空をかける翼   作:香枝ゆき

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原作では明記されていない隊長の過去編です。
オリジナル要素満載のため、ご両所のかたのみお入りください。

○公式設定
・隊長の制服がピンクである
・女子の新入隊員の服がマゼンタであることが確認できる(男子は緑のよう)
・隊長の容姿(金髪碧眼)


君を守るマゼンダ

 まるで草原だった。スカイナイトの新入隊員の制服は緑と決まっている。だから彼らが並ぶと春のような風景になるのだ。このような色をしているのは、初心者マークの名残という。

 

 インナーのみ男女で分けられているのは、その昔助平な隊員が異性の更衣室へのぞきに行こうとしたからというのがもっぱらの噂である。しかし、近年女子制服の色が変わったのだ。マゼンダに。

 新入隊員以外はモデルチェンジはない。

「隊長、経理から、被服費のことで話があるとのことですが」

「席を外していると言ってくれ」

 薄桃色の隊服と、金髪をなびかせ、役職者は颯爽と歩く。

「……一体なぜですか。布地だって貴重品なんですから」

「君は」

 振り返った青い瞳が細められる。

「命よりも大事なものがあると思うか?」

 

――その年も、新入隊員で作られる草原が広がっていた。

「あれは?」

「特別待遇なのか?髪、珍しい金髪だし」

 ひそひそ話に臆することなく、背筋をぴんとはる。

黒や茶色が多い中、生まれもっての髪色でとやかく言われることには慣れている。

 けれど、隊服がマゼンダとは思わなかった。

 もちろん、特注にしてくれと頼んだわけではない。

「えー諸君!入隊おめでとう。君たちは人類域を守る使命を持っている。昨年は人類域が侵略され、布地の生産が減ってしまった。なかには比較的新しい中古の服や、試作品を着てもらっているものもいる。不便をかけるが、この不便を町の人たちに感じさせないよう、一丸となって任務に当たっていこう!」

 お偉方のスピーチは、盛大な拍手をもってお開きとなった。

 そして、草原が刈り取られるのは、一瞬だった。

「うあっ」

「きゃあっ!」

「バンパレット属の襲撃だ!」

 草刈りでもしている感覚なのだろうか。ろくに戦闘訓練も受けていない新入隊員は、次々と倒れていく。

 少年少女関係なく。

 翼が折れていく。

 そんななかで、草原に咲くマゼンダだけが、手折られることなく立っていた。

 応戦しているベテラン隊員たちが目を見張る。

「……あの、新入隊員は?」

「入団試験トップの子です。まさか、教えずとも太刀打ちできているなんて……」

 違う。

 手加減をされている。

 この、バンパレット属の少年に。

「おまえ、女の子か?」

 かっとなる。

「答える必要はない!」

「おっと」

 小さなバンパレット属はひょいと攻撃を避ける。

 遊んでいるように。

「おまえにいいこと教えてやるよ。バンパレット属の女の子は、桃色のものを身につけるんだ。環境破壊と、住みかを追われたことで、ヴァンパレット属の女の子はほとんどいない。大事にされてるんだぜ?だからおまえがその服を着てる限り、緑のやつらみたいにぼこぼこにされなくて済むかもな」

「ばかにするな!」

「事実だろ」

 攻撃が羽を散らす。

「守りたいものを守れないんなら、守ってくださいって敵に慈悲を請うてみろ。鬼じゃないんだ。見逃すくらいはしてやるさ」

 空に落ちる。

 笑い顔が遠退いていく。

 

 

 悔しい。

 悔しい。

 だけどまだ守れないから。

 守る力がないから。絶対に忘れない。

 この悔しさを意識するために、私はマゼンダを身に纏おう。

 そして、この情報を然るべき人らに伝え、誰かが守られるようにしてもらおう。

 もしも全滅するような事態になろうとも、この色が守ってくれるなら。

 全員助からないなら、誰かは助かれ。

「……覚えていろ!バンパレット属」

「レオンだ。この名前、忘れるな」

 レオンとバンパレット属の一団は、空の彼方へと姿を消した。

 

 




原作名をエンジェルガードで登録しました。組織の名前のエンジェルガードなのですが、公式さんがある年を境にスカイナイトに名前が変わった節もあるので、どちらにするか悩んでいます。
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