自在法の研究で行き詰まっていた俺は、今現在欧州の小さな町に来ている。なぜかって?観光だよー。別に怪しいことはする気ないよー。死体を利用しようとか考えているだけだよー。これも全て研究のためなのです(ゲス顔)
うんまあ仕方ないのでちゃんと説明しよう。俺は死体を燐子に出来ないかと考えていた。
人形を燐子に出来るのならば死体だって出来るだろう、と。鳥や虫で試したところ、あまり傷んでいないものならば可能なことが判明した。
で、次の段階に進むため状態が良好な人間の死体をここに探しに来たというわけだ。
まあ観光も目的のひとつなんだけど。てゆーかー観光の方が優先順位高いんだよねー死体探しの方がついでなんだよねー。フレイムヘイズに追われる立場だからたまには羽を伸ばしたいんだ。
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「やめてください!」
「まあまあいいじゃねえかヨォ〜」
町中を歩いていると、路地裏でチンピラども約10人に絡まれている少女を見かけた。
こうゆうのは大概薄い本が厚くなるような展開になる。あとサスペンス気味になるかも。
まあどっちにしろ見かけてしまったのだから、見て見ぬふりをせずに助けてあげよう。
「おい、あんたら何してんだ?」
「あぁん?なんだてめーは?」
おいこら。質問に質問で返しやがったな?テストじゃゼロ点。とりあえずボコるの決定。
「幼気な少女を囲んでいったい何してんだって聞いてんだよ」
「フン!てめーが知る必要なんざねーよ。やっちまえ!」
リーダー格のチンピラの声に従い、ナイフを持ったチンピラどもがこちらに突っ込んで来る。はーい正当防衛成立ー。ボッコボコにしてやんよ。
「破ァ!」
「グエッ!」
チンピラAのみぞおちに拳をくらわせた。チンピラAは気絶した!
「野郎!」
「ていっ」
「」
ヤマタノオロチの金的蹴り!チンピラBは動かなくなった。ただのしかばねのようだ。
「ギャッ!」「グエッ!」「ゴハッ!」「ギャン!」「あがっ!」
途中からめんどくさくなってテキトーにボコる。
「ひっ、化け物!」
「逃げろ!」
俺の無双を見て、運よく生き残ったチンピラたちは一目散に逃げ去った。根性のない奴らだ。ついでに薄情。
「おい嬢ちゃん、大丈夫か?」
「え、あ、ああはい大丈夫です!ありがとうございます!」
「どーいたしまして」
ちゃんとお礼の言える子は嫌いじゃないよ。
「あ、あの!」
「うん?」
さっさと帰ろうかと踵を返そうとすると、少女から声をかけられてしまった。
「お兄さん!ぜひお名前を教えてください!」
「名前?」
しまった、考えてなかった。どうしよう、ヤマタノオロチのどっかからとるか?それともてきとうにマンガの中の登場人物の名前にしようか、ほんとどうしよう。
「…ロー、だ」
結局ヤマタノオロチのロからとった。我ながらなんのひねりもないな、うん。
「ローさんですね!私はノトブルガと言います!」
適当に返事をして、さっさと帰りたいアピールをするが全然気付いてくれない。それどころかお礼がしたいと言ってくる。そんな大したことはしてないんだけどなあ。
「でも私何ももってないし…こうなったら体で…」
「まてまてやめろ脱ごうとすんな。自分をもっと大事にしなさい」
何白昼堂々脱ごうとしとんじゃ。俺そんな趣味ないし君も恥ずかしいだろーが、顔赤いぞ。
「止めないでください!」
「止めますよ!てか君絶対ヤケクソになってるだろ!」
頼むからやめてくれ。俺ロリコンじゃないから。
「わたしの何が足りないっていうんですか!」
年齢。
たしかに君かわいいよ?でもまだ10歳前後だろ?そんなちっちゃな子に手を出すつもりはない。お兄さん捕まっちゃいます。
「いや、でもお礼を…」
なかなか強情だなこの子。嫌いじゃないわ!
