが、それでもゆかりちゃんが写っているのは、俺が無理やり存在を固定させた影響だ。これが結構苦労したんだよね。
転生の自在式を使うわけにもいかないから、矛盾の間にゆかりちゃんの情報を突っ込むという荒業で乗り切った。『調律』とは似て非なるものだからいけるかどうかは半ば賭けだったけど、今回はうまくいった。
そんなわけでゆかりちゃんは存在しているわけだが、この微妙に空間が開いた写真はちょっとセンスが悪いんじゃないだろうか。大人が両端に入りそうだ。まるでそこから人が突然いなくなったような…あっ(察し)
『親が喰われたのか…』
「…触れないでおきましょうか」
『そうだな』
そっと写真をもとの位置に戻した。
「おまたせ!あれ、どうかしたの?」
「ううん、なんでもないよ」
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