「そんなの次会った時でいいから」
そう言って俺は立ち去ったが。
「あっ!ローさん!また会いましたね!」
その翌日にまた遭遇した。なんでさ。
「ローさん!今日こそお礼をさせてもらいます!」
そう言ってミサンガみたいなものをくれた。
「夜なべして作ったんです、受け取ってください!」
「あ、ああ…」
うん。受け取るのはいいんだけど、ちゃんと寝なよ。よく見ると目の下にくまができている。肌が白いからちょっと目立つな。
「じっとしてろよ」
「ふえっ!?」
仕方ないので自在法でとってやる。自在法マジ便利。
「ななな、何を!」
「魔法で目の下のくまを取っただけだ。」
自在法はある意味魔法だからね。こういった方が理解できるだろう。
「ローさんって魔法つかいだったんですか!?」
「まあそんなもんかな。みんなには内緒だよ?」
「は、はい!」
どっかの魔法少女みたいなことを言ってみた。まあ知られても逃げればいいんだけど。
「えっと、ありがとうございます!」
「そんな大したことしてないよ」
とりあえずさっさと帰る。結局死体は手に入らなかったよ。
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あれからしばらくして俺はまたこの町に来たのだが、なんと燃えている。どうやら徒に襲われたようだ。
多分生存者はいないだろう。フレイムヘイズも徒もいなかったし。まあダメ元で探索の自在法を使って見ると、この町を襲ったであろう徒とフレイムヘイズを見つけた。
徒の方はかなり気配がでかい。おそらく王に片足突っ込んでいるレベルだ。
一方フレイムヘイズの方は気配はあまり大きくない。おそらく新人だろう。新人にコイツの相手は荷が重いじゃないかな。とりあえずフレイムヘイズの方を手伝ってあげよう。
「くっ!」
「お前ごときがこの俺様に勝てるわけねーんだよ!」
案の定苦戦しているようだ。いまさら見捨てられない。ここは『帥鴉』を使って援護しよう。
「グアァァァ!?」
改良済みの我が燐子たちの攻撃は熾烈だ。やはりかなり効いているようだ。
「ほら、援護してやるからさっさと攻撃しろ!」
どさくさに紛れて新人フレイムヘイズに自在法の威力が上がるようにバフを掛ける。
「はっ、はい!」
やっぱり徒の討滅はフレイムヘイズの仕事だろう。俺の声に反応した新人フレイムヘイズが『炎弾』を撃つ。
「グワァァァ!」
直撃だったようで徒はそのまま炎を上げて消えてしまった。討滅完了といったところか。
「あっ!ローさんじゃないですか!」
「うえっ?」
へんな声が出てしまった。フレイムヘイズを見てみると、どっかであったような顔をしていた。ああ名前が出てこない!ノ、ノ、のしろじゃなくて、えーと・・・。
「ノトブルガです!覚えてませんか?」
そうそうノトブルガだ思い出した。ちょっとは成長したようだがせいぜい140センチくらいしかなさそうだ。
『まさかお前のような奴と知り合いだったとは』
ノトブルガが契約したであろう紅世の王の声が響く。名前は“秘説の領域”ラツィエルというようだ。
「えっと、知ってるの?」
『知っているも何も、此奴は紅世でも有名だぞ』
まあ狭間渡りを広めたから有名だろう。
「ローさんも紅世の徒なんですか!?」
「まあそうなるのかな?俺の名は“群頸の長蟒”ヤマタノオロチ。一応紅世の王だな」
「そう、なんですか…」
どうやらノトブルガは俺が紅世の王と聞いてショックを受けたようだ。悪かったね、人外で。
「どうして私を助けてくれたんですか?紅世の徒なのに」
その疑問ももっともだ。紅世の徒にとってフレイムヘイズは同胞を狩る敵だ。普通は助けない。
「単純にあいつが気に食わなかったからかな?あとは生まれたばかりのフレイムヘイズを死なせたくなかったから、とか?」
ショックから立ち直ったノトブルガが聞いてくる。助けた理由なんてそんなもんでいいんだよ。
「あ、ありがとうございます。」
「自己満足だからお礼はいらないよ、じゃあこれで」
面倒になりそうなのでさっさと帰ろうか。
「あ、あの!」
「うん?」
「まだそれ、持っててくれてるんですね」
俺の右腕についたミサンガに目を配り、そういった。
「ああ、一応もらったものだからな」
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「“群頸の長蟒”ヤマタノオロチよ」
家に帰る途中、いきなり聞き覚えのある声が聞こえた。
「どうか私の頼みを聞いてくれないか」
声の主はアシズだった。ただ前会った時と違い、契約していたティスがおらず、青い天使のような姿で顕現していた。
「…ティスは死んだのか」
「…ああ」
アシズは悲しげに答えた。
「で、俺に頼みってなんだ?」
俺は露骨に話題を変える。
「じつは―――」
アシズはやはりティスを復活させようとしているらしい。そのために、死体の燐子化をしていた俺を頼ってきたのだ。
「そうは言ってもフレイムヘイズで試したことはないしなぁ」
通常、フレイムヘイズの肉体は死亡すると炎になってしまう。消えてしまうのだから燐子化はできないのだ。ただ今回の場合、『清なる棺』によって肉体の喪失を免れているため燐子化できないことはないだろう。
だが仮にできたとしても、それはティスではなくティスの皮を被った燐子だ。全くの別人になってしまうのだ。
「残念だが俺にはティスを甦らすことはできない」
「そうか…」
「だがまあ、頼りたくなったらいつでも言ってくれ。力になろう。」
俺はそう告げてこの場を立ち去った。
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